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中部発きらり企業紹介 Vol. 54

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株式会社瑞木製作所

株式会社瑞木製作所  
〜 「人材は宝」をモットーに、航空・宇宙などの「夢のあるものづくり」を実践 〜

  今回は、熟練の技術者が持つ匠の技により、機械よりも高精度・高品質な独自金属加工技術を有し、戦略的基盤技術高度化支援事業(通称:サポイン)を活用して難削材の加工技術の更なる向上に取り組み、航空宇宙分野のものづくりを下支えする(株)瑞木製作所の鈴木邦男会長にお話を伺いました。
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株式会社瑞木製作所[本社]
(株)瑞木製作所[本社]
 
(株)瑞木製作所[工場内]
(株)瑞木製作所[工場内]
インタビュー

 はじめに御社の創業の経緯などについてご紹介いただけますか?
 

説明 鈴木会長
 私の父で初代社長である鈴木勇夫が、三菱重工業(株)の航空機を作る軍需工場の一つであった静岡工場の工長をしていました。戦後、静岡で昭和26年に創業したのがルーツです。その後、昭和36年に現在地の尾張旭市へ移転し、株式会社に改組すると共に、かつて勤務していた縁もあり三菱重工業(株)との取引を開始し、戦闘機やヘリコプターの部品加工を中心に行っていました。今期で設立50周年を迎えました。創業当初から航空機部品の機械加工を手がけています。三菱重工業(株)向けの加工部品は、航空機用が圧倒的に多く、その他には宇宙ステーション用やロケット用の部品があります。その割合で8:2くらいです。
 その他の主な取引先としては三菱電機(株)があり、中でも半導体製造装置などに用いる特殊モーター部品関連の割合が高く、この三菱電機(株)との取引が当社の総売上の約50%を占めています。
  また、当社が加工する素材の割合は、昨年度でいうとおよそインコネルが30%、チタンが10%、強度の高いアルミ材が50%、ステンレスが10%となっています。航空機産業では、素材と仕様書が発注元から支給され、当社が加工する形態となっています 。
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高い技術力による加工部品の数々
高い技術力による加工部品の数々
インタビュー

 御社はインコネルやチタンといった、硬くて加工が難しい「難削材」といわれる素材について非常に高い評価を受けていますが、どのような経緯でそのような素材を扱うことになったのでしょうか?

説明 鈴木会長
 昭和50年頃に、航空機産業の育成という国策により、当時の通商産業省から三菱重工業(株)にインコネルという素材が将来航空機や宇宙部門に使われるだろうと提言があり、それを受けて三菱重工業(株)からこの素材の加工について要望がありました。インコネルは、それまで扱ってきた材料・材質に比べて非常に加工が難しく、硬くて粘りがあり、−150℃から+1,300℃に耐えられる耐熱性を有していることから、航空機のエンジン部分に使われる素材として将来が楽しみな、おもしろい素材であることから加工を手がけました。しかし、その切削条件は全く不明で、既存のチップ(工具)では対応が不可能でした。このため、様々な試行錯誤を経て、技能の蓄積に努めました。
 このように、インコネルについて国内では非常に早い段階で扱うことができ、苦労した経験も活かされて、ノウハウが蓄積していきました。その結果、当社は航空機部品の特徴である難削材の加工が得意になり、「難削材なら何でも加工できる」をキャッチフレーズにできるまでになって、今日に至っています。
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サポイン事業で導入した機械
サポイン事業で導入した機械
インタビュー

 「難削材なら何でも加工できる」と言い切ってしまうほどの高い技術レベルを維持することは非常に難しいと思いますが、そのためにどのような取り組みを行っていますか?
 

説明 鈴木会長
 当社のコアとなるのは、難削材の複雑加工・精密加工について非常に高い技術、ノウハウがあるということです。現在は工作機械も発達し、多くの部品はコンピューターによるNC(数値制御)で加工可能となってきていますが、当社には高度なNC旋盤でもできないような薄物加工、型物加工(形状が複雑なもの)を、汎用の工作機械で製作することのできる技術者がいます。NCでは公差1/100mm単位の修正すら難しい部品であっても、当社の技術者は汎用工作機を使ってさらに細かいミクロン単位の修正が可能で、加工に必要な治具・ツールも自社で作製し、お客様が要求するスペックに対応しています。
 このような高い技術レベルの維持・向上や技術の伝承については、社員の質を上げることが重要で、そのための社員教育には特に力を入れています。OJTを中心に、国家試験の技能検定をはじめとする各種試験・認定に挑戦すると共に、週に一回5時から熟練の社員が中心となっての勉強会、月に数回の社外から専門のコンサルティングを招いての全社員教育というものを実施しています。
 また、三菱電機(株)に納めている特殊モーター関連部品は、非常に高い精度が求められる完全なオンリーワン部品ですが、このような難度の高い加工について精度を落とさずに効率良く行うため、年に数回、当社が三菱電機(株)の技術者を20名ほど招いて勉強会を主催しています。そこでは、発注側と加工側の相互で注意すべき図面の見方・考え方や、どういうものがお客様に安く供給できるか、加工の際に気をつけなければならない点などについて議論しています。
 インコネルは自動車をはじめとする一般の産業では加工が難しく、航空機産業独自の素材といえますが、当社でなければ加工できないという素材ではなく、また当社が圧倒的なシェアを誇っているわけでもありません。しかし、当社にはこのような人材育成の効果もあり、優れた技術を持った人材が数多くいますので、同じ仕様書を元に部品を製作するにしても、より高い精度で、かつ、短い工期で納めることができます。
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インタビュー

 下請け側が主催する勉強会に、発注元企業の多数の技術者が参加するということは、それだけ御社の力量が評価されているということですね。御社は平成19年に戦略的基盤技術高度化支援事業の採択も受けられており、その技術に対する信頼と評価は確かなものだと思います。先日、 米国の大手リージョナル航空会社を傘下に置くTSHとMRJの100機購入に関する覚書の締結といったニュースがありましたが、それに関する影響や期待はどのようなものがあるでしょうか ?
 

説明 鈴木会長
 MRJは2年ほど動きが鈍かったですが、多くの企業が期待しているのと同様、当社も早く生産できることに期待しています。当初、MRJは主翼の素材について複合材としていましたが、今回それをアルミ材に変更しました。当社は、主にエンジン周りの部品を扱っていますので、元々さほど影響はありませんでしたが、複合材はコストが高く、フライトまでにクリアしなければならない課題もたくさん出てくるとは思います。次世代の素材として有望であるため、当社としても検討が必要であると思っています。
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2009年度コンテストにて銅賞を獲得した作品
2009年度コンテストにて銅賞を獲得した作品
インタビュー

 御社のように、他の追随を許さない高い技術力という武器があれば、発注元企業をはじめとする関係各社から一目置かれるような存在となり、この不況下でも安定した経営ができるというモデルケースとなりますね。それが地域の中小企業の活性化、イノベーション創出に繋がることを期待しています。最後になりますが、今後の御社の方針をお聞かせいただけないでしょうか?
 

説明 鈴木会長
 日本製の民間機が数年後には世界に飛び立つという夢が実現しつつありますが、そのために社員全員が夢を持って技術ノウハウを日々蓄積し、当社の全ての人材がどんな企業からの発注にも対応できる技術を身につけることが夢です。社員教育は、専門技術の習得にウェイトを置いており、入社して最低10年経たないと一人前にはなれません。図面の読み取り・作図、プログラミング、治具・ツールの作製、部品の加工・測定といった、最初から最後までの工程を一人で行うことが可能なレベルまで指導し、専門分野のスペシャリストとなることを目指しています。
 また、仕事として技術を磨くことだけを目的とせず、「夢のあるものづくりに挑戦する」ということを掲げ、自分たちが習得した技術で何ができるのか、自由な発想で遊びと匠の技を融合した作品を作るということも行っています。例えば、「切削加工ドリームコンテスト」に参加して、ものづくりを楽しみながら技術の向上を図るということを実施しています。今年度のコンテストでは製品部品加工部門で宇宙部品が銅賞を獲得いたしました。
 このほか、半年に一度の割合で、経営者と従業員という立場を取り払い、今後自分がどのように成長したいのか、そのために自主的に何をすべきか、会社へは何を求めるのか、という社員の持つ夢や課題について本音で語り合う機会も作っています。
 当社は人材そのものが宝です。私は、企業は無理に成長する必要はないと思っていて、堅実・健全に社員を大切にし、企業と従業員が一つになって、両者に共益が出るような関係を目指していきたいと思っています。
削加工ドリームコンテスト出展作品 削加工ドリームコンテスト出展作品 削加工ドリームコンテスト出展作品
切削加工ドリームコンテスト出展作品

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本日はお忙しいところ色々とお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。中部地域に集積するものづくりの高い技術力をいかに維持し、さらに向上させていくかについては、当局としても重要な課題です。「夢のあるものづくり」を目指す御社の今後益々の御発展と皆様の御活躍をお祈り申し上げます。
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              《《《 会 社 概 要 》》》
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会 社 名 株式会社瑞木製作所  
鈴木 俊夫 会長
鈴木 邦男 会長
本   社 愛知県尾張旭市大塚町2丁目1番地の3  
創   業 昭和26年10月  
設   立 昭和36年10月  
代 表 者 取締役社長 鈴村 康博  
事業内容

金属加工

 
資 本 金 2100万円  
従 業 員 40名  
U R L http://www.mizuki-ss.co.jp/index.html  
T E L 052-771-8410  
F A X 052-776-0714  
取材:平成 21年0月14日 総務課 情報公開・広報室

 中部経済産業局 総務課 情報公開・広報室

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