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中部発きらり企業紹介 Vol. 61

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オークヴィレッジ株式会社

オークヴィレッジ株式会社
  循環型社会を「木」の有効活用により実現へ、日本産アロマで世界にも挑戦  


 今回は、 平成19年度に「日本産アロマを用いた高付加価値な木製品等の開発」をテーマに地域資源活用型研究開発事業の採択を受け、天然資源である森の木を無駄なく有効に活用する技術を確立させるなど、資源の有効活用と循環型社会の構築に取り組むとともに、日本産アロマを武器に世界戦略を考えておられるオークヴィレッジ(株)の稲本正代表にお話を伺いました。
オークヴィレッジ株式会社 [本社]
オークヴィレッジ株式会社 [本社]
 
オークヴィレッジ株式会社 [工房]

オークヴィレッジ株式会社 [工房]

 
インタビュー
 はじめに御社の設立の経緯などについてご紹介頂けますか?
 
説明 稲本代表
 昭和49年に当時の岐阜県清見村にて資本金80万円で設立したのですが、そのきっかけは、昭和40年代当時から化石資源はいずれ枯渇するだろうと言われており、私自身も同じ思いを持っていたところで第1次オイルショックが発生し、トイレットペーパーの買い占めなど日本中が大混乱したことによります。このときは地球全体から見れば石油が枯渇したわけではなかったのですが、このオイルショックを機に常々抱いていた日本という資源に乏しい国が石油に依存している状態は好ましくないという考えが強くなり、資源の有効活用と循環型社会の実現のため、「木」という再生可能資源に着目し、オークヴィレッジという社名で設立しました。
 設立当初は、資本といえるものがほとんどなかったので、お客様の要望に合わせて商品をお造りするという形態ならば小さな工房でも経営として成り立つのではないかとの考えから、オーダー(あつらえ)家具を中心にスタートしていますが、現在では建物やクラフト(小物)なども数多く手がけるようになり、木に関する商品をトータルに幅広く扱うようになりました。
 当社の売上高の構成としては、受注件数は年に数件と少ないですが、単価が高いため建築が4-5億円ほどで約40%を占めています。あとは家具とクラフトが合わせて5-6億円ほどとなっており、従来は家具がこの5-6億円のうちの2/3以上を占めていましたが、現在は携帯ストラップや寄木のおもちゃのようなクラフトの割合の方が高くなってきています。今はリーマンショックに始まる不況の影響で売上が伸びにくい状況であり、高価な建物や家具はなかなか受注できる状況ではないですが、それを時代や社会のせいにするのではなく、状況に合わせて自らが工夫し、変化することで、得意分野以外にも多様性を発揮していくことが重要であると思っています。これは会社も職人も同じです 。
SP
インタビュー
 会社の経営戦略として世の中の流れに柔軟に対応し、建物から小物まで幅広く多様な商品展開を行う中で、職人にもそれらの商品に対応できる多様性を求めるには、非常に高いレベルでの技術を要求されると思いますが、それはどのように培っているのでしょうか?
 
説明 稲本代表
 新しいことに挑戦していくには高度な技術が必要になりますが、そのためには教育のシステムが重要になってきます。当社は、関連組織として森林たくみ塾という木工職人を養成する学校を運営しているのですが、ここでは実際にお客様の手に渡る商品の作成まで手がけるなど、徹底した現場重視の実践教育を行うことで、職人として必要なセンス・技術・スピード感を磨き、プロ意識を育て、現場で即戦力となる人材の育成に取り組んでいます。
 この塾では、一人前の職人になるには10年かかるといわれる中で、それを2年で達成するという気概でやっていますので、ここを卒業する職人は非常に優秀な人材が多いです。しかし、その全員が当社の職人となるわけではなく、中にはライバル会社へ行かれる人もいますが、木工の世界に優秀な人材が輩出され、全体の技術レベル向上やすそ野の広がりが促進されれば、業界全体がボリュームを持つようになり、活性化がなされ、結果的に当社の利益にも繋がると思っています。また、木工業界の活性化は、当社の基本理念でもある循環型社会の構築に繋がると思っており、その意味では同業他社はライバル会社ではなく、仲間であると考えています。
高い技術を持った職人による様々な家具
高い技術を持った職人による様々な家具

SP
日本産アロマ「Yuica (結馨) ゆいか)
日本産アロマ「Yuica (結馨) ゆいか)
 
インタビュー
 新しいことへの挑戦として、御社はアロマに着目し、経済産業省の地域資源活用型研究開発事業や農商工等連携対策支援事業などの施策も活用しながら、日本産アロマの研究開発や販路開拓に取り組んでおられますが、どのようなきっかけでアロマ事業を展開するようになったのでしょうか?
 
説明 稲本代表
 アロマとの出会いは、平成11年にアマゾンを旅した際にローズウッドという香水の「シャネルの5番」にも配合されている木に出会ったのが最初です。私は、それまでアマゾンの森林は人の手が入っていない太古から続く原生林だと思っていたのですが、インパ(=国立アマゾン研究所)の森林研究員であるニイロ・ヒグチ氏から、この豊かな森林でもローズウッドだけがヨーロッパ人による伐採で絶滅の危機に瀕していることを教わりました。
 そんな話を聞いて帰国した後、仕事をしていた中で、乾燥工程で木材の水分を取っていた際に、その水分から香りがすることに気がつきました。ただし、その水分をまとめて土中に戻す場所では嫌な臭いが発生していたため、ヒノキならヒノキというように他の種類の水分と混ざらないように抽出できれば良い香りのアロマができるのではないかと思い、小さな抽出機を試作し実験した結果、もみの木から精油(エッセンシャルオイル)の抽出に成功しました。その後2年ほど様々な木について実験を行っていた過程で中部経済産業局と接点ができ、日本で使われるアロマの約98%が外国産ですが、それを日本産として商品化できればビジネスになるのではないかと提案を受けたことと、ローズウッドの例のようにアロマを扱う企業の多くは環境破壊をしながら原料を採取していたので、何とか環境を破壊せずにアロマができないものかと考えたことから、本格的な研究開発に挑戦することにしました。
 その際に、
地域資源活用型研究開発事業を活用して、飛騨に産する種々の木の葉・枝・木屑を原料とした精油を安定的に抽出する技術を確立し、それを木製品と融合させた商品開発を行うとともに、専門研究機関や東京農業大学と協力して、その成分分析や、人体への影響について安全性の確認、気分測定等の検証を実施しました。この研究の最大の魅力は、それまでは家具の材料として捨てていた枝葉の部分までがアロマとして活用できるということで、木を隅から隅まで、全部無駄なく活用することができるようになりました。
 この精油抽出に係る研究成果は、兄弟会社である正プラス(株)に引き継ぎ、日本産アロマ「Yuica(結馨 ゆいか)」の製品化に至りました。その後、アロマの材料となる様々な木の枝葉等が大量に必要となったため、飛騨高山森林組合と連携し、正プラス(株)として農商工等連携対策支援事業を活用してパンフレット作成など、販路開拓の支援も受けました。現在、多くの森林組合は、木が使われないため間伐ができず、森林が荒廃してしまうという問題を抱えていますが、アロマの材料としては間伐材も利用できますし、幹よりも枝葉が大量に必要になります。枝葉を採取する過程は森林を手入れすることと同義で、森林環境が改善され、豊かになっていきますので、これは良い連携だと思っています。

蒸気蒸留法によってエッセンシャルオイルを抽出
水蒸気蒸留法によって精油(エッセンシャルオイル)を抽出

SP
オークヴィレッジ(株)の3つの理念イメージ
オークヴィレッジ(株)の3つの理念」イメージ
 
インタビュー
 自然の恵みである森の資源を無駄なく活用し、森林環境の保全にも貢献する御社の取り組みは非常にすばらしいと思います。経済産業省としても低炭素社会の実現やCO2の削減といった環境に係る事柄は重要な課題だと考えていますので、今後も各種の施策を有効に活用していただければと思います。最後になりますが、今後の御社の方針をお聞かせ頂けないでしょうか?
 
説明 稲本代表
 当社には設立当初から3つの基本理念があります。1つめは「100年かかって育った木は100年使えるモノに」、木が育った時間の分だけ生活の中で使える作品を作り出せば、その間に他の木を育つのを見守ることができ、循環型社会に寄与できます。2つめは「お椀から建物まで」、身のまわりの小物から漆器類、家具、そして木造建築まで、木を暮らし全般に利用する木の文化を再構築することで、再生可能な資源である木の有効活用ができます。3つめは「子供一人、ドングリ一粒」、豊かな森林を未来の子ども達に残すため、 森の木を1本使ったら、木を1本返そうという考から、昭和56年にNPO「ドングリの会」を発足させ、広葉樹の種であるドングリを植え、苗を育て、そして森に返していくという育林を中心とした環境活動を行っています。
 これらの理念を今後も継続・発展させるためにも、木の枝葉まで有効利用できるアロマ事業を伸ばし、より幅広く、本格的な商品展開をしていくことで、世界市場への進出を図っていきたいと考えています。現在の消費者は、モノを買うとき、良い商品であればそれが国内製であろうが、外国製であろうが関係なく、より自分にあったモノを志向しています。市場がグローバル化し、競争の範囲が広くなったとも言えますが、それをチャンスと捉えていきたいと思っています。現在のアロマ市場は、先ほどもお話ししたとおり、外国製のものが圧倒的に多いですが、そこを逆に狙っていきたいと考えています 。
SP

本日はお忙しいところ色々とお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。 資源の有効活用や循環型社会の構築のため、自然の恵みである「木」を最大限に活かすための研究開発や商品展開を行う御社の今後益々の御発展と皆様の御活躍をお祈り申し上げます。
SP
 
              《《《 会 社 概 要 》》》
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会 社 名 オークヴィレッジ株式会社  
稲本 正 代表
    稲本 正 代表
本   社 岐阜県高山市清見町牧ヶ洞 846  
設   立 昭和 49年5月  
代 表 者 代表  稲本 正  
事業内容

家具・装備品製造業、販売

 
資 本 金 4,740万円  
従 業 員 70名  
U R L http://oakv.co.jp/  
T E L 0577-68-2244  
F A X 0577-68-2219  
取材:平成 22年18日 総務課 情報公開・広報室


 中部経済産業局 総務課 情報公開・広報室

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