トップページ > 中部発きらり企業紹介 > Vol.112 株式会社 エスケイワード

中部発きらり企業紹介 Vol.112

更新日:平成30年3月29日

グローバルコミュニケーションの仕組みを構築する

  • 愛知県名古屋市
  • 翻訳
  • WEB制作
  • 印刷
  • ダイバーシティ
  • トヨタカイゼン方式
スター★ちゅぼっと君
 今回は、株式会社エスケイワードの加藤 啓介(かとうけいすけ)代表取締役にお話をうかがいました。
 世界35ヶ国に対応可能な翻訳サービスから、WEBサイトや印刷物の企画・デザイン・制作まで、グローバルな情報発信をワンストップで提供しており、2018年3月に「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選定されました。
 IT業界ながらトヨタカイゼン方式を取り入れ、業務効率改善に成功。その経験を活かし、企業と一緒に会社の歴史やアイデンティティ―を見直す新しい事業も創出されています。
 外国人社員を起用していくなかで、多文化共生という本来の意味でのダイバーシティにも取り組まれています。
沿革;版下づくりからコミュニケーションデザイン支援へ
加藤 啓介 代表取締役社長の写真
加藤 啓介 代表取締役社長
手にしているのは津島四大祭PR用に
制作したVR用の簡易ゴーグル
 私の父 加藤誠一が1963年に名古屋で個人創業し、1966年に有限会社として法人化しました。社名は父のイニシャルをとって「SK欧文写真植字社」で、当時の業態を表しています。 「写真植字」とは、鉛の版を並べて組む“組版”を使った「活版印刷」の後に出てきた技術で、1文字ずつ写真を撮って、画像をずらしながら並べる方法です。“組版”をしてできた印刷のもとになる“版下”を「写真植字」でつくることを生業としていました。 「欧文」については、当時からこの地域は自動車や工作機械、ミシンなど製造業が多く、貿易も盛んで、製品が海外に輸出されるのに伴い、マニュアルや海外展示会のカタログ印刷の需要がありました。主にそういった外国語の印刷物の版下を作っていました。

第一の転機:1991年 マッキントッシュの登場によるデジタル化
 大きな転機となったのは、パソコンの登場でした。特に当時注目を浴びたマッキントッシュは、その中でデザインもできれば文字の組版もできるという画期的な機能を備えていました。デジタル化という大きな波が来て、当社もパソコンを中心とした制作に切り替えました。

第二の転機:1997年 インターネットの登場によるメディアの変化
 当社のデジタル化が軌道に乗り、1997年にマルチメディア部門を設立しました。この頃からインターネットが商業利用されるようになりました。当社の事業は紙だけではなく、インターネットでの情報発信に大きく転換していくことになったのです。

 私が社長に就任したのは、第一の転機が訪れた1991年。社長としての歩みは、いかにデジタルで効率よくデザイン・制作するか。 そして、情報が国境を越えて世界に伝わるインターネットの時代の到来により、創業当初から培ってきた外国語を扱う根本になるビジネスと、それを世界に広げるメディアを組み合わせ、情報発信をしていくという業態に成長していくことになりました。
社員のみなさん
社員のみなさん
 この業態の変遷は、積極的に自分たちで変えていったというよりむしろ、技術革新などの外的な要因によって起こった部分が大きいと思います。強いて言うなら、私の新しいモノ好きな性格が、世の中の環境変化にうまく適応できた理由かもしれません。 マッキントッシュやインターネットなど、新しい技術が出てくると他社よりも早く先取りをしていましたし、それらは一時の流行ではなくて、大きな根本的な変化だというのは直感的に捉えていたので、なんとかビジネスに使ってみたいという気持ちがありました。
 今、会社が変わりつつあるのは内的要因によるものです。最近では「グローバルコミュニケーション」や「コーポレートコミュニケーション」など、企業活動の中で「コミュニケーション」の重要性が謳われています。 私たちはお客様の要望をただ制作物という形にするだけでなく、そういうコミュニケーションに対して、何を組み合わせたら良いか、どうやって発信したら効果的か、ということまでを先駆けて提案するという業態になってきました。 「コミュニケーションデザイン支援企業」として、世界に向けて、コンテンツ作りから情報発信までを提案しています。
         
現在のビジネスモデル
 当社の主力事業は大別すると3つで、マルチリンガルサービス(翻訳をはじめ外国語を扱う部門)、WEBソリューション(WEBを中心としたクリエイティブ・制作部門)、クロスメディアサービス(創業時から手がけているプリントメディアの部門)です。どれが主力事業ということでなく、3つの部門が連携してワンストップで仕事ができることが強みです。企業や自治体などからの要望に対し、単なる翻訳、WEB制作、プリントメディア制作ではなく、包括的にグローバルコミュニケーションを提案します。
         
インバウンド対応;外国人観光客に役立つ仕組み作り
 インバウンド需要が増える中で、個々の観光地や店舗の対応支援ではなく、インバウンドのためのインフラをつくることを目指しています。最近では空港と昇龍道※の認知促進や高速道路利用促進のための多言語プロモーションサイトなどを制作しました。 まず日本に入国したら空港のHPがしっかりしてないといけない、必ずしも観光バスで周るわけではないので、レンタカーのHPも必要、そして実際走る道路のHP,観光地のHP、そういったものをトータルで整備していきたいと思っています。 旅行者は点でなく線で動くので、点ごとに情報提供するだけでなく、それらが繋がった有機的な情報がないと意味がありません。
 観光スポットが少ないと言われる名古屋にも、伸びしろは多くあると思います。例えば、産業観光はもう少し力を入れてもいいと思います。また、自動車の街なので、車でどんな旅ができるかをPRしても面白いかもしれませんね。
※中部北陸地域の観光エリア。地形が昇り龍の姿に似ているためこう呼ばれる。
         
自治体との協業;津島市との取り組み
 2016年に「尾張津島天王祭」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことを記念して、津島の四大祭をVR(Virtual Reality)体験できるシステムをつくりました。 祭の臨場感をリアルに伝えられるよう、カメラで撮影した動画を360°見られるようにしたもので、WEBサイトはもちろん、VR用の簡易ゴーグルも作り、観光案内所に常設しました。
 この制作に関しては、海外から4つのクリエイティブアワードを受賞することができました。アワードへの応募はブランディングの一環として当社から津島市へ提案したもので、津島市の柔軟な姿勢で応じてもらい、受賞に向けて一緒に頑張ることができました。
「津島VR」のWEBサイト
「津島VR」のWEBサイト
左から順に AWWWARDS、CSS DESIGNAWARDS、DESIGN AWARDS.ASIA、CSS WINNER
左から順に
AWWWARDS、CSS DESIGNAWARDS、
DESIGN AWARDS.ASIA、CSS WINNER
         
翻訳業務の拡大をきっかけに、ダイバーシティへ
若手社員が中心になってすすめるダイバーシティ推進委員会
若手社員が中心になってすすめる
ダイバーシティ推進委員会
 創業当時は、あくまで版下をつくる仕事だったので、「欧文写真植字」とはいえ、外国語原稿は支給されたものをタイプライターに打つのが中心で、それほど外国語に対する知見は必要としていませんでした。
 しかし2000年に入り社内に翻訳部門を設け、外注している翻訳会社からあがってきたものをそのまま依頼主に流すだけではなく、品質に問題はないか、ニーズにあっているかということを見極める重要性を感じ、ネイティブの力が必要になりました。その頃から外国人雇用を始め、今では各事業部合わせて4名が在籍しています。 彼らの目線を活かし、社外にたくさんいるパートナーの翻訳会社の中から、国ごとに得意な会社を選んで発注しています。言語数は35カ国語。ほぼ世界中の言葉に対応できます。
 当時は30人規模で、どうしても大企業に比べて社内規定があいまいな面もあったので、外国人雇用をするうえでまずは就業規則や社内ルールを整備しました。そして一緒に働く仲間として募集し、給料など処遇は日本人社員と一切差はつけず、全く同じ条件ということを前提にしています。 これらの規定を外国人の方にも最初に理解してもらったうえで入社いただくことにしています。そのためか、日本語の上級資格の言語レベルを持っている人の応募が多く、その中から採用させていただいていることもあり、一般的に難しいと言われる外国人社員の採用や定着について、特に苦労していることはありません。
 当社では、「パワーアップ休暇」という、正社員として1年以上勤務している人には5日間の連続休暇がとれる制度があります。そこに土日祝日をくっつけると10日間程度の休暇になります。里帰りしたいという外国人社員に対して作った制度ですが、外国人だけに適用したのでは逆差別にもなるので、全社員が対象です。 外国人も特別扱いされたという意識は持たずに済むし、日本人も外国人だけの優遇と思いません。ただ、当初は外国人は中国、台湾からの採用がメインだったのが、最近スペインなど欧米の人も在籍しており、里帰りにはその日数では足りないため、見直しが必要になっています。 日本人と違い、自分たちの主張をしっかりと伝えてくれるので、そういう要望には極力対応したいと思っています。
 これまでダイバーシティを意識した経営を続けてはきましたが、改めて2017年4月に「ダイバーシティ推進委員会」として社内でプロジェクトを立ち上げ、全社的な活動として再スタートを切りました。制度を使う側だけでなく、それを受ける体制や社内の風土づくりにも取り組んでいます。 会社によってはダイバーシティは働き方改革とニアリーイコールかもしれませんが、私たちはいかに多文化共生できるかという本来の意味でのダイバーシティを追求していこうと思っています。国籍がアジア圏の方中心だったのが、欧米人にも広がっていて、私たちは更に変化していくでしょう。
         
トヨタカイゼン方式を活用した生産性向上
文房具の置き場所
文房具は置き場所を決める。
共同で使えるものは
必ずここに揃っているので、
個人机に抱え込む必要はない。
個人所有のものは最低限に。必ず名前を明記。
個人所有のものは最低限に。必ず名前を明記。
しかかり棚
作業途中のものはしかかり棚に収める。
各人の作業の進捗状況や、
今どれだけ仕事を抱えているかが分かる。
取引先ごと、セキュリティレベルごと等、
明確に整理されている。
備品管理では、在庫が減ってきたら分かるような仕組みに。
備品管理では、在庫が
減ってきたら分かるような仕組みに。
カイゼンの過程
カイゼンの過程は記録に残し、
皆で共有した。
 社内の業務の中で、常々3つの課題を感じていました。まず1つ目は、制作の仕事の宿命ですが、終業時間が夜遅くになる、休日出勤しないといけない。 2つ目は紙で出力するものが多いので資料があふれ、事務所が汚い。3つ目は、デザインやITのプログラミングの分野には若い社員が多く、若いがゆえに教育をしないとルールを守れなくなる、ということです。中部産業連盟に相談すると、改善コンサルタントを紹介してくださいました。 トヨタカイゼン方式を推進されてきたアイシン精機のOBの方の指導のもと、整理整頓をきっちりする、ルールづくりをし、守る習慣をつける、ということに取り組むことにしました。
 トヨタのカイゼンは基本的に製造現場で活用されるものなので、自分たちのIT業界にはそぐわないという意見や、軋轢もありましたが、それでも地道に続けました。時間は急がず、整理整頓ができるようになるまで数年かかってもいいと思っていました。
 この活動をコツコツ10年やってきて、オフィスはもちろん綺麗ですし、個々人の業務の見える化、業務効率の向上による長時間労働の削減、ダイバーシティにも繋がりました。そして何より、お客様から“業務行程の管理がいい”という評価をいただくようになりました。
クレドブック
社員の行動基準をまとめた「クレドブック」。2017年4月に完成。抽象的な言葉ではなく、
会社の理念やビジョンを体現するための具体的な行動まで落とし込まれている。
社員皆でアイデアを出しあい力を合わせてつくりあげたもの。
         
新事業;コーポレートアーカイブ
 企業の財産として、人・モノ・金に次いで、歴史や情報も大切です。特にこの地域の企業、主に製造業には古い歴史があり、過去の資産を整理したいというニーズが今とても増えており、それに応えるべく「コーポレートアーカイブ」という事業を始めました。
 この事業はまさに自分たちがやってきたトヨタカイゼン方式の整理整頓から繋がったものです。お客様の職場に行って整理整頓し、出てきた資料を調査分析、デジタル化、分類し直して、再度お客様の棚に収めるという作業で、つまりお客様の会社の中に入り込み、資料を一緒に再整理して価値に変えていくという仕事です。
 こういう仕事は、部分的にやっている会社はありましたが、大々的に提案して事業にしている会社はありませんでした。私たちはこの仕事をパッケージ化し、大手印刷会社とコラボレーションして展開しています。
 更にここから派生して、新たな企業ストーリーを編み出しブランディングに繋げたり、社史の編さんや、HPの特設の周年サイトの制作など、そのあとの情報発信まで手掛けられるようになりました。
         
コミュニケーションの仕組みを作りたい
 現在、多言語コミュニケーションパッドというツールを開発中です。インバウンド用途で、窓口業務で日本人が外国人に対応するための補助的なツールとして考案しましたが、医療現場でも活用いただけるでしょう。 今はシナリオが入っていて、それを音声で録音したものを喋るシステムですが、今後はデーターベースを構築してインターネットと繋ぎ、自動翻訳のようなものにまで機能を高めたいと思っています。
 世界への情報発信という意味では、2020年の東京オリンピック、パラリンピックに向けての仕事も手がけていきます。
 私たちは、こういった仕組みづくりに関わることで、新しいコミュニケーションを生み出していきます。
         
会社概要
加藤 啓介 社長写真
加藤 啓介 社長
  1. 会社 株式会社 エスケイワード
  2. 法人番号 3180001042277
  3. 本社 〒461-0001名古屋市東区泉一丁目21番27号 泉ファーストスクエア9階
  4. 事業内容 多言語翻訳サービス、WEBサイト制作、ソーシャルメディアプロモ―ション、印刷物制作、企業アーカイブ、社史編纂
  5. 創業 1963年(昭和38年)創業、1966年(昭和41年)設立
  6. 代表者 代表取締役社長 加藤 啓介
  7. 資本金 1,000万円
  8. 従業員 46人
  9. HP 株式会社 エスケイワード ホームページ外部リンク
  10. TEL 052-953-7161
  11. FAX 052-953-7163

このページに関するお問い合わせ先

中部経済産業局 総務企画部 情報公開・広報室
住所:〒460‐8510 愛知県名古屋市中区三の丸二丁目五番二号
電話番号:052-951-0535
FAX番号:052-951-0557

ページ上部へ戻る

Adobe Reader バナーPDFファイルをご覧いただくためにはAdobe Readerが必要です。外部リンク