HOME > 中部発きらり企業紹介
 

中部発きらり企業紹介 Vol.59

バックナンバー
 

株式会社エスワイシステム

株式会社エスワイシステム
 

〜 独自の人材育成ポリシーで地域のソフトウェア産業の活性化に取り組む 〜

 


 今回は、 平成19年度・20年度に中部地域のソフトウェア業界と若者のマッチングを目的とした「若者と中小企業とのネットワーク構築事業」を経済産業省から受託した中部アイティ協同組合の理事長として学生に地域のソフトウェア産業の魅力を伝えることにより、業界全体で優れた人材の確保・育成に積極的に取り組まれている(株)エスワイシステムの鈴木裕紀社長にお話を伺いました。
(株)エスワイシステム本社[受付]
(株)エスワイシステム本社[受付]
インタビュー
 はじめに御社の設立の経緯などについてご紹介頂けますか?
 
説明 鈴木社長
 平成3年に私と現在東京事業所で責任者をしている専務取締役の安田の2人で独立系ソフトウェアハウスとして法人向けのソフトウェアやシステムの企画、開発などを主な業務としてスタートしました。会社設立時の私の年齢は26歳でしたが、当時20歳代で起業するというようなケースはほとんどなく、またそれを支援するような制度もありませんでしたが、会社設立の手続きや人事制度の整備、取引先との様々なやりとりなどをトライアンドエラーを繰り返しながらお客様との取引の中で評価と信頼を得られたことから徐々に取引先が増え、営業成績を順調に伸ばすことができました。
 また、当社の特徴でもあるのですが、海外展開としては特に中国への進出を推進しております。平成14年に上海、平成18年に西安にそれぞれ現地法人を設立し、北京にも西安法人の事業所を設立しました。平成22年にはベトナム・ハノイにも法人を設立する予定です 。
SP
基幹となるシステム開発部の業務風景
インタビュー
 ソフトウェア会社は取引先としてあらゆる業界が考えられると思いますが、この中部地域はモノ作り企業の集積地ですのでやはり取引先はモノ作り企業が多いのでしょうか。また、その中で御社は得意なシステム開発の分野というものはあるのでしょうか?
 
説明 鈴木社長
 モノ作り企業がやはり多いと言えますが、当社としてはそのウェイトを必要以上に高くしないとの考えがあります。その理由は、モノ作り企業はその業界が好調な時には発注量が多く非常に勢いがあるのですが、反面そうでない時は仕事がゼロになることもあります。その業界の状況に左右されるというリスクを回避するため、取引先の業界が偏らないようにしています。また、得意なシステム開発分野という点についても、同じ理由で偏らないようにしています。
 ソフトウェア業界は全ての業界が対象になりますが、時代・時期によって勢いのあるお客様は変わりますので、その変化に柔軟に対応できるようにしています。通常我々の業界は売上構成の6−7割を特定の企業との取引に依存するケースが多いのですが、当社は8%超える取引先がなく、代わりに取引先の数が同業他社に比べてかなり多くなっています。その中でもあえてウェイトの高い業界を挙げるならば、航空機関連メーカーの比率が高く、他には金融(特にカード会社)、生命保険、物流サービス関連の企業、そしてここ2年ほど多いのが自治体です。
 ソフトウェア業界はこれから大きく変わっていくと思っており、例えば自治体は全国に1,700超あるわけですが、それぞれが別の情報システムを使っています。行政の無駄についての指摘では道路工事などがやり玉に挙がりますが、この情報システム関連の無駄の方がもっと問題だと思います。自治体クラウドや経済産業省、総務省が推奨している霞ヶ関クラウドなど、今後そのような流れになっていけば大きなビジネスチャンスが到来すると思いますので、その際には積極的にチャレンジしていきたいと思っています。
SP
インタビュー
 チャレンジといえば、御社は積極的に海外展開、特に中国・東アジアへの展開をされていますが、それにはどのようなきっかけがあったのでしょうか?
 
説明 鈴木社長
 中国への展開は、平成9年頃から中国からの技術研修員の受け入れを開始したのが始まりで、中国企業との業務提携を経て、上海、西安にそれぞれ子会社のような形で現地法人を設立しました。これは国内での採用難による人材の確保の問題と将来のコスト競争力を見据えたグローバル展開が必要だと考えたためです。当初はソフトウェア開発コストを低減するためのオフショア開発の拠点でしたが、中国現地で販路の開拓を行うことが重要という考えから、現在では現地企業への売上が約7割で、残りの約3割が日本からの仕事となっており、またそのうち現地企業の中でも日系企業との取引の割合は5割を切っています。
 このように単なるオフショア開発業務の拠点に留まらない海外展開を実現し、ある程度の実績を上げることができた要因は、当社独自の採用モデルと人材育成システムにあると思います。採用時には日本語が話せない人でも、入社してすぐの3年間は日本に来て働いてもらうことにしており、人材育成の過程では様々な厳しい条件を課すこともありますが、ここでしっかりコストをかけて人を育て、愛社精神を育むことで、中国現地法人に戻った後でも相互の深い信頼関係に基づいた業務を行うことができます。より良い職場を求めて転職を繰り返すことが多い中国社会において、離職率が3割あった時期でも当社はそれを4%程度に留めることができました。
 日本市場だけを見たとき、ソフトウェア産業も他の産業と同じで、基本的には少子高齢化と労働力の減少により衰退傾向になります。そのため、日本のマーケットだけでなく、海外、特にアジアのマーケットを取り入れていくことは非常に重要です。その中でも驚異的な成長スピードがある中国には、非常に大きなビジネスチャンスがあると考えています。
SP
中部アイティ協同組合での活動
中部アイティ協同組合での活動
インタビュー
 御社は人材の確保・育成について、自社はもちろん、中部アイティ協同組合の理事長としてこの地域のソフトウェア産業の活性化のために尽力されています。その中で経済産業省の「若者と中小企業とのネットワーク構築事業」を活用されていますが、その取り組みについて教えていただけますか?
 
説明 鈴木社長
 ソフトウェア産業の財産は間違いなく「ヒト」なのですが、その割にはその採用や教育制度、評価制度は必ずしも良いものではありません。その結果としてこの業界は学生からの人気がそれほど高くないというのが現状です。また、特にこの地域は大手志向が強いため、中小企業は満足な人材の採用が難しい状況にあります。このような現状を改善するため、組合員である各企業の人事制度を強化するとともに、中小企業が必要な人材を確保できるよう「若者と中小企業とのネットワーク構築事業」を活用しながらプロジェクトを推進しました。
 具体的には、「夢プロジェクト」として、地域の中小ソフトウェア企業に目を向けてもらうため、業界や企業の魅力を若者や学校に発信するとともに、ユニークなインターンシップ展示会や討論会、職場体験を通じて、地域ソフトウェア企業経営者の考え方、働く場としての魅力、職場の雰囲気などを伝えるといった地域のソフトウェア業界と若者の出会いの場を設けるイベントを開催しました。平成19・20年度は経済産業省からの受託事業として実施しましたが、平成21年度からは自立化して実施しています。おかげ様でこのイベントは大変好評で、昨年の秋に開催したイベントでは学生だけで300人ほどの来場がありました。また、このイベントを行うことで、今まで中途採用しか行っていなかった企業が初めて新卒を採用し、その結果その企業にとって新しい採用の仕組みが生まれたり、人事管理制度が改良されたという例もありました。このような流れが業界全体の改善に繋がっていけばと思っています。
SP人事評価制度の一例
人事評価制度の一例
SP
インタビュー
 人材の確保・育成というものは、特に中小企業にとっては非常に重要な問題で、それを改善するための取り組みは当局としても重要な課題だと思っていますので、今後も微力ながらも支援等をさせて頂きたいと思います。 最後になりますが、今後の御社の方針をお聞かせ頂けないでしょうか?
 
説明 鈴木社長
 ソフトウェア産業の資源・財産は間違いなく「ヒト」であり、私は更にその団結力・チームワークが重要だと考えています。
 ソフトウェア会社は企業活動を支える縁の下の力持ち的存在であり、本来はユーザーとソフトウェア会社が密に連携し、ユーザーの細かな要望にも迅速に対応できるような関係でなければなりませんが、当地域のソフトウェア会社は首都圏の大手企業の下請けとなっており、ユーザーとの関係が間接的になってしまう傾向があります。
 このピラミッド構造を改善するための一つの方策として、当社では3SE制度という社員にシステムエンジニア、サービスエンジニア、セールスエンジニアの3役をこなせるような教育を行うことで、各社員が自らのスキルを活かし、ユーザーからの様々な要望に即応できるようにしています。ユーザーとFace to Faceの関係を構築することにより、顧客満足度の向上に取り組んでいます。
 また、一般的なソフトウェア企業のイメージは、組織力というよりは個々の社員が自由な雰囲気の中で持っているスキルを発揮し、社員同士のつながりは比較的緩やかな組織というイメージがあるかもしれませんが、一人では対処できない問題が発生した場合には団結力・チームワークが極めて重要になります。それを育むためには、先ほどの中国の例と同様に、古き良き日本式経営に基づく体育会系のようなタテ社会と愛社精神というものが重要ではないかと考えています。
 ソフトウェア業界に限らない地域経済の活性化の面からも、ピラミッド構造の頂点を首都圏の企業が担っていては地域の企業の成長には繋がらず、雇用も生まれませんので、私は現在この首都圏の大手企業がいるポジションを独自の人材育成に基づく高度な人材と技術力を武器にして勝ち取り、ソフトウェア供給の地産地消を目指したいと思っています。
SP3SE制度のイメージ
3SE制度のイメージ
SP

本日はお忙しいところ色々とお話をお聞かせ頂き、ありがとうございました。地域のソフトウェア産業の活性化に取り組む御社の今後益々の御発展をお祈り申し上げます。
SP
 
              《《《 会 社 概 要 》》》
  SP SP  
会 社 名 株式会社エスワイシステム    
本   社 愛知県名古屋市東区代官町35番16号 第一富士ビル2F  
設   立 平成3年1月  
代 表 者 代表取締役 鈴木 裕紀  
事業内容

コンピュータソフトウェアの開発 、コンピュータ機器販売

 
資 本 金 7,050万円  
従 業 員 195名(名古屋本社)  
U R L http://www.sysystem.co.jp  
T E L 052-937-0201  
F A X 052-937-0202  
取材:平成 22年15日 総務課 情報公開・広報室


 中部経済産業局 総務課 情報公開・広報室

〒460-8510 愛知県名古屋市中区三の丸2-5-2

TEL:052-951-0535 FAX:052-962-0557 E-mail:
chb-ikenbako@meti.go.jp

著作権:中部経済産業局