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中部発きらり企業紹介 Vol.3

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株式会社山寿セラミックス(尾張旭市)
 

ゾルゲル法による高度光学用単結晶エピタキシャル膜の開発と評価
〜IT通信機器で活躍が期待される単結晶製造技術〜

 

 今回は、東海地域での産業クラスター計画でも活躍中であり、また、当局の支援施策である地域新規産業創造技術開発費補助事業を活用し、中部大学と薄膜単結晶の共同研究にも取り組んでおられる株式会社山寿セラミックス加藤充弥社長にお話をお伺いしました。




貴社の歩みは?
加藤社長:  1925年、 父が陶磁器の輸出を創業いたしました。その後、陶磁器の生産も行っていましたが、 陶磁器業界では昭和45年頃タイルの製造プラントが韓国等へ積極的に輸出され、当時の発展途上国から安価な陶磁器製品がおしよせて来る危機感があり、そんな状況をきっかけに、新分野の単結晶を作ることを試みて、オプトエレクトロニクス(光通信)用単結晶育成技術の研究を スタートしました。

 YAG(レーザ発生用単結晶)、LiNbO3、LiTaO3(レーザ光へ信号をのせる、変調用単結晶)を開発しましたが、主力製品へと期待していたYAG単結晶は、その後その地位を半導体レーザにうばわれました。幸運にも昭和49年頃からLiNbO3(ニオブ酸リチウム単結晶)がテレビの中間周波用SAWフィルター(Surface Acoustic Wave)素材として着目され弊社はLN、LTの圧電性単結晶のウエハー(単結晶を薄い板状に切断、研磨した基板)の量産をスタートしました。
 

そのウエハーとは、私達に身近な携帯電話やテレビの重要な素材ですね。
 
加藤社長:   そうです。 私達がボタンを押すだけでテレビの放送局を変えられるのは、SAWフィルターが多くの電波から、見たい放送局の電波のみを選択(ろ過)してくれるからです。この技術をより高い精度で応用したのが携帯電話のSAWフィルターです。つまり多くの電波から、自分の話したい相手の電波のみを取り出し、いつでも、どこにいても、誰とでも楽しい会話が できるわけです。

 現在弊社は主力製品として、温度変化に対してより安定性の高いLiTaO3(タンタル酸リチウム単結晶)ウエハーを携帯電話用高周波部SAWフィルター素材として多量に供給しています。
 

当局の補助事業での研究開発の目的は?
加藤社長:

ニオブ酸リチウム(左)とタンタル酸リチウム(中)の単結晶と、それらのウエハー

 IT情報通信分野(特に光情報処理分野)での実用化を視野に入れて、一致溶融組成ニオブ酸リチウム(CLN)ウエハー上に、化学量論組成ニオブ酸リチウム(SLN)エピタキシャル膜(単結晶膜)を成長させることで、SLNのバルク単結晶を育成することと 比べ、安価で電気光学特性が同等の素材を作ることが出来る。この加工技術を「ゾルゲル法」と呼んでいます。ゾルゲル法では、任意の組成の材料を低温で合成でき、物質の添加による特性の制御も容易で、加えて、高価な製造設備が不要という利点があります。


 

補助事業を活用して研究開発を行った成果・メリットは?
 
加藤社長:  開発を行った単結晶のエピタキシャル膜は、再現性・安定性が高く、多くの技術的課題を抱えていましたが今ではほぼ解決できる見通しを持っております。

 また、我が社では主力製品の品質改善、特性改善のための研究開発にもかなりの経費をかけていますので、 今回の補助事業は、新製品開発において、資金的に非常に有効に活用できたと感謝しております。
 

商品化までの見通しは?
 

加藤社長:

ゾルーゲル法によって成膜されたウエハの模式図

 課題はほぼクリアできましたが、光通信システムとして利用可能な商品の実現までは、 もう少し時間がかかりそうです。どのような商品を作るにも、研究開発から商品化までの道のりに5年はかかるところが 商品化のポイントですね。

 

今後の取り組み・研究テーマは?
 
加藤社長:

焦電性(電気抵抗率)を調節し、顧客ごとのニーズに合わせた「ブラックLT」と呼ばれるウエハー

 携帯電話の高性能化(伝送スピードの飛躍的な進化)及び多機能化(カメラ、テレビ、決済機能、ナビ機能)の今後の一層の進展に 伴い、より高性能で小型(1.4mm×1.1mmサイズ)のSAWフィルターが要求される わけですが、これに伴い、LT・LN単結晶へもナノレベルの均質性、顧客ごとの特性の微調整、ウエハー強度アップ(フィルターの低背化により使用ウエハーも現在の0.35mm厚から0.15mm厚へ移行)が要求されるでしょう。この業界では品質改善、特性改善へのチャレンジがいつも必要です。

 また、第3世代,第4世代携帯電話,IP電話 ,ワイヤレスLANなど、今後伝送スピードが超高速化する わけですから、それを支えるネットにも安価で高性能な光デバイスが必要となると思います。

 

モノづくり企業として、メッセージをお願いします。
 
加藤社長:

本社全景(愛知県尾張旭市三郷町)

 モノづくり企業としてやっていくには、何と言っても、他社に優る基盤技術を持つことが大切です。我が社では、単結晶の製造技術がそれにあたります。また、21世紀は20世紀の時代に開発された技術のいわゆる応用問題を解いていく時代であり、常に「モノづくり」は「ヒトづくり」が基本になるものと考えています。

 さらに、必要なのはコンピューターの力だけではなく、人間の感性が大切でしょう。社員に求めるものは創造力・独創性です。ものを作るにあたって、1を聞いて10を知ることも大事ですが、時にはAと聞いてBと理解しないといけない場合もあります。そのためには、社員一人ひとりの基礎技術・基盤技術を高めることが重要です。
 

本日はどうもありがとうございました。
 

 

 

会 社 概 要
 

  会社名:   株式会社山寿セラミックス
  住所:   〒488−0012 尾張旭市三郷町角田1123番地
  資本金:   7,450万円
  従業員:   100名
  事業内容:   酸化物単結晶の製造加工販売、オプトエレクトロニクス単結晶の製造加工販売、光応用部品・各種センサ等用の単結晶応用機能素子の開発及び製造
  TEL:   0561−53−5111
  FAX:   0561−53−5115
  URL:   http://www.yamajuceramics.co.jp/

E-mail:

mailbox@yamajuceramics.co.jp

加藤充弥社長

                                          取材:平成17年6月15日 総務課情報公開・広報室 
 



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