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中部発きらり企業紹介 Vol.98


井村屋株式会社

~全ての人においしいの笑顔を届けたい、明治29年創業当時から同社を支える「あずき」のパワーと「特色経営」  ~

ちゅぼっと君

  今回は、井村屋(株)の前山健 代表取締役社長にお話を伺いました。明治29年の創業当時から井村屋を支えるのは、ようかんを原点とする「あずき」商品です。「あずきバー」や「肉まん、あんまん」など誰もが知っている数々のヒット商品を生み出していますが、創業当時から貫くのは、守るべきものは守り、変えるべきものは変える不易流行の考えに基づく「特色経営」。技術革新を続けるロングセラー商品はもちろん、続々登場する新製品、低栄養に陥りがちな食の細い高齢者の方にも、全ての人においしいものを提供したい、との思いが生んだ介護食分野への挑戦と、井村屋(株)さんの更なる展開に目が離せません。 

創業から120年を迎える井村屋のルーツ、「ようかん」 

  当社の会社設立は昭和22年、創業は明治29年です。来年で創業から120年を迎えます。 もともとは、ようかんからはじまり、その主原料である小豆を基本に、ぜんざい、あずきバー、あんまんと、小豆を基軸として、事業展開を行ってきました。ようかんはロングセラー商品ですが、もともとは贈答品として、棹ようかんが重宝されていました。それが、市場変化とともに、小容量(58g)タイプに変化し、更には、スポーツ時の栄養補給用のスポーツようかんや、非常時の備蓄用としての「えいようかん」などにまで、展開されています。従来のようかんの切り口を変えて、様々なシーンで取り入れて頂けるように、商品開発を進めています。 私が入社した当時は、ようかん、和菓子が主流で、アイス、肉まん、あんまんがスタートした時期でした。その肉まん、あんまんも2014年度に50年を迎えました。市場の変化とともに各カテゴリーの売上構成比率も変化し、現在では、アイスクリーム事業、肉まん、あんまん事業の比率が高くなっています。 海外輸出に関しては、現在はウェイトは少ないですが、アメリカ、東南アジアへの展開を進めております。現在、グループ会社の海外事業戦略部にて、様々な海外展示会に出展し、日本商品の安全・安心、きめ細やかさを強みとして、米国と東南アジアを中心に、輸出促進を図っております。

   
【栄養バランスに優れたあずき】
        
【5年間長期保存可能な「えいようかん」 と手軽にワンハンドで栄養補給可能な 「スポーツようかん」 】

ぜんざいを凍らせてアイスを作る発想から始まった、技術革新を続けるあずきバー


【根強い人気を誇る「あずきバー」】

  あずきバーに関しては、当社の得意とする、小豆を基軸に、和菓子としてのアイスを作ろう、当時の社長が発想して、「ぜんざいを冷やして固めてみよう」ということで、始まりました。私も昭和47年に入ってすぐ、新入社員としてあずきバーを担当しました。当時の価格は、30円で、今よりも少し大きく、甘さの微調整など、時代に合わせて、変革しながら、3年前に発売40年を迎え、今に至っています。 小豆を炊く技術、冷却する技術、バーマシンの効率アップ等の生産技術の進化、設備メーカーとのタイアップによる技術革新で、40年経った今、安定的に量産出来るようになっていますが、小豆を炊く基本的な生産工程は変わっていないのですよ。マーケティング部門では、市場のニーズに見合うものを提供できるよう市場調査も行っています。市場のニーズという意味では、「固さ」も一つのポイントでした。当社のあずきバーは、安定剤等の添加物は一切使用せず、小豆と砂糖、食塩を主原料としています。そのために生まれる特有の「固さ」が、受け入れられるかどうかが未知の世界でした。今となっては消費者の多くに受け入れられているので良かったですが。その他、HPやメール、電話等でいただくお客様の生の声も大切にするように心がけています。これらのことが、長い間皆さんに受け入れて頂ける、息の長い商品の開発につながっているのだと感じています。  

  

強みを更に磨き上げたことで実現した他社には真似できないクオリティとコスト

 あずきバーを製造する際の、生豆から、小豆を炊いた時に出る煮汁の排水処理に関する技術は、大型の設備が伴うものなので、なかなか他社にはできにくいところがありますし、また、40年間の積み重ねとその蓄積が生む技術的進歩は、当社ならではのものです。「1つのあずきバーには100粒の小豆が入っている」という言い方を、ビジネストークでよくしますが、それほどあずきの粒が揃ったアイスは、他社にはなく、当社だけのものです。 当社のあずきバーとよく似た商品は、10年くらい前までは他社も作っていましたが、当社は、強みを更に強くするべく原料調達から商品化までの一連の流れについて、クオリティとコストの両面で取り組んできたので、あずきバーと言えば井村屋という認知がなされてきたと思います。3年前に「あずきバー」の商標を取ったのも一つの大きなターニングポイントです。最初は、「あずき」も「バー」も一般名称のため、商標は取れないと言われましたが、それでも「広く認知されている」ことが証明できたことによって、取得することができました。今となっては名実ともに当社ならではのものとなりました。

 【「あずきバー」を召し上がる前山社長】

守るべきものは守り、変えるべきものは変える「特色経営」


【餅、クリーム、あんこが一度に楽しめる新感覚和スイーツ「やわもちアイス」】

 現在の事業は、菓子事業、食品事業(冷食含む)、冷菓事業、加温事業、DC(デイリーチルド)事業の5本柱です。売上構成比としては、アイスを含む冷菓事業が全体の3割ほどを占めます。あずきバーの生産量は、この津工場で、1日100万本にも及びます。最近では、あずきバーの他にも、餅、クリーム、あんこをカップで提供する「やわもちアイス」を「和」テイストの商品として、展開しています。また、去年の12月から、クリームチーズのkiri@とコラボレーションした、クリームチーズアイスを販売しており、売れ行きも好調です。 このように新しい商品を次々と開発しているのは、創業当時から大切にされている「特色経営」が今でも受け継がれているからだと思います。もちろん、新しく開発した物がすべて上手くいくわけでは決してなく失敗もたくさんありますが・・・他社には、思いつかないような特色ある商品を開発し、世の中に問う、その概念が、今でも受け継がれ、深く根付いているのです。

得意とする冷凍技術で専門店の味を全国に展開

 菓子事業の中で、近年、力を入れているのは「冷凍和菓子」です。当社の得意とする和菓子創りと冷凍技術を活用し、専門店の味(地元の和菓子屋さんの商品)を、安定的に全国に展開できるのではないか、それが当社の役目ではないかと考えて、展開し、着実な成長につながってきています。

 病気の方にも、食の細い高齢者の方にも、全ての人においしいものを提供したい


【高カロリー豆腐 】

 嚥下食品、とろみ食品などの介護食品については、無理に柔らかくしているイメージがあり、本当においしいのかなと疑問に感じていました。他方、井村屋の商品を見直してみると、豆腐やゼリー、プリンなどもともと柔らかい製品が多くあります。もともと柔らかいそれらの商品を活用し、更にそれらにプラスのベネフィットを与えられるような製品を開発できないかと考えたのがスタートです。高齢者の嚥下機能が弱ってしまう多くのケースは、筋力の低下にあると言われ、筋力低下の原因は、食が細くなることだそうです。このように、負のスパイラルが、食が細くなることから始まる事実に着目し、そのスパイラルを断ち切るため、「高カロリー豆腐」の開発を始めました。低栄養予防のための食品も、介護食品として青Dマークを利用できるように制度が変わったことも追い風になっていると思っています。 実際に介護施設で検証を行ったところ、QOL(生活改善)の向上が認められました。また、筋肉量、アルブミンの増加も確認できました。その時に、新たに高齢者の皆さんは豆腐ばかりの毎日では飽きてしまうことが分かり、井村屋が得意とするデザートにも同じような効果を持たせ、高カロリーの豆腐1個、デザート1個を食べてもらう検証を進めています。食が細くなった高齢者の方への「おいしい」食の提供が、いずれは、日本全体の健康寿命の延伸に繋がれば良いと思っています。


【伊藤宏規 開発技術本部長 】
高カロリー豆腐を始めとする商品は、単にスーパーなどに置いておくだけでは売れないと思います。しっかりと試験結果に基づく機能性を丁寧に説明していくことが必要ですので、1件、1件病院をまわるなど、積極的に営業活動を続けています。販売して、すぐに大きなビジネスになるというものではないとは思っていますが、大切にしたいのは、高齢者の「おいしいものを食べたい」というニーズにお応えすることです。おいしいものをつくるレシピ、技術は、医療機関よりも企業の方が得意だと思っていますし、美味しい物を創り出すのが食品企業の使命だと思っています。おいしくて、機能もある食品。そのような分野に参入できれば、まだまだ需要があると思いますし、そのためには、井村屋はこんな「食」を作っています、というPRが重要であると思っています。歯の悪い方はもちろん、時間がなくて、朝食を抜いている方にとっても手軽に栄養補給ができる点で、展開が可能で、その可能性は、これからまだまだ広がると思っています 。

熱心に取り組む行政や大学との連携

 2,3年前から取り組んできて言えることは、小豆の効能の実証や、介護食の開発等は、井村屋単独でできることではないということです。行政や大学と連携して活動していく方が、各種の情報がが得られスムーズにいくことが多いと感じています。みえライフイノベーション総合特区の取組である、MieLIP伊賀(経産省の支援を受け、設立運営)や三重県等と連携した取り組みも進めています。 また、我々の根幹である「小豆」に関しては、非常に多くの健康成分を秘めていることが大学との共同研究で分かっています。特に、小豆のポリフェノールについては、三重大学と20数年連携して研究を行っており、高脂血症、コレステロールなどに対する4つの効能を見出しています。機能性食品表示もそうですが、小豆の持つ可能性を、更に掘り下げ、実証し、付加価値の高い商品へと展開していきたいと思っています。 現在は、三重県の補助金で、海藻類のアカモクを使った水ようかん、小豆のポリフェノールの分析、また経産省の「ものづくり補助金」を活用して、あずき麹の開発に活用する機械を導入しました。小豆の中に入っているデンプンを糖化することで、砂糖を使わずに、ぜんざいができるようになったり、新しい甘味料ができればいいと考え、研究を続けています。

環境保全への取り組みに活用する経産省事業


【堀川 勉良 生産管理部長  】

 平成26年度に、経産省の「エネルギー使用合理化補助金」を活用し、エネルギー使用を削減しました。当社では、工場で小豆を炊いたり、煮たりするなど、カステラやどら焼きの製造以外はすべて蒸気で行っています。今まで、LNGによる蒸気で製造していたのを、コストとCO2削減の観点から、何かに代替できないかということで、同補助金を活用し、木質チップを燃料にするバイオマスボイラを導入したのです。3分の1補助は非常に有り難いと思いますし、これがなかったら、できなかったと思っています。 また、J-クレジット制度も活用しています。CO2削減により、創出したクレジットを三重県での地域や事業に関わるイベントでカーボン・オフ・セットすれば、地産地消を実現できると思ったのです。

2017年に迎える、2つのNを基軸とした井村屋の新たなステージ  

  井村屋グループは2017年に創業120年、会社設立70周年を迎えます。その意味でも、今年は、新しいステージにつながる、準備期間です。来年から、「次の井村屋」を作り上げていきたいと考えています。そのために重要なのは、着実な成長です。特色ある商品をNew、Next(新しく、次へ)の2つのNを基軸に、創り続けて、着実な成長を達成していきたいと思っています。そして、そのことを通じて、世間からの理解を得て、社会的責任を果たしていくような会社を創り上げていきたいと考えています。そのために、会社でできることは、環境に優しいエネルギーを活用しながら、有限の資源をロスなく使っていくことであると思っています。また、社内の無駄をなくしながら、社員にも優しい企業にしていきたいですね 。

<<社長の縁>>

 私は、群馬県出身です。大学含め、5年間東京にいて、その後は40数年三重県にいます。開発、生産、品質管理といろいろと職場は変わりましたが、その間三重県を離れたことはありません。生まれも育ちも違う三重県の井村屋に就職し、これだけ長く三重県にいるのは、まさに一つの「縁」だと思っています。大学生であった当時、就職掲示板に「井村屋」がありました。当時は、HP等を確認することもできなかった状況だったのですが、その後、大学の近くで見かけた肉まん、あんまんのスチーマーに、「井村屋」とあるのを見つけたのです。そこで、掲示板の井村屋と完全にリンクしたのを今でも覚えています。それが、就職の一番最初のきっかけですね(笑)。

会社概要

社: 井村屋株式会社 

法人番号: 3190001011891
社: 三重県津市髙茶屋七丁目1番1号
事業内容:

菓子、食品、デイリーチルド、加温、冷菓、冷凍菓子の製造・販売及びそれに付帯する事業、 レストラン事業

業: 1896年(明治29年)年
代表者: 代表取締役社長 前山 健
資本金: 1億円
従業員: 506 名
URL: http://www.imuraya.co.jp/
TEL: 059-234-2132
FAX: 059-234-2137


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