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中部発きらり企業紹介 Vol.103


万協製薬株式会社

社名の由来「万人が協力して、良い製品作りを行う」を体現する会社
〈三重県多気町/外用薬の受託製造〉

ちゅぼっと君
 今回は、万協製薬株式会社の松浦信男 代表取締役社長にお話を伺いました。同社は外用薬の受託製造を主とする製薬メーカーです。しかし単なる受託製造に留まらず、開発から生産に至るまでのプロセス全体を大手製薬メーカーと共同で行っています。
 最近では三重県立相可(おうか)高校との共同開発を通した地域の人材育成・社会貢献や、関連企業のM&Aも精力的に行い、新たな広がりを展開しています。
松浦信男 代表取締役社長と「まごころ」シリーズ
【松浦信男 代表取締役社長と「まごころ」シリーズ】


阪神・淡路大震災での被災によって生まれた「人に必要とされる会社にしたい」という思い

 弊社は外用薬の製造工場として、1960年に兵庫県神戸市で父が創業しました。 以来35年間、弊社オリジナルブランドの「レーバン」という痔の薬の製造ひと筋で経営していたところ、1995年の阪神・淡路大震災で会社は倒壊、操業不能となってしまいました。 私はすぐにでも再建したかったのですが、父や従業員はやる気を失い、唯一の取引先であったレーバンの販売会社にまで廃業を勧められました。
 自分が勤めていた会社が、社長、社員、取引先から必要とされていないことに失望し、その時父から経営権を譲り受けると同時に工場を閉鎖し、従業員を全員解雇しました。大変苦い経験でしたが、「人に必要とされる会社にしたい」という思いを抱き、私は社長として一から再スタートを切ることに決めたのです。工場があった神戸市長田区は、激震地区であったために国から再開発地区に指定され、すぐには工場を建てることが叶わず、移転先を探していたところ、ちょうど製薬会社の誘致に積極的だった三重県で工場の競売物件を見つけ、購入しました。

仕事を請けられるように整備した独自の生産システム

 三重へ移転し、仕事欲しさに必死で営業していたところ、ある会社から仕事の依頼がきました。 それは薬剤を蓋付きのプラスチック容器(ジャー容器)に充填するというものでした。 それまではチューブに充填する技術しかありませんでしたが、何とか会社を軌道に乗せたいという思いから、工夫して対応することができました。 この経験は新たなビジネスチャンスを見出すきっかけになりました。もともと開発力には自信があったので、あとはどんな注文にでも応じられる体制を整えれば仕事は広がっていくということに気付いたのです。
 そこで工場に一流の設備を入れ、効率化のためにアレンジし、知識や経験のないパート社員がオペレーションしても不良品が出ないような仕組みを構築しました。
美商品・オペレーターにあわせて最適化された生産ライン
【商品・オペレーターにあわせて最適化された生産ライン】

受託製造への転換をきっかけに、ただの下請けにならないために始めた経営品質向上活動

受託製造した大手製薬メーカーの有名ブランド商品の数々
【受託製造した大手製薬メーカーの有名ブランド商品の数々】
 取引先を増やそうとしても、それまで1社としか仕事をしてこなかった万協製薬にはブランド力はありません。 ならば開発と生産だけに特化し、お客様ブランドで商品を広めてもらうことにしました。他社ブランド商品の受託製造という、医薬品業界では先駆的なビジネスです。 ただ、弊社の場合、顧客の仕様書どおりの商品を作るだけでなく、自分達で開発したものも提案しています。取引先のブランド名を使うことで、万協ブランドで売るよりも売れるのです。 取引先の利益にも繋がります。決して表には出ませんが、万協製薬と付き合うとメリットがあるという評判が広がりました。

受賞した経営品質報告書
【受賞した経営品質報告書】
 そうした中で、取引先の要求に一方的に応えるのではなく、誇りを持って意見できる素地をつくりたいと思って始めたのが、経営品質向上のための取り組みでした。 私を含めた社員皆で勉強し、経営品質賞にチャレンジしました。チャレンジする過程で、自社の体制の課題が整理され、社員全員で共有できたことは非常に良い経験でした。 またその結果、2008年度までに三重県経営品質賞を3回、2009年度には日本経営品質賞を受賞することができました。
 受賞したからといって1円の利益にもなりませんが、公的にお墨付きをもらうことで、ただの下請け会社ではないとアピールすることができ、何よりも社員ひとりひとりに誇りと自信が芽生えました。
 平成28年3月現在、売り上げは震災前の50倍以上に、1社だった取引会社は80社に増え、再スタートしたとき3人だった社員は100人以上に成長しました。


お客様だけでなく、社員から、地域から必要とされるために

 社員に必要とされる会社にする秘訣は、成長を実感しながら楽しく働いてもらうことです。 社員の自律性と気づきを促す組織風土を育むため、社員同士の、そして社長である私との対等なコミュニケーションを大切にしています。 そうすることで会社の目指すべき価値や目的も皆にしっかりと共有されるので、信頼して権限委譲することが出来、業務が効率的に回るのです。
 また、会社は地域の一員です。地域のことを考えるのは会社の義務と言えます。地方の町、特に弊社の立地するような過疎化の進む町では、放っておくと経済はどんどん疲弊していきます。 人口も企業も店も減っていくでしょう。それを食い止めるためには、地域の中核企業がもっと地域のことを考えればいいのではと思います。 その地域に存在することによって会社が成長しているのであれば、その力を使って地域を元気にすることを考えれば、その地域は死なないと思うのです。 私は町内の各種役員を担当した社員には役員手当として報酬を与えています。万協製薬で学んだ知恵やシステムを使って、地域を活性化してくださいと伝えています。

高校生とコラボしたスキンケア商品「まごころ」シリーズ

 2010年4月からは、三重県立相可高校の生産経済科と連携し、地域の農産物を使った化粧品の共同開発を始めました。 きっかけは、同校の食物調理科が運営するレストラン「まごの店」でした。この店は2002年に開業しており、数々のコンテストでの受賞経験や、日本テレビ系のドラマ「高校生レストラン」のモデルになったことから全国的に有名で、食物調理科の生徒は企業が求人で取り合うほど人気でした。 ただ、この店で使う食材を作っているのは生産経済科の生徒たちです。 彼らにも光を当てたいとの思いから、店舗をプロデュースした多気町職員の岸川正之氏が「三重の特産物を使って高校生と一緒に化粧品を開発しないか」と弊社に相談に来てくださいました。 地域社会貢献のためになると思い、すぐに引き受けることにしました。
 高校生は学業が中心のため、放課後や休日を使っての活動となりました。もちろん課外時間を利用するので強制ではありません。 それでも生徒たちは皆積極的で、会議に出席する代表者6名(各学年2名選抜)の席は争奪戦でした。 マーケティング調査、試作試験やパッケージのデザインなど全て生徒たちが主体的に進め、半年後に地域特産の伊勢茶を利用した「まごころteaハンドジェル」が誕生しました。 2011年には地域思いビジネス共感大賞・奨励賞、2012年にはモンドセレクション銀賞を受賞しました。 以後、化粧水や乳液、日焼け止めなど商品数は増え、2015年には「まごころ」シリーズとして第6回ものづくり日本大賞 経済産業大臣賞(青少年支援部門)を受賞しました。 結果、同校生産経済科への入学希望が増加し、また、弊社を含む地元企業に就職する卒業生が増えるなど、地域活性化の効果もありました。
 開発に関してだけ言えば、毎年選手交代される高校生に任せるよりも、ノウハウがある自分たちで行う方が効率的かもしれません。 しかし、最初は「まだ高校生」と思っていた生徒たちのパワーは予想外のものがあり、毎年新しい商品が生み出されています。 弊社としては、地域の若年者の人材育成、社会貢献のお役に立てるのは嬉しい限りです。
地域資源を活用した化粧品「まごころ」シリーズは、第6回ものづくり日本大賞 経済産業大臣賞を受賞
【地域資源を活用した化粧品「まごころ」シリーズは、第6回ものづくり日本大賞 経済産業大臣賞を受賞】


戦略的なM&Aで挑戦を続ける

 私は常に、従来の事業から得られた利益で、次作り出すべき価値は何かを考えています。
 弊社は2012年にバンキョウグループホールディングスを設立し、万協製薬株式会社はその傘下に入っています。 今年、このホールディングスには釜屋化学工業(樹脂容器製造業)、タイカマヤ(射出・蒸着技術等による各種容器製造業)、いせや商店(薬局業)、 メディサポジャパン(医療/介護のフリーペーパー発行の広告業)の4つの会社が加わりました。

メディサポ
【メディサポ】
 メディサポジャパンが発行する雑誌「メディサポ」は、福祉施設や医療機関に配布するフリーペーパーで、求人・入所者募集のための広告や健康情報などを掲載しています。 こういった雑誌でありがちな広告の羅列ではなく、読む人に手にとってもらえる明るく読みやすい内容にし、地域の医療と介護の質を上げたいと思っています。
 ここでまた、相可高校生産経済科とのコラボレーションも企画しています。同科の本来の取り組みのひとつに、「園芸福祉活動」というものがあります。 これは皆が心身ともに「幸せ」を感じられるようにする活動で、例えば介護施設に行って花壇を作ったり、彼らの育てた鉢植えをプレゼントしたりしていました。 「今までになかったことをやりたい」という動機から、生徒たちの本来の能力である「園芸福祉活動」を、メディサポを通じて展開することにしました。 具体的には、メディサポに広告出稿して頂いている施設を生徒たちが訪問し、園芸福祉活動をします。それをメディサポに記事として掲載します。 掲載料はその介護施設に負担してもらうわけですが、これを生徒たちの活動費として充てるのです。そもそも化粧品の共同開発も、お金儲けのためではありませんでした。 得られた利益で、本来の目的に適うことをもっとやりたいという考えです。
 また、同じくグループ化した釜屋化学工業は化粧品をはじめとする容器の製造が得意なこと、グループのタイカマヤはタイに工場を構えていることから、今後弊社の商品には新たな広がりが生まれるでしょう。
 私たちは様々な障害を乗り越えひとつの成長企業体として志を同じくしています。高収益の弊社がメインで支えることで、各社の信用力は増大しました。今後は、グループ全体で、人、モノ、金におけるシナジー効果を出していきたいと思っています。

会社概要


代表取締役 松浦 信男
社: 万協製薬株式会社
法人番号: 9190001010896
社: 〒519-2179 三重県多気郡多気町仁田725-1
事業内容:

外用薬(クリーム剤、軟膏剤、液剤)専門の受託メーカー。あらゆる形態の充填、包装が可能。開発提案も行っている。

業: 昭和35年(1960年)
代表者: 代表取締役 松浦 信男
資本金: 4,000万円
従業員: 130人
URL: http://www.bankyo.com/
TEL: 0598-30-5266
FAX: 0598-30-5285


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