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中部発きらり企業紹介 Vol.47

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株式会社古久根
株式会社古久根  
〜“デメリット”を“メリット”に変える鋳物業界では稀な研究開発型鋳物メーカー〜

  今回は、経済産業省から平成20年7月に地域産業資源活用事業計画の認定を受けて、「表面実装機(チップマウンター)の高速・高精度化を支える鋳物製フレームの製造・販売事業」に取り組まれており、IT関連機械・工作機械など鋳物部品や水道用の異形管などの製造販売を行っている株式会社古久根(愛知県碧南市)の古久根靖社長にお話を伺いました。
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インタビュー

 貴社は昭和25年に会社を設立されたとお聞きしておりますが、はじめに会社設立の経緯やこれまでの沿革についてご紹介いただけますか?
 
説明 古久根社長
 愛知県碧南市や西尾市は近くを流れる矢作川の豊富で良質な川砂が、鋳型砂として最適だったことから、日本でも有数の鋳物産業が盛んな土地です。先代社長の私の父は、この地域の特性に目をつけ、農業からモノ作りに興味を持ち、20歳の時に鋳物産業に飛び込んだのが当社の始まりです。創業当初は、織機や木工機械の小部品の鋳造から始めましたが、1970年にはお客様からの要望や何より先代社長のモノ作りに対するチャレンジ精神
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(株)古久根[本社]
(株)古久根[本社]


SP により、鋳物メーカーでは現在でも珍しい加工と組立を行う別会社「コクネ製作(株)」を設立し、木工機械の鋳造から加工・組立までの一貫した生産を行うようになりました。その後、取引先の大手織機メーカーが主力製品を工作機械に転換するのに伴い、当社も工作機械の鋳物製品の鋳造・加工・組立の仕事を受注するようになりました。その後、好景気により大きく躍進しましたが、1990年代から中国の安い鋳物製品に押され一時は受注が減り、経営的にも苦しい時期がありました。しかしそんな折、木工機械や工作機械の鋳造から加工・組立までやってきた当社の一貫生産のノウハウや高度な鋳造技術があの「ソニー」さんの目にとまりました。基板にICチップを置いてプリント基板を製造するチップマウンターを手がけていた「ソニー」さんは、“チップマウンターのフレームをなんとか鋳物で作れないか”と模索されていたところでした。実際に図面を見て、“こんな薄いフレームが鋳物で作れるわけがない”と思いましたが、大変、試行錯誤や苦労した結果、何とか完成することができました。この電子機器の心臓部ともいえる基板のチップマウンターの鋳造を手がけるようになって、当社は更なる展開に取り組んでいるところです。 SP
高精度実装機フレームは最新精密デジタル家電を支える
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鋳造工程での徹底的な温度管理

    鋳造工程での徹底的な温度管理

工場内には電子部品を組み付けるためのクリーンルームが設置 
同一敷地内にあるコクネ製作(株)の工場内には電子部品を組み付けるためのクリーンルームが設置

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インタビュー

 鋳物メーカーが後工程のアッセンブリまで取り組まれるようになったのも驚きましたが、実装機(チップマウンター)の極薄フレームに鋳物で挑戦されたのは、大変ご苦労されたのではないでしょうか?
 
説明 古久根社長
 極薄フレームを鋳物で作れないかという話を持ち込まれたソニーさんは、一体型フレームに従来の製缶溶接品ではなし得ない高い振動吸収性を求めていましたが、見せられた図面には、極薄フレームで構成される複雑な形で、とても鋳物で実現できるわけがないと思いました。鋳物は約1450℃に溶かした溶融金属を鋳型に流し込んで冷やして固めて作りますが、鋳型が複雑だと溶湯が全体に行き渡る前に固まってしまったり、肉厚の部分はゆっくり固まるため縮みやすく、薄肉の部分は冷えるのが早いため反り返りが起きやすいなど非常に難易度が高く、当社のこれまでのノウハウのほかに更なる研究開発が必要となるものでした。 
 しかし、当時の経営状況を打破するとともに、当社にしかできないオンリーワンのモノ作りをしなければならないという挑戦魂に火がつき、開発を進めました。特に配慮したのは、当社は同じ敷地内に別会社の組立工場を持ち、鋳造から加工・組立までの一貫生産のできることが強みですから、鋳造のしやすさだけで鋳造方法を考えるのではなく、後工程の加工のしやすさまで視野に入れて方法を決定したことです。一貫生産を考慮して方法を決定することは全体の効率化にも繋がりますし、安いだけの製品を納めるのと圧倒的な差が生まれます。結果的に、チップマウンターの鋳物フレームの開発成功が、当社の更なる強みになりました。現在では、世界シェア75%を占める日本のチップマウンターメーカーの中のソニーマニュファクチャリングシステムズさん、アイパルスさん、ヤマハ発動機さんなどから信頼をいただき、メーカーさんによっては100%近く当社の製品をご利用いただいています。 また一方社内では、ゲーム機、パソコン、携帯電話、デジタルカメラなどの一般消費者が手にする精密デジタル家電の根幹を支えるチップマウンターフレームを自分の会社が製造しているということで、若い社員のやる気にもつながり、新たな夢や希望も与えています。鋳造メーカーでは珍しく、社員の平均年齢が31歳と非常に
SP 若く、しかも一大自動車産業の集積地域で良い人材の確保ができているのも、これらの従来の鋳物業界の概念を超える企業活動が評価されているのかもしれません。 SP
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インタビュー

 御社では、社員の平均年齢が31歳と非常に若く、鋳物メーカーとしては珍しく女性社員も多く働かれているようですが、現場ではどのような作業をされているのですか?
 
説明 古久根社長
 当社では、現在チップマウンター等のIT関連機械、マシニングセンタ等の工作機械、水道用バルブ・異形管の公共関連部品の鋳造を行っており、鋳造方法として、フラン自硬性鋳造と消失模型鋳造の2種類を行っています。このうち、消失模型鋳造は、成型した発泡スチロールを元型とし、それを乾燥砂などで囲みそこに溶湯を流し込むと、発泡型は消失して鋳物に置き換えられます。この鋳造方法は、発泡型が軽いことや繊細な仕上げが必要
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女性社員が活躍する消失模型鋳造工程

女性社員が活躍する消失模型鋳造工程

SP なことから、女性社員が活躍できる工程が多く、“鋳物は男の職場”という概念を一掃するものです。また、この方法が20年ほど前に海外から導入された際には、鋳物業界でブームを起こしましたが、日本の伝統工法と大きなギャップがあるため、現在では、この方法を続けている企業さんは希少となってしまいました。この技術を後世に伝えるためにも、若い社員が一層技術を磨き、伝承していきたいと考えています。 SP
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経済産業省の支援制度「地域資源活用事業計画」の認定

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インタビュー

 様々な技術やノウハウを有する御社ですが、地域資源を活用した新商品・新サービスの開発・販売を促進するための経済産業省の支援制度を活用して平成20年7月に「地域資源活用事業計画」が認定されましたが、計画の進捗状況は如何でしょうか?
 
説明 古久根社長
 当社及びコクネ製作(株)で取り組む表面実装機(チップマウンター)の高速・高精度化を支える鋳物製フレームの製造・販売事業を認定していただき、大変ありがたく思っています。現在、法認定に基づく支援内容の一つである補助金制度を活用しようと考えています。チップマウンターの鋳物フレームは、現在の状況でも複雑かつ肉薄ですが、この製品に更なる改良を加えることでさらに付加価値を高めることもできると思っています。例えば、製品の重さを一層減量することでお客様のコスト削減にも繋がります。また、あるメーカーさんからは、当社の鋳物フレームには造形美があり、機械のカバーを掛けるのがもったいないとのお言葉もいただいております。仮に、チップマウンターのカバーレスが実現すれば、本体全体のコスト削減のほか、メンテナンスのしやすさ、機器の空冷効果にも繋がると聞いています。
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インタビュー

 当局としましても、経済産業省の支援制度を有効に活用していただき御社の更なる発展に貢献できれば大変うれしく思います。最後になりますが、今後の御社の方針についてお聞かせいただけないでしょうか?
 
説明 古久根社長
 当社がチップマウンター鋳物フレーム製造に挑戦しはじめて間もない頃、お客様から「1600kgの鋳物フレームを300kg減量させたい」というご要望が入りました。しかも、「減量してもフレームの剛性や振動吸収性は落としたくない」という、常識では相矛盾する内容。もともと薄肉の鋳物フレームから、約20%もの減量というのは至難の業でしたし、1kgあたりいくらという相場で決められる鋳物を軽くするというのは、それだけ単価は安くなり、当社には何の
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5面加工機によるフレーム表面加工にも

5面加工機によるフレーム表面加工にも
高い技術とノウハウが必要[コクネ製作(株)]


SP メリットもないと思われました。でも、今までと同じことをやっていたのでは先はないと思っていました。目先の利益にとらわれず、お客様を信頼し「より良いものづくり」を目指して、社員一丸となって難題に取り組みました。思えばそれが、飛躍的な技術力向上を生みだし、差別化を計ることにつながり、今の当社の強みとなっていると思います。時間はかかりましたが、お客様のご協力もあって、ほぼ100%ご要望に応えることができました。当初はデメリットと思えたことが、後には最大のメリットになったわけです。あの経験が、当社の自信となりました。
  当社のコア技術は若くパワーあふれる鋳造ですが、業界では珍しく、仕上げ加工から組立までを行うグループ会社「コクネ製作株式会社」があり、一貫生産体制が構築されています。次工程がすぐ先にあり、いつも見えているというのは、色々な意味で強みになっていると思います。
  現在の経済情勢は大変厳しく、当社もその影響を大きく受けて大変に苦しい状況ですが、こんな時こそ、強みを活かし、ムダを取りつつ、「次工程はお客様」精神をもっと根付かせたいと思います。経験を活かし、今はデメリットと思える様なことにも、あえて挑戦して行きたいと思います。具体的に新たな技術開発にも取り組みはじめました。厳しい状況下での様々な挑戦は、本当に苦しいですが、それが必ず将来の当社の強みになっていると思いますし、その強みは間違いなくお客様にも喜んでいただけることと信じています。
  お客様には「下請け」から「パートナー」と呼んでいただける様にもなりました。益々お客様のご期待に応えつつ、日本のモノ作りの基盤をささえていきたいと願っています。
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本日はお忙しいところ色々とお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
御社の今後益々の御発展と皆様の御活躍をお祈り申し上げます。
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              《《《 会 社 概 要 》》》
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会 社 名 株式会社古久根  
古久根 靖 社長
古久根 靖 社長
本   社 愛知県碧南市須磨町1-22  
設   立 昭和25年12月  
代 表 者 代表取締役社長 古久根 靖  
事業内容

IT関連機械・工作機械・公共用水道管など、鋳物部品の製造販売

 
資 本 金 9110万円  
従 業 員 57名(グループ全体:103名)  
U R L http://www.kokune.net/index.html  

T E L

0566-41-0530  
F A X 0566-48-2611  
取材:平成21年2月日 総務課 情報公開・広報室


 中部経済産業局 総務課 情報公開・広報室

〒460-8510 愛知県名古屋市中区三の丸2-5-2

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