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中部発きらり企業紹介 Vol.7

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株式会社オンワード技研(石川県能美市)

〜ミクロの、その先へ。コーティングの真価を究める。〜
 

 今回は、それまでの繊維業から知識も経験も全くない『PVDコーティング受託加工』事業に昭和61年に事業転換され、現在その分野では全国でもトップレベルの技術を有しておられる株式会社オンワード技研の川畠清高社長、小林 治副社長にお話を伺いました。
 株式会社オンワード技研は、北陸ものづくり創生プロジェクト参画企業であり、平成16年度経済産業省創造技術研究開発事業の補助等を活用し、次世代のコーティング技術の実用化に向け日々研究開発に取り組んでいます。
 


 

 始めに、御社の表面処理技術について教えていただけますか?

小林副社長:

 

 


 表面処理法には「拡散」と「被覆」がありますが、当社は「被覆」のうちの「乾式」というのを手がけています。一般にいう「メッキ」といわれているのはもう一方の「湿式」になります。「乾式」は「CVD(化学蒸着)」と「PVD(物理蒸着)」があり、「乾式」処理は真空中で行い、PVDは、必ずプラズマを使用するものです。このような表面処理法の中で、現在、当社では『PVD』の『イオンプレーティング法』という方法を主に手がけています。

 『イオンプレーディング法』と言っても方式が幾つかあります。「アーク放電方式」というのは、多元金属の膜を作ることができますが、 仕上がり表面が粗く、材料ターゲット依存性が高く柔軟な膜組成制御性がありません。一方、「ホローカソード方式(HCD)」は、 綺麗な膜ができ表面が滑らかになるのですが、一つの金属の膜しか作れません。



 

石川県能美市にある(株)オンワード技研

 

 16年度活用した経済産業省の補助事業は、この「HCD」で多元金属の膜ができないかを研究するためのもので大きな成果を得ました。HCDで多元金属の膜ができるようになると、表面が滑らかなためアーク放電方式より摩擦係数が小さく、膜の厚さも薄くなるので汎用性がもっと広がります。この技術は5年を目処に事業化していきたいと考えています。
 

 

 全国的にも数少ない「PVDコーティング受託加工」企業としての御社の創業の経緯について少しお聞かせいだだけますか?
 
小林副社長: そもそも当社の前身は、三代続いた川畠機業場という繊維生産業者でした。
 

熱心に語る川畠社長と(左)と小林副社長(右)

  ご多分に漏れず川畠機業場も繊維産業が斜陽化していく中、事業転換をせざるを得なくなり石川県からも事業転換を勧められました。事業の転換を模索する中で新事業の一番の条件としたのが、繊維業で懲りていた「返品買い取り」ということがない「受託加工」事業というものでした。受託加工が成り立つ事業をいろいろと探していたところ、縁あって現在の「PVDコーティング」の受託加工を事業とする現会社を昭和61年4月に川畠社長が設立・創業しました。
   創業時、表面処理加工でも他社があまりやっておらず、将来性もあるといわれた分野をやるべきという関係者のアドバイスを受け、1億5千万円をかけ、PVD加工装置や洗浄機など必要な機械を一式導入して、全く技術も経験もないPVD(物理蒸着)を受託でやり始めたというのが当時の状況です。ですから、創業から2〜3年は赤字が続き大変苦労しました。

 


PVDコーティングに着目され、この世界で商売を始めようとされたのはなぜですか?
 

小林副社長:

 県から事業転換を持ちかけられ、何をしたらいいか悩んでいる時に、たまたま「イオンプレーティング装置」のパンフレットを手に入れたのがきっかけです。そのパンフレットからセラミックス表面処理加工は“金属は腐らない”、“在庫は持たなくていい”、“非常に珍しいため、安売りをしなくてもいい”と勝手に解釈して 、これなら我々のやりたい条件(受託加工)にピッタリ一致するということでこの事業に決めました。それからいろいろメーカーを回り、機械設備を購入しました。

クリーンルームでの作業風景

   この機械設備の購入にあたってはエピソードがあります。実は、当初N社の実績のある機械を買う予定で県から資金援助をもらうことになっていたのが、県に黙って違う他社の機械を購入してしまい当初から転換事業を強く支援してくれていた政府関係機関の窓口担当者から、 ひどく怒られました。当社が勝手に購入した機械は、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)ができるという珍しい機械で、他社があまり手がけていない分野で、将来性があるということで購入したのですが、当時は、ダイヤモンドのような性質の皮膜ができるものと本当に勘違いしていたのです。

 

 御社は、受託加工のほかにも、装置の販売も行っておられますが・・・。
 
小林副社長:  はい、現在では、PVD装置を自社開発し、その装置の販売も行っています。大手企業の研究施設等に納入しています。そうした研究所に納めることによって、その周辺からの仕事も来るようにもなりました。我々は、装置生産では素人ですが、それでもなぜ素人が造る装置を他社が買うのかというと、PVDコーティングというのは、本体のコーティング装置だけでは上手く機能しません。前後の洗浄作業や取り付け作業が非常に重要なんです。その前後のプロセスのノウハウが当社にはあるので当社のような中小企業が製造する装置も売れるんです。

 

 大手の企業との競合はどのような現状ですか?
 
 

コーティング前の取付が済んだ状態の製品

川畠社長:  大手の企業は、多工数の分野を大方はアウトソーシングします。我々は大手がやらないニッチな分野をやりたいと考えています。大量生産品ではなく、多品種で少量のコーティングの方が付加価値も高く、お客さんの喜びも肌で伝わってきて、やり甲斐を感じます。自社開発の装置で新しい隙間事業を創り、他社と差をつけたいと考えています。

 
   今では北は北海道から、南は沖縄まで何百というお客様から注文をいただいています。中には単品での注文もあります。

 

 人材育成の面についてはどのような取り組みをされておられますか?
 
川畠社長:









小林副社長:
 幹部については外部からコンサルタントを招いて研修をやっています。今後は、外の研修に出る機会も作って、もっとレベルを上げていきたいと考えています。
製造現場の社員には、特にマニュアルもないため現場経験の積み重ねで学んでもらっています。現場実務をやりながら、時間を見つけて自己分析し各人の技術を高めてもらっています。

 若い人には、学会にも参加したり、産総研等の先生を呼んで接触してもらったりして、社外に人脈をつくってほしいと思っています。私らよりも技術のもっと判る若い人に外に出て学んでもらい、様々なことを経験してもらいたいと思っています。技術も人材、営業も人材、経営も人材ですから社内の人材を“価値ある人財”に育成しなければならないと考えています。

(株)オンワード技研が誇るコーティング装置


 
 


 最後になってしまいましたが、御社の経営理念とは何でしょうか?

コーティングされた製品の数々


川畠社長:

 創業して20年、ここまで大変な時期を乗り越えやって来られたのは、あきらめずに夢を追ってきたからだと思います。私の夢はダイヤモンドの特性を持ち、かつ、どのコーティングよりも滑らかな薄膜を作ることです。

 それに、社員の幸せというのがいつも念頭にあります。一緒に汗水流して働いていますから、社員には幸せになってもらいたいという思いがあります。
 
小林副社長:  当社にも将来計画はあります。ですが事業には紆余曲折がありますから、作った計画が駄目ならすぐに色を塗り直せばいい、風呂敷の大きさもその時々によって変えればいいと考えています。
 柔軟性を持って、社員の動きと世間の動きを見て今後もやっていきたい。社員とお客さんあっての会社だと思っています。

 

 本日はありがとうございました。

 

  会 社 概 要




川畠 清高社長
 

  会社名:   株式会社オンワード技研
  本社:   〒920-1111 石川県能美市吉原町ワ−13
  研究所:   〒923-1211 石川県能美市旭台2−5−2
  創立:   昭和61年4月1日
  代表者:   川畠 清高
  資本金:   4,000万円
  従業員:   47名 (‘05年7月現在)
  事業内容:   @PVDコーティング受託加工
Aコーティング装置販売
B表面処理サービス
 工具研削サービス
  URL:   http://www.onwardgiken.jp/
  TEL:   0761−55−0466(本社)
  FAX:   0761−55−4405(本社)

                                          取材:平成17年10月12日 総務課 情報公開・広報室 
 



 中部経済産業局 総務課 情報公開・広報室

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