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中部発きらり企業紹介 Vol. 52

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今井航空機器工業株式会社

今井航空機器工業株式会社  

〜高度な加工技術のノウハウを武器に下請けから自立したサプライヤーへの転換、
そして航空機業界の産業文化の変革に挑戦〜


  今回は、平成19年に元気な中小企業モノ作り300社に選定され、平成20年には航空宇宙産業フォーラム設立時の記者会見において中小企業の代表として出席して頂く等、当地域の航空機産業の振興にご尽力頂いている今井航空機器工業(株)の今井哲夫社長にお話を伺いました。
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今井航空機器工業株式会社[本社]
今井航空機器工業(本社)
 
今井航空機器工業(東工業)
今井航空機器工業(東工場)
インタビュー

 はじめに御社の創業の経緯などについてご紹介いただけますか?

 
説明 今井社長
 1947年に創業者である今井一郎が自動車部品、機械部品の製造販売を目的として(株)今井製作所を開設しました。航空機を手がけるようになったのが1958年で、川崎重工業(株)のT-33という訓練用の練習機の治工具を扱ったのが始まりです。1976年に(株)今井製作所の航空機部門を今井航空機器工業(株)として分離・独立し、1991年に私が社長に就任して工場の自動化(NC化)に注力いたしました。2000年にISO9001を取得、2003年に航空宇宙分野での認証規格であるJISQ9100(AS9100)を取得しました。また、海外進出としては、2006年にマレーシアに一貫生産工場を設立したことをはじめ、タイ、ベトナムにも事業展開しております。2007年に世界第4位の航空機製造会社であるブラジル企業のエンブラエル社との直接取引を開始し、現在に至っています。主な事業内容としては、航空機用の機械加工部品及び組立品(サブアセンブリ)の製造、また、このような機械加工部品を加工・組み立てするための治工具の設計・製造を行っています。その他、GSE(Ground Support Equipment)という航空機の地上支援器材の設計・製造も行っております。
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インタビュー

 国内大手の航空機メーカーからの下請けという形態がほとんどである航空機産業の中で、世界第4位の海外の航空機メーカーと直接取引を行うに至ったきっかけは何でしょうか?

 
説明 今井社長

 元々、航空機部品の加工・組立を主に川崎重工業(株)の下で行っており、2000年にその川崎重工業(株)経由で、エンブラエル社との接触があったのが始まりです。2007年から直接取引をさせて頂くようになりましたが、現在でも川崎重工業(株)経由の仕事もあります。
受注の内訳としては、現在は防衛需要がほとんど無く、民間需要が約80%で、そのうち直接・間接合わせて約30%がエンブラエル社となっています。
製造工程としては、まずエンブラエル社からは部品モデル(電子データ)をもらい、当社で材料購入→治具の設計・製作→加工NCプログラムの作成→プログラムの事前検証→機械加工→寸法保証(CMM検査)→表面処理・塗装(そこでもし歪みがあればフラップピーニング)→納品という流れになります。ただ、そこには表面処理の仕方、塗装剤の指定など、製品スペックは細かく決められており、受注者が提案する余地はほとんどありませんが、加工方法については自社のノウハウを活用することができます。発注先からはこの加工技術のノウハウについて、評価を頂けたのではないかと思っております。
現在、エンブラエル社から受注している主な製造部位は、翼の背骨にあたるスパー、その前に付くリーディングエッジ、同じく後ろに付くトレーリングエッジ、主翼の中央部に付くリブといった製品で、エンブラエル社製航空機の主翼の構造材の主要部分のほとんどを当社が取り扱っています。航空機部品の加工は、高精度かつ高効率な切削加工技術が求められるため、これらは全て5軸加工機により対応しています。



エンブラエル社から受注している主翼の構造材









 

エンブラエル社から受注している主翼の構造材

受注から納品までの流れ
受注から納品までの流れ
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パリエアーショウの様子(外観)
パリ・エアショーの様子(外観)
 
パリエアーショウの様子(内部風景)
パリ・エアショーの様子(内部風景)
インタビュー

 御社はマシニングセンタの5軸加工機をはじめ、多数の機械を所有しておられますが、設備投資に相当費用がかかるのではないですか?

 
説明 今井社長
 機械・設備への投資もそうですし、いろいろな試験や新技術を試そうとすると、とにかく多額の費用がかかり、自社の費用だけでやろうとしても非常に難しい状況です。その点、平成18年度〜20年度にかけて活用させていただいた戦略的基盤技術高度化支援事業(通称:サポイン)をはじめとする支援施策は本当にありがたいと感じています。この制度は、今後も是非継続していただきたいと思っています。
 また、このような研究開発に係る資金援助の他にも、今回のパリ・エアショーのようなビジネスマッチング機会の提供も非常に有効な企画であると考えています。弊社が今後エンブラエル社以外でも直接取引を広げていきたいと考えたときに、どこに話しを持っていけば良いかが分からないことが課題でした。それに対して、最初の入口として今回のような機会を用意していただき、話すべき相手を見つけることができましたので、あとは商談として進めていくという段階に持っていけたことに大変感謝しています。
  中部経済産業局には、企業育成総合支援室、航空宇宙・バイオ産業振興室をはじめ、今後の海外展開という点から国際交流室にもお世話になると思いますが、よろしくお願いいたします。
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LACマレーシア機械工場
IACマレーシア製造工場
 
LACマレーシア表面処理工場
IACマレーシア表面処理工場
インタビュー

 海外への展開にも積極的に取り組んでいるとお聞きしましたが、その辺りをもう少し教えていただけますか?

 
説明 今井社長
 海外事業所は、IACマレーシア、IACタイ、ADMSベトナムという3カ所を展開しています。 特に、IACマレーシアは航空機の構造部品の製造工場と表面処理工場であり、エンブラエル社の部品を主に加工しています。表面処理工場は、本格稼働は2009年4月からですがエンブラエル社の認定工場となっており、今後の工程拡大を見越してそれに対応可能な設備計画にしてあります。
 マレーシアに工場を展開した理由の一つは、マレーシアは航空機産業の育成に力を入れており、国策として航空機産業の誘致や集積を高めているので取引相手が多数いるという利点があるからです。例えば、政府系企業であるCTRMというコンポジット(複合材)の会社があるのですが、その会社とコラボレーションができるという大きな利点があります。最終的には、エンブラエル社に納品する製品について、日本でしかできない高度で精緻なものや難削材関連、巨大なもの等以外は、全部マレーシアに移したいと考えています 。
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インタビュー

 中部経済産業局としては、地域産業振興の観点から、自動車と並ぶ国際競争力ある産業になる可能性を航空機産業に期待しており、その集積を高めたいと考えていますが、自動車産業関連の企業が航空機産業に参入することについてどのようなお考えをお持ちですか?

 
説明 今井社長
 自動車産業の人たちが、航空機産業にどれくらい魅力を感じるかによると思います。現在の航空機産業の日本での市場規模は、約1兆2,000億円と自動車産業に比べてそんなに大きいわけではありません。
  また、部品点数の多さの影響もあり、要求される事項が非常に多く、かつ、それが簡単にクリアされないことが多いので新規参入は大変だと思います。先ほども申し上げましたが、航空機産業は川下メーカーにより製品スペックは細部にわたり全て決められており、提案の余地はほとんどありません。例えば、自動車業界の感覚で、表面処理について関連のISOを持っているので、それに基づいた処理をやりたいと提案しても受け入れられないだろうし、ある1社と取引できたとしても、他の取引先になると要求スペックが全く違うという状況が航空機産業界にはあります。
  このようなことから、自動車産業の企業が現状の技術や技能及び設備を活かしてそのまま参入するということは難しく、弊社も30年以上かけて、最初は大手がやっていたことが少しずつ下請け企業に移管されてくるに従って、徐々に技術や技能及び機械や設備を整備していったという経緯があります。これを今から航空機産業に参入して一気に揃えようとしても多額の設備投資を覚悟しなければならず、なかなか難しいと思います。

主な製造部品(リブ)
主な製造部品(リブ)
 主な製造部品(スパー)
主な製造部品(スパー)
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インタビュー

 そのようないわば窮屈な業界の中でも、御社のように独自技術を武器に、まずは川下である航空機メーカーとの直接取引に成功し、下請けからの脱却の第一歩を踏み出した例があるということは、今までとは異なる業界の流れを作れるのではないかと期待しております。最後になりますが、今後の御社の方針をお聞かせいただけないでしょうか?
 
説明今井社長
 やはり、まず第一は下請けからの脱却を図りたいと思っています。取り扱う製品の付加価値を高め、部品を完成品として納品できる自立したサプライヤーになりたいと考えています。下請けのままだと自分たちができる範囲が限られてきますが、サプライヤーの地位に立つことができれば直接航空機メーカーと取引ができることがわかりました。
 その次の段階として、川上業者からの提案の余地がほとんどないという航空機業界の風土を、提案が可能となるように変えることができれば、自動車業界のように川上業者の創意工夫が生まれ、様々なノウハウが蓄積し、産業としての活性化・発展も期待できると思いますので、それらを実現できるようにがんばっていきたいと思います。
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本日はお忙しいところ色々とお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。パリ・エアショーの成果をビジネスに結びつけ、サプライヤーの地位が獲得できますように御社の今後益々の御発展と皆様の御活躍をお祈り申し上げます。
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              《《《 会 社 概 要 》》》
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会 社 名 今井航空機器工業株式会社  
今井哲夫 社長
今井哲夫 社長
本   社 岐阜県各務原市金属団地128番地  
創   業 昭和22年5月  
代 表 者 代表取締役社長 今井 哲夫  
事業内容

航空機部品製作・航空機機体組立・航空機整備器材設計製作・航空機生産用治工具設計製作・各種金型治工具の設計製作など

 
資 本 金 9600万円  
従 業 員 304名  
U R L http://www.imaiaero.co.jp/  
T E L 058-389-2011  
F A X 058-383-5001  
取材:平成 21年10日 総務課 情報公開・広報室

 中部経済産業局 総務課 情報公開・広報室

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