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中部発きらり企業紹介 Vol .32

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株式会社イーラボ・エクスペリエンス
〜 個と社会の関係性をつくる少数精鋭の大学発ベンチャー〜

 今回は、三重大学発ベンチャーとして、フィールドサーバの開発、製造を行っており、 新連携施策の認定を平成18年度に受けられた株式会社イーラボ・エクスペリエンス (三重県津市)の島村博社長にお話を伺いました。

御社は平成14年(2002年)12月に創業されたとお聞きしておりますが、創業に至りました経緯等につきましてご紹介いただけないでしょうか。

三重県 インキューべーション施設 あのつピア
 
島村社長:
  会社員当時の私は、電子機器の製造グループで製造開発をしておりました。 その時期は量産物の製造が日本から中国へ移管されている移行期で、そのときにユビキタス産業が2011年には約84兆円の市場になるというレポートを読み、 自分の設計技術を生かして創業をしようと思い立ちました。
 
   創業にするにあたっては、ベンチャー関係の創業支援策を使いました。三重県の地域プラットフォームの中でベンチャービジネススクールというのがありましたので、そこで、いろんなディスカッションをし、IT関係の同業種の方との人脈も広げ、新しいことをやってみたいという意欲が湧いて来ました。
   そして、2002年12月「ブロードバンド活用中小企業連携モノ作りの仕組み作り」のテーマで中小企業創造活動促進法の認定を受け、あのつピアに入居し、個人で創業をいたしました。 独立したのは39歳ですが、自分がサラリーマンとして培った力を生かして何らかの役立ちというか、実感を持ちたいと考え独立しました。



御社の事業の特色等についてお話いただけないでしょうか?
 
島村社長:
  当社は3割が受託開発 、7割がフィールドサーバ応用事業といわれるもので、その内訳は、4割が製品・OEM、15%がエンジニアリング、15%がソフトウェアカスタマイズという形になります。受託開発については防犯セキュリティ関係が主体となっており、85%が民間で残りが大学関係、公共研究機関になっています。
   私は元々電子機器の組込みソフトの受託開発を中心に考えておりました。 小さな形で「働く」「繋げる」「役立てる」ということを考えており、「小さな形」というのは組込みマイコン技術です。 それをユビキタスの時代なのでネットワーク対応させて行けたらいいと思っていますが、最終的にはそれだけでは下請型の受託開発会社になってしまうので、商品企画提案、事業企画提案を産学連携を活用してやって行きたいと考えています。先端ラボの技術をうまく広げていくこと を目指して 事業展開を図っております。また、センサーネットワーク技術の食・農・環境と教育への戦略的ソリューション向け事業も展開しています。
 
 

フィールドサーバ
 

御社が平成18年度に新連携計画として認定を受けられました「無線でのデータ送受信による遠隔操作可能な防犯・防災用等監視システムの製造販売事業」 等、事業の7割を占めるフォールドサーバ事業について開発の経緯や特徴等についてお聞かせ願えないでしょうか?  
 
   
島村社長:    私は創業1年目は受託開発をメインでやっておりましたが、小さな形でつないで働き、役立つオリジナルの製品はないものかと三重大学の門を叩きまして、そこで、屋外環境の生物状況の監視システムのビジネスがこれから重要だと教えられて、そこからこの事業を開始しました。
     フィールドサーバは、センサーにより農場等の日射量・周辺の温度・湿度・土壌水分などをリアルタイムで計測でき、またネットワークカメラにより、 遠方にいながらにして農作物の育成状況や周辺の状況を監視できるもので、インターネットで接続します。 この機器の特徴としては、普通は、待機センサーのみとか、セキュリティカメラのみとか単体で販売されていますが、これらを一体化させたことです。 今まで勘に頼っていたものを、フィールドサーバを用いて観測することにより、効率的に作業が行えます。
   現時点では、画像解析でどれくらいの解析ができるのかという問題がありますが、その画像を収集して専門家が見ることだけでもニーズがあると考えています。
   標準の高さは約1m20cmぐらいですが、実際には用途に応じて変わります。腰の高さぐらいに置かれているものから、 風力発電と一緒に高い場所に設置されているものまで色々あります。私どもは、スイッチボックスに入るような大きさのものもフィールドサーバと言っております。
   環境をニーズとして捉えてシステムソリューションにしていくというのは、他社ではあまり行われていなかったため、他社との差別化ができたと考えております。
   反面、難しい点は屋外の環境で動作させるということです。屋外のインターネット環境というと、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ハワイで稼動している製品がありますが、 室内のインターネットに比べて、衛星インターネットであるとか、現地の無線ネットワークを繋ぐときに、大雨とか風雨の強さでアンテナの角度が変わるとか、屋外環境下で安定させて作用させるのには苦労しています。
 
 


フィールドサーバ活用概念図


御社の事業展開における人材育成についてのお考えをお聞かせ下さい。


島村社長:
   当社の社員は8名で、全員が組込み開発であればいいのですが、エンジニアリング事業、ソフトウェア事業、組込み開発事業等色々ありますので、ほとんど担当が一名もしくは二名の即戦力型の少数精鋭です。
   アウトソーシングを活用したり、社内のメンバーを増員できればと考えているところですが、前提として組込み開発、ITの知識のある人材は 少なくなかなか集まらない状況です。
   そこで、大学と連携してインターンシップを積極的に活用し、学生が大学でフィールドサーバの研究をし、そのまま入社してもらうことを考えております。こういった大学との連携を生かしながら人材ネットワークを形成していきたいと考えております。

 

フィールドサーバの利用場所



 御社の課題をお聞かせいただけますか?
   
島村社長:

   フィールドサーバの量産体制を固めることです。現在は50ロットを年4回で、年間約200台生産しています。
   これを年間1000台生産したいと考えています。また値段についても、10万円台まで下げたいと考えています。
   パソコンとフィールドサーバだけで動いて役立てれるものを量産できたらいいと思っています。
   フィールドサーバでは、まずデータを蓄積・収集して、データグリッドを作り、データマイニングをします。 最終的にWEB2.0型のデータをマッシュアップして使っていただく。そのときに作物指標等が得られます。 そういったデータがすごく大きな価値をもつことになり、データに付加価値をつけて、ユーザーが増えるような事業を行っていきたいと考えております。
   また、付加価値とか利益の出し方が、製品アセンブリのみになると価格競争が激しくなり、模倣製品も現れます。 フィールドサーバでは、DBシステムが接続され初めて効果を発揮します。 フィールドサーバだけ模倣してもうまくいかないような仕組みを作りたいと考えています。
   テレビで「ITと農業」といった特集があると農家の方から電話が掛かってきますが、 今は、フィールドサーバを設置するときにインターネットの知識が必要ですのでお断りしている状況です。 あまり知識がなくても購入して設置すれば、データ解析ができるものを目指しております。
   フィールドサーバは現在、研究開発型で海外のモニタリングの要望が多い状況です。また、販売先は大学関係や企業が多く一般の農家の人に販売はしていない状況ですが、 今後は、利用しやすくかつ廉価な製品を開発し、「勘と経験のニーズ」や「暗黙値」から脱却し、農業の企業化につなげるとともに、 製品の販売メンテナンスまでができるように体制を整え、雨、風、太陽熱、結露にも強い製品を開発していきたいと考えています。

本日はお忙しいところ色々とお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
御社の今後益々の御発展と皆様の御活躍をお祈り申し上げます。
 
              《《《 会 社 概 要 》》》
   
会 社 名 株式会社イーラボ・エクスペリエンス  

島村博 社長
本   社 三重県津市あのつ台4-6-1 中勢北部サイエンスシティ あのつピア203  
設   立 平成14年12月  
代 表 者 代表取締役 島村博  
事業内容 電子機器開発受託
産官学関連コーディネート
地域向け技術者・事業化意識涵養
総合教育向けコンテンツ等の企画・開発・販売  
 
資 本 金 9,560万円  
従 業 員 8名  
U R L http://www.elab-experience.com  
T E L 059−236−4886  
F A X 059−236−4887  
取材:平成19年 10月29日 総務課 情報公開・広報室


 中部経済産業局 総務課 情報公開・広報室

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