3 中部発きらり企業紹介 (METI Chubu/経済産業省中部経済産業局)

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中部発きらり企業紹介 Vol. 66

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    株式会社 小林製作所
  ITの導入により社員一人一人のやる気を引き出し、モノ作りの生産性向上に結びつける  


 今回はITを新しい経営のツールとして捉え、業務の見える化による戦略的経営の推進により「中部IT経営力大賞2010」受賞した株式会社小林製作所の小林靖典社長と黒川正枝開発室長にお話しを伺いました。
[本社工場]
(株)小林製作所[本社工場]
 
インタビュー
 創業90年を越える歴史のある会社ですね。創業からの沿革を教えてください。
 
説明 黒川開発室長
 大正8年に現社長の祖父である小林ュ三が創業しました。創業当時は、船舶用のボルトナットなどの専門工場で、社員100人以上の大きな工場とのことでした。造船用の特殊なボルトを製造し、戦時中は学生動員により船舶の部品を製造した時代がありました。昭和33年に二代目の小林康治が社長に就任し、板金、塗装の工場へとシフトしていきましたが、2代目社長が病気がちであったことから、三代目の現社長である小林靖典が20代後半から事実上の社長の代理として会社の経営に携わっておりました。工場の現場は年功序列のピラミッド型の組織体制でしたが、平成3年に小林靖典が若社長として就任し、そこに生産管理のためのパソコンを導入しましたが、当初は現場からは「俺たちはパソコンに管理されるのか」と反対されることもありました。
SP
インタビュー
 御社の生産している主要な製品を紹介してください。また、モノ作りにITを導入した経緯を教えてください。
 
説明 小林社長
 半導体製造装置、液晶パネル製造装置や工作機械などの筐体やフレームを主に製造しており、小さいものは製品の一部のブラケットなど1個からでも製造しています。注文の数が1個、2個といった少量のものが多く、少量多品種の生産をしています。その種類は毎月4万から5万点と大変多く、以前はそれらがエキスパートの社員の頭の中で製品が整理されて、製造が行われていましたが、もしその社員が不在となってしまった場合に事業の継続が難しくなってしまうのではないかという不安がありました。
 そこでパソコンが世の中に出始めた昭和50年代に、私が受注から出荷までの帳票を管理する独自のシステム「Sopa-k」を開発しました。システムに製品データが蓄積されるにつれて製造する製品をすぐに特定できるようになったことに加え、各作業者に工程の進捗状況を入力してもらうことで製品がどこまで作られているかが誰でも把握できるようになったので、作業者も便利だと感じるようになり、活用されてきました。その頃から当社にパソコンを活用したモノ作りの風土が育ち始めました。

裁断工程→曲げ工程→塗装工程

SP
WEBカメラ
Webカメラの設置例
 
工場内モニター
工場内モニター
インタビュー
 現在、工場の生産現場にWebカメラを設置していますが、設置した経緯は何ですか?
 
説明 小林社長
 ある時期に工場から購入品が紛失するというトラブルがあり、実験的に監視用のカメラを設置しました。カメラの設置により購入品の紛失問題はすぐに無くなったのですが、このカメラをさらに生産管理に有効利用しようと考え、Webカメラで各工程の作業の様子を撮影して記録する「お見守りシステム」を構築することにしました。
 以前の工場は社員の作業の様子が見渡せるほどの広さでしたが、工場の移転により作業場所が広くなったことから他の工程の仕事状況がわからなくなり、社員同士の仲間意識が希薄になってしまいました。社員同士が責め合ったり、不満や愚痴を言う者が出てきて協力体制が崩れてしまい、生産性に悪い影響を及ぼしかねない状況でした。そこにカメラの導入によりお互いが頑張って作業をしていることが分かるようになったことで、社員一人一人の仕事の張り合いと協力する意識が強くなりました。
 また、カメラの導入は生産性向上や品質管理にも役立っています。撮影した映像は記録され、毎週、作業グループ毎で確認して、どこに無駄があるのか、どこを改善できるのかなど、作業者同士で切磋琢磨しながら改善活動を行うための資料として活用するようになりました。その検討会には管理者は入らずに、作業者同士が自由な雰囲気で活動できるようにしています。
SP
インタビュー
 Webカメラで作業の様子を撮影することについて、監視されて嫌だという社員からの反対の声はありませんでしたか?
 
説明 小林社長
 Webカメラの導入は作業者を監視することが目的ではなく、作業者の頑張り具合を見てもらうための導入だということを説明したことで、やる気につながる効果がありました。意外にもカメラ導入に対する反対の声はほとんどなく、一人作業で頑張って作業している姿を誰も見てくれなかったところを、カメラの導入により一生懸命作業していることを見てくれているのだという社員の頑張る気持ちに繋げることができました。むしろ当社の社員にはカメラに興味を持っていただいたようで、仕事の効率も向上し、導入してすぐに生産性が20%も向上しました。社員の皆は急に残業が無くなったので受注が少なくなったと勘違いしたほどでした。
 また映像で記録することは、品質管理や不良品が発生した際の原因特定にも活用することができ、 作業履歴から不良品の発生の原因とその製品を特定することができた事例があります。塗装工程で硬化剤の塗布を忘れるミスが発生して、従来なら当日の納入品を全て不良品とするところですが、作業の映像を確認して作業漏れがあった不良品を特定することができたため、無駄な回収を抑えることができました。
 さらに、当社は少量多品種の製品を製造していて、全ての製品の作業マニュアルを作成するのはとても大変なことですが、この作業映像の記録はマニュアルとして活用できますし、技術の伝承にも役立っていると思います。
 
情報がぎっしり詰まった製造台帳 納期を守る独自のシステム「Sopa-k」

情報がぎっしり詰まった製造台帳

納期を守る独自のシステム「Sopa-k」

SP
生産向上のため、ITを使いこなす
生産性向上のため、ITを使いこなす
 
インタビュー
 社員からはITの導入により機械に人間が使われているという不満は出ませんでしたか?
 
説明 黒川開発室長
 当社の社員はより良い製品を作ることへの思いが強く、生産性向上のためにITを使いこなしたいという意識が高いようです。ITに使われているというより、ITを使いこなしたいという気持ちが強いと思います。社長も社員からの要望を聞き入れてシステムをより使いやすくするための改良を行っています。
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インタビュー
 御社のIT経営の実践は、ITをモノ作りの現場に導入して、生産性の向上と社員のやる気を引き出す素晴らしいシステムだと思います。さらに今後はどのような工場にしていきたいとお考えですか?
 
説明 小林社長
 以前は未来の工場は最新の機械が並び製品を作り、作業者がいない工場が理想だと思っていましたが、いま理想と考える工場は、製造の中心いるのは人間であり人間の共同の力でモノ作りが行われている工場です。製造業は想像力が勝負だと思います。想像力があるのは機械ではなく人間であり、その人と人とのネットワークで良い製品が作られている工場が理想だと思います。
 
SP

本日は はお忙しいところ貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。工場の作業の様子を拝見しましたが、社員の皆様が明るく活き活きと作業をされているのを感じました。IT導入により、製品の納期管理や品質管理だけでなく、Webカメラの活用で社員のやる気を引き出したシステムは素晴らしいと思いました。御社の今後益々の御発展と皆様の御活躍をお祈り申し上げます。
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              《《《 会 社 概 要 》》》
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会 社 名 株式会社 小林製作所  
小林靖典 社長
小林 靖典 社長

黒川 開発室長
黒川 正枝 開発室長
本   社 石川県白山市水島町429番地17  
創   業 大正8年12月  
設   立 昭和 33年  
代 表 者 代表取締役社長 小林  靖典  
事業内容

精密板金・組立・塗装・提案型設計

 
資 本 金 1000万円  
従 業 員 80名  
U R L http://www.kobayashi-mfg.co.jp/  
T E L 076-277-7330  
F A X 076-277-7331  
取材:平成 22年10日 総務課 情報公開・広報室


 中部経済産業局 総務課 情報公開・広報室

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