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中部発きらり企業紹介 Vol.24

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  株式会社アドホック




〜必要とする最新情報を解りやすく〜

 

 
 今回は、私ども経済産業省中部経済産業局の中小企業課で担当している補助金事業である「新連携対策補助金(事業化・市場化支援事業)」を平成18年度に活用して、「ブロードバンドネットワークを活用したリアルタイム婚礼エンドロール映像等提供事業」に取り組まれている株式会社アドホック(名古屋市千種区)の藤井則次社長にお話を伺いました。
 

御社は藤井社長が28歳の時に創業されたとお聞きしておりますが、創業された経緯、きっかけなどついて最初にご紹介いただけますでしょうか。  


株式会社アドホック

   ファースト池下ビル3階に入居

藤井社長:

 

 

 

 初めに結構いろんな経験をした学生時代のことからお話しますと、私は、滋賀県の生まれで、大学は福井大学工学部で繊維工学を専攻しました。ですから、大学時代は、コンピュータ関係には関心もなく、もちろん基本的知識も持っていませんでした。当然将来今のようなマルチメディア関連の会社のしかも社長になるとは夢にも想っていませんでした。ただ、英語には興味があって、当時憧れていた、ある事業家の影響もあってアメリカに行ってみたいという強い思いは持っていました。
 ということで、実際大学3年の時にアメリカに留学しました。アメリカでは勉強もしましたが、いろいろな経験もしました。旅客機の壁紙のデザインやカメラアクセサリーの販売などのアルバイトなどです。その時小さなカメラ販売店で、ホールセール業務やショップ営業に携わったことがあったのですが今思えば良い経験をさせてもらいました。
 その後訳あって学業も志半ばで帰国しまして、大学生時代にお世話になった方から、“応援するから名古屋で何か事業でもやってみないか”と声をかけてもらい、名古屋で新しい仕事を始めたのが、その後創業する一番初めのきっかけだったように思います。
 支援を貰って名古屋で最初にやった仕事は、留学時代の経験を活かしたもので、まだ当時は珍しかった「海外長期
  滞在プラン」という海外ツアープランの企画・販売です。この仕事は予想以上に大きな反響があって、一時は北海道から沖縄までの旅行者等と契約し、多くの若者のアメリカ留学をお手伝いしました。その後、当時日本企業の海外進出が盛んになるにつれて海外向けの企業紹介VTRや外国人社員用の技術教育VTRに英語のナレーションを付ける仕事がたくさん舞い込んでくるようになり、結構多忙な日々を送っていました。ちょうどその頃です、それまで個人事業者として経理処理を含め何とか仕事全般のやりくりをしていたのが、だんだん仕事が忙しくなって、会社組織にして経理なども含め事業をきちんとしたほうが効率よく仕事ができると世話になっていた税理士さんから言われたのは・・・。このアドバイスが今の会社を設立した直接のきっかけになります。それが昭和57年のことです。

 
 

当時は0.5秒のCG作成のために
1日費やしたという

 






藤井社長

藤井社長が28歳で創業されるまでには、アメリカでの経験や周囲の人とのお付き合い、支援が大きく関係しているということですが、次に、その後現在の御社の主要事業であるCG(コンピュータグラフィックス)などのマルチメディアの企画・制作分野に進まれた経緯などについてご紹介いただけますか。 

 そもそも、私がコンピュータに関心を持ったのは 、帰国後、高校の英語講師をしていた時期があったのですが、その高校の理科の先生がパソコンクラブを指導して
いて、その時に初めてパソコンというものに接したのがきっかけでした。その時は単に世の中には、面白いものがあるんだなと思う程度でした。しかし、その後コンピュータの可能性、将来性を本当に実感したのは、PC−9801というパソコンが世の中に出た時です。初めて“コンピュータを計算機ではなく、映像を作る道具”として利用できるなと感じたわけです。以前からタイプライターをブラインドタッチで打つことができたので、それからの一年間必死にコンピュータの勉強をして、何とか映像制作もできるようにもなりました。こうしてパソコンによる映像制作の可能性について自ら体感したことが、その後マルチメディアの分野に突き進んだきっかけになったかもしれません。
 ということで、株式会社アドホック創業後、本格的にCG分野に進むために、それまでの業務のほとんどを他の人に譲りました。当時では珍しい三次元CGシステムを整備して、水やガラスなどの透明モノをCGで表現することにも成功して、順調にCG事業も拡大しました。例をあげますと、あるアパレルメーカーから全国ネットのCMで使うため、企業名を透明モノのCGで制作してくれないかという依頼が舞い込み、このCMが予想以上の反響を呼び、口コミで同様なCG制作の依頼が殺到しましたし、地元名古屋のあるテレビ局に制作納入したお天気マークが動くアニメーション天気予報システムがきっかけとなり、名古屋だけではなく東京のキー局からも仕事の依頼が来るようになりました。
 このように、お陰様で当社は幸運にも営業をほとんどすることなく、仕事の依頼が来るようになりましたし、「中部未来博」や「デザイン博」、最近では「愛・地球博」のパビリオンなどでも使われるようなクリエイティブな仕事も多くいただけるようになりました。



CGなどのマルチメディアの企画・制作事業が主力事業になるまでの経緯がよく分かりました。新しい事業をするために、成功している事業でも躊躇せず他人、他の企業に譲ってしまう。これが他社にない御社の強み、成功のポイントということでしょうか。 こうした御社の新事業への挑戦の沿革の中で、御社が平成18年2月に経済産業省中部経済産業局から「新連携事業」の認定を受けた『ブロードバンドネットワークを活用したリアルタイムエンドロール映像等提供事業』という新しい事業についてご紹介いただけますか。
 


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藤井社長  最近の結婚式は、手作りウェディングやレストランウェディングなどの人気が高まっており、参列者にも楽しんでいただける企画、演出が求められるようになっています。そこで、考えたのが披露宴の最後に、挙式の感動とゲストの笑顔を、すぐさま披露宴の最後に映像で演出すれば、新郎新婦はもちろん、すべての参列者の記憶に末永く残る、より思い出深い結婚式が演出できるのではということです。これを具体化したのが『ブロードバンドネットワークを活用したリアルタイムエンドロール映像等提供事業』です。
 具体的には、ウェディング会場からインターネット回線で伝送される挙式・披露宴の写真を素材にして、テレビドラマのエンディングに流れる回想シーンと出演者のロールスーパーのように挙式と披露宴を一連のドラマに見立て、ドラマチックな映像を披露宴終了1時間前までに当社内で仕上げ、その映像を結婚式場内に設置した専用端末を遠隔操作してDVDを制作し、披露宴のエンディングで上映する、というサービスです。
 当社は、情報技術の基本概念である「必要とする最新情報を解りやすくをベースに、プログラム、通信(インターネット)、ビジュアルの融合による事業を展開していますので、お客様との距離を縮めて、瞬時にコミュニケーションをとる技術の提供は、まさしく得意の事業というわけです。
 
 


ブロードバンドネットワークを活用したリアルタイム婚礼エンドロール等映像提供事業

 



既にこの事業は全国展開されておられますが、お客様からの反応はいかがでしょうか。

藤井社長:   大変うれしいことに、この事業については結婚式場からも非常にご好評をいただいていて、たくさんの“導入したい”という声を頂戴しています。利用いただいた新郎新婦へのアンケートの結果でも、結婚式で一番良かった所としてこのエンドロール提供事業が挙げられています。この事業の今年度の売上は既に昨年度の200%アップを達成していますが、どうも友人の結婚式でこのサービスを知った人達が自分や知り合い、友人の結婚式でも是非利用を、というように口コミで広めていただいているようです。


 
今では結婚式場関係者からもたくさんの支持を得ておられるようですが、このブライダルの分野に初めてこのエンドロール提供サービスの話を持ち込まれたとき、すんなりとその価値が認められ、ブライダル市場に新規参入できたのでしょうか。
 
藤井社長:  この事業は、もとは、平成15年度に中部経済産業局の中小商業ビジネスモデル支援事業として行った『e-CREATION調査』の結果、ブライダルマーケットでのコンテンツ制作事業の大きな可能性、将来性が明らかになったことから取り組んだ事業です。しかし、ブライダルの世界は、写真、雑誌、ビデオなどいろいろな事業者が関わっている世界で、その分野では全くの素人である当社が単独で新規参入することは非常に難しく、不可能だということが分かりましたので、既にブライダル関連事業を手掛けられている事業者さんなどと連携できれば参入できるのではと考えたわけです。具体的には本事業では、結婚式場での映像提供ノウハウを持っておられる有限会社クライムさん、ITを活用した多彩なサービスを企画・展開、営業開拓が得意な株式会社クライムキューブさんとの連携になります。この3社による連携事業が、今年度中部経済産業局から事業認証いただき、「新連携対策補助金(事業化・市場化支援事業)」をいただいているものです。
 実は、既にこのエンドロール提供事業については、ご案内のとおりハワイやグアムなどの海外で挙式をあげる日本のお客様も非常に多いので、そうした日本人が利用する海外の結婚式場などにも進出・展開していますし、結婚式に限らず、葬儀や会議、会社設立パーティなどの演出にもこのサービス事業は活用できるのではないかということでそうした新分野への展開も現在検討中です。


 
 


バーチャルバスガイドシステム


バーチャルマーケティングシステム

 
御社のこのエンドロール提供事業は、確かに様々な場所で活用できる可能性がありますね。この他に、御社で取り組まれている新しいアイデアを差し支えなければご紹介いただけますか。

藤井社長  それでは、折角ですから主なものを二つ紹介させていただきます。
 一つは、GPSと連動して、自動でコンテンツを再生し観光案内をする「バーチャルバスガイドシステム」です。バスガイドさんがマイクを持って説明している内容を、バスのフロントガラス付近のディスプレイに現れる“バーチャルバスガイド”がグッドタイミングに車窓から見える景色などを適確に説明するシステムです。このシステムの大きな可能性としては、日本語だけでなく基本的にどの外国語でのバスガイドにも対応できる点です。既に数社のバス会社から採用決定いただいていますし、4か国語に同時対応できるように作業を今進めています。

   もう一つは、人間の視線、注視点を追跡・把握することで、例えば買い物時の消費者心理を分析するというような「バーチャルマーケティングシステム」です。従来、類似のもので頭や背中に大きな装置を取り付けたりして行うものはありましたが、このシステムは身に着けているか傍目には分からないほど、目立たない、コンパクトな大きさになっています。ですからこのシステムを身に着けた例えば、歌手の視線上のお客様の姿を会場の画面に映し出すとか、生徒の視線の動きの違いを比較することでIT教育と普通教育の違いを調査するというように、多彩な活用用途が考えられます。

 


御社では、本当に新しいアイデアが次々に生まれてきているようですが、何か特徴ある組織づくりとか、仕事のやり方、人材育成、人材活用策などに取り組まれているのでしょうか。
 
藤井社長  当社では、一人一人の社員のクリエイティブな能力が最大限に集中的に発揮されるように担当を明確した分業体制を採用しています。それと、担当の仕事は一人に任せるのではなく、チーム単位で任せています。これは個々の社員に余計な精神的プレッシャーをかけないようにするためです。あと、プレッシャーに関係することで、特徴的なことと言えば、当社で は「ミスが絶対許されない仕事は請けない、行わない」ことにしています。例えば、会計ソフトの開発制作などのお金に関わる仕事とか、 怪我を招く危険のある仕事、あるいは、納品ソフトのトラブル発生時に当社に過度の負担、影響が生じる仕事などは、受注の範囲外です。


独自の採用方法とチーム作業による分業体制

   この方針で仕事を選んでいますので会社として過度の外圧を受けませんから、社員も一定の精神的余裕を持って新しいアイデアを生み出してくれていると思っています。
 それから、人材育成に関連することですが、当社では新人の採用は非正社員で雇用した一定の経験を積んだ人材の中から、当社採用基準を満たし、かつ、正社員雇用を最終的に希望する人材のみを正社員として採用する方式を取り入れています。具体的に説明しますと、まず誰もがアルバイトとして社内クリエーターの作業補助や事務作業補助の仕事から始めます。このステップをクリアした人は次に、自分が所属したいチームに実際に所属して常勤のアルバイトとして仕事をします。そして最後の段階として、所属チームからチームのメンバーに正式に入れたいという要望が出された人が、最終査定と本人の意志により正社員になれるというものです。
 世の中には、芸術・文化活動を生活の中心にしていて、毎日働くことができない人もいますから、当社ではそんな人も能力とやる気さえあれば、希望する日数、曜日、時間だけ働けるような仕組みを導入しています。実は、昨年、この当社のIT人材の育成、活用のノウハウと市場のIT人材需要の高まり、希望する時間だけ働きたいIT人材の存在を活かした、IT人材の派遣を行う100%子会社の株式会社クリエイティブ ラボを設立しました。『“わがまま”に働くと楽しい!“ワガママ”に雇うと効率アップ!』をキャッチコピーにした会社で、お陰様で順調にいっています。

 
 


IT経営百選「最優秀賞」を受賞

 


 

藤井社長

御社は、当地域でも非常に元気のあるIT企業のうちの一社だと思いますが、東京など他の地域と比較して当地域のIT産業の発展が遅れていると言われていることについて、どう思われますか。

 当社も、東京のお客様から仕事を請け負うことがあります。そうした当社の収めた商品を、巡りめぐって東京で良いIT業者探しをしていた地元名古屋の企業が知って、結局地元名古屋にも良いIT企業があることを認識するケースがありします。この地域の企業というか、人たちには、“隣の芝生は青く見える”ようで、どうも地元以外のものが良く見える、高く評価したくなるという特徴があるようです。
 この地域のIT企業、IT産業をもっと発展させるためには、地元のニーズに対してはもっと地元IT企業ももっと頑張らなければならないと思います。確かに、IT産業の発展に欠かせないたくさんの出版社や、キーテレビ局が東京には集まっています。映画など特にハイクオリティな分野では東京には敵わないかもしれないけれども、それは、ほんの一分野に過ぎないと思います。
 
  東海地域はモノ作りが盛んで、いろいろな高度なモノ作り技術を持った企業がたくさんあります。ただ残念ながら、それら企業が保有する良い技術を紹介するためのプレゼンテーション資料や研修資料の制作には、現在、あまりクオリティは求められていないように思います。
高度なモノづくり技術や高品質な製品づくりをする企業が当地域にはたくさん存在するわけですから、これらの企業がプレゼンテーション用などの資料についても高いクオリティを求めれば、自ずと当地域のIT企業のCG技術やデザイン力、さらにはIT産業を発展させることに繋がると思います。
 最近、トヨタ自動車の海外部門や販売部門の本社機能が名古屋に移転・集中されたことは、当地域のIT産業発展の一つの契機になるのではと期待しています。

 

確かに、当地域のIT産業を盛り上げるためには、モノ作りが盛んと言われるこの地域の経済・産業を支える企業との仕事上の繋がりの存在が欠かせないということがよく分かりました。 それでは、最後に、今後、御社が更なる飛躍をするための課題と考えておられることについてお聞かせいただけますでしょうか。
 
藤井社長  当社は、これまで営業をしなくても、当社のアイデア商品の可能性に期待するたくさんのお客様がお客様仕様の商品づくりの仕事を持ち込んできてくれて経営が成り立っていました。しかし、このことは見方を変えれば当社は基本的に受身体質の企業だということです。これからの時代、待ちの姿勢では安定した経営は続けていけないと考えていますので、時代の流れ、移り変わりとともに世の中のニーズも変わるように、これからは今まで以上に自社発の新しい企画・制作商品を数多く生み出して、積極的にお客様に提案、販売していくことが必要になってくると思っています。
 そのために、人材面では、クリエイティブな仕事に従事する社員の数を100人規模まで増員する必要がありますし、営業面では、個人顧客を対象としたインターネットサービス事業の展開が不可欠だと考えています。経営面では、既に資金繰り計算用のソフトウエアを自社で開発し、当社の資金管理体制を先行整備しました。当社にとって好調な今が、株式上場や後継者育成を含めた当社の将来のあり方について戦略的に考えるべき良い時期だと思っています。



 

本日はお忙しいところ色々とお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。御社の今後益々の御発展と皆様の御活躍をお祈り申し上げます。

      
会 社 概 要
 

会社名: 株式会社アドホック
本 社: 愛知県名古屋市千種区池下1−11−21
ファースト池下ビル3F
  設 立:   昭和57年11月
代表者: 代表取締役社長 藤井則次
  事業内容: マルチメディアシステムの企画・制作
  資本金:   5000万円
  従業員:   54名(パート・アルバイト含む)
  URL:   http://www.adhoc.co.jp/
  TEL:   052−764−2652
FAX:   052−764−2653



藤井 則次 社長

取材:平成19年3月2日 総務課 情報公開・広報室
 


 中部経済産業局 総務課 情報公開・広報室

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