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中部発きらり企業紹介 Vol.20

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  株式会社前田シェルサービス

 


〜環境保全、省エネ、省資源、品質保証を満たすモノ作り企業〜
 

今回は、経済産業省の「新連携支援事業」及び「戦略的基盤技術高度化支援事業」を平成18年度に活用して、「フォークリフト用廃タイヤの再生事業」及び「過熱蒸気による鋳型造形プロセスの開発」に取り組まれている株式会社前田シェルサービス(愛知県岡崎市)の前田貞夫社長にお話を伺いました。

 




 

前田社長:

 今日お伺いする前に御社のホームページを拝見させていただきました。私どもの新連携支援事業などを活用されて進められておられるウレタン事業とか、鋳型の製造事業以外にも御社では様々な事業に取り組まれておられますね。

 当社は、昭和40年にシェル中子の製造を中心に創業しました。その後、金型事業とアルミ製造事業については分離し、株式会社前田金型製造所と株式会社前田精密工業所を新設しました。株式会社前田シェルサービスとしては、現在商品開発事業部、ケミカル事業部、環境商品事業部、中子事業部の4事業部を設けています。圧縮空気関係、ウレタン関係、金型メッキ、カーボン製品、鋳造用金型などの事業については、すべて前田シェルサービスで行っています。今のようにいろいろな事業、分野に携わることになったのは、経営方針として、時代や取り巻く環境の変化とともに、様々な分野の可能性を模索し、挑戦し続けてきた結果だと思っています。
 


株式会社前田シェルサービス

   

 

 多岐にわたる事業のなかで、現在特に力を入れている分野、事業をご紹介いただけますでしょうか。
 
前田社長:   当社の現在の主力製品はエアーフィルターというものです。エアーフィルターといっても通常の大気を清浄するものではなく、コンプレッサーの圧縮空気を清浄するエアーフィルターです。
 意外に皆さんに知られていないのですが、各種製造現場や医療現場などいろいろなところでコンプレッサーは使われています。
 
 

HACCP等対応フィルター

一般汎用・抗菌レマン・ドライフィルター
 
 


前田社長:

  具体的にはどのようなところで使われているのでしょうか

 
例えば、車の部品などの製造現場では、製造過程で生じた粉塵や油 滴を取り除いたり、工作機械のセンサーの汚れによる誤作動を防ぐためにセンサー部に圧縮空気を吹き付けたりするために使われています。それから、ペットボトルの容器の成 形にもコンプレッサーの圧縮空気が使われていますし、食品加工の現場では、醤油やお酒をかき混ぜたり、アイスクリームをフワッとさせるためにコンプレッサーの圧縮空気が使われています。袋詰め工程でも用いられています。さらには、医療現場でも、歯や骨を精緻に削るためのカッターの動力にエアモーターというのが使われていますが、このエアモーターの動力源はコンプレッサーの圧縮空気なんです。
  とにかくいろいろなところでコンプレッサーは使われているわけですが、昨今、特にナノレベルの微細加工分野や、食の安全とか生命に関わる分野では、コンプレッサーから出る“圧縮空気”のクリーンさが非常に注目されてきています。それに伴ってか高度な圧縮空気のクリーン化技術が求められ、お陰様で当社のエアーフィルターもたくさんのお客様に使っていただくようになってきています。
   














前田
社長:

 一般にコンプレッサーと言えばビル建設工事現場などでいつもエンジンが唸っていて音がうるさい機械という印象でしかありませんでしたが、コンプレッサーの圧縮空気がこれほど重要な役割を担い、圧縮空気のクリーン化技術が非常に重要であるとは思いませんでした。大変勉強になりました。
 折角ですので、そうした圧縮空気をクリーンにするために御社が開発された圧縮空気用エアーフィルターについてもう少し詳しくお教えいただけないでしょうか。

 ‘84年に圧縮空気用エアーフィルターの開発に着手して以来、当社では、HACCP・ISO(※)などに対応した抗菌・除菌用フィルターをはじめ、お客様のニーズに合わせた多種多様なフィルターを開発・提供させていただ いています。今では、0.01ミクロンの微粒子を99.99%捕集するフィルターも生産しています。
  お陰様で、社団法人日本プラントメンテナンス協会からは「優秀製品賞 実効賞」などの各賞をいただきましたし、愛知県の「愛知ブランド」や、名古屋商工会議所の「ものづくりブランドNAGOYA」に当社も認定いただきました。
 
 当社では、製品そのものの提供だけでなく、長期にクリーン圧縮空気をお客様に提供するためのサービスも提供しています。
 


異物を除去するフィルター内の構造


日本プラントメンテナンス協会の
PM優秀製品賞開発賞を受賞



英国フィルトレーションセパレーション誌の
ベストサービス賞を日本で初めて受賞

  『8(エイト)ステップサービスシステム』と呼んでいますが、これは事前活動型保全・汚染防止管理プログラム・徹底的なサービス体制をトータルに提供するサービスで、英国の専門誌から日本企業としては初めて「ベストサービス賞」をいただいた画期的なサービスシステムです
 実は、この『8ステップサービスシステム』には、無くてはならない非常に重要な新技術が関係しています。それが世界で初めて当社が開発した「圧縮空気デジタル測定技術」というもので、圧縮空気のクリーンさを数値で確認できる、目に見えない圧縮空気の「見える化」技術です。この測定技術があって『8ステップサービスシステム』は成り立っているわけです。

※)HACCP:1960年代に米国で宇宙食の安全性を確保するために開発された食品の衛生管理の手法。
    この方式は国連の国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機構(WHO)の合同機関である食品規格(CO
         DEX)委員会から発表され,各国にその採用を推奨している国際的に認められたもの。
 ISO:国際標準化機構(International Organization For Standardization)のこと。工業製品の国際規格を決めて
         いる。JISの世界版。

 

8ステップサービスシステム
 

 

 





前田社長:

 御社が開発された圧縮空気用エアーフィルターなどに関連する技術や製品は各方面で高い評価を受けておられるわけですが、その高い評価を獲得されている要素の中で重要なものとして『8ステップサービスシステム』があるように感じます。この『8ステップサービスシステム』についてもう少し詳しくお話をお聞かせいただけますでしょうか。

 このサービスシステムは8つの段階を経てクリーンな圧縮空気を長期継続的にお客様に提供するものです。
 第一段階で、圧縮空気の品質管理の重要性についてお客様に理解していただき、次に、当社で38項目にわたる予防診断カルテを作成します。第三段階では、工場内の測定必要箇所を入念にチェックし、第四段階で測定箇所の圧縮空気のデジタル測定を行います。第五段階から第七段階で圧縮空気清浄化の提案と実施、改善提案書の提示、フィルターの設置を行い、最終段階で年間アフターサービス実施計画書を作成します。
 この『8ステップサービスシステム』は、デジタル測定技術により、例えば、フィルターの交換時期などはお客様のコンプレッサーの使い方で全く異なるものですが、お客様に合わせ正確に交換時期を設定することができます。最新のものでは、LEDランプの点灯で交換時期を自動的に知らせるよう 計画しています(PAT申請中)。
   



前田
社長:

 「8ステップサービスシステム」は、「圧縮空気デジタル測定技術」の開発がなければ実現できないものということですね。

 そのとおりです。この測定技術のお陰で当社のエアーフィルターの高い品質をお客様に分かりやすく説明でき、高い品質を実感・納得していただけるわけですから、デジタル測定技術の開発の効果は非常に大きいと思います。
 とにかく、コンプレッサーの圧縮空気から出る汚水(ドレン)を実際見てもらえれば、どれほど、圧縮空気に水、油分をはじめ、いろいろな汚れが混ざっているかがよく分かっていただけると思います。コンプレッサーの管・ホース内に残った“水”が土曜、日曜日の2日間でさらに汚れて、月曜日にコンプレッサーを再稼働したときにその残留汚水が製造工程に悪影響を及ぼす製造業の現場で“月曜病”と言われる症状などは、コンプレッサーのユーザーにとって古くて新しい悩みの種になっています。当社では、こうした圧縮空気の汚水を魚が住めるほどの綺麗な水に浄化するシステムも併せて開発・提供しています


 
 


“金魚も住める”ドレン処理システム 



  御社の圧縮空気用エアーフィルターに対する取り組みは、フィルターの開発から測定技術などの関連技術開発、さらにはアフターフォローを含めた長期継続的なサービスの提供まで、お客様の立場、視点から徹底的に研究された取り組みであるということがよく分かりました。御社ではこうした事業方針で、ウレタン事業などのその他の事業にも取り組まれているわけですね。
 
前田社長:



 もちろん、どの事業でもお客様の視点に立って取り組んでいます。
 ミクロやナノレベルでモノづくりの品質が問われる今の時代、製造現場でもナノレベルのクリーンな環境が求められています。今年中部経済産業局の新連携支援事業を活用して取り組んでいるフォークリフト用廃タイヤを再生する事業も、当社の多くのお客様であるメーカー企業の現場のニーズにお応えしようというものです。この事業が実現できれば、工場内のカーボンブラックによる床面の汚れ、粉塵発生が改善され、廃タイヤ処理コストの削減にもなります。さらに言えば廃タイヤの焼却処理に伴うCO2発生量の削減効果も期待され、ひいては地球環境の改善にも貢献します。


 
 


圧縮エアークリーン化測定システム 



フォークリフト用廃タイヤの再生事業について、もう少し具体的にお教えいただけますか
 
 

ウレタン樹脂「バイテック」を使用した
フォークリフト用廃タイヤの再生
  前田社長:  この廃タイヤ再生事業というのは、当社と技術提携を結んでいるウレタン分野では世界的に有名なドイツのバイエル社が開発したウレタン樹脂「バイテック」を活用して行う事業です。
 現在、工場などで使われているフォークリフトのタイヤというのは、2〜3年で摩耗し、使用限度を超えると産業廃棄物として焼却処理されています。そこで、当社のウレタン樹脂「バイテック」を廃タイヤの外周に注型・接合することで廃タイヤをリサイクルして、通常タイヤの1.7倍の耐摩耗性をもった再生タイヤをお客様に提供しようというのが本事業の内容です。


 





前田
社長:

 この再生事業は他の中小企業2社との連携事業ですが、「新連携」認定事業としても事業が成功することを切に願っております。 その他、現在御社で製品化されたもので、特徴的なものがあればご紹介いただけますか。

 一つご紹介しますと、カーボン素材の軽さと強度を利用した製品があります。一つは、世界でもトップクラスの軽さを誇る「カルステッキ」という名の“杖”です。重さはわずか1 00〜150グラムで、木製ステッキの半分の重さですが、耐荷重強度は45キログラムもあります。この杖を当社では毎年敬老の日に養護老人施設に数十本を寄付しています。
 

わずか150グラムのカルステッキ

 もう一つが、やはりカーボンを使用した超軽量の「カルタンカ」という“担架”です。重量は比較的軽量なアルミ製担架5〜8sに対して大人用で1.3s、子供用で0.7sと 指1本でも持ち運び可能なほど超軽量ながら、耐荷重強度は大人用で約500sもあります。子供用「カルタンカ」は、夏にプールサイドで子供が事故を起こした時に、子供同士でも直ぐにけが人を運べるような軽くて、小型の担架があったらと思ったことから作ったものです。少々お値段はしますが、とにかく軽く、腐食などにも強く長期保管しても安心です。

大人用 カルタンカはわずか1.3キログラム



子供用カルタンカはわずか0.7キログラム

階段や狭い場所で威力を発揮する
座席固定タイプ

 

  御社の製品は、製造現場の環境配慮や人の安全・安心に目を向けたものが多いという印象がしました。最後に、御社のこれからの経営方針、ビジョンについてお教えいただけますでしょうか。
 
前田社長:  当社は、「環境保全、省エネ、省資源、品質保証」の4つの基本方針のすべてを満たすモノ作りを続けています。また、多くの企業の皆様に選ばれ続ける企業であるために、徹底的にお客様の立場になってお客様のニーズを満たしていくことが大切だと思っています。これまでも、この方針のもと全ての当社製品は、例えばJISの規格の3倍以上のレベルで作っていますし、エアーフィルター製品の耐久性をチェックするためには、“エアー”を使わずに“油”で1000万回以上のテストをしてきました。
 これからの世の中、私は、国民の皆さんの安全・安心な生活を求める声は今後益々大きくなり、環境破壊や地球温暖化による環境問題も益々深刻になってくると思っています。最近目にした新聞記事では、春の風物詩である中国から飛来する黄砂が、菌類や硫黄酸化物などの化学物質を、日本を超えて太平洋まで運んでいるとありましたし、ある環境団体の会報では、大気汚染が進む日本で袋詰めされる食品の安全性について疑問視されているような記事も目にしました。
 こうした時代のなかで、これからの当社の経営方針、ビジョンですが、私としては当社の「環境保全、省エネ、省資源、品質保証」のすべてを満たすモノ作りに取り組む姿勢、常にお客様の視点、立場でのモノ作りを行っていくことがさらに重要になると考えています
   

 

 御社の製品で、製造現場がクリーンになり、消費者が安心して商品を手にすることができれば、大変素晴らしいことだと思います。本日はお忙しいところ色々とお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。貴社の今後ますますの御発展と皆様の御活躍をお祈り申し上げます。
 
      会 社 概 要
会社名: 株式会社前田シェルサービス
本 社: 愛知県岡崎市池金町金山76−4
  設 立:   昭和40年11月
代表者: 代表取締役社長 前田貞夫
  事業内容: エアーフィルター、ウレタン・カーボン関連製品、金型メッキ、鋳造用金型の製造販売
  資本金:   4996万円
  従業員:   73名
  URL:   http://www.maedauni.co.jp/
  TEL:   0564−48−2411
  FAX:   0564−48−6252
グループ会社:   株式会社前田金型製造所
株式会社前田精密工業所



前田 貞夫 社長


        取材:平成18年11月6日 総務課 情報公開・広報室 
 



 中部経済産業局 総務課 情報公開・広報室

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