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中部発きらり企業紹介 Vol.30

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株式会社キクテック

「公共環境を表現する」をテーマにした交通安全施設製品メーカー

  今回は、私ども経済産業省中部経済産業局の中小企業課で担当している補助金事業である「新連携対策補助金(事業化・市場化支援事業)」を平成18年度に活用して、「環境調和型リサイクルブロックの製造販売の全国ネット事業」に取り組まれている株式会社キクテック(本社:愛知県名古屋市)の新美喜久雄社長に愛知県知多郡阿久比町にある中部事業所でお話を伺いました。

御社は昭和38年に創業されたと伺っておりますが、創業された経緯やこれまでの沿革について最初にご紹介いただけますか。

株式会社キクテック中部事務所


株式会社キクテック中部事務所全景
 
新美社長:
  私は、23歳の時、知人の仕事を引き継ぐ形で、個人でライン引きの仕事を始めました。当時、私たちの阿久比町には株式会社が一軒も
ありませんでした。そこで、「おれたちの村にも株式会社を作ろう!」と仲間を集めて、株式会社菊水ライン(平成元年に株式会社キクテックへと社名変更)を設立しましたのが当社の始まりです。ひたすら“ラインを早く、ていねいに引く”ことを追求してきたことが昭和40年の名阪国道工事の仕事で報われ、官公庁等から大きな信用を得ることができ、事業が軌道に乗り始めました。当時は、ちょうど道路区画線の主流が道路鋲からラインへ変わった頃で、時流も良かったのだと思います。
  昭和43年には塗料の塗布技術を応用して、標識の製造事業にも乗り出しました。当時、交通安全施設を全国的に緊急整備するとの情報があり、道路区画線や道路標識の需要が大幅に増え
 
ることが予想できたからです。また、昭和48年には他社から購入していた道路用塗料を、自社で製造するようになりました。当時、他社から購入していた塗料の質に満足がいかず、もっと白く明るい純白のラインを引きたいと強く思っていました。
  しかし、昭和50年代に入ると、政府はマイナスシーリングを開始し、交通安全施設関係にも影響が出始めました。業界全体の仕事量が減ってしまい、人員整理等で対応する同業者等もありました。しかし、私たちはどうしてもそれができませんでした。そこで、社用車や看板のマーキングという、一種の広告宣伝事業に乗り出すことを考えたのです。結果的にこれがうまくいき、今では当社の売り上げの4分の1を占める事業となりました。
 

車両マーキング


案内標識

御社の発展の理由のひとつとして、関連する他分野への積極的な事業展開があると思います。その中でも、昭和58年の広告宣伝事業への進
出、さらに平成10年のユニバーサル・バリアフリー事業の開始は顕著な例だと思いますが、それぞれの事業に取り組まれたきっかけはどのようなものだったのでしょうか  
   
  新美社長:
  広告宣伝事業への展開を思いついたきっかけは、車の洗車ブームでした。当時、企業の社用車や営業車に付された社名やロゴ等のマー
 
キングはペンキによるもので、洗車をするとすぐに剥げてしまいました。そこで、標識を製造するときに使用する フィルムを使って、社用車や企業の看板のマーキングを行う事業を始めることを考えたのです。
  昭和60年には日本中でCI(Corporate Identity)ブームが起き 、大手企業の社用車や看板といった大きな発注を受けて急成長しました。
  ユニバーサル・バリアフリー事業への展開のきっかけは、高齢化社会の進展です。それまで当社は交通安全施設、言うなれば“車道の環境整備”を主に行っておりましたが、高齢化社会への対応を本気で考えたとき、“歩道の環境整備”が必要となってくることに気がつきました。すなわち、歩道に歩きやすいブロックを使用したり、自転車道と歩行者道を色分けしたり、見やすい案内標識や地図を設置したりといった整備です。さらに考えると、目や足が不自由な方にも歩きやすいような歩道の環境整備も必要だと気がつきました。すなわち、歩道上に視覚障害者用のガイドウェイラインを引いたり、車椅子用の駐輪スペースを確保したりといった整備です。
  ユニバーサル・バリアフリーとは、具体的には「いかに高齢者・障害者を含むすべての人々が安心して暮らせ、社会生活ができるような道路整備を行うか」という考え方です。
当社は平成元年に社名を菊水ラインからキクテックへと変更し
 
て以来、「公共環境を表現する」を会社のテーマに掲げ、「すべての人に住みやすい快適な環境づくり」を考えてきました。 政府の予算はマイナスシーリングが続き、新しい道路が作られず、新しい道路区画線や標識の需要がない中でしたが、私たちは、こうした新しい視点から新しい価値を持つ製品を提供していくことで、大手の建設会社等にはできない、設備メーカーとしての活路を見出すことができるのではないかと考えたのです。
 

ユニバーサル・バリアフリー製品として御社が開発された、あるいは現在開発中の製品には、具体的にどのようなものがありますでしょうか。

ソーラー照明式歩行者系案内サイン


ステップライン

 
新美社長:
  現在、当社が開発し提案させていただいている製品としては、歩道が歩行者道と自転車道に分かれていることを示す標識である「歩行者自転
 
車分離サイン」、夜間に太陽電池による照明で照らされる周辺案内地図である「ソーラー案内サイン」、クッション性があり、また路面温度の上昇を抑える舗装材である「セーフティ・アンチヒートブロック」、人が近づくと点灯し辺りを照らす、高輝度LED製の外灯である「アポロライト」、段差の先に取り付ける、輝度が高く夜間発光する樹脂製のシートである「ステップライン」などがあります。特に、「ステップライン」は当社内の階段にも取り付けておりますが、床材とステップラインの色との視認の対比効果により弱視の方の安全な移動を図るだけでなく、健常者の方でも夜間の安全な上り下りに便利ですし、災害が発生した場合の避難時に大きく力を発揮します。これらの製品は当社の「安全」「安心」「快適」「環境」「リサイクル」という開発コンセプトのもとに製品化されたものであり、今後とも資源の再利用開発、生産技術の改革、そして人と環境に配慮した製品づくりに努めていきたいと考えております。



 

タイヤ走踏試験機


夜間反射性能測定室(上:昼間、下:夜間)

御社の安全かつ快適性を追求した製品づくりと積極的な事業展開を行っている背景には、それを支える確かな製品開発体制があるのではないかと思いますが...。
   
  新美社長:
  当社には、同業他社にはない最新の試験設備がいくつかあります。例えば「タイヤ走踏試験機」は、1トンの負荷のかかった車輪を、道路輪
 
を、道路上を走行する車に見立て、道路鋲やブロック等を一定の速度で何度も踏ませることで耐久性能を測る試験機です。また「夜間反射性能測定室」では、道路区画線や標識等の視認性能を、昼、夜、雨天、霧、ロービーム点灯時、ハイビーム点灯時、トンネル用照明下、水銀灯下等、さまざまな条件下を想定して評価することができます。他にも耐水試験機、温度変化試験機、湿度変化試験機、耐食性試験機等さまざまな設備を揃えており、実際に開発した製品を組み合わせて設置し、その効果を試すためのスペースも持っています。  
  ただし、研究開発の資金面では大手企業に及ばないため、例えば豊田工業専門学校や金沢大学等の教授や学生と意見交換を行ったり、学会に出席したりという機会を活用して、技術レベルを維持するとともに、常に幅広くアンテナを張り続けることで、新事業のチャンスや新製品のアイデアを得るように努力しています。









 

先ほどユニバーサル・バリアフリー製品としてご紹介いただきました「セーフティ・アンチヒートブロック」は経済産業省の新連携対策補助事業とし

セーフティアンチヒートブロック


施行事例(愛・地球博会場内)

て認定を受けられたわけですが、この製品の特徴などについて、もう少し詳しく教えていただけますか。
 
 
新美社長:
  セーフティ・アンチヒートブロックは透水性、保水性、クッション性を併せ持った舗装用基盤で、滑りにくい、水溜りができにくい、転んでもけがを
 
しにくいという快適性、安全性に配慮した特徴を有し、そして内部に保持した水を徐々に気化させることで路面温度の上昇を抑えるという特徴を持っています。表層部は廃タイヤ、基盤部は火力発電所等の焼却灰(フライアッシュ)等の産業廃棄物でできており、表層部の再生資源の割合は90%、基盤部の再生資源の割合は75%に上ります。
  開発のきっかけは、独立行政法人産業技術総合研究所から、経済産業省の地域新生コンソーシアム研究開発事業から生まれた「廃タイヤのチップ化技術」を使用して、廃タイヤを有効活用するための製品を製造・販売しないかというお誘いを受けたことです。その後、愛知タイヤ工業等と連携体を組み、経済産業省の新連携対策補助事業として認定を受けました。連携の特徴は、リサイクル原料の供給から製品の製造・販売までが一体化できたこと
 
と、各地区に拠点を設けることで全国展開が図れることです。
  そもそも、この製品自体は、愛・地球博に おいて、グローバルループ下と休憩広場愛・地球博に おいて、グローバルループ下と休憩広場にて実際に舗装用基盤として使用されました。これまでの販売・設置の実績では、公園等の歩道での使用が多いですが、将来的には一般歩道への使用を増やしたいと考えています。
 

それでは最後になりますが、御社の今後の方針等について、お聞かせいただけますでしょうか。
新美社長:
  今後しばらくは、ユニバーサル・バリアフリー製品の開発・製造・販売に力を入れていこうと考えています。現在、当社の年商は、広告宣伝事業、ユニバーサル・バリアフリー事業、交通安全施設関連事業で、およそ、25:25:50の割合となっていますが、これを30:30:40の割合とするのが当社の当面の目標です。  
  また、経営者として思うのですが、これからは産業廃棄物を使用する等資源の再利用と省エネを“モノ作り”を行うベースとして考え、更に高齢化への対応、そして生活空間に安全・安心を如何に提供できるかということを常に考え、企業は絶対に社会貢献ができる商品を用意できること、あるいはその姿勢と実績を持つことが重要です。当社はこれからも、「公共環境を表現する」というテーマの下、新しい製品、新しい事業へのアンテナを常に張りながらも、まずは高齢化、障害者への対応という形で社会貢献を行ってまいりたいと考えております。

本日はお忙しいところ色々とお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
御社の今後益々の御発展と皆様の御活躍をお祈り申し上げます。
 
              《《《 会 社 概 要 》》》
   
会 社 名 株式会社キクテック  

新美 喜久雄 社長
本   社 愛知県名古屋市南区加福本通1丁目26番地  
設   立 昭和年38年12月  
代 表 者 代表取締役社長 新美喜久雄  
事業内容 路面表示用塗料、交通標識などの交通安全施設、機材や広告宣伝用品の製造・販売  
資 本 金 8000万円  
従 業 員 348名  
U R L http://www.kictec.co.jp/  
T E L 052−611−0680  
F A X 052−613−3934  
取材:平成19年 8月27日 総務課 情報公開・広報室


 中部経済産業局 総務課 情報公開・広報室

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