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中部発きらり企業紹介 Vol. 63

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吉田司株式会社
  より良い健康社会へのイノベーションを実践、社員全員で豊かな「健康社会」への貢献に取り組む  


 今回は、 平成20年度に「メディカルマーケットに向けた機能性サポーターの製造と販路拡大」をテーマに地域産業資源活用事業計画の認定を受け、メディカルマーケットの健康志向・高機能志向に対応した商品づくりと販路拡大に取り組むとともに、平成22年度に「エネルギー吸収プラスチック材料を内包した耐衝撃立体繊維構造体による新規人体保護用具の開発」をテーマに採択された戦略的基盤技術高度化支援事業(通称:サポイン事業)も活用しながら、一人ひとりが安心して楽しく過ごせる「健康社会」への貢献に意欲的に取り組んでおられる吉田司(株)の吉田忠司社長にお話を伺いました。
[本社]
吉田司(株)[本社第1工場]
 

吉田司(株)[研究開発センター]
インタビュー
 はじめに御社の設立の経緯などについてご紹介頂けますか?
 
説明 吉田社長
 かほく市は元々繊維産業が盛んでしたが、当社のスタートは、私の祖父である吉田又司が昭和11年に地元メーカー製の織機を入手したことをきっかけに、石川県内でいち早くサスペンダーなどに用いる幅広のゴム入り細幅織物の製造を始めたことにさかのぼります。創業から今年で75年目を迎えます。戦時中は休業を余儀なくされましたが、昭和23年に生産を再開したところ、ゴム入り細幅織物はその伸縮性から下着類のひもやベルトなどへの利用を中心として日本全体で需要が急増し、この地域の基幹産業に成長しました。
 昭和28年に私の父で2代目社長の吉田定司が外国製のスポーツサポーターを販売していた東京の商社であるDM商会と取引を持った際に、それまでに培っていたゴム入り細幅織物の伸縮性に係るノウハウをスポーツ・健康産業の商品であるサポーターに活用できないかという発想から、DM商会と提携して初の国産スポーツ用サポーターの製造を手がけたことにより、サポーターの製造に特化するようになりました。このスポーツ用サポーターは、昭和39年の東京オリンピックを契機にスポーツ人気が高まったこともあって順調に売上を伸ばすことができ、昭和42年の吉田司株式会社の設立につながりました。昭和40年代に入った頃には、一方向だけではなく、縦にも横にも伸びることでより高いフィット感や機能性を持ったサポーターが求められたので、ウールを素材として用いた、織物ではなく編み物(ニット)の製法で作られたサポーターも開発しました。これは国際羊毛事務局(IWS)の基準をクリアし、当時国内初のウールマーク認定を受けたサポーターとなり、今でも当社の超ロングラン商品となっています。
 その後、私が社長に就任し、平成になってから、一枚のサポーターの中でも部分によって圧力と伸び率が自由に調節できる「部分着用圧力製法」を開発し、特許も取得しました。この新たな製法技術により、人体各部位の形状に沿った形態保持と筋肉の収縮に追従する伸縮特性を兼ね備えたフィット感の高いスポーツ用サポーターを商品化することができました。
 主な取引先としては、スポーツ分野でサポーターを扱っているメジャー企業とはほとんど取引をしています。また、メディカル分野(病院、ドラッグストア向け)でもメジャーなドラッグストアなどへ商品を供給しています。売上構成としては、スポーツ分野が約6割、メディカル分野が約2割、健康・ウェルネス分野が約2割となっています。当社の生産額ベースでの国内シェアは、スポーツ用サポーターで約60%(国内トップ)、機能性サポーター全体では約20%を誇っていますが、製造する商品の約95%がOEMですので、当社の名前は一般のお客様からの認知度は高くありません。この事実については、今後の事業構想を踏まえ、当社の独自性を出していくための取組 もスタートさせています 。
SP
インタビュー
 その新たな取組として、御社は、高齢化社会の到来と健康意識の高まりを背景に、今後幅広いニーズが見込まれるメディカルマーケットへの展開に意欲的です。その中で、新たな製品開発や自社ブランドの立ち上げもされており、その過程では経済産業省の施策を活用されたものもあるとお聞きしていますが、その取組について教えていただけますか? 
 
説明 吉田社長
 地域産業資源活用事業計画の認定事業は、当社の独自製法である部分着用圧力製法と、マイナスイオン効果と遠赤外線効果を持つ医科学的機能素材IOCA-C21を組み合わせ、人体への高いフィット感と血流改善効果を併せ持つ医療機器仕様の機能性サポーターの開発と販路開拓を目指すものです。
 この認定に伴い、自社ブランドとして「Tu’casa(カーサ)」を立ち上げ、商標登録も完了し、おかげさまで様々なところからの反響もあります。このブランド名には、当社は小さいながらもサポーターについては日本で最初に生産に携わっており、サポーターに関してはどこにも負けないというパイオニアとしての誇りと、サポーターに関する情報の発信基地になるという思いが込められています。また、casaはイタリア語で「家」という意味ですが、当社が世界中の人々にとって、健康・友愛・平和・笑顔が集う地球家族の家のような存在でありたいという願いも込められています。お客様はサポーターに効果・効能を求めますが、現在の市場はスポーツ用品専門店から100円ショップまで同じようなパッケージ、同じような売り文句でピンからキリまでの商品が販売 されており、どの程度の仕様の商品が十分な機能を備えているのかが分かりづらいという状況です。その中で、Tu’casaの商品ならば安心して満足のいく効果・効能が得られると考えて頂けるようなブランド展開をすることで、健康社会に貢献していきたいと考えています。
 また、特に高齢者は、転倒により怪我を負う場合に骨折の割合が高いということと、骨折がそのまま寝たきりや重症化につながりやすいという現状があり、そのケアが重要視されています。
サポイン事業の内容は、そのような状況の中でも高齢者が生活の質を低下させることなく、元気で有意義なセカンドライフを送って頂くため、怪我の予防のための人体保護用具を開発することを目的としています。現在商品化されている人体保護用具は、転倒時の衝撃吸収性を重視するあまり非常に厚みがあり、装着時に違和感を伴うものとなっていますので、衝撃吸収性を確保しながらも薄く、高いフィット感が実現できるように、デザイン性も含めて研究し、快適で安全・安心な新しい製品の開発に取り組んでいます。
 私は、中小企業が発展していくには、独自性を発揮し、新たな製品開発や商品展開をしていくことが重要だと考えています。そして、それを行うにあたっては、産学官が一体となって連携することが非常に有益であると考えていますが、ここ10年ほどでそれが非常にやりやすくなったと感じています。例えば、あるアイデアについて大学に相談しようと考えたとき、最近は大学に企業との接点となる相談窓口が整備されていますし、コーディネーターも有効に機能していると思います。この背景には、中小企業や大学の意識の変化もあるでしょうが、国をはじめとする行政機関の働きかけの影響が大きいと考えており、非常にありがたく思っています 。

着用圧力製法

サポーター製造の歴史

SP
血流改善型サポーター
血流改善型サポーター
 
自社ブランド「Tu’casa(カーサ)」
自社ブランド「Tu’casa(カーサ)」
インタビュー
 当局も、中小企業が成長し、発展していくことは、地域経済の活性化につながる非常に重要なことだと考えていますので、今後も産学官連携の推進など、地域の中小企業の皆様を少しでも支援できるようにしっかり取り組んでいきたいと思います。
 御社は、スポーツ用サポーターの分野について国内トップのシェアを持ちながらもそれだけに留まらず、メディカル分野、健康・ウェルネス分野といった異なる分野へも積極的に展開されていますが、そのような活力の源泉となっている背景や、御社の強み・コア技術というものはどのようなことでしょうか?
 
説明 吉田社長
 当社は、創業時から「健康社会を担う」というものをテーマに掲げており、常に「健康」に何が求められているのかを考え、人間にとってより優しい製品を提供することが使命だと思っています。メディカルマーケットについては、今後より一層積極的に事業展開をしていこうと考えていますが、医療用サポーターの開発自体は30年ほど前に着手しており、そのきっかけとなったのは私の姪が負った重い火傷です。その回復を見守る中で、ドイツで使われている皮膚の血流を促進するサポーターが火傷に効果があることを知り、すぐにそのサポーターを製造する機械を購入し、自社特製のサポーターを作製して姪の治療に用いたところ、火傷は跡形もなく完治しました。その際に、「サポーターで人の命や健康を救うことができる」と感動するとともに確信したことが、メディカル分野への取組の原点となっています。その後、昭和57年に研究開発センターを設立し、医療や健康に役立つサポーターの開発を本格化させました。
 当社の強みは、製品の企画〜製品〜出荷まで一貫した生産体制があることと、サポーターづくりに着手したときから続く地元関係企業との強い絆による協力関係から、製品の製造に係るすべてを石川県内で行うことでき、幅広いニーズに即応できる高品質な製品づくりが可能なことです。ここには、70年以上の歴史の中で培われた技術とノウハウが惜しみなく注ぎ込まれており、他社には真似ができない当社の財産だと考えておりますので、今後も一貫生産体制による製品づくりにこだわり、さらに質の高いもの目指していきたいと思っています。
 また、特許を取得した「部分着用圧力製法」をはじめとした、サポーターが人の筋肉に対し高機能かつ違和感がないような最適なサポートを実現するための圧力及び伸び率のコントロール技術については、そのノウハウを社内でしっかり蓄積・伝承するために、社内でのOJTはもちろん、技術チームの発足や、会社内外の人間が講師となる編み立て・縫製などの各工程別の研修など、社員の教育訓練にも非常に力を入れています。
SP
創業当時のサポーター製造機械
創業当時のサポーター製造機械
インタビュー
 健康で豊かな生活を送るということは人間の本来的な願望であり、その健康と快適な生活をサポートするため日々研究を重ね、「健康社会」への貢献を目指す御社の取り組みは非常にすばらしいと思います。最後になりますが、今後の御社 の方針をお聞かせ頂けないでしょうか?
 
説明 吉田社長
 サポーターについて、当社にしかない独自の機械設備や今まで培ったノウハウを活用した高機能な商品を展開していきたいと思っています。ただし、サポーターというものは、一度市場に出すと新商品を販売してもフィット感などの観点から使い慣れた従来品を求められる声も多いため、廃盤となる商品がほとんどありません。従って、新商品の開発は行いながらも、従来品を愛用されるリピーターの声も十分に受け止め、長く使って頂くことを念頭に置いて、当社の商品の良さを広めていくことが重要だと考えています。
 また、サポーターは布製品であるため、加工工程における素材の伸縮に係る技術・ノウハウが非常に重要になります。例えば金属製品ならば単純にプレス加工できる工程でも手作業の処理が必要なことがあります。しかし、そのように人の手による部分も多いが故に、良い製品づくりにかけるプロのこだわりの技術の中にも、手の温もりと新しさがあるということを伝えたいと思っています。
 当社は、そうした製品づくりにかける情熱を会社全体で共有し、足並みを揃えて一歩一歩前進することで、社員全員の力で発展していきたいと思っています。
SP

本日はお忙しいところ色々とお話をお聞かせ頂き、ありがとうございました。一人ひとりが楽しく快適な健康生活を送り、心の豊かさを実現できるように、社員全員で「健康社会」への貢献に取り組む御社の今後益々の御発展と皆様の御活躍をお祈り申し上げます。
SP
 
              《《《 会 社 概 要 》》》
  SP SP  
会 社 名 吉田司株式会社  
吉田忠司 社長
吉田 忠司 社長
本   社 石川県かほく市内日角ハ72  
創   業 昭和11年4月  
設   立 昭和 42年2月  
代 表 者 代表取締役社長 吉田 忠司  
事業内容

サポーター製造・販売

 
資 本 金 5,000万円  
従 業 員 93名  
U R L http://www.tu-casa.co.jp/index.html  
T E L 076-283-1135  
F A X 076-283-1766  
取材:平成 22年12日 総務課 情報公開・広報室


 中部経済産業局 総務課 情報公開・広報室

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