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中部発きらり企業紹介 Vol. 60

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瀬戸製土株式会社
  ネットワークを駆使し、環境対応型新素材の開発で、資源循環型社会の構築に貢献  


 今回は、 環境負荷を意識した取組みを従来から行い、時代のニーズに則した新たな製品開発を成功させるとともに、平成19年度に「陶器より軽量で丈夫な環境に優しく処分しやすいバイオマスを用いた骨壷等の製造販売事業」をテーマに異分野連携新事業分野開拓計画(新連携計画)の認定を、平成21年度には中小企業庁の「元気なモノ作り中小企業300社」に選ばれるなど、陶磁器産地の伝統的技術や資源を活用した新しい窯業原料を開発し、地場産業のCO2削減や安心・安全社会の構築に貢献する瀬戸製土(株)の谷口良治郎会長にお話を伺いました。
瀬戸製土株式会社 [本社]
瀬戸製土株式会社 [本社]
インタビュー
 はじめに御社の設立の経緯などについてご紹介頂けますか?
 
説明 谷口会長
 昭和26年6月に、この辺りで明治時代からの総合的な窯元であった陶玉園五助製陶所が廃業する際に、それまで活用していた設備等を受け継ぎ、分家する形で私の父親である谷口国之が創業しました。当時は高度成長期に入る直前で、原料となる大量の製土が必要になり、それに伴い事業拡大を行っていきました。また、本家の取引関係を引き継いだことは大きな財産となっています。
 当社の主な売上構成としては、約60%が(株)ノリタケカンパニーリミテド関連の商品です。陶磁器用の材料の他、特殊な技術を要する工業用素材の生産加工までを手がけています。次いで約30%がアルミニウム鋳造会社向けの耐火物です。この製品の成型・加工のため、当社工場内には土木工事の現場のようなところもあります。
  当社は、製土業ですが原料となる粘土だけを扱っている訳ではなく、その加工まで手がけています。大手企業との技術提携をしながら、ガラスメーカーと共同で特許を取得した軽量磁器の開発をはじめ、東亞合成(株)が開発した銀系の抗菌剤を活用し、地元産出のけい砂100%を使用して独自開発した抗菌砂「砂(さぁ)、あそぼ」など、暮らしの安心・安全の観点から様々な苦労をしながらも研究開発型企業として商品開発を行っています。
SP
インタビュー
 御社は、新商品の研究開発に意欲的に取り組んでおられますが、その中でも環境負荷に配慮したバイオマス素材「アイコーン」は、それで作られた食器が平成17年の「愛・地球博」の際に会場内の飲食店で、また平成21年の洞爺湖サミットの際にプレスセンターで利用されたなど、高い評価を受けています。この「アイコーン」の特徴や開発のきっかけなどをお聞かせ頂けないでしょうか?
 
説明 谷口会長
 バイオマス素材「アイコーン」は、植物由来樹脂「ポリ乳酸」(構成比:約30〜40%)、海洋性無機質バイオマス「貝殻」(構成比:約30%)、天然無機質「カオリン」の3種の天然物由来成分を複合化して製造されおり、軽量で丈夫な上、耐熱性も備え電子レンジや食器洗浄機にも対応 できます。最終的には土に還りますが、リサイクルも可能です。製品の製造過程(窯業技法)で排出される温室効果ガスを80%削減できる環境対応型の新素材です。特徴としては、従来の窯業技法による成型はもちろん、射出成型も応用可能です。
 開発経緯としては日頃から地球環境について常に問題意識を持っており、平成4年頃、トウモロコシを使った植物性樹脂ができるという記事に興味を持ち、いろいろ勉強していました。生分解性樹脂について詳しい企業を紹介して頂き、そこから生分解性樹脂の供給を受けながら様々な実験を積み重ね、10年を掛け製品化に至ることができました。
  その過程では、バイオマス素材として認められるためのバイオマス度が65%以上という条件をクリアするために植物由来原料であるポリ乳酸と粘土で構成しようとしたところ、比重が軽くなってしまい製品の成型が難しくなってしまいました。そこで、バイオマスということから最初は植物由来を考えていたのですが、生物由来でも良いのではないかと考えた結果、貝殻を活用するアイデアを思いつき、農林水産省に確認したところバイオマスとして認められるとの回答を頂きました。さらに貝殻の選定などを経て、「アイコーン」の開発に成功することができました。貝殻については、ほとんどが利用されずに産業廃棄物として処理をされてしまうので、それを有効活用 できることも環境面からのメリットの一つです。
 
「アイコーン」製品の一部、愛地球博へも提供された。
                                            「アイコーン」製品の一部、「愛・地球博」 や
                                        洞爺湖サミットの際にも利用された
SP
新連携事業によるエコ骨壺(上)
新連携事業によるエコ骨壺(上)
と漆装飾の骨壺(下2つ)
 
独自技術で抗菌効果をほどこした砂
  独自技術で抗菌効果をほどこした砂
(暮らしの安心・安全に貢献)
インタビュー
 御社のように、伝統産業の中におられるにもかかわらず、「アイコーン」をはじめとしたCO2削減、安心・安全社会の構築といった時代のニーズに対応した独自の新商品を生み出す取り組みには、当局も微力ながら支援していきたいと思います。
 
説明 谷口会長
 中部経済産業局には、平成19年の新連携計画の認定の際にはいろいろ相談に乗って頂き感謝しています。この支援の下、異業種の他企業2社と連携した事業体「アイキューブコラボレーション」が発足し、各社の専門性を活かして「アイコーン」製品の開発、販売に力を入れています。新連携計画に認定に認定されることにより生まれた「アイコーン」を活用した土に還る骨壺は環境問題へ関心の高まりを受け、少しずつ売上げを伸ばしてきており、将来的にはかなりのシェアを見込めると思っています。
 また、当社はおかげさまで「元気なモノ作り中小企業300社」にも選定頂きましたし、平成21年度末には東海地域産業クラスター成果事例集「挑戦への道標〜新たな時代を切り拓く88社の軌跡〜」にも掲載して頂きました。インターネットを通じて、これらの記事から当社へ商品の問い合わせが来ることも多々あり、結果として営業活動に関する負担が軽減されます。
 やきもの産業は多エネルギー消費産業ですので、従来よりも200℃ほど低い1,040〜1,100℃の低温で焼ける磁器粘土を開発しました。この製品を使うと、一般の磁器よりも焼成の際のエネルギー消費量が30〜35%ほど少なくて済み、強度も一般の陶磁器の60〜80メガパスカルを上回る90〜120メガパスカルと高い強度を実現する事ができました。また、低温で焼成するため顔料がうわぐすりに溶け出さず、発色が多様で非常に鮮やかになり、新たな商品開発に繋がると思います。窯の内部で50℃ほどの温度幅(通常、ガス窯の内部は30℃ほどの温度幅ができる)が発生しても適応できるため大量生産がしやすいという特徴も出ました。
  独自のノウハウは成分の配合ですが、これが当社の目指すオンリーワン技術です。早速、有田や京都の窯元からの引き合いがありますが、特殊な原料が含まれていますので、多少コストが高めです。さらに改良を加え、この点の改善にすでに着手をしています。
SP
インタビュー
 近年、地場産業は海外からの安価な製品の大量流入により苦戦を強いられていますが、その荒波に飲み込まれないように時代の変化とともに進化し続け、時代のニーズに合ったモノ作りをしていくための積極的な戦略は非常に重要だと思います。 最後になりますが、今後の御社の方針をお聞かせ頂けないでしょうか?
 
説明 谷口会長
 業界を取り巻く厳しい状況の中で会社の体力を強化するために、流通の際の中間マージンを省くことはできないかと考えており、今後はできる限り最終ユーザーに近い川下のところで商品展開を行っていきたいと考えています。そのためには商品のデザイン力や生産力が課題になりますので、今後はそれらを強化していきたいと思っています。特にデザイン戦略は重要だと考えていまして、例えば「アイコーン」の例で、知り合いのヨーロッパのデザイナーから、商品は良いものかもしれないがこのパッケージデザインでは魅力が足りないと指摘されたことがあります。 そのため、この「アイコーン」という商品を活用して何か作品をつくり、そのできた作品をPRすることで「アイコーン」自体のイメージを高めるという方法も検討しているところです。
 また、大手企業と正面から競争するのは大変なので、いかにニッチな部分で画期的な商品を開発できるかを考えています。そのために、国の支援施策の活用も検討しており、具体的には戦略的基盤技術高度化支援事業(通称:サポイン)の申請も考えています。従来の陶磁器・食器という分野だけでは厳しさもあるので、家電や自動車など他産業へ進出し、スポット的な需要だけでなく、安定的な販売が見込めるように展開していきたいと思います。それには製品の強度、耐久性、熱伝導性など様々な項目をクリアしていく必要があります。これはサポインの採択がされなくても、当社として取り組んでいかなければならない課題だと考えていますが、採択されれば、その事業の中で出口である販売ルートまでを見据える事ができますので、力を入れて取り組みたいと思っています。
  中部経済産業局の存在は、自社だけでは解決できない課題に直面したときに、相談に乗って頂いたり、アドバイスを頂いたりすることで、問題解決のための糸口をつかむ事ができることができるので、非常にありがたく思っています

アイコーン樹脂を使用した食器類
                                                     アイコーン樹脂を使用した食器類

SP

本日はお忙しいところ色々とお話をお聞かせ頂き、ありがとうございました。御社は当局だけでなく、大学の教授や公的研究機関、他の企業など幅広いネットワークをお持ちですが、自社だけで解決できない課題に直面した際に様々な視点からの相談窓口を持っていることは非常に強みになると思います。厳しい業界状況の中、環境対応型の新素材を武器に躍進を目指す御社の今後益々の御発展と皆様の御活躍をお祈り申し上げます。
SP
 
              《《《 会 社 概 要 》》》
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会 社 名 瀬戸製土株式会社  
谷口 良治郎 社長
谷口 良治郎 会長
本   社 愛知県瀬戸市孫田町49番地  
設   立 昭和 26年6月  
代 表 者 代表取締役 会長  谷口 良治郎  
事業内容

陶磁器用原料の製造・販売、ホビー用粘土の製造・販売、日用品雑貨の企画・製造・販売

 
資 本 金 1,000万円  
従 業 員 20名  
U R L http://www.i3-cube.jp/index.html  
T E L 0561-82-3706  
F A X 0561-83-8825  
取材:平成 22年12日 総務課 情報公開・広報室


 中部経済産業局 総務課 情報公開・広報室

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