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中部発きらり企業紹介 Vol.10

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KTX株式会社(旧 江南特殊産業株式会社)

〜第1回「ものづくり日本大賞」特別賞受賞〜
 

 今回、政府主催の第1回「ものづくり日本大賞」(平成17年8月)において特別賞を受賞したKTX株式会社 (旧 江南特殊産業株式会社) 野田泰義社長にお話を伺いしました。同社は、江南特殊産業「KTX」ブランドとして電気鋳造技術によるプラスチック成形を日々追求し続け、グローバルに展開しています。

 取材中、現場社員の方々の「モノ作り」に対する熱心さが十二分に伝わってくるとともに、社長自らが社員一人ひとりに声を掛けるなど、目配り、気配りを欠かさない様子が とても印象的でもあった「KTX」を今回ご紹介いたします。
 


 まずは、この度は「ものづくり日本大賞」特別賞の受賞、おめでとうございます。


 

野田社長:

 

 

 ありがとうございます。当社は、昨年末、創立40周年を迎えることができましたが、これまでに経験してきた失敗を上手く生かすことで、「KTXブランド」の製品・技術を開発することができました。 そうした結果、今回の受賞につながったと思っています。

 

  御社の略称である「KTX」の由来は、「江南・特殊」、そして未来への可能性を秘めた意味を込めた「X」、ということですが、創業の経緯、電気鋳造の世界に入られたきっかけ について教えてください。

野田社長:
 
 私は、高校時代、叔父のところに居候していたのですが、ある夏の日、鋳造職人だった従兄が顔に火傷を負って帰宅したことがありました。とても痛々しく思えたのを今もよく覚えています。一方、当時は 一般家庭で電化製品を使うことが主流になり始めた頃で、 鋳造も電気を使えばこんな火傷をすることもないのに・・・と、素人ながらに思ったことを記憶しています。数日後に、学校の電気化学の授業で「電気鋳造」 を説明する文章に目が留まり、当時、まだ「電鋳」は特殊な技術で一般的ではなかったので、それだったら、自分で作ってみればよいのではないかと 、その時何気なく思いました。これが「電気鋳造」を追求しようとしたいきさつ、きっかけです。
 
 
 その後、社会人として、最初は化学メーカーに勤めていましたが、1965年、独立して江南市内の作業場(兼自宅)で、電気鋳造による仏壇の飾り金物の製作を始めました。そ の後仏壇の 飾りだけでなく、前の勤め先関連製品の加工の仕事なども年々増えてきたり、エッチング法による自社製品も手掛けるようになり、現在の会社の設立に至りました。
 
   少し余談になりますが、私は高校3年生の終わり頃、社会人になるにあたって精神面の鍛錬をしようと、岐阜県のある禅寺 で2週間ほど修練したことがあります。世の中で生きるためのさまざまな「教え」を、その禅宗の老師からいただきました。KTX創業の道へ進むにあたっても、 また、つらい日々が続いた時も、老師の「教え」に助けられました。老師の「教え」を強く決意し実践したことも、今 に至った大きなポイントになったと思います。
 

 


 


 御社は2003年の「ものづくりブランド名古屋」、2004年の「愛知ブランド企業」に続いて、「ものづくり日本大賞」特別賞の表彰を受賞されましたが、 今般の「ものづくり日本大賞」受賞対象となった「ポーラス電鋳」とは、どのようなものですか。
 
野田社長:

 

「ポーラス電鋳金型」のプロトタイプ(右)と成形品(左)。プロトタイプを蛍光灯の光に当てて見 てみると、夜空にきらめく星のようなミクロの「孔」を見ることができた。
 

  「ポーラス電鋳」とは、通気性のある、という意味でKTXがネーミングしたものです。一般の電鋳 金型に通気孔( 200ミクロン以下の超微細の孔)を空ける技術です。

 この技術で作った金型には、プラスチック製品などの成形において、真空技術と組み合わせると、モデルの形状、模様、表面の凹凸の「転写」を忠実に 、かつ、スピーディー、低コストで行うことができる といった大きなメリットがあります。

 非常に画期的で、全く新しい発明ですね。この「ポーラス電鋳」は、そもそもどのようにして開発され、世に出されたのでしょうか。 
 
野田社長:  開発のきっかけは、社員の作った鋳造金型の失敗作からで、孔の空いたいわゆるガサ電鋳品を目にしたことでした。とても納品できない代物で、一 度はゴミ箱 に捨てたものです。しかし、ちょうどヨーロッパでエポキシ樹脂に孔を開けた型でウレタン製の自動車ドア部品を吸引して造っているところを見たときに、その失敗作を思い出し、ミリ単位の 大きな孔ではなく、もっと微細な孔を開けたものを作れば、これはいけるぞと・・・。
 



 その後の研究開発 に約1年。試行錯誤を重ね、やっとの思いで「ポーラス電鋳技術」を完成しました。 できあがりの金型は、表側にはミクロン単位の孔が開き、裏側には「軽石」のような孔の空いた鋳物金型をイメージしていただければと思います。

 KTXが開発に成功した「ポーラス電鋳技術」は、当初海外も含め広く模倣されました。ところが、それらの品質が悪く、世界的に その技術の評価はあまり良くありませんでした。自動車メーカー などの見る目もいまひとつでした。そうした中、「ポーラス電鋳技術」の悪いイメージを払拭できたのは、FORD MOTOR COMPANY(フォード社)からの1通の 注文メールでした。1998年のことです。フォード社が世界中の車のインストルメントパネルの 品質を調べた結果、最も高品質のパネルが、KTXのポーラス電鋳金型で作ったものであることをつきとめたのです。これをきっかけにして、国内外の大手自動車メーカーをはじめとした各社に KTXの「ポーラス電鋳金型」を採用していただくことになり、当社の社会的な信用が構築できました。
 

 ところで、これまでの研究開発・経営にあたって、苦労されたことは何でしょうか?
 
野田社長:   もしあるとすれば、1973年の第1次オイルショックの際、金型の注文が激減したときのことです。その時期の当社は、従業員の1人にポーラス電鋳 技術の研究開発を続けさせる一方で、私も含めその他の社員全員で パチンコ店の椅子洗い、壁洗い、外車のレザートップの色換え等の仕事で、命をつなぎとめていたという苦しい状況でした。 ただ、そのときは皆必死になっていたので、それほどの苦労とは感じませんでしたね。

 しかし、この時期に 私自身の営業スキルを身につけることができましたし、その後のいくつもの苦境を乗り切るためのベース、基盤を作ることができたものと思っています。
 



 





 

 鏡面磨きやエッチング加工も可能なポーラス電鋳をさらに進化させた「スーパーポーラス電鋳」の技術も開発し、ますます「モノ作り 」企業として、社員一丸となって発展し続けるKTXの起業人として、他企業へのメッセージ、あるいは、これから新たに「モノ作り」を始めようとする起業人に対してアドバイスをお願いします。

野田社長:  基本的には、自社の技術を製品にどのように役立てるか、だと思います。せっかく持っている優れた技術を取引先に知ってもらうことも重要です。そ れから、自社にしかできない「オンリーワン技術」を追求すること です。
 

最後に、今後の事業・ビジョンについて教えてください。
 
野田社長:  今後力を入れていきたい事業としてはいくつかありますが、その1つに「MPM工法」による大型インジェクション成形金型の製作があります。 これは、小中量生産用射出成形のキャビ型における低コスト・短納期を目的として開発したものです。これによって、ハイサイクルで高品質な金型 を作ることができます。

 経営理念としては、生かされていることを常に感謝し、仕事を通じ精いっぱい社会に貢献すること。今後とも、私は社員と共に夢を大きく膨らませて人々の幸せを考えて創造し、それを一つ一つ実現し、社会貢献を果たして いきたいと思っています。

 

本日はありがとうございました。
 
      会 社 概 要
会社名: KTX株式会社(旧 江南特殊産業株式会社)
本 社: 〒485-8501 愛知県江南市 安良町地蔵51
創 業: 昭和40年1月
代表者: 代表取締役社長 野田 泰義
事業内容: 自動車・航空機・ 住宅設備・医療・レジャー関連
の試作金型、量産金型、製品


代表取締役社長 野田泰義

  資本金:   9,390万円
  従業員:   134名 (平成18年1月現在) 
  URL:   http://www.ktx.co.jp/
  TEL:   0587−54−5131
  FAX:   0587−54−8698

 


 

                              第1回「ものづくり日本大賞」に関するプレスリリース資料(平成17年8月)
        取材:平成18年1月18日 総務課 情報公開・広報室 
 



 中部経済産業局 総務課 情報公開・広報室

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