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中部発きらり企業紹介 Vol.21

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  中央化工機株式会社




〜50年以上の実績を持つ粉体・流体・化学装置専門メーカー〜

 今回は、私ども経済産業省中部経済産業局の産業技術課で担当している委託費事業である「地域新生コンソーシアム研究開発事業」を平成13、14年度にわたって活用して、「スラリー濃縮・固形化特性評価装置の開発」に取り組まれた中央化工機株式会社(愛知県豊明市)の清川英明社長にお話を伺いました。

 



清川社長:

  はじめに、御社は昭和25年の創業とお聞きしておりますが、創業当時から現在までの御社の沿革について簡単にご紹介いただけますでしょうか。

 お尋ねのとおり、当社中央化工機の創業は昭和25年ですが、実はその4年前の昭和21年に当社の創業者でもある意気投合した仲間5、6人が名古屋化工機製作所という会社を興していまして、酒精用アルコールの発酵設備や蒸留設備の生産を始めたというのが当社のもともとの起源になりま
 

社屋
中央化工機株式会社
 

す。ですから昭和25年に創業した中央化工機という会社は、名古屋化工機製作所の創業メンバーがそれを発展的に解消して新たに作った会社で、アルコール関連設備以外に新しく一般化学装置の製造を手がけようとして創業され、その後一般化学装置の生産を主たる事業にして現在までに至っています。
 私自身は、昭和42年に技術者として入社し、営業などいろいろと経験させてもらいました。今私が社長を勤めていますが、私以前の歴代社長は創業メンバーでしたので、私がそれ以外のメンバーでの最初の社長になります。

 


 

 アルコールの発酵や蒸留設備を専門に作ってこられたのを、新たに一般化学装置分野に着目してその分野に本格的に進出されたきっかけ、経緯というのはどういったことになるのでしょうか。
 
清川社長:  先代から聞いた話では、日本酒づくりの「杜氏」の仕事が季節労働であるのと同じで、酒精用アルコール製造設備を作る仕事というのも季節によって仕事があったり、無かったりで、会社経営を安定させていく上ではそれは大変だったようです。
 そこで、年間通じて安定的に仕事が確保できる仕事で、それまでの自社で培った技術が生かせる製品はないかと模索していた時、たまたま知り合いの人が「振動ミル」のパテントを持っていて、ミルの容器作りに自社の自前技術も活用できるということで、その人と協力して「超微粉砕機振動ミル」の研究開発に着手して、昭和36年11月に開発に成功して、販売し始めたというのが新分野進出の経緯のようです。今から20年くらい前から、焼酎などの蒸留設備の受注が段々と減ってきたことを考えると、早くから先代たちが新しい分野に進出したことは大正解でした。
 その後、振動技術を活かしての振動式乾燥装置などの製品化にも成功して、粉体・乾燥・蒸留技術の専門企業として50年以上の実績を持つに至っています。
 
連続式蒸留装置


VH型・VHS型振動乾燥機
 
 









清川社長:



 
現在、「振動ミル」の生産・販売で国内トップシェアを占めておられる御社ですが、一般の生活者からしますと御社の製品装置がどういった身の回り品と関係しているのかどうかもよく分かりません。「振動ミル」をはじめ御社の製品群というのは、例えば日常生活の身の回りにある品でいいますと、どのような製品に関係しているのでしょうか。

 
いみじくも今言われた「よく分からない」という点は、当社自身が非常に痛感していることなんです。「振動ミル」をはじめ当社の作る「粉体・流体・化学装置」が、具体的にどんなモノで、何に使うモノなのか、分かる人は残念ですが企業の方でもあまりいらっしゃいません。これは営業上非常にマイナスです。そこで営業先などでも名刺代わりに使えて、当社の製品を早く分かっていただけるリーフレットが必要ということで先般財団法人中部科学センターのご協力を得て、作ったところです。
 御質問の答の方ですが、当社が得意とする「粉砕・乾燥・蒸留技術」は、いろんな分野で利用されていますけれども、例えば、身近な製品では抹茶アイスクリームや茶そばに混ぜるお茶の粉づくりに使われていますし、女性の必需品である化粧品の成分素材の粉砕とか、医薬品成分素材を粉砕しての薬の調合・生産などにも使われています。
 そのほかにも、各種の電子材料づくりの先進材料分野などでも使われていますし、半導体チップに使われている希少金属の回収工程などのリサイクル分野でも重要な役割を担っています。当社事業で 、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同して研究開発中の事業ですが、間伐材や古紙、あるいは食品廃棄物を粉砕して、環境に優しいエタノール、アルコールなどの代替燃料づくりのいわゆるバイオマス分野でも活用されています。





清川社長:

 「粉づくり」の技術というのは、いろんな分野で利用されているわけですね。 ところで、「振動ミル」という装置は、ある素材を粉にする機械ということは分かったのですが、その装置の仕組みは具体的にはどのようになっているのでしょうか。

   一般的には「振動ミル」の筒状、タンク状の容器の中に、その容積の3分の2ぐらいの量のパチンコ玉のような丸いボール玉を粉砕する素材とともに入れて、容器をモーターの力で振動させ、容器の壁面とボール玉と素材が擦れあって、素材が粉状にされるというのが振動ミルの構造です。ボール玉の大きさや素材は粉砕素材や仕上がりの粉の細かさによって変わります。お客様のオーダーで変わるわけです。たとえば、素材を荒く砕く場合などは、大きなボールや鉄の棒を入れて振動させます。
  ちなみに、この大きな素材を荒く砕く振動ミルなどは、 一度に振動させる素材とボール玉などの重さだけでも重量は何トンにもなります。これだけ重い容器を振動させるわけですから、発生する力は相当なもので、そのエネルギーを吸収できる高耐久性、高品質なスプリング部、容器というのが不可
 


CD型振動ミル


素材を粉砕するためのボール玉 

欠になるわけで、これを作るには独自の技術・ノウハウ・経験が必要です。容器の溶接部分に粉砕した素材の粉が溜まるだけでも、粉砕した「粉」の純度が保てず、ユーザーのお客様の最終製品の品質に影響が出てしまい、大変御迷惑をかけることになります。
 この振動装置の高い技術力が、振動式の乾燥機や濃縮機の開発にも大いに役に立っており、お客様から高い信頼をいただいている一つの要因にもなっています。


 

振動のエネルギーを吸収するスプリングや
機械を支える土台部分


振動ミルの据え付け・調整は
社員が責任を持って実施

 













清川
社長:

 なるほど御社の50年にわたる長い研究開発・技術革新のたゆまぬ積み重ねによって今の粉体・流体・化学装置のトップ専門メーカーとしての高い信頼と地位が築かれているわけですね。 ところで、御社は平成13、14年度の2年度にわたって経済産業省の委託費事業を利用して、画期的なスラリー(※)の評価装置を開発されたと聞いていますが、それはどういった装置でしょうか。

 (※)スラリー:泥状又はかゆ状の混合物、固体粒子
    が液体の中に懸濁している流動体。液体中に顕
    微鏡で見える程度の粒子が分散している流動体。


 「スラリー濃縮・固形化特性評価装置」という機械で、平成13年度の補正予算事業で「地域新生コンソーシアム研究開発事業」という 委託費事業で開発しました。このスラリーの評価装置の開発は、もともとは名古屋大学の椿教授が考えられた評価手法を基にしたもので、スラリー中の粒子の充填性や分散・凝集性が高精度に簡単に評価できる装置を作るというものです。この装置は、スラリーの特性把握が製品づくりに大きく影響するセラミックスや、塗料・顔料、薬品、食品などの製造分野で、大きな需要があると考えています。
   

  実際「スラリー濃縮・固形化特性評価装置」の開発成功後の市場、お客様の反応はいかがですか。
 
清川社長:























 




清川社長:

このスラリーの評価装置は、平成15年9月から『IKABUST JT(アイカバスト ジェーティ)シリーズ』という製品名で販売を開始し、これまでに13台の売り上げ実績があります。当社へのテスト依頼もたくさんいただいており、スラリーの評価に困っているセラミックス、無機材料、塗料などの分野の研究開発担当者の方々には高い評価をいただいています。ただ、まだまだ、その存在を含めて高い評価能力を認識してもらっていない状況ですので、これからもどんどんPRしていきたいと考えています。
 これまで数値で表すことができなかったスラリーの濃縮状態が数値で判るようになったということは、ユーザーであるお客様の大きなビジネスチャンスであるということを理解していただくとともに、お客様の自社製品の品質の高さを示す科学的データとして『IKABUST JT』で得られる数値データを是非たくさんのお客様に使っていただきたいと思います。
 当社としては、将来的には、このスラリー濃縮・固形化特性評価方法を「業界標準」、さらには「JIS化」することを目指しています。「粉」の売り手と買い手の双方共通のモノサシとしてたくさんのお客様に使っていただければと考えています。

 御社では、スラリーの評価装置のほかにも、平成13年から国やNEDOなどの様々なコンソーシアム事業に参加されていますが、コンソーシアム事業の活用評価はいかがでしょうか。

 お陰様で各事業計画を採択していただき、多くの新たな挑戦をさせていただき感謝しています。当社では、コンソーシアム事業予算以外に毎年2000万円ほどの研究開発予算を毎年確保して当社独自・固有の研究開発にも力を入れていますが、他社や大学などとの共同事業であるコンソーシアム事業の良いところは、産学の結びつきができる点です。特に、大学の先生との密接な関係が築けることや、そうした関係などからまた新しい開発テーマが発見できる点です。いずれにしてもメリットはたくさんあると思ってやっています。

 


スラリー濃縮・固定化特性評価装置
IKABUST JT-F(定圧濾過式)



スラリー濃縮・固定化特性評価装置
IKABUST JT-P(沈降液圧式)

   

 

 御社は、常日頃から新しい研究開発や技術開発に挑戦されているということですが、そうした中、団塊世代の大量退職の問題が現在巷間で取りざたされています。御社での製造現場における技術の継承や次世代を担う若い人材の育成については、社長としてどのようにお考えでしょうか。

 


製造現場における新たな発見・提案が重要

  清川社長:  技術の継承は団塊世代の退職者に限ったことでなく、常日頃の問題として捉えています。当社においてもですが技術開発要素の多い会社では、新入社員を確保することから始まり、社員のレベルアップも技術の継承も全て一直線上にある問題です。 私としてはこの線が切れないように常に大学とコミュニケーションを取り、産学官による研究に力を注ぎ、新規開発と同時に社員の確保に努めています。
 それと、2007年問題は当社にとっても対応を急がなければならない大きな問題ですが、私としては、65歳までは嘱託、70歳まではアルバイトというようにベテラン社員 の技
  術・ノウハウを長く自社に残す方法はいくつかあると思っていますので、それほど心配はしていません。それよりも、若い人材がなかなか育たないことのほうを非常に心配しています。
 
そのため、一つの方策として、当社では、若い社員たちにもアイデアをどんどん出してもらい、そのアイデアを若手自らの手で具体化することを奨励していこうと仕組みづくりを急いでいます。トップダウンではなく、ボトムアップで新しいアイデア・提案がどんどん出てくるようになれば若い人材の育成も軌道に乗るのではと期待しています。
  そのほか、人材育成に関連することとして、社員に常日頃から言っていることがあります。『1年に一つは新しい提案を出して、3年間にそのうちの一つは市場化につなげ、10年後も作っている製品・技術を一つでも作り出していこう』ということです。それと、営業に関連しては『当社の持つ製品・技術・ノウハウを全く必要としていない人に営業するのではなく、今求めている人に的確にそれらを営業する』ということです。人と人との出会い、接触のタイミングの重要性を若い人に分かってもらいたいと思って、日頃から社員に言っています。

 

 やはり、人材育成というのは、高い技術力、優れた数々のノウハウを持っておられる企業ほど非常に重要な問題・課題であることがよく理解できました。 それでは最後に、御社のこれからの経営方針、ビジョンについてお教えいただけますでしょうか。
 
清川社長:

当社は、昭和21年に始めたアルコールの蒸留装置などや、その後取り組んだ粉砕や乾燥などの装置に関する研究開発力・技術力について、50年にも及ぶ長い実績と高い信頼をこれまでに築き上げてきました。これからも当社が培ってきた技術・ノウハウによる高品質な製品を少しでも多くのお客様に提供し、満足して使っていただけるように、加えて、お客様の求めに合った具体的な提案をタイミングを逃すことなく続けていけるように努めてまいりたいと考えています。そのためには、お客様とのコミュニケーションを一層深め、お客様のニーズや時代の流れに応じた先々のニーズを的確に把握して事業展開していくことが重要だと思っています。
 今後、中国など海外から安いモノがさらに入ってくると思いますし、また、中国自体も大きなマーケットになっていくものと思います。そこでは、当然、価格競争が発生すると思いますが、当社は、これまでどおり、高品質な製品を少しでも安く提供すること、新たな付加価値ある製品を創り出していくことに、人材育成と同様、長期的視点をもって力を注いでいきたいと考えています

   

 

 「振動による粉砕・乾燥技術」というのはなかなか一般的には馴染みのないものですが、今回の取材で「粉」というものが私たちの身の回りにある様々な製品をはじめ最先端材料や、バイオマスなどの分野での「元(もと)」になっているということがよく分かりました。その意味で「粉」の持つビジネスチャンスの可能性というものも教えていただいたような気がします。 本日はお忙しいところ色々とお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。貴社の今後ますますの御発展と皆様の御活躍をお祈り申し上げます。

 
      会 社 概 要
会社名: 中央化工機株式会社
本 社: 愛知県豊明市新田町中ノ割3番地
  設 立:   昭和25年3月
代表者: 代表取締役社長 清川英明
  事業内容: 醸造発酵装置、蒸留回収装置、各種化学装置、各種振動機械、設計・製作・施工
  資本金:   5000万円
  従業員:   88名
  URL:   http://www.chuokakohki.co.jp/
  TEL:   0562−92−6181
FAX:   0562−92−1051



清川 英明 社長

                           
        取材:平成18年12月5日 総務課 情報公開・広報室 
 



 中部経済産業局 総務課 情報公開・広報室

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