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中部発きらり企業紹介 Vol. 65

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  株式会社北陸精機 株式会社北陸精機
  「水」の力をエネルギーに変換、クリーンエネルギーの活用により低炭素社会の実現に貢献  


 今回は、 平成21年度に「地域分散型エネルギーシステム導入に資する高効率小型水力発電装置の試作開発」をテーマにものづくり中小企業製品開発等支援補助金(試作開発等支援事業)[通称:ものづくり補助金]に採択され、「水」という地域資源を有効活用したCO2排出ゼロの発電装置の研究開発に取り組み、クリーンエネルギーの開発による低炭素社会への貢献に意欲的に取り組んでおられる(株)北陸精機の谷口貞夫会長にお話を伺いました。
(株)北陸精機[正面玄関]
(株)北陸精機[技術開発研究センター]
 
(株)北陸精機[技術開発研究センター]
(株)北陸精機[正面玄関]
インタビュー
 はじめに御社の設立の経緯などについてご紹介頂けますか。
 
説明 谷口会長
 私は元々この富山県で木の加工・細工を行っていたのですが、今後のモノ作りは鉄工所が中心となる時代に移っていくだろうという判断の下、昭和34年に谷口鉄銅として個人創業し、機械加工を手がけるようになったのが当社のルーツです。最初は機械の部品加工から始め、徐々にそれを組み合わせたパーツ品の加工・組立てと機械加工に関わる業務を広げていき、昭和46年の(株)北陸精機への改組、昭和53年の現在地への本社工場移転を経ながら、設備機械・装置一式の製造及びそれらのメンテナンスなどを総合的に扱うようになりました。
 現在、取引先としては複数の会社と均等にバランス良く取引させて頂いていており、特定の会社に偏らないようにしています。また、当社が扱う製品の約80%はお客様の生産設備となる機械・装置で、それらは基本的にお客様からの要望によるフルオーダーメイド製品や共同開発するようなものが主となりますので、まだ世の中に存在しないオンリーワン製品を多く扱うことになります。お客様の経営活動に大きな影響を及ぼす生産設備を扱うということと、当社の製品のうち全体の約7割のものがお客様を通じて海外工場で使用されていることから、品質の良いものを作るということが非常に重要なポイントになります。生産設備となる機械・装置は大きなものになりがちですが、そのようなものでも当社の工場内で一度組み立て、試運転をするなど、厳しい品質管理を行うための品質保証室や測定機、優秀な人材を揃えています。
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インタビュー
 生産設備のような大掛かりで一点ものという性格を持ち、かつ、高品質を求められる製品を扱うにあたっては様々な難しい点があると思いますが、それらの課題をクリアし、ユーザーの要望に的確に応えるためにどのような取組をされているのでしょうか?
 
説明 谷口会長
 当社の製品の多くは生産設備であるが故に、その品質や対応の良し悪しがお客様の生産効率、コスト、製品の精度に直結します。従って、その納入や改造、メンテナンス等の際には迅速な対応を行う必要がありますし、お客様の急な発注についても的確に対応する必要がありますが、当社には今までに蓄積された高度な技術と独自のノウハウが有り、各作業の工程も社内で内製化しているため外注の必要がないので、高品質は当然のこと、他社よりもコストを抑え、リードタイムの短縮も図ることができます。最近は大手企業でも現場に何十人と技術者がいるところは少なくなってきているようで、当社のように中小企業であるが故に柔軟な対応が可能で、小回りも効くというような存在は喜ばれていると思っています。
 技術やノウハウの維持・継承については、現在の厳しい競争環境の中で勝ち残っていくために、一人前のプロとしての技術と意識が両立するような人材育成を行っています。基本的にはOJTで若手は熟練者の指導の下で必要な技術・ノウハウを習得していき、一人3役をこなせるような多能工を育成することで、お客様からの多様な要望にも 会社全体で対応できる高度な技術集団であるようにしています。特に難しいのはオンリーワン製品のため手作り的な部分が多いことで、その作製には高い技術力が求められるのは当然なのですが、お客様が何を求めているのかということを的確に把握し、それを製品に反映させていくということが重要になります。そこでは技術だけでなく、高い分析能力やプランニング能力といった資質も求められます。
大がかりな生産設備を扱う
大がかりな生産設備を扱う

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実証実験を継続中
実証実験を継続中
 
小型水力発電装置「パワーアルキメデス
小型水力発電装置「パワーアルキメデス」
インタビュー
 御社が扱う製品は、取引先からすると自社の製品をつくるための機械・装置であり、かつ、取引されている業種も多岐にわたっているので、地域のモノ作り企業の下支えをしているとも言えるのではないでしょうか。 御社はものづくり補助金を活用して高効率な小型の水力発電装置の開発にも取り組んでおられますが、それにはどのような経緯があったのでしょうか?
 
説明 谷口会長
 5年ほど前から感じていた、お客様からの様々な要望に応え、満足いただけるオーダーメイド製品を供給していくことも重要ですが、それだけではなく、当社独自の製品を開発し、自らが発信していくような商品の確立というのも今後は重要になるのではないかという考えと、富山県は水が豊富で農業用水の水路も数多くあり、当社の敷地の裏手にも水路があるのですが、その水流エネルギーを何とか活用できないかと常々思っていたことが結びつき、小型の水力発電装置の開発という発想に至りました。
 当社単独で開発に着手し、5年ほど様々な検討・研究を行い、ある程度今後の展望が見えてきたときにちょうどタイミング良くものづくり補助金の公募があり、採択頂くことができました。この補助制度を活用することで、実験のための機械装置の整備や支援機関との連携、試作品の作製などを行うことができました。
 研究の中で特に苦労したのは、水流が低流量・低落差の条件下でもいかに効率良く発電させるかということで、そのため実験段階において新型水車の羽(プロペラ)の形状について60種類以上の試作を行い、検証を重ねました。発電効率については現段階でも実用レベルを達成し、製品化できています(商品名:パワーアルキメデス)が、今後はいかにコストダウンを図るかが重要な課題で、本年度中に現時点の半分以下にまでにコストを抑えることを目標としています。従来の他社の小型水力発電装置は投入コストの回収に18−20年が必要という高価なもので、現時点の「パワーアルキメデス」でもコスト回収は10年で行えますが、それを5−6年でコスト回収ができるようなレベルまで価格を下げて提供できるよう取り組んでいます。また、「パワーアルキメデス」は設置が安価で簡単にでき、メンテナンスフリーでゴミに強いこともメリットの一つです。
 「パワーアルキメデス」の研究は、日本の水力発電における専門家からも技術的に重要視して頂き、認められたという点に価値があると思っています。今までは国内での小規模水力発電装置というのはその発電効率から商品化されるものが少なく、海外製品を輸入するという状況が主流でしたが、今回、当社はそれを商品化できるレベルに持って行くことができましたので、今後国際競争ができる商品・材料が一つできたと思っています。
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産学官連携による共同研究を実施
産学官連携による共同研究を実施
インタビュー
 富山県立大学及び石川県立大学と連携して共同で研究開発をされていますが、そのきっかけはどのようなものなのでしょうか?
 
説明 谷口会長
 4年ほど前に富山県立大学から、水利権を含めた今後の規制緩和を見据えて小型の水力発電装置の開発について希望者を募る呼びかけがあったことが始まりです。当初は68社ほどの企業が参加していましたが、その開発について技術的な問題やコスト的な負担などの点で費用対効果が合わないという判断から徐々に参加企業が減っていき、最終的に残ったのは当社だけになりました。先ほども申しましたように、当社は日常業務としてまだ世に出ていないという製品を手がけており、そのようなものを扱うにあたって必要な設備、体制、スタッフが揃っていたことと、蓄積されたノウハウがあるという自信から、この研究は最終的に採算がとれるという判断を行い、チャレンジを続けました。
SP
インタビュー
 生産設備というユーザーにとって非常に重要な機械・装置について要望に応える高品質なオーダーメイド製品を作り出すということだけでも御社のすごさを感じますが、それに留まらず、自社製品を開発することで攻めのビジネス展開にも挑戦されている御社の姿勢は素晴らしいと思います。最後になりますが、今後の御社の方針をお聞かせ頂けないでしょうか?
 
説明 谷口会長
 「パワーアルキメデス」はまだ実用化できてから日が浅く、この4月から販売開始したばかりですので当社の総売上の中に占める割合は微々たるものですが、まずはその比率として10−30%ほどを構成できるようにしていきたいと思っています。
 また、「パワーアルキメデス」は農業用水路での利用を想定していますので、水路の利用にあたっては水利権の確保が必要となりますが、水は公共の資源であるという性格から一般企業が新たに水利権を取得するのはなかなか難しいのが現状です。しかし、日本全体として自然エネルギーの利用や環境問題への対応、CO2削減を考慮していく中で、今後は水利権の使用許可について 、一般企業でも申請が可能で条件に合致していれば認めるという方向にして頂くよう関係省庁などに呼びかけを行っていきたいと思っています。これからEV時代の到来が予想される中で、「パワーアルキメデス」による電力をその充電に活用するなども用途として想定していますので、最終的には個人宅でもEVの充電のために「水」というクリーンエネルギーを活用できるような体制にして頂きたいと思っています。
 低炭素社会の実現を目指すにあたり、クリーンエネルギーをいかに有効活用していくかということは非常に重要な課題であり、化石燃料だけに依存しない体制を整えていく必要があると思います。その中で、当社は社会に受け入れられる商品を開発し、発展していきたいと思っています。

地域用水による水力発電の効果
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本日はお忙しいところ色々とお話をお聞かせ頂き、ありがとうございました。低炭素社会の実現は、経済産業省としても取り組むべき重要な課題の一つなので、クリーンエネルギーの開発に尽力されている御社の取組には当局も微力ながら支援していきたいと思います。御社の今後益々の御発展と皆様の御活躍をお祈り申し上げます。
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              《《《 会 社 概 要 》》》
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会 社 名 株式会社北陸精機  
谷口 貞夫 会長
谷口 貞夫 会長
本   社 富山県魚津市道坂 103番地  
創   業 昭和34年4月  
設   立      昭和46年8月  
代 表 者 代表取締役会長 谷口 貞 夫  
事業内容

産業用機械装置の製造・販売

 
資 本 金 4,800万円  
従 業 員 100名  
U R L http://www.s-hokuriku.com/  
T E L 0765-32-8231  
F A X 0765-32-8963  
取材:平成 22年日 総務課 情報公開・広報室


 中部経済産業局 総務課 情報公開・広報室

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