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中部発きらり企業紹介 Vol.104

更新日:平成29年2月17日

生活習慣を測るために「ものさし」を作り、生活習慣を改善してもらうために人の気持ちを動かす

株式会社 ヘルスケアシステムズ
愛知県名古屋市  
  • 郵送検査事業
  • バイオマーカー
  • 検体検査技術の研究開発
  • 機能性食品の研究開発
スター★ちゅぼっと君
 今回は、株式会社ヘルスケアシステムズの瀧本陽介(たきもと ようすけ)代表取締役社長にお話を伺いました。 同社は郵送検査や検体検査技術の研究開発などを行っています。ベンチャー企業ならではの柔軟性、創造性で、 日本人の健康意識を大きく変える取り組みを次々に創り出しています。瀧本社長の視線は、ヘルスケアの枠組みを超えて、常に一歩先を見つめています。
起業のきっかけは、「人」との出会い
瀧本陽介 代表取締役社長
瀧本陽介 代表取締役社長
 大学・大学院では、理学部生物学科で、熱帯の生態学を専攻していました。修士課程のときはインドネシアに留学し、 現地の昆虫を捕まえてきては種や群集について研究するという日々でした。しかし博士課程の途中で、自分の進む道についてふと立ち止まって考えてしまい、 中退することにしました。機能食品研究所という三重大学のベンチャーの会社が、パート募集のチラシを新聞の折込広告に入れていたのをたまたま見つけ、 応募したのが27歳の時です。そこでは人手が足りなかったこともあり、食品の臨床試験の計画から、営業、試験の運営、経理まで、幅広く経験させてもらえました。
 そこで出会ったのが、食品メーカーに学術的な指導をされていた、機能性食品の分野でとても有名な大澤俊彦先生でした。 大澤先生から名古屋大学発のベンチャーを作るので社長にならないかと声をかけて頂き、引き受けることにしました。それまで社長を目指していたわけではなかったですし、 まさか自分がそうなるとは思いもしませんでした。社長経験の無い私をよく起用してくださったと思います。
 この名古屋大学発ベンチャーは、2005年に科学技術振興機構(JST)の大学発ベンチャー創出プログラム事業に採択されたことが創業のきっかけとなっており、 「抗体チップ」という検査方法を開発していました。ガラス基板の上にいろいろな試薬を載せて、安価に微量な検体から一度に多項目を測れるという技術で、 これを核として、株式会社ヘルスケアシステムズを設立しました。
         
経済産業省地域イノベーション創出研究開発事業により、「抗体チップ」の商品化に成功
研究員の方
「自治体やメーカーと連携し、
研究に取り組んでいます。」
 「抗体チップ」の基礎技術はほとんど出来ていましたが、お客様に出せる商品になるまでにはまだ課題があり、 経済産業省地域イノベーション創出研究開発事業(※以後、「地域イノベ」と略)に応募しました。それまで国プロの応募などしたことはなく、知識はゼロ。 また、大澤先生が経験されていたのは、文部科学省の申請で、基礎研究の研究費です。経済産業省の場合は視点が違い、 申請にはその事業が産業にどう活かされるかとか、どれくらい利益が得られるかという見通しが必要で、私にとってとても難しいものでした。 色々な人に聞きながら苦労して書き、採択して頂くことができました。
 事業立ち上げまでは、商品の幅を広げることはせず、可能性の高い検査キットに絞って開発を集中させました。 何せ起業したものの主事業である検査事業の立ち上げが遅れてしまい、経営的な余裕はなかったのです。国からの補助金はあくまで開発費なので、 会社の利益には計上されません。そのためこの間は、ニュージーランドから輸入したカシスを販売したり、他社がやりたがらない特殊な分析を受けたりして食いつなぎました。 2年間の地域イノベを経て、当初最も完成度が高くニーズも多かった、“活性酸素による体のさびを測るためのマーカー”を商品化することが出来ました。
         
B to B から B to C へシフト;「ソイチェック」の誕生
ソイチェック:自宅で検査キットで採尿
自宅で検査キットで採尿
ソイチェック:自宅で検査キットで採尿
ヘルスケアシステムズにて検査
ソイチェック:自宅で検査キットで採尿
結果を返送
 地域イノベで商品化に成功した後は、ターゲットを研究者や大学といった専門家から、一般の方向けへとシフトしました。 弊社は創薬ではなく、食品やヘルスケアの領域なので、研究としての検査市場はそれほど大きくありません。 しかし一方で、一般の方向けには潜在的な市場があるのではないかと思い、一般ユーザー向けの郵送検査を始めました。自宅で検査キットに採尿したものを、 郵送で送ってもらい、弊社で検査し、結果を返送するというしくみです。検査内容としては、 大豆に含まれるイソフラボンという成分が体内で有効に活用できる体質かどうかを検査する「ソイチェック」という商品を作りました。 2012年から販売開始し、初年度の利用者が約200人だったのが、今は累計10万人を越えています。有難かったのは、 メディアの人たちが面白いと言ってくれたことです。更年期世代の女性を対象にした月刊誌「日経ヘルスプルミエ」(日経BP社刊)の豆乳特集で、 読者モニター10人に「ソイチェック」をプレゼントしたところ、応募メールが殺到して開始半日で締め切られたのです。これは面白いと評判が広がり、 色々な雑誌やテレビに取り上げられました。専門家だけのものと思われていたものが、実は自宅で簡単に誰でも検査できる、というところに関心が集められたようです。 B to BからB to Cへ切り替えて、一般のユーザーに広く知ってもらうことは大きな課題だったのでとても有難かったです。
         
病気のものさしはあるのに、生活習慣のものさしは無かった
 病気になったら、病院に行って、検査を受けて、診断され、治療を受けます。でもその病気になる手前の段階では、どうでしょう。 ヘルスケア、アンチエイジング、ダイエットというキーワードで表現されるようなこと。皆さんは健康番組やインターネット、雑誌で紹介されたものなどを、 自分の好みや流行などにあわせて独自に試されていると思います。しかしそういうものは、効果を感じられなかったり、 面倒になってやめてしまったりということが多いと思います。病気のものさしは患者ひとりひとりに対して医師が診断できる確かなものがあるのに、 生活習慣にはものさしが無いので、皆、自分の正解が分からないのです。
 医療費の三分の一はこういったミスマッチから生じる生活習慣病で占められています。このミスマッチを解消するための生活習慣のものさしを作る。 ヘルスケアシステムズの役割はそこにあると思っています。病気のものさしは病院にある。病気になる前段階は病院には行かない、ならば自宅で、郵送の検査というものさしを使ってもらおうという狙いです。
 検査における技術革新のスピードはとても速く、これから益々進歩していくでしょう。ただ、技術さえあれば人の生活が変わるのかというとそうではありません。 その技術を正しく使ってもらって初めて効果があります。では何がきっかけで人は気持ちよく動いてくれるか、その技術を使って生活習慣を変えようと思ってくれるか。 私たちはその能力こそ磨きたいと思っています。
         
人の生活習慣を変えるためには、その人の気持ちに寄り添うこと
ソイチェックの結果に同封されているリーフレット。健康生活のための様々なアドバイスも入れて。
ソイチェックの結果に同封されているリーフレット。
健康生活のための様々なアドバイスも入れて。
 医療やヘルスケア関係の人たちは、エビデンスに基づいて説明することに長けています。ただ、お客様が知りたいのはそこだけではないと思うのです。 より気持ちに寄り添ったものが必要でしょう。お客様の気持ちを考えて、行動を起こさせることをもっと勉強したいと思っています。
 例えば、若い女性に大豆イソフラボンを食べて老後の骨折を防ごうと言っても、行動してくれる人はあまりいないでしょう。 でも女性の味方のイソフラボンの効果が高くなるように、若いうちから大豆をもっと食べましょうと言うと、行動は変わってくるのではないでしょうか。 私たちはきっかけは身近な食生活でも、将来骨粗しょう症になる女性が少しでも減れば大成功だと思っています。
 ひとつの策として、自治体やメーカーと協力したプロモーションにも力を入れています。ある企業でソイチェックを無償提供したところ、 女性ホルモンや更年期障害に対する理解が深まり、乳がん検診の受診率が2割も増加しました。
 2016年はCNBベンチャービジネス大賞をはじめ、ビジネスの功績を讃える賞を3ついただきました。このことは社外にとってだけでなくて、 社内にとっても大変良い効果がありました。会社がやっている方向は間違っていないという、従業員皆の自信に繋がったと思います。
         
欲しい人材は、商品のブランド価値を上げられる人、
市場を作っていける人、社長になれる人、海外展開に役立つ人
 当社の売り上げの半分以上は、「ソイチェック」に代表される郵送検査事業ですが、残りは受託検査事業、研究活用事業で構成されています。
 受託事業は、大学や製薬メーカーなどを対象とするB to Bで、郵送では出来ない項目を扱っています。ここから次の郵送検査に成長していくものもあります。
 研究活用事業は、依頼のあったテーマに対し、自治体や、企業、食品メーカーなどを巻き込み、日本だけでなく海外とも連携して様々な研究を行っています。 例えば、ニュージーランドと日本の共同で、カシスを摂取することで生活習慣病予防に効果があるかどうかの実証実験をしました。 老人ホームに入所している高齢者に毎日カシスジュースを飲んでもらったところ、脂肪肝への効果が確認できました。 また、カカオポリフェノールがたくさん入っているチョコレートで生活習慣病の予防ができないかと考え、蒲郡市の協力を得て市民の方々に1ヶ月チョコレートを食べてもらい、 市民病院で検査をしてもらうという大規模な取り組みも行いました。
 採用については積極的に考えていて、今は研究も営業も全ての分野で欲しい人だらけです。共通して言えるのは、どうやったらこの検査の価値をもっと上げられるか、 新しい市場を開拓できるか、企画を考え実行できる人が欲しいですね。あとは、次の社長になる人をこの会社で育てたいです。 自分はスタートアップは得意だけど、その後をハンドリングするのは、もっと上手な人がいるかもしれない。 創業社長がずっとその役職を担っていかなくてもいいと思うのです。特に私は新しいことをするのが好きなので。 近日中にまた、別の大学発ベンチャーを立ち上げる予定です!

 日本人はとても健康意識が高く、生活習慣に対する問題意識も持っています。今やっていることは、 世界の中でも技術的にかなり洗練したものを作ろうとしていると思っています。日本で成功すれば海外でも十分展開できます。 そのためには海外の現地の人たちの生活習慣を変える、つまり気持ちを動かさないといけないですが、こればかりは日本人だけではだめだと思います。 伝統的な習慣や宗教など、日本とは全然違うものが人の心や生活習慣を動かすかも知れませんしね。
         
中部地域にいるメリット、中部地域だからこそ描いてみたい構想
 本社と研究開発の拠点は名古屋で、営業と事務の拠点は東京です。本社は「名古屋医工連携インキュベータ」という施設の中に置いています。 インキュベーション施設ですので、支援を受けながら新しいビジネスを育てていく企業が入っています。早く成長して卒業し、 卒業企業でもナンバーワンと呼んでもらえる企業になりたいですね。ただし、本社を名古屋から動かすつもりはありません。 これまで関わってきた人や応援してくれる人がたくさんいますから。
 インキュベーション施設は入居企業どうしで足りないところを補完できてありがたいのですが、新しいベンチャーが次々と育つ方がいいと思います。 名古屋のベンチャーは元気がないな、と言われないためにも、私たちが成長していく姿を見せたいですね。

 中部地域で起業して良かった事は、1つはこれだけの大都市圏のひとつなのに、ベンチャー企業(特にヘルスケア関係)が少ないこと。 東京でやっていたら埋もれていたかもしれませんが、ここでは注目してくれる人がいます。 しかもかなりの人口と産業があるところで色々な立場の人に知ってもらえたのは良かったです。
 もう1つはものづくりの中心地であること。検査装置などのハードの部分は、ものづくり企業との共同開発です。 ものづくりの技術を持った人がたくさんいるのは、アドバンテージになりました。この地域の自動車産業には、様々なセンサーや計測技術を持った企業がいます。 それらの技術は、郵送検査に応用できるものもたくさんあるのですが、多くは埋もれたままになっています。勿体無いと思うと同時に、 私たちのようなベンチャーにも共同開発の機会があるという点では有難いですね。

 ここの地域で生まれたからには、「車に乗りたくなる検査」を作ってみたいです。車に乗ることって、移動手段としてだけじゃなく、楽しいですよね。 人間は、楽しくない環境にいると、脳由来神経栄養因子という脳の活動を支える栄養物質が減少して、鬱や認知症のリスクがあがってしまいます。 車に乗って楽しんで、認知症を予防しよう、ということが出来るかもしれません。脳のごきげん度を検査して、車を運転、例えばかっこいいスポーツカーに乗ろう、 なんてことがあれば、この地域で生まれた意味があるのではないでしょうか。
         
会社概要
Company Profile
瀧本 代表取締役社長
瀧本 陽介 社長
株式会社 ヘルスケアシステムズ
法人番号
5180001070417
〒464-0858
愛知県名古屋市千種区千種2-22-8 名古屋医工連携インキュベータ105F
事業内容
郵送検査事業、バイオマーカー、検体検査技術の研究開発、機能性食品の研究開発
2009年(平成21年)
代表
代表取締役社長 瀧本 陽介
資本
3,000万円(資本準備金含む)
従業
20名
株式会社 ヘルスケアシステムズ ホームページ外部リンク
TE
052-734-8885
FA
052-734-8851

このページに関するお問い合わせ先

中部経済産業局 総務企画部 情報公開・広報室
住所:〒460‐8510 愛知県名古屋市中区三の丸二丁目五番二号
電話番号:052-951-0535
FAX番号:052-951-0557

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