HOME > 中部発きらり企業紹介

中部発きらり企業紹介 Vol.29

バックナンバー
  株式会社アパックス
あらゆる面で環境配慮に取り組むプラスチックダンボールメーカー

  今回は、中部地域の産学官が連携して取り組んでいる“環境付加価値を創造する製品開発支援ネットワーク”『エコプロネット』への参加企業で、繰り返し利用可能な自由設計プラスチックダンボールでできた折りたたみコンテナ『アパコン』の製造販売を行っている株式会社アパックス(岐阜県恵那市)の町野邦文社長に岐阜県恵那市にある一の沢工場でお話を伺いました。

御社は昭和44年に創業されたとお聞きしておりますが、創業された経緯、きっかけなどについて最初にご紹介いただけますか。

株式会社アパックス(一の沢工場)
 
町野社長:
  当社は、私の父が昭和44年に恵那ダンボール(株)の下請企業「町野紙器(株)」として創業したのが始まりです。私の父は、以前は大阪で兄弟が営む堺化学工業(株)で働いていましたが、起業を志して、別の兄弟が営むダンボール会社があるここ恵那市に移って来ました。当時、私は20代で、ダンボールのことを一から学ぶため父の会社には入らず、恵那ダンボール(株)に働きに行っ
 
ておりました。創業当時は、茶碗の包装用ダンボールが主な製品で仕事も多く、恵那ダンボール(株)の下請企業は当社以外にも10社程度ありました。また、昭和55年には、三菱電機中津川製作所からの包装業務も請け負うようになり、仕事も順調に増えていきました。
  しかし、世の中で環境問題が注目を集めるようになると、私自身、“大量生産・大量消費の時代は終わる”と感じ、これからは、木を大量に伐採して製造する紙ダンボールから別の素材に変えていかなければいけないと強く思うようになりました。そこで、目を向けたのがプラスチックダンボールです。
 

アパコンの6つの構造

御社では、昭和57年にプラスチックダンボール製品の製造販売
を始められたということですが、御社の主力製品であり、環境配慮型製品の折りたたみプラダンコンテナを開発するまでには、様々なご苦労をされたのではないでしょうか。
   
  町野社長:
  折りたたみプラダンコンテナ「アパコン」を製造販売するように
 
なるのは平成7年ですので、それまで試行錯誤を繰り返しました。紙ダンボールではなく、繰り返し利用できるプラスチックダンボールを開発すれば、紙の使用量が減り、木の伐採量も減ります。繰り返し利用することで省資源にもなりますので、売り捨て買い捨  
てでない無駄のない製品作りを目指しました。そこで、開発にあたり、素材として浮かんだのがポリプロピレンでした。
  私は、もともと学生時代から大変化学に興味があり、高校時代に化学の授業で、先生が夢の繊維「ポリプロピレン」が登場したという話には大いに胸を躍らせたものです。しかし、実際に事業としてポリプロピレンの特性を理解し、この素材を使いこなすまでになるには、簡単には行かず時間や労力を相当費やしました。
  最初、一枚のポリプロピレンの板を加工して作る折りたたみプラダンコンテナは、重さや使用頻度が増えるにつれ、すぐ切れて使えなくなってしまうという意見が関係者の中で大半を占めていました。しかし、ポリプロピレンを延伸すると耐曲げ疲労性が顕著に向上するというヒンジ(ちょうつがい)特性を知っていましたので、何とかこの性質を上手く利用して、様々な容器の蓋と本体を連結する一体成形(ヒンジ成形)ができないか研究しました。開発を進める中で、紙ダンボールの従来の工作機械では加工できないことが分かってきたことから、ヒンジ成形を可能とする工作機械を独自に開発することにしました。それからというもの、毎日、この問題と向き合い、正月に親類が集まった際にも、アイロンを手にもって議論をしたほどです。その後、熱、圧力、時間、素材などの成形に関わるノウハウの蓄積や親類をはじめ関係者の協力の結果、自社開発の工作機械を完成させることができました。これにより5年間の歳月を経て、折りたたみプラダンコンテナ「アパコン」の製造・販売に漕ぎつくことができました。
 

それでは、御社が長年努力を積み重ねた結果、開発された折りたたみプラダンコンテナ「アパコン」の特徴について教えていただけますか。

プラダン製折りたたみコンテナ「アパコン」


アパコンの特徴の一つが軽さ「アパコン(左)はポリコンテナ(右)の半分以下の軽さ」
 
町野社長:
  「アパコン」の主な特徴は、“軽い、薄い、強い、安い”です。
  1つ目の“軽さ”についてですが、通常のポリコ
 
ンテナと比べて約半分の軽さです。作業者の負担が軽減されるとともに、物流する上で、燃費が向上するのでCO2の排出削減に貢献できます。
  2つ目の“薄さ”ですが、折りたたむと1/4以下のサイズとなり、保管スペースの削減に貢献できます。
  3つ目の“強さ”ですが、先ほどご紹介したポリプロピレンのヒンジ特性等を活かして、300万回以上の折り曲げに耐えるほか、落下しても壊れにくい、水、油、薬品に強いなどの特徴もあります。
  4つ目の“安さ”についてですが、何と言ってもトータルコストが安いことです。当社耐久基準に基づくと350回以上の繰り返し使用が可能で、従来の使い捨てダンボールに比べるとはるかに経済的で環境負荷を少なくすることができます。
  これらの4つの特徴のある製品ですが、この他にもお客様の様々なニーズにお応えできるよう、当社では、規定サイズとオーダーメイドの2通りの選び方ができるようになっています。規定サイズのアパコンは、日常よく使われるサイズを50種類用意しており、低価格で提供しております。一方、オーダーメイドのアパコンは、お客様のニーズに合わせサイズやカラーを自由に設計できるようになっており、少量のオーダーにも対応致します。
 

アパコンIChan(あいちゃん)


アパコンHammock(ハンモック)

御社の「アパコン」に対するお客様からの反応はいかがですか。
   
  町野社長:
  当社の製品に対しては、省資源や作業効率の向上、さらにはお客様のコスト削減に繋がるということで、高い評価を頂いております。特に、
 
当社のオーダーメイドにより、お客様の業務内容にあわせて自由に設計できることがお客様に喜ばれています。2002年には、トヨタ自動車さんに1万ケース以上を購入していただくなど、これまで着実に販売実績を増やしております。
  また、当社では、お客様の様々なニーズを参考に、時代にあった商品を積極的に提案しております。例えば、物流現場においてどの方向からでも読み取り可能なICタグを内蔵した「アパコンIChan(あいちゃん)」、セキュリティ保護のため箱内部へのアクセスが容易にできない全面封鎖型の「アパコン用心棒」、内容物を不織布のハンモック状仕切で宙吊りにして精密部品等を保護する「アパコンHammock(ハンモック)」、衣類の保管・輸送に便利な折りたたみハンガーボックスの「アパコンはごろも」など、多くの新商品に繋がっています。




 

御社の「アパコン」は、環境負荷の低減、資源の有効活用という理念から生み出された製品で、かつ多様性というニーズにも合致した環境配慮

廃プラスチック油化装置「フェニカ600」


排出される油の品質向上のため、
油化装置は何年間も研究されてきた
型製品であることも御社の強みになっているのではないでしょうか。また、御社では、製品のみならず製造工程などにおいても環境配慮の取り組みを行っているとお聞きしたのですが・・・
 
 
町野社長:
  資源やリサイクル材の使用などは、現代社会においては今後益々重要になっていくのではないでしょうか。そこで、当社では、製品のリサイク
 
ルだけを考えるのではなく、「アパコン」の製造段階から全体として3つのサイクルに取り組んでいます。
まず1つ目は、不要になるまで繰り返し使用する“アパコンサイクル”です。アパコンは繰り返し利用できるので、紙ダンボールよりも環境負荷が低減でき、地球温暖化対策の効果にも繋がるもので地球環境との新しい共生のスタイルと考えております。
  2つ目は、製造過程で発生する端材を部材として再生させる“マテリアルサイクル”です。端材を粉砕しペレット化することでフレーム部材としてリサイクルさせることにができ、ゴミの発生を抑制し資源の有効活用を実践しています。
  3つ目は、独自の技術で自社開発した廃プラスチック油化装置を用いて工場内の発電機・ボイラーの熱・電力として利用する“サーマルリサイクル”です。お客様が不要となった場合には当社へ返却してもらい、当社で再生資源化を図っています。現在社会において、プラスチックはなくてはならない素材となっていますが、
 
使用済みのプラスチックの処理が深刻な問題ともなっています。そこで、当社では、この問題をサーマルリサイクルとして解決しています。
  ご紹介した3つのサイクルの中で、特に自社開発の廃プラスチック油化装置を利用したサーマルリサイクルでは、抽出した5種類の油やガスのうち、その85%〜90%をエマルジョン燃料として利用できる段階までに至っています。全国的に見ても、小型の油化装置としての性能レベルは非常に高く、現在当社では、この技術をジャパンエナジー関連会社に提供しており、将来、全国各地の製造現場に普及し、この油化装置が活用されることになれば大変うれしく思います。
 
 

最後になりますが、御社の今後の企業活動の方針について、お聞かせいただけますでしょうか。
 
町野社長:
  当社では、社名がアパックスとあるように(APPAX:Advanced Projects of Packaging for X=(Future))、今後将来にわたって、自然環境の保全に努め、物流の効率化や再利用を考慮した製品の開発・製造を実践していくことにより、自然環境と共生できる生産活動を目指して
 
いきたいと考えています。そのためには、まず循環型社会の形成に貢献できる繰り返し使えてその使命を果たした後も資源として有効に活用できる無駄のない製品の製造販売に力を入れていき、限りある自然を破壊することになく、持続可能な生産活動を通じて平和な社会に貢献できる企業としていきたいと考えています。
  また一方、当社では、地域に向けた環境教育プログラムの提供やNPO法人「地球を化学技術で守る会」の事務局を自社内に設置するなど、環境問題に対して幅広い活動・支援を行っています。自然環境と共生できる生産活動を行っていくためにも、今後もこのような取り組みを幅広く続けていきたいと考えています。
 

本日はお忙しいところ色々とお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
御社の今後益々の御発展と皆様の御活躍をお祈り申し上げます。
 
              《《《 会 社 概 要 》》》
   
会 社 名 株式会社アパックス  

町野邦文 社長
本   社 岐阜県恵那市長島町中野1228番地69  
設   立 昭和44年4月  
代 表 者 代表取締役社長 町野邦文  
事業内容 プラスチックダンボール製品の加工販売、廃プラスチック油化装置の設計・販売、紙ダンボール製品の加工販売。  
資 本 金 3000万円  
従 業 員 50名  
U R L http://www.appax.com/  
T E L 0573−26−3155  
F A X 0573−25−6132  
取材:平成19年 7月31日 総務課 情報公開・広報室
著作権:中部経済産業局