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中部発きらり企業紹介 Vol.28

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  株式会社マツバラ
〜 9割以上バリ無しの鋳造技術を持つ環境対応の小物鋳物専門メーカー

  今回は、中部地域の産学官が連携して取り組んでいる“環境付加価値を創造する製品開発支援ネットワーク”『エコプロネット』への参加企業で、鋳造工場においてゼロエミッション・クリーン化を実現するほか、製品の納品先における部品加工の省エネ化、省資源化、生産の効率化に寄与する加工性の良い鋳物の製造に取り組まれている株式会社マツバラ(本社:岐阜県各務原市)の松原光好社長に岐阜県関市にある関工場でお話を伺いました。

  御社は昭和25年に創業されたとお聞きしておりますが、創業された経緯、きっかけなどについて最初にご紹介いただけますか。

関工場(本事務所 )


関工場
 
松原社長:
  当社は、戦前、料理旅館を営んでいた私の父が、戦後、新たな事業に取り組もうと考えていたおり、親戚に鋳物に詳しい人がいた影響で、各務原市にある料理旅館の跡に個人
 

経営の松原鋳造所を昭和25年に設立したのが始まりです。初めは、両親と数人規模の会社でしたが、朝鮮特需とともに仕事が増え、これを契機に工場の敷地や社員も増やしていきました。昭和36年には、現在の本社の場所に、岐阜県下初となる鋳造プラント工場を完成しました。
  しかし、世の中で公害問題が大きな関心事となってくると、当社のような鋳物製造業は、街中で操業できなくなってきました。そこで、昭和60年、兄が2代目の社長の時に、ここ関市に鋳造部門を全面移転させ、同年10月に社名も株式会社マツバラに変更しました。
                                                  

 

白い作業着の採用


キューポラ集塵装置

  御社が、鋳物づくりをされていく上で特に留意されてきたことをお話いただけますでしょうか
   
  松原社長:
  鋳物づくりを行っている当社では、公害を出さないということをテーマとし、環境をキーワードに、特に3つの環境に配慮した活動をこれまで行ってきました。
 
  一つ目は、「職場環境を良くする」ことです。一般的に3K労働(きつい・汚い・危険)ともいわれる鋳物製造業ですが、社員が働きやすい作業環境を整えるため、作業者が汗をかかないようにスポットクーラー(冷風を送風する装置)を至る所に設置して、快適な作業場になるように努めており、作業着も清潔な白に統一しました。さらに、社員にゆとりを持って創造的に働いてもらえるように週休二日制と二直生産対応システムを取り入れています。
  二つ目は、「自然環境の保全」です。一般的に鋳物工場に対する印象は、粉塵や黒い煙を出すようなイメージが強いかもしれませんが、当社では、ECO環境対応とセントラルクリーニングシステムを導入して、常時工場内で発生した粉塵をECO環境対応棟で一カ所に集め、工場内をクリーンに保っています。また、集められた粉塵等を有効活用するためにゼロエミッションも実施しています。例えば、油含有砂は油分を飛ばしてセメントや細骨材に活用し、鉄を溶解するキューポラから生じる落底廃棄物はコークス及び鉄に分離して再資源化しています。また、スラグは分離・破断して路盤材として活用しています。このように当社は、再資源化と環境汚染防止に努めております。
  三つ目は、「地球環境への配慮」です。現在、私は岐阜県鋳物工業協同組合の理事長を務めていますが、地球温暖化対
 
策として、なんとか鋳物業界から出すCO2を削減したいと考えています。そのためにはまず、鋳物製造段階で排出されるCO2がどの程度あるのか、数値を算定するための計算式を求めるため、現在取り組んでいるところです。
 

  御社の環境に対する取り組みでは各方面から高い評価を得られており、今回、経済産業省が実施した「元気なモノ作り中小企業300社2007年版」にも選定され注目されていますが、これからの環境面での取り組み課題は何でしょうか。

日本環境経営大賞受賞


環境優良賞受賞
 
松原社長:
  当社では、環境配慮や省エネについて、早くから取り組んできました。このような取り組みに対して多くの方から評価いただいたことを大変うれしく思っています。最近では、ISO14001の1996年認証後、平成17年に日本政策投資銀行の環境格付特別融資の適用、また昨年には、三重県より日本環境経営大賞(優秀賞)、財団法人素形材センターからは環境優良賞を受賞しました。当社では、鋳造業で初の環境における三冠を達成したと喜んでおります。
このほかにも、中部地域の産学官が連携して取り組んでいる“環境付加価値を創造する製品開発支援ネットワーク”『エコプロネット』の活動に参加しています。当社の製品も、使用段階では工具の長寿命化、製造段階では省エネルギー型部品、製品の設計などの観点から作っています。このような考え方が少しでも広がり、この地域の環境対応型企業への評価が高まるとともに、CO2削減などを通して地球環境の保護に繋がっていけばと思っています。
  当社では、省エネ、省資源、再利用の確立とCO2発生の1/2削減を目標として如何に効果や成果を出すかについて取り組んでいきたいと思っています。
 

グリーンボンドを添加した砂の様子


高被切削性を実現

  御社では、ご紹介いただいた環境配慮活動の取り組みの他にも、環境付加価値を創造するとともに高品質の鋳物製品の開発もされていると伺っておりますが・・・。
   
  松原社長:
  当社では、鋳型を作る際に使用する鋳物砂への添加材である「グリーンボンド(Green Bond)」を開発しました。鋳型となる鋳物砂の性質は、
 
鋳物の品質を決める上で非常に重要となります。当社も以前から鋳砂に良い影響を与えることができる画期的な添加材の開発に取り組んできました。その研究開発の中で、15年ほど前に開発したグリーンボンドは、米国トウモロコシの高品質アルファー澱粉とギルソナイトという天然のアスファルトのような物質を調合することによってできました。グリーンボンドの効果は、低水分による鋳型への充填性の向上や、ギルソナイトのガスフィルム作用によって非常になめらかな鋳肌、優れた保水性と熱間強度の高い鋳型などをもたらします。
  このようなグリーンボンドの効果により、当社の製品は、添加材使用量の大幅な削減、不良率の減少を実現するとともに、9
 
割以上をバリ無しで製造することが可能になり、そのうち6割以上については、仕上げもない鋳造が可能となりました。また、寸法精度の向上により品質向上にも繋がりました。
さらに、ご購入いただくお客様にとっては、当社製品の高切削加工性により、加工費の大幅コストダウン、加工刃具の寿命の持続性増大、加工速度の20〜30%アップなどのメリットも実感していただけるようになりました。
  この画期的な添加材であるグリーンボンドは、開発から10年以上の使用実績を積んできたことからデータ面も充実してきましたので、お客様にも一層信頼していただけるようになりました。現在では、同業他社の方にもご購入いただいております。
 

  御社の開発したグリーンボンドは、多くのお客様から評価していただいていますが、御社の鋳物づくりに対するお考えをお聞かせいただけないでしょうか。

バリ取無しの鋳物
 
松原社長:
  当社では、お客様のニーズに合わせ、空調部品、自動車部品、油圧部品、産業機械部品など幅広く製造しておりますが、小物の鋳物に特化
 
ることにしています。当社では、先ほどご紹介したグリーンボンドの他にも良い鉄素材などを使用していることから、寸法精度が非常に高く、通常2〜3o程度生じるバリを当社では0.5o以下に抑えることができます。これは、日本工業規格においてもバリと
 
は認められないほどです。この高精度な技術を強みとして活かすため、当社では小物の鋳物に特化することが重要だと考えています。
  当社の製品に対しては、国内のみならずフランスなどの海外のお客様からも非常に高い評価をいただいており、生産量を2 倍、3倍に増やしてほしいという依頼がきております。現在、最新鋭の設備機器を導入するなどして、小物鋳物で月に1人20トンの生産を行っておりますが、今後は、更なる増産体制についても検討しなければいけないと思っています。
 

良い鋳物づくりのための4つの要因


  最後になりますが、御社の今後のビジョンについて、お聞かせいただけますでしょうか。
   
  松原社長:
  これまで当社は、「鋳物づくりは人づくり、真心づくり」を合い言葉に、地道に固有技術、管理技術に磨きをかけるとともに環境配慮活動を行っ
 
てきました。当社のグリーンボンドも10年以上の実績があってこそお客様から信頼していただいているのだと思います。今後も、当社の製品に対して高品質で安心だというイメージを持ち続けていただくため、5年先、10年先も信頼してもらえるような  
企業にしていきたいと思います。そのためにも、まず、本業の鋳物づくりにおいては、四つの要因である“良い型、良い砂、良い造型機、良い溶湯(溶けた鉄)”の最適条件を常に心掛け、日々頑張っていきたいと思います。
 

本日はお忙しいところ色々とお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
御社の今後益々の御発展と皆様の御活躍をお祈り申し上げます。
 
              《《《 会 社 概 要 》》》
   
会 社 名 株式会社マツバラ  

松原光好 社長
本   社 岐阜県各務原市那加浜見町1丁目10番地  
関 工 場   岐阜県関市迫間字大下1番1【お問い合わせ先】  
設   立 昭和25年2月  
代 表 者 代表取締役社長 松原光好  
事業内容 自動車部品、コンプレッサー部品、油圧部品、空圧部品、産業機械部品、家庭電器部品、バルブ・ポンプ部品、農業機械部品、モーター部品 の鋳造  
資 本 金 9,720万円  
従 業 員 120名  
U R L http://www.k-matsubara.co.jp/  
T E L 0575−24−5657  
F A X 0575−21−0012  
取材:平成19年 7月17日 総務課 情報公開・広報室
 



中部経済産業局 総務課 情報公開・広報室

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