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中部発きらり企業紹介 Vol.17

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福井ファイバーテック株式会社

〜先進のファイバーテクノロジーを礎に進化する次世代複合繊維メーカー〜
 

今回は、経済産業省の『中小企業経営革新等対策費補助金(中小企業・ベンチャー挑戦支援事業のうち実用化研究開発事業)』を平成16年度と平成17年度に活用して、環境対応型の自動車用パーテーションネットの研究開発(16年度)と自動車の軽量化と車内吸音を目的としたリサイクラブルカーマットの製造技術の開発(17年度)に成功した福井ファイバーテック株式会社(愛知県豊橋市)の福井英輔社長にお話を伺いました。

 





福井社長:

 はじめに、御社は昭和22年の創業とお聞きしておりますが、創業当時から現在に至るまでの御社の沿革と福井社長ご自身の職歴についてお聞かせください。

 
福井家はもともと、渥美半島赤羽町で網元をしており、その傍らで曾祖父の福井作 蔵が1905(明治38)年に「福井作蔵商店」という漁網を扱う店を開業したのが当社の原点です。当社の創業は、先の大戦中に満州鉄道で技術部長をしていた祖父道二が戦後郷里に戻り、 実家の支援をもらい昭和22年に綿の漁網の製造販売会社を起こしたことから始まりました。その後昭和25年に「福井漁網株式会社」に改組し、平成16年2月に福井ファイバーテック株式会社に改名して現在に至っています。
 現在の主力製品は各種ネット製品やFRP製品、自動車用マットなどで、3年前までは住宅用カーペットも生産していました。漁網 は今も生産しています。
 私自身の職歴は、平成元年から当社で働くようになりましたが、それ以前は大学を卒業してヤマ
 


全景(本社事務所/工場/野球場)


本社事務所

  ハ発動機に勤めていました。ただ、私のヤマハ発動機入社は、普通の試験を受けての入社ではなく、ヤマハのサッカー選手として入社させてもらいました。一応サッカーの才能を買われて入社後3年間はサッカーに打ち込みました。
 サッカーから離れてからは、ヤマハインドネシアで2年間営業担当を経験させてもらい、さらにその後アメリカ に6年間海外駐在しマーケティングや商品企画業務を経験させてもらいました。ヤマハでの経験はその後の仕事に非常に役立っていると私自身は思っています。
 
漁網


建築工事用防護ネット
 



福井社長:

 平成16年2月に「福井ファイバーテック株式会社」に改名されましたが、その経緯についてお聞かせいただけますか。

 当社は来年で創業60周年を迎えます。戦後の食糧難の時代から高度経済成長時代を経て、国民生活が大きく様変わりするまでは 水産資源供給を目的とし、漁業を中心とする事業を続けてきました。しかし、国が 豊かになり日本人の衣食住への欲求が多様化し、網やネットという製品の市場も広がりつつあるなかで、当社の将来を考え、漁業用の網という分野以外の他の様々なネット市場への進出に積極的に取り組みました。
 ですから、漁網以外の分野に進出してからはそれまで以上に如何に時代のニーズに合った製品づくりが重要かということを肝に銘じて全社員一丸となって取り組んできています。例えばビルや住宅の建設が盛んになってきた時には建築工事用防護ネットから住宅用カーテンやカーペットの分野に進出しましたし、スポーツの分野でもゴルフネット、サッカーゴール用ネットなどにも進出しました。
 こうした中、現在では創業の事業である漁網の生産高が相対的に少なくなり、
多くは漁網以外の新しいネット製品や当社技術の根幹をなす繊維技術、ファイバーテクノロジー関連製品が占めています。前述のとおり当社は時代のニーズに合わせて、海(漁網)から陸(建築用各種ネット等)、住(カーペット、カーテン等)から自動車(カーマット) 、環境関連製品へと様々な新分野にチャレンジしてきました。私自身、仕事をしていく上で、「変革とチャレンジ」が大変重要だと思っています。このように以前に比べて大きく様変わりした当社の持つ技術力、製品開発力、製品等々の実状を正しく世の中にお伝えすることが責務と考え、社名を「漁網」から「ファイバーテック」に改名したというわけです。
   ただ、当社のロゴマークは、今でも漁網の生産もしておりますし、漁網は当社のルーツの製品ということで、福井漁網株式会社時代のロゴマークをそのまま残し、使っています。@網目の模様、A‘福井’の‘F’、B当社が生まれ、育まれた太平洋を表す青い波、C辰巳の方向に 向かって将来に広がるという4つの意味が込められた伝統あるロゴマークです。
伝統あるロゴマーク
   


福井社長:

 漁業用の網以外の様々な新しいネット製品を開発製造するきっかけとは、 何だったのでしょうか。

 昭和35年頃に、漁網を増産するために、日本で初めてドイツのカールマイヤー社製‘高速ラッセル漁網(製造)機’を導入したことがきっかけだったと思います。高速ラッセル漁網機はそれまでの漁網原糸の主流であった綿以外のナイロンなどの化学繊維を原糸として使って網を造ることができたので、その後ニーズが増えたナイロン製などの化学繊維製の防風網、防砂網、ゴルフネット、農業用各種ネット、建築用各種ネットなど当社にとっては新しい製品ですが、どんどん開発し、製造販売していったというわけです。
 漁網以外の製品の売上が好調に推移しその後には、タフティングカーペット(製造)機も導入して住宅用カーペットの製造も開始しましたし、現在も生産しているFRP(繊維強化プラスチック) 引抜成形品の製造販売にも進出しました。
 




サッカーゴール用ネット

   

 

 御社では現在、様々な繊維技術を駆使した製品を作っておられるということですが、今一番力を入れて取り組まれている事業は何になるのでしょうか。



従来品より軽量面でも環境面でも優れた
「ピッドグリップ(オール繊維素材すべり止めカーマット)」

  福井社長:
 
 それは、経済産業省の平成17年度中小企業経営革新等対策費補助金をもらって研究開発した「リサイクラブルカーマット」の市場化の取り組みです。リサイクラブルカーマットというのは軽量で、アレルギー物質も全く発せず、なおかつリサイクルが容易で環境にやさしい自動車用のマットです。近年、自動車用マットは、燃費向上の観点からその軽量化が求められ、ゴムが主流であるマットの裏面素材をもっと軽量でゴムと同等以上の横滑り防止効果のある素材に切り替えられないかというニーズが高まっています。
   そこで、このニーズに応えるべく当社が長年取り組んできたWラッセル織り技術とカーペット生産で培った技術である裏貼り製造技術を融合して「リサイクラブルカーマット」の研究開発を行ったわけです。当社が開発した「リサイクラブルカーマット」は、従来のゴムと同等以上の滑り防止効果があるほか、優れた吸音効果や軽量化も実現しているものです。しかも、VOC(揮発性有機化合物)ゼロの 接着剤使用による接着加工で、オール同一繊維製であるためリサイクルもしやすく、非常に環境面でも優れています。大多数を占める一般大衆向け自動車用マットとして普及すれば 世界的にもたいへんな社会貢献もできると考えています。
   

 「リサイクラブルカーマット」は人に優しく、地球環境の面でも非常に優しく、すばらしい製品ですが、実際、自動車メーカーなどへの売り込み状況はいかがでしょうか。
 
福井社長:

自動車関連メーカーからは発想も面白いし、製品の品質も良いと言われているのですが、コストが通常のものと比べてまだ高く、今このコストダウンの課題に全力投球で取り組んでいます。国内自動車関連メーカーの反応はこのコストの点でまだ 採用されていないですが、一方で、この製品を外国自動車メーカーへ売り込むことも現在考えており、この点でまた国の支援をお願いしたいとも思っています。
 このカーマットの製造技術に関しては日本のみならず、アメリカ、韓国、EU諸国で既に特許を取得していますし、本製品の良さを海外の関係企業に伝えるために現在英語版ホームページも作成しており、近々立ち上げる計画でいます。あとは、海外の販路開拓の良きパートナーが見つかれば早期市場化も期待できると考えています。このパートナーとの販路開拓事業について経済産業省の「新連携」事業などが活用できないかと考えています。「新連携」事業は、中小企業が技術やノウハウの緊密な摺り合わせを通じて、それぞれの強みを補完しながら新たな製品・サービスを創出し、かつその市場化までを支援することを目的としているので、まさに、海外への販売ノウハウを持たない当社にとっては、 良い支援制度だと思っています。

   

 

 今回、経済産業省の補助金制度を利用されての率直なご感想をお聞かせください。補助金の申請時の書類作成などは大変ではないでしょうか。
 




平成16年「愛知ブランド企業」に認定
 

  福井社長:  平成16年度と平成17年度の2年度にわたり補助金をいただきましたが、その申請やヒアリングなどの諸手続は中小企業にとっては確かに大変ですが、私は、こうした新製品の研究開発などの事業を行う場合は、仮に補助金がもらえなくなったとしても他の手段、方法を駆使してでも絶対にやり遂げるんだという強い覚悟と自信を持たなくてはいけないと思っています。ですから、大変ですが補助金がもらえるということは中小企業にとっては非常にありがたいことですから苦にしていません。
 逆に国などから補助金をもらう際に、いろいろとお役所から説明や追加書類、書類の差し替えなどを求められることは、かえって中小企業にとっては為になるありがたいことと受け止めています。中小企業ではなかなか広い視野でものごとを考えたりすることができないので、社外のしかも専門家からいろいろな指摘や意見をもらい、社外の専門家が理解可能な説明や書類の提出ができれば、そのことは社員のレベルアップにも繋がり、場合によっては新しい製品づくりのヒント、きっかけをもらうことにも繋がっていくものと考えています。
   

 国などの補助金制度の利用がそういった側面でも中小企業のお役に立っているとすれば、私どもも今後とも多くの中小企業の皆様に各種支援制度を活用していただくよう呼び掛けていきたいと思います。それでは最後に先ほども社員のレベルアップというお話もありましたが、今後の御社の人材育成やモノ 作りについてお考えをお聞かせください。
 
福井社長:

当社は、そもそもは漁網製造販売会社ですが、昔から社員の約1割を研究開発に専従させてきました。そのおかげで、社員60数名ほどの中小企業ですが時代のニーズに合った新製品づくりや新技術開発を今日までずっとできてきたと思っています。ですから新しい研究開発や製品づくりのための人材育成は非常に重要 だと考えています。
 実は、私自身も元々は法学部の出身で全く繊維技術の知識もなかったのですが、炭素繊維技術を研究するため、仕事をしながら毎週京都に通い、京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科で平成12年に修士号を取得しました。当社には私以外にも豊橋技術科学大学で博士号と修士号を取った社員がそれぞれ1名 と金沢工業大学で修士号を取った社員が1名います。時代のニーズに合わせて、新たなモノ作りに挑戦するには、それを達成するための知識と何よりもその技術に対する探求心が大切だと思いますので、これからもそういった知識と心を持った人材を育成したいと考えています。
 それと今後の当社のモノ作りについては、平成16年に愛知県から「愛知ブランド企業」の認定もいただきましたし、また、現在、ドイツのメーカー による技術で、当社の連続引抜成形によるFRPの生産技術を応用した「水管光硬化法」による上下水管などの補強材をこの9月から 本社のとなりにある新工場で生産を始めるため最終準備作業を進めているところですし、炭素繊維研究も同時に進めています。 これからも時代に合致した事業にチャレンジしていきたいと思っています。
 当社はこれまで以上に時代のニーズに合致する新しい繊維技術、繊維関連製品の研究開発に挑戦し、誰もが認める「先進のファイバーテクノロジーを礎に進化する次世代複合繊維メーカー」として頑張っていきたいと思っています。

 


福井社長は京都工芸繊維大学大学院の
修士号を平成12年に取得


ガラス繊維編網技術と光硬化樹脂含浸技術を融合させた「老朽化した下水管」補修材料
の製造・販売開始


平成18年7月19日新工場立ち上げ
 

   

 

本日はお忙しいところありがとうございました。今後ますますの御活躍をお祈り申し上げます。
      会 社 概 要
会社名: 福井ファイバーテック株式会社
本 社: 愛知県豊橋市中原町字岩西5番地の1
  創 業:   昭和22年
  設 立:   昭和25年
代表者: 代表取締役社長 福井 英輔
  事業内容: ネットを中心とする産業資材の製造販売及び輸出入、カーマットの製造販売、FRP製造販売
  資本金:   9500万円
  従業員:   67名
  URL:   http://www.fukui-fibertech.co.jp/
  TEL:   0532−41−1211
FAX:   0532−41−5078



福井 英輔 社長

        取材:平成18年8月1日 総務課 情報公開・広報室 
 



 中部経済産業局 総務課 情報公開・広報室

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