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中部発きらり企業紹介 Vol. 62

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  宮川工業株式会社 宮川工業株式会社
  CFRPの最適な加工技術の確立と専用加工機の開発に挑戦し、航空機産業全体の競争力強化に貢献  


 今回は、ものづくりに欠かせない工程である穴あけ加工に主に活用されている多軸アタッチメントについて幅広いユーザーからの信頼を得るとともに、平成21年度に「CFRP部材(難切削材料)の切削加工を低コストで可能とする専用加工機の開発」をテーマとして戦略的基盤技術高度化支援事業(通称:サポイン事業)の採択を受け、航空機産業で利用が拡大されているCFRPの加工技術の確立とそれを活用した専用加工機の研究開発に取り組み、航空機産業全体のコスト低減と生産性向上を目指されている宮川工業(株)の宮川治カ社長にお話を伺いました。
インタビュー
 はじめに御社の設立の経緯などについてご紹介頂けますか?
 
説明 宮川社長
 岐阜県関市は700余年の歴史と伝統を誇る世界でも有数の刃物の町で、かつては刀鍛冶を生業とする商売・職人が多く、その刃物加工の業を活かした金属加工技術が磨かれた結果、金属加工業が盛んです。刀剣製造というのは一カ所で完結するわけではなく、数多くの行程を経て完成します。刃物そのものの加工だけでなく、鞘や柄といった装飾関係の加工も必要で、それぞれの専門分野を持った職人の作業を経て初めて一振りの刀ができあがります。
 当社も刀剣の加工を手がける産地問屋からスタートしており、昭和10年に私の祖父が関市大門町で宮川刀剣製作所として創業を開始しました。戦時中は軍刀を作製していましたが、終戦に伴い刀剣は没収されたため、包丁を扱うようになりました。包丁をつくる際には、柄(にぎり)の部分を固定するためにドリルで2カ所穴をあける必要があり、当初は手作業で1カ所ずつ穴をあけていたのですが、それを効率良く作業できないかという発想から、昭和28年に同時に2カ所の穴あけができる2軸の加工機(2軸アタッチメント)を開発しました。この2軸アタッチメントの開発により生産性が向上し、製品の量産が可能になったのですが、それ以上にアタッチメント自体の評判が良く、アタッチメントそのものを商品化することができました。この2軸から始まった多軸アタッチメントが、高度成長期の自転車、オートバイ、自動車産業の発展とうまく合致できたことにより、昭和38年の株式会社への改組や昭和46年の販売会社である(株)ビグモント設立などを行いながら、業績を伸ばすことができました。
 当社は、穴あけに関する多軸アタッチメント、面取り機、造船や橋梁等の部材加工に対応した大型の加工機である専用機を主に展開しています。
宮川工業(株)[事務所] 宮川工業(株)[本社]
宮川工業(株)[事務所]
宮川工業(株)[本社]
SP
インタビュー
 「多軸の宮川」としての知名度はすごいですね。最初に2軸アタッチメントの開発に着手・成功したことも要因だと思いますが、そのような地位を築くことができた御社の強みやコア技術について教えていただけないでしょうか?
 
説明 宮川社長
 強みとしては、多軸アタッチメントの機構について、米国をはじめとする世界8カ国(日、米、英、西独、台、露、韓、仏)で特許を取得したことが挙げられます。機構に遊星歯車(ギア)方式を用いることで穴あけ位置を自由に設定するが可能になり、コンパクトな形状を実現することができました。当時はたくさんのボール盤メーカーがあり、それぞれの機種に取り付けられるようにモジュール化し、ボール盤メーカーのアタッチメントとしても販売をして頂きました。増産が続く高度成長期には、各モジュールの組合わせによる出荷体制で「即納」を売り物にもしていました。また、固定タイプの多軸アタッチメントはオーダーメイドされるものなので、それぞれのオーダーに応じて最適な加工ができるようにする必要があります。例えば、ある部品に太い穴と細い穴をあける場合には、太い穴用のドリルは回転を遅く、細い穴用のドリルは回転を速くして、それぞれのドリルの回転数を調整して同時に加工できるようにしなければなりませんが、そのために多軸アタッチメントの機構であるギアの組み合わせやギア比の計算、ギアの強度上の構成など、様々な要素を考慮する必要があります。20−30本の穴あけが必要な部品、複数の異なる径の穴がある部品、段差があって高さが不揃いな部品の加工など、お客様のどのような要望に対しても一度に加工できるような製品を作製・提案できることが当社のコア技術、独自ノウハウといえます。
 また、高精度が求められる金属加工の場合、金属は1−2℃の温度変化でも状態変化により加工精度に差が出ることがあり得ますが、当社には恒温恒湿工場にスーパークリンルームがあり、そこで一定な環境で加工を行い、精度測定を行うことが可能です。これは他社では真似ができない当社の特徴といえます。

多軸アタッチメット

SP
サポイン事業で整備した研究器機
サポイン事業で整備した研究機器
 
インタビュー
 御社は、多軸アタッチメントについてすでに非常に高いシェアをお持ちにも関わらず、それに満足することなく更なる成長を果たすため、経済産業省の戦略的基盤技術高度化支援事業を活用して新しい研究も意欲的に進めておられますが、これはどのような取組なのでしょうか?
 
説明 宮川社長
 研究内容は、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の加工に関するものです。CFRPは耐熱性に優れ、軽量であるにもかかわらず金属よりも強度が高いなど利点が多く、そのような素材特性が燃費向上に繋がるため、今後の成長が期待される航空機産業で利用が拡大されています。しかし、その加工については未だ研究段階にあるため非常に難しく、高価な大型工作機械や刃具が必要、刃具の寿命が金属加工に比べて非常に短くなる、加工に際しての複雑な制御がリードタイムの増大を招くなどの要因があるため、ランニングコストが高くなってしまうという問題があります。
 この問題を改善するため、CFRPの加工における様々な条件や求められる要素について試行錯誤を繰り返しながら最適な加工方法を探り、最終的には、使用刃具の寿命を延ばすことができる加工技術や、安価な市販の刃具でも可能となる簡便な加工方法を確立し、それらの技術を活用したCFRPの専用加工機械を開発することで、従来の加工方法に比べて40−50%のコスト削減を実現させることを研究の目的としています。航空機は部品の数が200万点以上と非常に多いですが、その中には超高精度を求められる部品もあれば、精度よりはコスパフォーマンスを求められる部品もありますので、このCFRP専用加工機の開発によりコスト面からの貢献ができればと考えています。
SP
多軸アタッチメントの生産現場
多軸アタッチメントの生産現場
 
超精密測定用の三次元測定設備
超精密測定用の三次元測定設備
インタビュー
 航空機産業については、当局としても今後の中部地域の活性化のために非常に重要な産業だと考えていますので、航空機産業の注目素材でありながら加工が難しいCFRPについて研究されている御社の取り組みには当局も微力ながら支援していきたいと思います。最後になりますが、今後の御社の方針をお聞かせ頂けないでしょうか?
 
説明 宮川社長
 現在、航空機産業は海外が主体となっていますので、その加工機械や工具は外国製品が多いのですが、その値段は非常に高価です。その外国製品中心のマーケットに、より安価で同等以上の性能を持った国産の加工機械を開発することで参入できれば非常にビジネスチャンスがあると思いますので、積極的に展開していきたいと考えています。
 また、航空機産業における穴あけ加工や面取り・トリミング加工は、組付けを行いながら部材と部材を合わせて穴あけをするなど、半数以上が手作業により行われているので、その現場で使用できる加工機を開発することにより手作業に変わる電動の部分を広げ、加工現場の作業効率の向上についても提案していきたいと考えています。
 当社は部品加工そのものを行うわけではなく、部品加工を行う各企業をお客様として作業現場で使う加工機などの設備を提供するわけですので、個々のお客様の要望に的確に応え、生産性や作業効率の向上に寄与できるような提案をさせて頂くことで、産業活動の発展に微力ながらも貢献していきたいと考えています。
SP
SP

  本日はお忙しいところ色々とお話をお聞かせ頂き、ありがとうございました。ユーザーの要望に的確に対応する多軸アタッチメントでものづくり産業の下支えに貢献するとともに、航空機産業で注目されるCFRPについて、各加工メーカーが共通で抱えている加工の難しさ、高コストの問題に取り組み、そのコスト低減と生産性向上を図ることは、航空機産業全体の競争力強化に繋がる素晴らしいことだと思います。御社の今後益々の御発展と皆様の御活躍をお祈り申し上げます。
SP
 
              《《《 会 社 概 要 》》》
  SP SP  
会 社 名 宮川工業株式会社  
宮川 治郎 社長
宮川  治郎 社長
本   社 岐阜県 関市宮河町1丁目1番1号  
創   業 昭和10年10月  
設   立 昭和 38年3月  
代 表 者 代表取締役社長 宮川 治郎  
事業内容

金属工作機械・器機の製造・販売

 
資 本 金 4,800万円  
従 業 員 60名  
U R L http://www.miyakawa.com  
T E L 0575-22-1411  
F A X 0575-22-1417  
取材:平成 22年6月5日 総務課 情報公開・広報室


 中部経済産業局 総務課 情報公開・広報室

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