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中部発きらり企業紹介 Vol.23

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  株式会社ヨシタケ




〜すべての流れを制御する縁の下の力持ち〜

   今回は、特に減圧弁・安全弁・電磁弁では独自ブランドを持ち、省エネや環境に対応したバルブの開発・製作に関して国内外から高い評価を得ている自動調整弁の専業メーカーで、中部地域の産学官が連携して取り組んでいる“環境付加価値を創造する製品開発支援ネットワーク”『エコプロネット」の活動に積極的に参加して、環境に適合したバルブ作りをさらに推し進めている株式会社ヨシタケ(名古屋市穂積区)の山田 哲社長と技術部の吉野幸司部長のお二人に愛知県小牧市にある小牧工場でお話を伺いました。
 






 

御社の沿革を拝見しますと、最初に1937(昭和12)年、株式会社フシマン製作所名古屋出張所開設とあり、その後1944(昭和19)年に同社名古屋工場を創立。そして、1948(昭和23)年1月に、その工場を『株式会社ヨシタケ製作所』と改称されたとなっています。まず初めに、御社がバルブを手がけられることになったきっかけについてご紹介いただけますか。  


株式会社ヨシタケ 本社 株式会社ヨシタケ 小牧工場
株式会社ヨシタケ創業者
山田武翁之像

山田社長:    当社の創業については、祖父の時代まで遡ります。祖父は証券会社で数年働いた後スポーツ用品店に転職して、販売の仕事をしたそうです。その時、バルブメーカーのフシマン製作所に野球のグローブの売り込みなどのために出入りしていた縁で、野球が非常に上手かった祖父がフシマン製作所野球部のコーチを頼まれ、やることになったそうです。こうしたことが縁で、祖父はその後フシマン製作所から誘われて、正式なフシマン製作所の社員として野球部のコーチのほか、バルブの仕事をするようになりました。
   祖父がフシマン製作所に入社した当時は太平洋戦争中で、フシマン製作所の本社工場が軍部の管理工場になったため新しくフシマン製作所の名古屋工場が当社の今の本社の地に開設され、終戦後、祖父がこの名古屋工場の経営を任されたのを機会に1948(昭和23)年にフシマン製作所名古屋工場を「株式会社ヨシタケ製作所」と社名を改称し、独立したのが当社のルーツになります。

 

お爺様の野球好き、野球上手がきっかけで、バルブ作りの道に入ることになったというのは大変意外で驚きました。お爺様が創業されてから約60年間、御社はバルブ作りに携わってこられたわけですが、最近のバルブ業界の状況はいかがでしょうか。
山田社長:   バルブ業界というのは、昔も今も民間の設備投資の動向の影響を非常に受ける業界で、販売先も工場関係、ビル関係、病院などが中心であまり変わりません。それと経済産業省が発表している「鉱工業生産指数」の変動にリンクした業績を辿るという点も変わりません。
   昨今、バルブ業界に新規参入してくる会社はほとんどありません。どちらかというと、国内では既に淘汰された状況になっていると思います。そうした中、当社は大量生産品ではなく、空調設備や暖房設備などの蒸気配管用バルブなどの受注品を主力製品にしています。ありがたいことに2005年の愛・地球博にも当社のバルブが結構使われました。
   バルブという製品は特定のところでしか使われない製品のように思われがちですが、実は非常に汎用性のある製品で、その使われ方は様々です。例えば、空調設備のラインに使われたり、何かの製造装置に組み込まれたり、大規模な生産ラインで使われたり、あるいは消防車などの特殊車両などにも使われています。バルブを買っていただいた企業が、それをどこにどんなふうに使ったりするのか分からないことも結構あります。バルブというのはいろいろなユーザーがいろいろな使い方を工夫して、それぞれの設備の付加価値を高める結構重要な製品というわけです。
 
ダイヤフラム式蒸気プロセス用減圧弁(フランジ型) モデル名:GP-2000

安全リリーフ弁 モデル名:AL-150  
 


 
なるほど、バルブにも数多くの種類があり、いろいろな分野で使われているわけですね。その中で、御社が力を入れておられるコアの製品は何でしょうか。
山田社長:    当社のコア製品は、減圧弁です。減圧弁というのは日本だけではなく、海外にもたくさんのメーカーがあり、結構昔から作られている長い歴史を有する製品です。当社でも、この減圧弁にこだわりをもって、世界で一番良いものを作ろうと、改良に改良を重ねてきていまして、性能については当社製品が随一だと自負しています。

 
具体的にバルブの性能の良し悪しの違いはどういうところに出てくるのでしょうか。
吉野部長:    制御する能力にその良し悪しの差が出ます。当社のバルブはいろいろなところに使われますが、どの場合でも管の中の流体の圧力を高い精度でコントロールする能力が当社のバルブに求められます。例えば、パンを蒸すときに、製造装置のバルブの制御が悪く、圧力がばらつくとその装置で作るパンの味は微妙に変わってしまいます。空調にしても管の中の蒸気の制御が悪いと室温などが微妙に変化して、ユーザーに迷惑をかけることになってしまいます。組み込まれるバルブが高い制御能力を持ってさえいれば、その設備で作られる最終製品や最終商品に悪い影響は出ません。
   生産設備では蒸気にしても水にしても、設備を稼動させるエネルギーになりますので、バルブの購入者・ユーザーがそのエネルギーを上手くコントロールして設備を使わないと最終製品の生産性に大きく影響してしまいます。ユーザーにとってバルブというのは非常に重要な部品になるわけです。ですから当社はこだわりを持ってバルブ一品一品を丹念に作っています。

御社は、最近タイにある工場の生産能力を拡大されたり、早くから製品販売のため海外企業と合弁会社を作られたりと、積極的に海外展開を図られておられますが、そもそも海外進出された理由というのはどこにあるのですか。  

タイ子会社 YOSHITAKE WORKS(THAILAND) LTD. アメリカ合弁会社 ARMSTRONG-YOSHITAKE,INC.

山田社長:    海外進出の理由は2つあります。バルブのボディーは鋳物でできていますが、昔は鋳物産業といえば日本の代表的な産業の一つで、たくさんの鋳物メーカーが国内に存在していました。しかし、最近では国内に鋳物メーカーが少なくなり、鋳物の調達が思うような時に、思う量調達できなくなってきたため、安く良い鋳物を作る自前の鋳物工場がほしいと考えたことが一つ目の理由です。二つ目の理由は、海外でも積極的にバルブを売って行くためには今まで以上にコスト競争力が必要で、それを高めるためには海外進出が不可欠と考えたことです。
 

テクニカルセミナーセンター(TSC)

TSC内セミナールームでの研修風景

TSC内セミナーボード

 
そうした海外展開の強化や、早くから取り組まれている省エネや環境に対応したバルブの開発・製作の実績も加わって、現在、既に御社製品は国内外で高い信頼と評価を得ておられますが、そうした中、“価値を創造する製品開発支援ネットワーク”の「エコプロネット」の活動に参加された理由についてお聞かせいただけますか。

山田社長:    元々は、私の父であり、先代社長の現会長がバルブや鋳物の“汚い”イメージを払拭したいと強く願っていたことにきっかけがあります。会長が1988(昭和63)年に、まだ当時バルブ業界には無かったテクニカルセミナーセンター(TSC)というお客様に実際に商品を使用してもらい、その良し悪しを判断していただいたり、大型スクリーン、コンピュータなどを使ったバルブの実演セミナーに使ったりする施設をこの小牧工場の敷地内にバルブ業界の中にあっていち早く造ったこともそうした思いを具体化したものの一つです。ちなみに、TSCは、それまでのバルブ業界に無いお洒落なデザインの建物内に設けられ、セミナールームにはバルブの能力をデモンストレーションするセミナーボードも備え、バルブの役割、能力などが実際自分の目で確かめられるように工夫されています。当社社員のみならず外部の方でもご希望に応じてTSCをセミナー、研修の場として使っていただいています。
   話しを戻しますと、当社では、1999(平成11)年のISO9001の認証取得を経て、2000(平成12)年にISO14001を全社一括で認証取得しています。以前から当社はバルブ業界の中にあって先駆けて本格的な環境活動に取り組んできています。ですから、これからも会長が目指した“バルブ”イコール“汚い”というイメージを払拭することはもちろんのこと、さらにお客様に省エネルギー、環境、安全、高効率生産性を提案し続けていくために必要な活動には全社的に取り組まなければならないと考えています。これが『エコプロネット』活動に参加している一番の理由です。
     この『エコプロネット』活動への参加のきっかけは、中部経済産業局開催の環境に関する各種セミナーに積極的に参加していた社員の意見です。ISOの認証取得はトップダウンで取り組んだものですが、『エコプロネット』活動は、ボトムアップでやることになったもので、社長としてはこうした社員の行動を大変嬉しく思っています。


ボトムアップの意見から実施することになったということは、御社では全社員間のコミュニケーションが図りやすい環境ができているということでしょうか。御社の社風や企業理念はどういったものですか。

山田社長:

我が社の社風は、平社員でも気軽にトップと話しができるところだと思います。トップに相談するときは何も手続は必要ありません。いつでも都合さえつけば社長との話し合いはOKです。企業理念として掲げているのは“フェアビジネス”というものです。いつも公正、公平に努力するというものですが、もちろん競争社会ですからなかなかフェアであり続けることが難しいこともありますが、極力“フェアビジネス”でいくことを企業理念としています。当社は上場企業ですから情報は全て公開していますし、風通しの良い企業だと思っています。

 

新製品のドレン排出装置
エアハンセイバー(TFA-2000)の断面図

   
 


TSCのエッセンスを凝縮したキャラバンカー 全国各地でデモンストレーション実施

 
 
先ほど、「エコプロネット」の活動に参加された理由を伺いましたが、御社のエコデザイン(環境適合設計)の取り組みについて教えていただけますか。

吉野部長:    バルブというものの設置場所の多くが壁の中で、実際人の目に触れる機会が少ないものであることとか、世間一般にまだまだ環境意識が低いこともあって、「エコデザイン」をセールスポイントにする商売というのは、まだまだこれからだと思っています。エコデザインの推進によって、これだけの利益が出たというような具体的な成果もまだありませんが、環境意識のある大手企業のお得意様には大変喜んでいただいています。
     しかし、厳しい状況ではありますが、当社ではエコデザインの具体的な取り組みを着実に進めています。一例を紹介しますと、当社ではバルブ材料である鋳物の材質を少ない材料でそれまでのバルブと同等以上の性能を発揮するものに変えつつあります。すでに全製品の8割以上をこの材質に変えました。これはまだ他社ではどこも取り組んでいないのですが、価格が若干高めのため当社が他社に比べて優位に立っているとはまだ言えません。しかし将来の環境・安全面などに対するニーズの高まりを考え、引き続き「エコデザイン」でやっていこうと考えています。
   エコデザインの流れは確実に形作られつつあると感じています。実際当社はエコデザインのPRに既に取り掛かっていまして、「付加価値のあるバルブですから、運用費用も含めたトータルコストは安いですよ。」とエコデザイン製品の有用性をPRしています。


今後のエコプロネット活動の参考にもなると思いますので、エコプロネット活動のプラス面、マイナス面について率直なお考え、ご感想をお聞かせいただければと存じます。
吉野部長:    当社がエコプロネットに参加した目的はエコデザイン、環境適合設計の徹底、強化にあります。当社はこれまでも環境対応製品を作ってきましたが、自己満足に終わっていました。といいますのは、これまでの当社の環境適合設計は、当社既存製品との比較論で、新製品を開発する際に当社の従来製品に対してどれだけ品質、性能が良くなるのかだけを見ていました。ですから、お客様にしてみれば当社製品のセールスポイントのイメージが定量的につかめず、なかなか購入に至らなかったのではないかということです。
   つまり、環境適合設計をさらに充実させる方策や、環境対応製品を販売に結びつけるノウハウの習得が当社のエコプロネット活動参加の具体的な目的になります。
   現在、営業スタッフが、お客様に分かりやすく説明し、売り上げに結びつけることができるように、当社製品の良さを具体的数値で表せる手法を色々なセミナーに参加して勉強しています。新しい製品ができたら、「新型は旧型に比べてCO2の排出量でこれだけ減らせます。」という具体的なデータを持ちたいと考えています。そうなれば顧客の当社環境対応製品のイメージも分かりやすいものになると思います。
   一方、エコプロネット活動に参加して問題というか、活動上ネックになっていると感じているのは、手法が大変で、企業負担が大きいということです。環境適合設計の実現には材料ベース、原料ベースで計算しなければなりませんが、当社のような規模の企業では非常に大変な作業になります。ですから、例えば、鋳物1g減らすとCO2がこれだけ減るというような基準、規格を公的に定めてもらえればエコデザインの実施も大分楽になると思います。ただ、LCA(ライフサイクルアセスメント)の数値化されたデータはまだほとんど存在しませんので、基準化、規格化する作業は相当な時間を要すると思います。
 
型式:GD-41型 ステンレス製減圧弁
写真:GD-41型 ステンレス製減圧弁 ダイヤフラムは、流体接触面にテフロン加工され、蒸気通気による製品雑菌洗浄も可能
写真:GD-41型 ステンレス製減圧弁 本体・キャップに材質表示を行い資源リサイクルの分別が可能
型式:GD-46型 戸別給水用減圧弁
写真:GD-41型 ステンレス製減圧弁 弁箱に表面改質処理を施し水道水への鉛の浸出規準「0.01mg/L以下」をクリアー
写真:GD-41型 ステンレス製減圧弁 本体に材質表示を行い資源リサイクルの分別が可能


 


最後に御社の今後の経営方針についてお聞かせいただけますでしょうか。
山田社長:    バルブは成熟した製品であり、加えてなかなか人の目に触れないため人の評価を受けづらく、将来に対する判断が難しい商品です。スプリングを使った機械式、自力式のバルブ、調整弁というのは、何十年も前から作られ、これまで国内外の多くのバルブメーカーがそれぞれに研究開発を進めて市場に適合する製品を着実に供給してきましたが、私はいつかステップアップするときが必ず来ると考えています。
   競合他社は何社もありますが、当社はできるだけ他社との差別化を考えて、エコデザインの推進によりさらに環境効率を高める設計や生産技術、システム管理の構築を進め、これまで以上に「環境」を前面に出してアピールしていこうと考えています。


本日はお忙しいところありがとうございました。今後の御活躍を祈念申し上げます。

      
会 社 概 要
 

会社名: 株式会社 ヨシタケ
本 社: 名古屋市瑞穂区二野町7番3号
  設 立:   1944年2月18日
代表者: 山田 哲
  事業内容: 自動調整弁および付属機器の製造販売
  資本金:   19億867万4,450円
  従業員:   248名(2006年5月末現在)
  URL:   http://www.yoshitake.co.jp/index.php
  TEL:   052−881−7146(代表)
FAX:   052−881−3199



山田 哲 社長

取材:平成19年2月7日 総務課 情報公開・広報室 


 中部経済産業局 総務課 情報公開・広報室

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