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中部発きらり企業紹介 Vol.107

更新日:平成29年6月23日

「回る」回転寿司から「回らない」回転寿司へ
日本の外食産業を変えてゆく、時代に先駆けた提案力・創造力

株式会社 石野製作所
石川県金沢市  
  • 寿司コンベアシステム
  • 回転寿司店
  • 食品加工機械
スター★ちゅぼっと君
 今回は、株式会社石野製作所の石野晴紀(いしのはるき)代表取締役社長にお話を伺いました。 同社は現社長のお父様が昭和34年に創業され、石川県の地場産業である繊維用機械の金属部品の加工を主業としていましたが、 “アイディア”“意匠”を取り入れた最終製品を作り始めたことや、鉄だけでなくステンレスも扱うようになったことから、食品用機械の製造に転じていかれました。
 国内トップシェア(60%以上)を誇る主力の回転寿司コンベアシステムは、その登場によって「回転寿司」を全国に広め、 それまでともすれば敷居の高かった寿司店を身近なものにしました。
 更にレーンに回っていない寿司を注文・配膳するための「特急レーン」の開発はまた、回転寿司業界だけでなく、これからの外食産業のスタイルを大きく変えつつあります。
寿司コンベア、皿洗浄機、寿司握り機など 回転寿司を支える機械の数々
石野 晴紀 代表取締役社長の写真
石野 晴紀 代表取締役社長
 当社の主力製品である回転寿司のコンベアシステムは、お店にあわせて一品一様です。 その店にとって、お客様を迎えやすく、働く人がスムーズに動きやすく、なおかついちばん売り上げがあがるようなレイアウトを考え、内装業者の方とも連携して、ベストなプランを提案しています。
 また、実はコンベアだけでなく、皿を洗う洗浄機、しゃりを握る寿司ロボット、チップを使ってデータを読み取る精算装置など、裏方の調理場にも面白い装置をたくさん納入しています。

回転レーン色々。マグネットで動くチェーンレスタイプのコンベアや、テーブルに枝分かれするレーンなど。
回転レーン色々。マグネットで動くチェーンレスタイプのコンベアや、テーブルに枝分かれするレーンなど。

コンベアはいちど工場で完成させた後、
バラして納品し、再度お店で組み付けている。
 当社の製品や事業が拡大したのは、創業当時から知的財産を意識し、“何か新しいことは出来ないか”という視点でものづくりをしてきたからと言えます。 いつもそれまで無かったものを創り出してきました。同時に、それを作る人、使う人両方を育ててきました。結果、当社だけでなく回転寿司業界自体が変わってきたと実感しています。

皿洗浄機

寿司握り機

精算システム
         
繊維用機械の部品加工から、食品用機械の製造へ
麻袋開口器
麻袋開口器
第一回いしかわモノづくり
産業遺産に認定
 当社はいわゆる鉄工所としてスタートし、金属加工の中でもプレスをメインにしていました。取引先のニーズに応えるため、板金や溶接、 材料は鉄だけでなくステンレスも扱うようになり、仕事の幅を広げていきました。そのなかで先代社長の父は“言われた通りの下請け加工だけでなく、 自分達のアイディアを出さなくてはダメ”として、当時の中小企業では珍しかった知的財産の考え方を重視するようになりました。 その転機になったのが、一定量の米を麻の袋に入れるための「麻袋開口器」です。袋の上口を開いて装置にセットし、米を入れながら、 下に台秤がついているので秤量も出来るという装置です。それまでは2人がかりの作業が1人で出来るようになりました。開発した装置は直ちに特許取得しました。

 これをきっかけに、下請けをしながら自社のアイディア製品も作るようになりました。 そうなると、それまで納入先から渡される図面を読めれば良かったものが、自分達が作りたいものの図面を自分達で起こす必要性が出てきました。 当時は図面だけを外注できるところは無かったので、自社の中に設計部門を置き、技術者を育てていきました。
 ステンレスの加工技術も徐々に蓄積され、部品加工だけでなくステンレスが主に使われる食品用機械の製造にシフトしていきました。 豆腐や湯葉の製造機など、ほぼ完成品まで、OEM生産なども手掛けるようになりました。
富士山にたなびく雲がデザインされたブックスタンド。
意匠権を取得した初めての製品。当時 知的財産というと、機械などの技術的アイデアに対する「特許」中心で、 デザインに対する「意匠」という概念はまだ一般的ではなかった頃に、いち早くデザインを権利化した。
  200件を超える特許、意匠、商標等のごく一部。国内だけでなく、海外でも精力的に取得している。
         
大きな転機となった「給茶装置をともなった寿司コンベア」の登場
最初は寿司レーンの上に給湯装置を後付けしていた。(図 右側は、別で設置していた湯沸かし器)
最初は寿司レーンの上に給湯装置を後付けしていた。
(図 右側は、別で設置していた湯沸かし器)
 回転寿司が世界で初めて登場したのは昭和33年で、東大阪市で『元禄寿司』を経営されていた元禄産業株式会社が考案されました。 昭和45年に大阪万博のフードコートにお店を出されたことで話題になり、徐々に認知されるようになりました。
 当時お茶は陶器の湯飲みに入れたまま寿司と一緒に回していましたが、それでは倒れてこぼれることもあり、何とかならないかと当社に相談がありました。 その頃当社では揚げ物を作るためのフライヤーや、給食センターの業務用炊飯器などを作っており、食品分野で熱や水を使う技術、 使用環境にあわせてカスタマイズしていく設計力が育っていました。『元禄寿司』からの要望で役に立ったのは、ラーメンのタレの注入装置の技術でした。この装置から着想を得て、 給茶装置が出来上がりました。これを『元禄寿司』の寿司レーンの上に後付けするかたちで納品しました。
給湯給茶装置付寿司コンベア機。第一回いしかわモノづくり産業遺産に認定。
給湯給茶装置付寿司コンベア機
第一回いしかわモノづくり産業遺産に認定
 その後、給茶装置の後付けは大変、最初から組み込んで作った方が、工事もスムーズだし、見た目もきれいだろうということで、石野製作所で一式作れないかと依頼があり、 『元禄寿司』の新店オープンに合わせて引き受けました。これを給茶装置をともなった寿司コンベアとして実用新案特許を取得しました。
 これを機に当社は、下請けの加工業から本格的な食品用機械の製造業へと大きく舵を切りました。一方、元禄産業株式会社は、家業である寿司店経営に徹していらっしゃいます。 今日当社があるのは元禄産業さんのおかげと感謝しています。
         
回転寿司によって一変した日本の「寿司」業界
くるくる寿司
くるくる寿司。
金沢市にオープンした第一号店。
お客様のニーズ把握のため、
今も小松市に一店舗展開している。
 昭和53年に当社自営のレストラン『くるくる寿司』を始めました。機械は作れてもお寿司のこと、お寿司屋さんで働く人や食べにくる人のことに関しては知識不足でしたから、 実店舗を経営することはお客様のニーズの把握や開発のヒントを引き出すよりどころになりましたし、そのノウハウは新たな機械作りに活かすことができます。
 店のロケーションもポイントになりました。当時まだ回転寿司は珍しく、あるとしても多くは都市部の駅前でした。 地方都市の郊外においても回転寿司が外食産業として成り立つということを証明したかったのです。 “田舎の石川でやっているみたい”と話題になり、一般のお客様から新規出店を考える人、既にお店を持っている人など、色々な人が見に来られました。 調理の職人さんやパートの方には、住み込みで研修も実施しました。研修では、機械を購入いただくお客様も受け入れました。 そもそも回転寿司というものが無かったので、お客様自身も店舗の作り方、運営の仕方が分かりません。であればうちの店で試してください、という考えでした。 ソフト付きで機械を売るような感覚です。
 その後回転寿司は瞬く間に全国に普及していきました。回転寿司によって、お寿司屋さんの概念も大分変わったと思います。昔は気軽に入れるところではありませんでした。 ましてやファミリーで行くところではなかったでしょう。今ではロードサイドの大型店で、家族で車で来店されるスタイルが定着しています。
         
「特急レーン」からあらゆる外食産業へ
 平成12年に私が社長に就任してから最も印象に残っているのは、「特急レーン」の開発です。 食べたい寿司が回っていないとき、タッチパネルで注文すれば自席まで運んでくれる、あのシステムです。業界の流れをがらっと変えました。

寿司以外でも使われている
「特急レーン」。
小皿のほか、大皿やトレイ、汁物が
入った器でも安定して運べる。
 当初、「特急レーン」は大変不評でした。展示会での反応は、“タッチパネルで頼まなくても 店にスタッフがいるのに”、“タッチパネルを押すのは面倒 回転レーンから取るだろう”、“初期投資にお金がかかる”など。 “おたく回転寿司コンベアメーカーでしょ、回さなくてどうするの?”とまで言われました。 それが実際に商品化すると大ヒットとなり、5,6年前からは回転レーンがなくなり「特急レーン」だけが使われる“回らない回転寿司”というスタイルまで出てきました。 回っていなくても“回転寿司”と呼ばれます。“回転寿司”は、ひとつのワードとして、自席まで運ばれてくる寿司という意味でしっかりと業界に根付いているのです。 そして“回らない”スタイルの「特急レーン」は、お客様が楽しめる店舗設計に溶け込ませたデザインで、寿司以外の業種にも、焼肉屋、串カツ屋、ラーメン屋、カフェなどでも採用が広がっています。
 平成29年5月現在、北陸地域の人手不足はトップクラス、石川県の有効求人倍率は1.86まで上がりました。全国的に見ても、人手不足はバブルの頃より深刻化しています。 「特急レーン」の需要は徐々に増えていますし、様々な業界で省力化が叫ばれるなか、このスタイルが外食産業のスタンダードになる日が来るかもしれません。 これからもお客様や業界のニーズに合わせ、開発を進めていきます。
         
拡大する海外需要への対応

容易に組み立てられる軽量の
回転寿司型コンベア「カルベア」
 平成24年には、容易に組み立てられる軽量の回転寿司型コンベアを開発しました。このとき採択された「ものづくり補助金」でヤグレーザー溶接機を導入し、加工時に発生する熱を抑え、 ステンレスの歪みを軽減することで、0.4mmの薄板の加工が可能になり、コンベアの軽量化に成功しました。 ユニットごとに分割してケースに収納してあるので、場所を選ばす女性でも簡単に組み立てることができます。 軽いコンベアという意味で「カルベア」という名前で商品化し、購入だけで無くレンタルでも好評いただいています。イベントやパーティーなどで回転寿司を楽しんでもらえるシーンが増えました。
 カルベアは、平成27年にミラノ万博にも持って行きました。日本館の中のイベント会場で、各県がそれぞれの紹介を行うイベントがあり、当社は石川県とコラボで出展しました。 酒、米、焼き物などの特産品を幅広く紹介する中で、石川県が県産の食材を使用した寿司を「カルベア」に乗せて回転させました。 目隠しに被せていた布を取り払って回転寿司が出てきたときは、会場から大歓声があがりました。来場者に実際に食べてもらい、展示は大好評でした。

ミラノ万博イベント会場にて
 もともと寿司は海外でも人気で、「回転寿司」も浸透しつつあります。当社もシンガポール、ジャカルタ、ハワイなどに展開しており、今後更に拡大していきます。 しかし海外のお寿司屋さんは中国人や韓国人が経営されていることが多く、導入されている設備の中には、悲しいことに粗悪なコピー品も見られます。 海外での特許戦略にはこれからも力を入れていきます。
         
会社概要
Company Profile
石野 晴紀 社長写真
石野 晴紀 社長
株式会社 石野製作所
法人番号
3220001001105
〒921-8025 石川県金沢市増泉5丁目10-48
事業内容
・寿司コンベアシステム製造
・周辺機器(寿司握り機、皿洗浄機)製造
・焼成機(ガス、遠赤外線)製造
・食品加工機械の製造
1959年(昭和34年)
代表
代表取締役社長 石野 晴紀
資本
5,000万円
従業
103名
株式会社 石野製作所 ホームページ外部リンク
TE
076-241-7185
FA
076-241-7551

このページに関するお問い合わせ先

中部経済産業局 総務企画部 情報公開・広報室
住所:〒460‐8510 愛知県名古屋市中区三の丸二丁目五番二号
電話番号:052-951-0535
FAX番号:052-951-0557

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