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中部発きらり企業紹介 Vol.12

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キタムラ機械株式会社(富山県高岡市)

第1回「ものづくり日本大賞」優秀賞受賞
〜金型の制作時間を従来比の1/10以下に短縮する超高速金型加工機(機械名:スパークカット)〜


 

 今回、政府主催の第1回「ものづくり日本大賞」(平成17年8月)において優秀賞を受賞したキタムラ機械株式会社(富山県高岡市)の北村彰浩社長にお話を伺いました。
 



北村社長:

 

 まずは、「ものづくり日本大賞」優秀賞の受賞、おめでとうございます。
 
 


キタムラ機械株式会社
 

 ありがとうございます。当社はマシニングセンタ(万能型コンピューター制御工作機械)の専門メーカーで、特に切削を主体としております。切削は日本の裾野、モノ作りの基本です。モノ作りで「金型」は避けて通れません。その金型を作るためには切削機が必要です。
 今回の受賞はその金型の製作時間を1/10以下に短縮した点が評価されたわけですが、金型の製作の注文を
 
  受けてからお客さまに納品するまでのトータルコストを考えますと、この超高速金型加工機はものすごく画期的な能力を持つ機械だと自負しております。

 

 
 金型製作時間を1/10にした技術について簡単に教えていただけますでしょうか。
 
北村社長:
 従来、金型加工は三次元形状を放物線運動で行っており、荒・中・仕上げ加工という手順を踏みます。しかしこの方法ですと手間がかかります。当社開発の超高速金型加工機は、 直線移動による等高線加工を行います。この動きを「ジグザグカッターパス」といいますが、これは最初から仕上げ加工で切削しますので、一般的な荒・中・仕上げ加工がいりません。ですから製作時間が大幅に短縮されるというわけです。

 
 


超高速金型加工機の画期的手法を語る北村社長

 


 

 金型製作では、一般的にお客様から預かった製品のサンプルをもとに複雑で面倒なプログラムを組む必要があると思うのですが・・・。
 
北村社長:  当社の超高速金型加工機では、「光造影システム」を使ってデータを作成しますので、プログラム作成の時間も大幅に短縮できます。先ほどの「ジグザグカッターパス」という言葉は、今ではそのまま外国でも通用する言葉になっています。「3次元金型をシンプルに誰でも切削できるシステム」という意味で広く世界で使われています。

 

 
 御社の製品がきっかけで「ジグザグ」という日本語がそのまま海外でも通用するようになったということでしょうか。
 
北村社長:
 もちろん外国語にも「ジグザグ」に相当する言葉はあるのですが、「ジグザグカッターパス」の名の方がアメリカなどの業界では一般的に使用されています。もちろん当社がどちらかというと、日本国内より海外で先に実績を作ってきた関係もあります。
 当社は1963年に輸出を開始しましたが、当時の国内工作機械メーカーは外国メーカーのライセンス生産がほとんどでした。当社が独自の技術でマシニングセンタを作ったのは197 1年ですが、その機械の姿、形は千手観音のいくつもの腕のように工具を配置したものでした。このマシニングセンタの開発が転機となり、その後マシニングセンタの専門メーカーとして現在に至っています。
 


超高速金型加工機(Sparkcut)

 当時のマシニングセンタは一般に工具交換に数分もかかっていましたが、当社の製品は2.5秒しかかからないという当時としては画期的なマシンでした。形もユニークながら、この短い工具交換時間がアメリカで驚きを持って受け入れられ、期待通りの実力を発揮しました。ただ、従来品と大きく性能が違ったせいか、なかなか理解していただけず、売れはじめるまで大変だったと聞いています。

 

 本機の開発で苦労された点は何でしょうか。
 
北村社長:  超高速金型加工機の開発で一番苦労したことは、成果を得るまでのいろいろと紆余曲折の あった長い期間の研究開発そのものです。
 もともと開発に着手したときの目的は、実は、金型の製作時間を短縮するというものではありませんでした。当初は「光造影型切削機」を製作しようとしていました。それと従来の金型加工機では切削の刃が止まると必ずカッターマークができるので、もともとはこのカッターマークをいかになくすか、ということに取り組んでいました。そうした開発を進めていき到達したのが 切削送り毎分100メートル・加速度・減速度2.0Gの超高速金型加工機開発だったというわけです。とにかく、そこまでたどりつくのに大変苦労しました。


 

 

 本機は、苦労された結果誕生した 訳ですが、金型製作時間の大幅短縮以外のセールスポイントについて、何かありますか。
 
北村社長:   問題点ではないのですが、本機は従来機に比べて、プログラムのブロック数が従来手法のプログラムのブロック数に比べ非常に多くな ります。ジグザグカッターパスは直線切削で簡単にプログラム作成が可能ですが、かなりのブロック数になります。つまり従来のものと比べプログラムが長くなるということは従来機に比べ大きな記憶の容量が必要となってしまいます。ただ、この点は実は本機の良さにもなってい ます。
 ブロック数が多いということは、それだけ機械のポジショニングチェック(位置決め精度完了確認)箇所数も非常に多いということになりますので、本機で作る金型の精度がとても高いということになります。プログラムの長さに伴うコストと、作業全体のコストを比較していただければ、十分本機のメリットをわかっていただけると思います。

 

 画期的手法と高い性能を持つ超高速金型加工機ですが、この機械の生産には人の手が不可欠とお聞きしましたが。
 
北村社長:  この機械は社員の熟練した技術・技能を駆使した手作業が不可欠です。本機開発のポイントでもあったいかに切削加工時の振動を少なくするかというのは、“いかに 適切な案内機構を得るか”が勝負でした。素早く必要な摩擦力を得るにはベテラン技術者のきさげ技術が欠かせないのです。最後は人の手で凹凸を確認します。1ミクロン(髪の毛の1/ 100)を判別するには、かなりの熟練技術者でないとわかりません。

 

 モノ作り人材の育成について、どのようにお考えですか。
 
北村社長:  財界ではモノ作り人材の育成について何とかしなくてはと盛んに言っていますが、次代を担う肝心な若者がモノ作りについてどう思っているのかが問題だと思っています。理工系離れが進んでいる今のままでは、モノ作り産業を支えている人がいなくなってしまうのではと懸念しています。当社では全社員に生産現場(工場)を経験させ、モノ作りの良さ、魅力を実体験してもらうなど人材育成に努めています。もちろん、私自身も入社当初きさげの工程を経験しております。
 

 北村社長にとって、「モノ作り」とは何でしょうか。
 
北村社長:  私にとってモノ作りに携わるということは、モノ作りを通して社会に貢献するということです。つまり、将来日本の産業を支えるのはモノ作りだと思っています。そのモノ作りの素晴らしさを画期的新製品づくりを通して世の中に伝えることが私の責務であり、社会貢献の一つと思っています。
 例えば、車や時計など高性能の商品が高額で今売れています。その性能を実際使うような場面があるとは思えないのですが、人はそれを望んでいます。こうした人間の「期待」や「満足感」を商品に付与するのは、ほかでもない「モノ作り」の力だと思います。「そんなものができるはずがない」という世界で、「そんな」モノを作る。それが人が生きて行く上での喜びにもつながると思います。

 

 本日はお忙しいところありがとうございました。
 
      会 社 概 要
会社名: キタムラ機械株式会社
本 社: 富山県高岡市戸出町1870番地
創 業: 昭和8年
  設 立:   昭和22年
代表者: 代表取締役会長 北村耕一郎
      代表取締役社長 北村彰浩
  事業内容:   工作機械(マシニングセンタ専門)の製造・販売
  資本金:   3億3,000万円
  従業員:   210名
  URL:   http://www.kitamura-machinery.co.jp/
  TEL:   0766−63−1100
  FAX:   0766−63−1128
 



北村 彰浩社長


 

                              第1回「ものづくり日本大賞」に関するプレスリリース資料(平成17年8月)
        取材:平成18年3月1日 総務課 情報公開・広報室 



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