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中部発きらり企業 Vol.91

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谷田合金株式会社 谷田合金株式会社
独自の砂型鋳造技術を活かし、世界を視野に、航空機ビジネスに挑戦

 今回は、谷田合金株式会社の駒井公一社長にお話をお伺いしました。同社は、自動車部品や一般産業用機械部品などを中心に手がけるアルミ合金とマグネシウム合金の精密鋳造、機械加工メーカーです。近年では、航空機分野へ本格参入をされ、海外企業と合弁会社を設立されるなど海外販路の拡大を図られています。また、戦略的基盤技術高度化支援事業を活用して、航空機用部品にも対応可能な鋳造新技術の研究開発に取り組まれるなど、幅広く事業展開をされています 。
 
谷田合金株式会社  [社屋]
 
【谷田合金株式会社  [社屋] 】
インタビュー
はじめに御社の創業からこれまでの沿革についてご紹介頂けますでしょうか?
 
説明 駒井社長
 当社は、1962年に創業し、今年で創業から52年になります。創業当時は、銅合金の鋳造を行っていましたが、私がちょうど入社した1989年頃から、銅合金鋳造をやめ、アルミ合金を手がけるようになりました。
 当時、アルミ合金の方が素材ニーズとして裾野が広く、軽量であるため、先代社長がその将来性を見越して、転換したのではないかと思います。
 そして、アルミ合金に特化したのと同時期に、機械加工の設備を次々と導入し、鋳造だけでなく加工まで一貫生産行うようになりました。当時は、鋳造と加工を一貫生産できる企業というのは珍しく、全国でもそのような企業は少なかったと思います。
 一貫生産体制を構築したことが、高付加価値化や少量多品種への対応、短納期での提供など、今の自社の強みに繋がっています。
独自の砂型鋳造装置  
【独自の砂型鋳造装置】  
 製造品としては、創業当初から主に、一般産業用機械部品を中心に製造をしてきましたが、2002年ぐらいから、モータースポーツ分野に新たに進出し、自動車や自動二輪車のエンジン部品などを手がけるようになりました。
 実際、やってみると最先端技術にふれることができましたし、当社として大変難易度は高かったのですが、あきらめずそれをこなすことで、技術的すそ野が広がり、業績向上とスキルアップに繋がりました。

 また、近年では、航空機の分野に新たに進出をして、仕事の

モータースポーツ関連のエンジン部品を手がける
 
【モータースポーツ関連のエンジン部品を手がける】
対象範囲を徐々に拡大してきたというところです。新たなチャレンジとして取り組んでみると、航空機関連の鋳造は想像よりも大幅に難易度が高く、改めて勉強の繰り返しですが大変やりがいがあります。
 様々な分野に取り組んでいますが、自社でこれまで取り組んできたことは、一貫していまして、簡単につくることができるモノをたくさんつくることよりも、難しくてもおもしろいモノをつくって、より付加価値の高い分野のモノづくりに積極的に取り組んで行こうというのが我が社の基本的な方向性です。
 



航空機用エンジン部品
 
【航空機用エンジン部品】
インタビュー
御社は、近年、航空機分野へ参入をされて、航空機鋳造部品などを手がける台湾の企業とも合弁会社を設立されるなど、積極的な海外展開を進められておりますが、航空機分野へ参入された経緯や現在の進捗状況などについて、お聞かせ頂けませんでしょうか?
 
説明 駒井社長
 航空機分野への参入については、先代社長の時代、取引先様から参入しないかと誘われていましたが、当時は自社にできる範囲からまずは業績を上げていこうということで、参入には踏み切りませんでした。その後、当社を取り巻く経営環境も変わり航空機需要が今後大きく伸びることが予想される中で、2010年にイギリスのファンボロ-で開催されたエアーショーで世界的に航空機の需要が伸びていることを目の当たりにしたのが参入を決断したきっかけです。驚いたのは、航空機部品に使われている砂型鋳造品が多いということ、そして、そこで使われている鋳造品は、日本のメーカーがほとんど手がけていないということでした。そこで、自社の砂型鋳造技術を上手く活用して、航空機分野へ参入すれば勝機はあると考えました。
 その後、以前より取引先から紹介があった台湾のアビオキャスト社と具体的に交渉を重ね、両社が協力すれば、グローバル企業として成長できると判断し合弁会社設立と言う流れになりました。アビオキャスト社は、航空宇宙産業における特殊工程認証制度(Nadcap)をすべて取得済みで、多くの海外大手企業とも取引があるアルミ精密鋳造・砂型鋳造の航空機部品サプライヤーです。アビオキャスト社とジョイントすることで、両社の弱いところを補いなえることが一番のメリットでしたし、日本の小さな会社が海外でモノを売るのはすごく大変なことです。世界に認知されているアビオキャスト社とジョイントにより、海外企業により近くなりますし、実際に、当社が海外展示会に出展した際に、海外企業から視察要請があったり現在では具体的なビジネスとして始まっています。
 他にも合弁関係を通して海外企業様と取引をすることで、日本の大手企業様からも問い合わせが多くなってきたことが嬉しい誤算です。航空機部品を作ることができる能力があると国内企業様に認知が広がってきており、実際の取引も増えています。
海外展示会 出展ブース  
【海外展示会 出展ブース】  
 当社の体制としては、2009年に航空宇宙産業の品質マネジメント規格であるJIS9100を取得しました。また、Nadcapの認証を取得するため、2012年に航空機事業推進室を社内に立ち上げ、専任3名により、当初苦労はしましたが2014年の12月には、なんとか認証にまでこぎ着けられそうなところです。
 また、最近、アメリカのネバダ州、リノで開催された個人用航空機の展示会に行く機会がありました。アメリカでは、個人所有航空機の登録件数が30万件ぐらいあり、いわゆる自動車の車検のようなレギュレーションがあり、数年ごとに部品の交換義務が発生します。それが、年間で約3万件ぐらいの需要が見込めることがわかりました。航空機でも国内・海外大手メーカーなどとは違う、日本人が知らない領域の航空機ビジネス分野もあるということがわかったのは新たな発見で大変興味を持ちました。
海外展示会  
【海外展示会】  

 ただし海外のビジネスは不安も多く、本当に成り立つのだろうかと思いましたが、実際に海外から試作依頼があり、今では年間単位でまとまった受注するなどしています。現時点では、まだまだ製造できる数に限界がありますが、今後は投資し製造数を増やして、この分野で事業拡大していければと考えています。
 現在、当社全体の売上げの5%程度を航空機分野が占めておりますが、6割がアビオキャスト社向け、今年は国内企業様向けも増加、アメリカ向けの個人用航空機ビジネスもそれなりに売上げを伸ばしてきています。中期的には、航空機分野で、当社売上げ比率の15%を目指していますが、充分達成可能な目標と考えております。
 
 
インタビュー
航空機分野への参入に際しては、JAPANブランド育成支援事業や戦略的基盤技術高度化支援事業(通称:サポイン事業)などを活用されたとお聞きしておりますが、取り組み内容、活用された成果などについて、お聞かせ頂けませんでしょうか?
 
説明 駒井社長
 2011年から3年間、JAPANブランド育成支援事業の活用を通じて、世界の航空機産業のニーズを知ることができたという点でもちろん有益でしたが、それ以上に自社単体ではなく、「石川県内の航空機部品モノづくり企業」の一員として、自社がどのような取り組みをしているのか地域で認知され、その後の支援制度の活用に繋がったという点が、同事業に参加できた一番のメリットであったと感じています。 その後、2012年から3年間で、サポイン事業を活用して、石川県工業試験場、や富山大学などと共同して、航空機部品の高い品質レベルに対応するため、自社の強みである砂型鋳造技術の更なる改良を進めるなど、一体成形化技術の確立に向けて、現在、研究開発を進めているところです。 航空機向け鋳造品のように高い品質レベルが要求される分野での製造技術は、より高度なモノづくりの技術が必要です。例えば一般的な重力鋳造や低圧鋳造による砂型鋳造の場合、溶湯中のガスが凝固途中に分子化してガスピンホール欠陥を形成しやすいのですが、今回開発している砂型差圧鋳造技術では、鋳物中のガスピンホール欠陥の極小化を図ることができるようになり機械的性質を大幅に向上させることが可能で、髙い信頼性や軽量薄肉化に貢献できると思います。 他にも良好な崩壊性を有する鋳型の開発も併せて実施しており、この技術は鋳造の熱で短時間に崩壊される鋳型の開発により、工程の短縮に繋げることができるようにするものです。これらは工程短縮に大変有効な技術であり、今後成功させ活用して行きたいと考えています。

サポイン事業を活用して砂型鋳造技術の更なる改良を進める
【サポイン事業を活用して砂型鋳造技術の更なる改良を進める】
 
インタビュー
最後になりますが、今後の御社の課題、方針をお聞かせください。
 
説明 駒井社長
 まずはNadcapの認証取得が優先課題と考えており、自力で取得できる浸透探傷検査の工程については年内に、また来年には熱処理の認証を取得していく予定です。一方で、人材の確保が難しく、設備費用もかかる放射線試験の認証については、どうすべきか対応が難しいところですがお客様の支援を軸に頑張りたいと思います。
 今後、どの程度ビジネスに繋がるのか不透明な部分もありますが、先を見据えながらも、思い切った投資が必要だと考えています。
 海外販路の確保については、合弁会社のアルテミス社を上手く活用して、海外試作の分野を開拓していきたいと考えています。業績拡大はもちろんですが、当社とアビオキャスト社の技術を活かしつつ日本流のスタイルで成功させたいと思います。
 また、アメリカ向けの個人用航空機ビジネスも是非成功させたい分野です。ただし、制度や契約など、理解できていない部分もあり、今後、慎重に調べながら事業を進めていきたいと思います。個人用航空機向けビジネスをやっている企業には、アメリカ大手企業様向けもやっているところが多く、将来ネットワークが広がることで更なる販路を拡大できればと期待しています 。
 

本日はお忙しいところ、お話をお聞かせ頂き、ありがとうございました。当地域における航空機産業の推進は、当局としても重要な課題として、取り組むべき事項ですので、今後とも積極的な支援・協力をさせて頂きますとともに、更なる海外展開の拡大、Nadcapの取得、新技術の開発等に向けて、御社の今後益々の御発展と皆様の御活躍をお祈り申し上げます。
 
《《《 会 社 概 要 》》》
SP  

  会 社 名 谷田合金株式会社 駒井 公一 社長
駒井 公一    社長
本   社 石川県金沢市東蚊爪町ラ28番地2
事業内容表 アルミ合金・マグネシウム合金の精密鋳造、機械加工
創   業 1962年(昭和37年)
代 表 者 代表取締役社長 駒井 公一
資 本 金 100百万円
従 業 員 85名
U R L http://www.tanida.co.jp/
T E L 076-237-9400
F A X 076-239-2772