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中部発きらり企業紹介 Vol.106

更新日:平成29年4月27日

IoTは運用してはじめて意味がある。だからこそ自分たちが使いやすいものを。人は改善活動に集中する。

i Smart Technologies 株式会社
愛知県碧南市  
  • 製造ライン遠隔モニタリング
  • IoT
  • 改善指導
  • コンサルティング
スター★ちゅぼっと君
 今回は、i Smart Technologies(アイスマートテクノロジーズ)株式会社の木村哲也(きむらてつや)代表取締役社長にお話を伺いました。 ご自身の経営する旭鉄工株式会社(自動車部品製造)で、製造ラインの稼働状況をモニタリングするIoTシステムを一から構築・導入し、 生産能力の大幅改善に成功したのをきっかけに創業されました。現在は同システムの外販だけでなく、コンサルティングまで行っています。安価、シンプルなしくみ、 古い設備にも取り付け可能なことから、IoT導入に踏み切れない中小企業への後押しの役目も果たしています。碧南市の地場産業である三州瓦や兵庫県の織物など、 自動車部品とは全く異なる企業にも導入実績があります。
自分たちにあわせたIoTシステムの追求
木村 哲也 代表取締役社長の写真
木村 哲也 代表取締役社長
(改善横展開ボードの前で)
 旭鉄工で、納入先のトヨタ自動車からカイゼン指導を受け、生産管理板(時間帯ごとの生産数、ラインの停止時間、その理由等を記入する掲示板)を導入するよう言われましたが、 従業員が10ラインの生産を受け持っていて生産数のカウンターを時間通りに見ることが出来なかったり、停止時間を感覚で記入していたので誤差や記入漏れがあったりしたため、 正確に記入するのは無理がありました。
 流行りのIoTで何とか出来ないかと、セミナーや展示会に行って検討したところ、3つ分かったことがありました。1つめは、大掛かりで導入価格が高いということ。 2つめは、インターネット接続を想定していない旧式の設備では使えないこと。3つめは生産管理板に書くようなデータは意外と採れないこと。 例えば、計画している生産時間と個数の折れ線グラフがあって、そこからのズレが実績として分かるのがせいぜい、というレベルでした。 それでは役に立たないということで、計測装置を自作することにしました。

古い設備でもIoT導入可能
古い設備でもIoT導入可能
 結果、昭和の設備でも使えるIoTシステムを構築することができました。2014年に第一世代を完成させてから、2015年には第二世代、 2016年には第三世代と進化しています。生産性向上によってこれまでに4億円以上の効果を出すことができました。
 このシステムを他社にも展開していくことで、日本の製造業の底上げになると思い、2016年9月に旭鉄工から独立してi Smart Technologies株式会社を設立しました。 私はいつも、「人は付加価値の高い仕事を」と言っています。生産数が何個だとか、時間が何分何秒だとかいうのを人が測ることに付加価値はありません。 そこは自動化し、人は人にしかできない改善活動に集中すべきと思っています。
         
第一世代から第三世代への進歩
 当初、自作で計測装置を作ろうとは言ったものの、みなIoTについてよく知らず、基礎知識が足りていませんでした。 そこで30ドルくらいの教育用のPC「ラズベリーパイ」を買ってきて、プログラミングの本を参照しながら、簡単なシステムを作ってみるところから始めました。 とにかく初期投資にお金を掛けないことを方針として、固定費削減のため、サーバーを社内に置かず、クラウドを使う。 表示用の専用PCは買わず、各自のスマホを使う。工事費用節約のため、配線は有線にせず、無線にすることを基本としました。

第一世代:正常と異常の信号の採取が可能に
システムの基本構成
システムの基本構成
 設備から正常(=動いている)か異常(=止まっている)の信号は出ていたので、まずは正常と異常の時間を測ることにしました。採ったデータを送信機で飛ばし、 受信機で集めて、そこからクラウドにあげ、クラウドで整理したデータをスマホでアクセスして見に行くというシステムを構築しました。 これが、今も変わらない当社のシステムの基本構成です。

あんどん(異常等を知らせる表示灯)設置
 第一世代で正常か異常かの時間が分かるようになっても、停止時間はなかなか減りませんでした。 現場の監督者に聞くと、「停止したら早く直すように言ってはいる」。作業者に聞くと、「停止したことがすぐに分からないので、すぐに直せない」。 そこであんどんを設置することにしました。しかしあんどんは、基本的に製造ライン専用に設計するため高価になることや、高所に設置するのと配線工事が必要なため工事費がかさむことから、 やはり買うのは断念して自作することにしました。
 基本構成となる、信号を送信機で飛ばして受信機で集めるところに、直接ディスプレイをつけて正常/異常が表示されるようにしました。 セレクトスイッチという機能も付け、表示を切り替えれば、今止まっているのが“計画的に止めている”のか“修理中のため”なのか状況まで分かるようにしました。 これを「iスマートあんどん」と言っています。
 使用したディスプレイは汎用の1~2万円程度のものです。工場内では防塵仕様のものを使うことが一般的ですが、価格が一桁違ってきます。 であれば、安価なものを入れ、10回壊れてもいいという考えでした。使い始めて2年経ちますが、今のところ全く問題ありません。 従来品の10分の1程度の費用でシステムを構築できるため、他社でもお使い頂いております。

通常のあんどんは高所に

iスマートあんどん

第二世代:パルス信号を利用したサイクルタイムの計測が可能に
システムの基本構成
 「iスマートあんどん」の設置により停止時間を減らすことはできましたが、その割に生産個数が上がってこないケースがありました。調べてみると、 サイクルタイム(1個作るのにかかる時間)がばらついているようでした。そこで1サイクルに1回パルスを発信して数えることにしました。パルスの数が生産個数、 ピッチが1個できる時間となり、パルスがこない間は停止時間ということになります。

 パルスを発信するための設備コントローラ(PLC、シーケンサ等)は高価なのでもちろん買わず、秋葉原で適当なセンサーを30種類ほど買ってきて試し、 安価で使い勝手の良いものを選びました。パルスデータを、これまで同様に送信機→受信機→クラウドにあげ、スマホで見ます。これらのデータから、ラインの稼働状況、 稼働率、生産個数など、必要な情報を見える化することができました。

システム一式 2ライン分の例


送信機は乾電池で動く。
設備の回路に割り込まないので、
仮に壊れても生産に影響しない。

スマートフォン画面。
生産状況や、乾電池の残量も
ここで監視できる。

第三世代:機能追加のために外注化。受信機のパワーアップ、AIの実装により操作性が向上
 ここまでは素人だけで自作してきましたが、もう少し追加したい機能もあって手に負えなくなったので、レッドハット株式会社というアメリカのソフトウェア会社に外注することにしました。 私たち素人相手に、丁寧に対応してくれるのが有り難かったです。システムを作っては試し、改良するというサイクルを回しながらつくりました。 受信機がパワーアップしたり、判定にAIを使うことで条件変更等の操作がフレキシブルになるなど、細かな改良を加えています。
         
システム導入効果:改善活動の効率化、不良品率の削減、コストダウン、現場活性化
改善報告資料には、社長のコメントや「よくできました」のスタンプ
改善報告資料には、社長のコメントや
「よくできました」のスタンプが。
生産管理板とあわせて現場に貼り出され、
皆が切磋琢磨しあう環境に。
 こういったシステムを導入することで、見えていなかった停止時間や、サイクルタイムの変化等に気づけるようになり、改善しやすくなりました。 例えば、記録された停止時間を長い順に並べることができ、短い停止時間は後回し、長いところから直すというように、優先度がつけられるようになりました。 従来は人が張り付いてストップウォッチで計測していたサイクルタイムも100分の1秒単位で正確に、かつ自動で24時間記録され、いつの間にかサイクルタイムが長くなっていても気づくことが出来ます。 昔のデータを見ることもできるので、改善効果も確認できます。また、データ収集に工数を割かずに済むので、改善を実施すること自体に集中でき、そのスピードも倍くらいで進むようになりました。
 また、生産性が向上したことで、当初検討していたラインの増設が不要となり、設備投資費を3.3億円節約することができました。 残業や休日出勤も減り、製造するための工数が4%(=約2万時間)削減できました。分かりやすく時給5000円で計算すると1億円になります。
 特に良かったのは、従業員のモチベーションが上がり、改善しやすい体質になったことです。改善が進むとデータですぐに見えるので、 私は見つけたらすぐに現場に見に行くことにしています。現場の方も、改善がうまくいくと社長が来ると分かって待っているようです。 私が「何したの?」と聞く、現場が「それは・・・」と説明してくれる、私が褒める、現場は喜んでくれる、そしてまた改善してくれる、という好循環が生まれています。
         
IoT導入・運用のコツ
 当社のIoT活用が成功したのは、データ採取を欲張らなかったことです。ついついあれもこれも採りたくなりますが、使いもしないデータは採る必要ありません。 データが軽ければ無線で飛ばせますし送信機を乾電池でも動かせるので、電源工事も不要です。
 また、技術開発よりも運用に力を入れたことです。毎日ラインストップ会議を開き、徹底的に対策を考えました。昨日止まった時間が分かれば、なぜ止まったか、 どういう問題があったのか、その問題は誰がいつどうやって対策するのか、前に対策したところに再発はないか、という具合に、地道に議論を重ねました。
 見えない問題は直ることはありません。しかし見えるだけでも直りません。IoTはIT(Information Technology)とOT(Operation Technology)の組み合わせで、 特にオぺレーションが大事ではないかと思います。どうやって改善するかは機械は考えてくれませんから、私たちがそこに注力するのです。 IoTは導入するだけでなく、運用して初めて意味があります。
         
IoTシステムの拡販、第四・第五世代の開発、その先

事務所にもモニターがあり、
離れていても状況を確認できる
 i Smart Technologies株式会社を設立し、システムの拡販にも力を入れていきます。生産管理板を正確に書けない、またはかなりの工数を割いている、 という会社には特にお勧めです。このシステムを導入するといきなり書くための工数を削減出来るので、効果てきめんです。
 中小製造業に使って頂けるよう、10万円前後の初期投資と月々のサービス使用料支払いという形から導入可能になっています。 1日1ライン換算では100円~数百円程度、つまりコーヒー1杯程度でIoTのモニタリングが使えます。ほんの少し改善すれば元が取れるわけです。 会社としては多くのラインに導入してほしいですが、私のお勧めは実はたった5ラインです。たくさんデータが挙がってきたところで活用できず、「見えるだけ」になります。 経験上、改善するなら3~5ラインが限界です。少ないラインを本気でとりかかる方が良いです。改善が終わったら、 システムを別のラインに移してまた次の改善に使ってもらえれば結構です。
 システム導入も簡単です。普通のベンダーだと1ヶ月以上はかかるところ、月曜日に弊社に見学にお越しくださったお客様からすぐに欲しいとご要望があり、 木曜日にシステムを作って金曜日にお渡したら、取り付けはお客様ご自身でなさって、土曜日にはデータが挙がってきた、という例もあります。 我々がお客様のところにお伺いして取り付けした場合、たいてい2時間もあれば動作させることが出来ます。
 今、第四世代として、海外でも使えるように対応をしています。まずは当社のタイ工場に入れる予定で、その先の第五世代は現在検討中です。 また、導入の手軽さを活かし、いずれは通販でも展開出来ればと思っています。
         
日本の製造業の生産力を底上げ 先行するドイツも照準に
 先日、ドイツのハノーバーで開催された国際情報通信技術見本市「CeBIT」に行き、インダストリー4.0(ドイツ政府が推進する、 情報技術を駆使した製造業の高度化を目指すプロジェクト)の現状などを見てきました。 「中小企業向け」という言葉はたくさん見かけましたが、日本の中小企業の実態とはほど遠いものでした。 我々はこれまで日本国内十数社でサービス展開中ですが、ラインが止まっている時間を把握できないとか、 サイクルタイム(物を1個作るのにかかる時間)の概念がなかったりなど、多くの日本の中小製造業はまだまだ生産力向上の余地があります。 是非、当社のシステムを使って生産性を底上げしたいですし、難しいところはお手伝いしたいと思います。改善力を醸成する改善研鑽会も立ち上げようとしています。 皆で他の会社に行って勉強しつつ知恵を出しあうのです。私たちが行って改善するだけではそこで終わってしまうので、 自分たちで改善できる力をつけてもらうようにしようという狙いです。
 当社としては、初の海外展開となるタイや東南アジアが成功すれば、いずれドイツにも広げていきたいですね。
         
会社概要
Company Profile
木村 代表取締役社長写真
木村 哲也 社長
i Smart Technologies 株式会社
法人番号
7180301029623
〒447-0035 愛知県碧南市中山町7丁目26番地
事業内容
製造ライン遠隔モニタリングサービス
2016年(平成28年)
代表
代表取締役 木村 哲也
資本
100万円
従業
5名
i Smart Technologies 株式会社 ホームページ外部リンク
TE
0566-93-5100
FA
0566-93-5106

このページに関するお問い合わせ先

中部経済産業局 総務企画部 情報公開・広報室
住所:〒460‐8510 愛知県名古屋市中区三の丸二丁目五番二号
電話番号:052-951-0535
FAX番号:052-951-0557

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