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中部発きらり企業紹介 Vol.5

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大同メタル工業株式会社(犬山市)
 

〜環境対応型マグネシウム合金切削加工システムの開発〜

 

 今回、平成14年度に経済産業省の地域新生コンソーシアム研究開発事業等の支援施策を活用し て、加工が非常に難しいマグネシウム合金の高精度加工ができる新しい“環境対応型マグネシウム合金切削加工システム”の研究開発に携わられ、現在も様々な製品開発に取り組まれている、自動車用・船舶用などの軸受で世界的に有名な大同メタル工業株式会社の中央研究所(犬山市) 商品開発室の松村秀弓部長にお話を伺いました。




 では始めに、貴社の創業の歴史について教えていただけますか。
 
松村部長:  当社は昭和14年に名古屋市北区で創業しました。創業者は、米国GMで研究を重ね、聞き及ぶところでは自動車の開発も手掛けていたようで、名古屋市営バスの 開発にも携わっていたそうです。その後、昭和37年に犬山工場を建設しました。

 現在、全従業員の約75%は犬山事業所に勤めており、当社の主力工場となっています。当社製品は、自動車の軸受などのエンジン部品が主体ですが、船舶用の大型軸受一般産業用ドライベアリングなどすべり軸受を多種に渡り製造しています。

 現在でも自動車部品の売り上げは全体の約80%を占めていますが、環境関連の分野の製品開発にも積極的に取り組んでいます。

 



大同メタル工業(株)犬山工場内にあり、中央研究所の商品開発室が入るWING21

 主力製品は自動車用軸受になるのでしょうか?
松村部長:  当社は、自動車軸受のシェアを日本全体で6〜7割持っています。また、船舶の大型軸受も製造している会社が世界的に見ても少なく、 当社が約65%の世界シェアを持っています。

 

 貴社がこれまで成長することができた一番の理由は何ですか?
松村部長:  良いお客様を持っていたことと、他社に比べ軸受技術が優れていたことだと思います。またすべり軸受の市場はそれほど大きくなく、大手企業参入やM&A(企業の合併、買収)が少なかった 事も上げられます。


 
 



新製品の油膜付水滴供給装置JOOM(ジューム)


 

 新製品「油膜付水滴供給装置JOOM(ジューム)」の開発経緯を教えて下さい。
松村部長:  当社はもともと自動車軸受関係以外にも何か手掛けようと考え ており、20年ほど前から工作機械の潤滑装置を開発していました。

JOOMという装置は金属加工する際、油と水を霧吹きのようにして吹き付けることにより、油剤の使用量を大幅に軽減することができる装置です。JOOMの開発のきっかけは名古屋工業大学の中村先生の提案でした。研究開発にあたっては12年度から14年度までNEDOの補助事業を活用しました。
 

   さらに、この研究に関連し、アルミ切削加工に使えるならマグネシウム加工にも使えるのではないかと考え、14年度の地域コンソーシアム事業で切削加工の難しいマグネシウム合金の高精度加工へ油膜付水滴供給装置 を活用する技術の研究開発を行いました。

 

 現在もマグネシウム切削加工について、共同研究が行われているのですか?
松村部長:  地域コンソーシアムでは名古屋工業大学、愛知県産業技術研究所、オークマ(株)と共同研究に取り組んできました。当社はJOOM本体の提供と技術的に一番難しい切りくずの処理の研究を受け持ちました。マグネシウムはドライ加工の際切りくずが発火する可能性がありますのが、加工ニーズは高いためこれを防止する技術開発が引き続き行われる予定です。JOOM加工では油膜付き水滴を使用するため切りくずと水が反応し水素が発生します。この抑制技術がポイントです。

 現在、JOOMを使ってマグネシウム合金のセミドライ加工を実際に行っている企業があります。今後、自動車関連でマグネシウムの使用が増加すると予想されるのでJOOMによるMQL(セミドライ)加工をもっとPRしていきたいと考えています。

 今後もJOOMに関連する共同研究開発は続けられるのでしょうか?
 
松村部長:  続ける予定です。適度の水と油が存在すると摩擦抵抗が低くなる結果もあり、水滴は加工の発熱を抑えられます。金属加工時の発熱温度が低いほど品質が安定し、コスト低減につながりますから市場性は十分にあると思います。
また、オイルフォグだけではオイルが飛散し作業環境を悪くしますが水滴を使うこの方式では飛散が抑えられ環境を改善できます。
JOOMは非常に環境に優しい加工技術、装置だと思います。現在アルミニュームの部品をマシニングセンターで全加工(ドリル、タップ、フライス、リーマ等)する技術開発を進めており今後の市場展開の中心にするつもりです。

 

 環境対策といえば、貴社は新エネルギーの開発の一環として太陽光発電の研究にも取り組んでいらっしゃいますが、太陽光発電についてどのようなビジョンを持っておられますか?
松村部長:  当社固有の技術を生かし、集光式太陽光発電用レンズ及び太陽追尾装置の開発に取り組み、特にレンズ部分で高性能の製品ができています。集光式太陽光発電技術としては世界トップレベルのものです。集光式は太陽に向かって集光パネルを動かさなければならないので技術的難易度も高いのですが、同じ集光パネル面積ならシリコン太陽電池に比べ2倍程の発電ができるため、大幅な電力コスト削減が期待できると思います。

 この集光式太陽光発電装置の開発はNEDOとの共同開発で行ってきたもので、その共同研究は平成16年度に終わりました。現在は、地域コンソーシアム事業活用に向けた計画を策定中です。用途としては、重量があるため、ビルの屋上設置などが可能な商業用 の方が一般家庭用より適していると考えています。
 



NEDOと共同開発した集光式太陽光発電の実験施設

 

   なお、この集光式太陽光発電装置に使われている当社の太陽光追尾技術は、現在開催中の「愛・地球博」の名古屋市パビリオン「大地の塔」の採光システムで活躍しています。

 

 燃料電池についても開発中とお聞きしていますが、開発はどこまで進んでいますか?
 
松村部長:  燃料電池については 、当社単独で開発しており、大手メーカーが開発しているような規模の製品ではなく、分散電源的な燃料電池をターゲットとしています。現在は教材キットとして販売していますが、将来は 一般の 小型携帯商品の電源として販売していきたいと考えています。

 当社が得意としている「バイメタル技術」の発想を応用し、燃料電池の膜電極のサンドイッチ構造にその技術を生かすことができました。用途も携帯電話の電源から自動車までありますが、当社はあくまで10W〜100Wレベルを狙いたいと考えています。


 ところで、会社概要でも紹介されています「トライボロジー」とはどういったものですか?
松村部長:  トライボロジーはギリシャ語の「トリボス」がその名前の起源で、2つの物質が相対して運動する時の状態(摩擦、摩耗、潤滑)を研究する学問のことです。 日本でも トライボロジー学会が存在し活躍しています。

 エンジンも油がないとすぐに焼け付きます。油があるから焼き付かない。油の存在は大切です が金属加工時に使っている油は後処理が大変なため、トライボロジーによってもっと油を減らすことができる技術を開発していきたいと考えています。

 



自社ブランド製品について説明する松村部長(左)


 社員教育についてはどのような取り組みをされていますか?
松村部長:  今年から「ダイドーメタルカレッジ」がスタートし、 「技能道場」は昨年からスタートしています。この2つの事業は、熟年の人の技術を次の世代の技術者になかなか伝えられないということで、技術継承をしっかりやるために始めました。通常勤務時間内で実施しています。講師はもちろん当社のベテラン技術者です。「ダイドー メタルカレッジ 」は基礎教育研修で、「技能道場」は生産現場における技術継承研修です。団塊の世代社員が退職時期を迎える一方、 経験が少ない若手社員が多いため、危機感を持ちこのような取り組みをして います。
 

 最後に、中部地域のものづくり企業へのメッセージをお願いします。
松村部長: 私は開発部隊ですので、自社にしか創れない独創性を持ったものづくりをしたいと考えています。そのためには、当社判治社長もよく申しておりますが、モノづくり及び開発にあたってはヒトづくり に力を入れていくことが重要だと思います。感性、粘り、高い目標を持ったヒトの集団からより良いモノが生まれると思います。

 本日はありがとうございました。

 

  会 社 概 要



松村秀弓部長

  会社名:   大同メタル工業株式会社
  名古屋本社:   〒460-0008 名古屋市中区栄二丁目3番1号
名古屋広小路ビルヂング13階
東京支社: 〒140-0002 東京都品川区東品川二丁目2番24号
天王洲セントラルタワー17階
創立: 昭和14年11月
資本金: 49億円
代表者: 代表取締役社長 判治誠吾
従業員: 1,271名
事業内容:  潤滑軸受(自動車、船舶その他各種産業用)、 予潤滑軸受(組付時に潤滑剤を充填)、 無潤滑軸受(完全無給油) 特殊軸受等。
TEL: 0568-61-8400(中央研究所 商品開発室)
FAX: 0568-61-1326(中央研究所 商品開発室)

URL: http://www.daidometal.co.jp

                                          取材:平成17年8月2日 総務課情報公開・広報室 
 



 中部経済産業局 総務課 情報公開・広報室

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