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中部発きらり企業紹介 Vol.102


株式会社タナック

確かな知識とプロデュース力を活かし、シリコーン業界で躍進を続ける
〈岐阜県岐阜市/シリコーン製品の製造・販売〉

ちゅぼっと君
 今回は、株式会社タナックの棚橋一成 代表取締役社長にお話を伺いました。同社はシリコーン材料販売及びシリコーン、クリスタルGEL製造加工販売のメーカーです。美容・ヘルスケア用製品に始まり、創業20年目ながら、医療・ロボット・航空宇宙向けと製品領域を広げ、この夏には岐阜県各務原市テクノプラザ内に医療関連の新工場も設立されました。製品開発だけでなく、会社としてのロードマップ作成や人材育成を通して、着実に歩みを進める、シリコーンをはじめとする超軟質ゲル製造のプロ集団です。
 創業以来はじめての新卒採用、かつ、はじめての女性正社員にも思いを語ってもらいました。  

適切な材料を適切な商品へ 自分たちが主導でプロデュースする

棚橋一成 代表取締役社長
【棚橋一成 代表取締役社長】
 私はもともとシリコーンの製造メーカーで営業をしていました。ケイ素から出来ているシリコーンは、様々な業界に使われている材料です。化粧品のファンデーションの伸びをよくするのも、口紅を塗って唇が潤うのも、髪のキューティクルコートもシリコーンの作用です。また、車の耐熱部品や、傷つき防止の材料にも使用されており、360度の業界に使われていると言えます。それにも関わらず、当時はシリコーン知識に精通した加工専門の会社がほとんどありませんでした。シリコーン材料は約3000種類。適切な材料を適切な商品へと抽出できる会社があればいいと思い、起業することにしました。
 資本がないところからのスタートであり、最初はファブレス(自社で工場を持たず、外注生産する)の形態をとっていましたが、起業から10年後、外注委託していたメーカーが廃業された際に、工場を買い取り、そこの従業員にも来てもらいました。そこで初めて正式なメーカーポジションを確立するきっかけとなりました。
 ここ東海地区は代表的な産業として自動車がありますが、そこに参入しようとすると、多大な資本力が必要になります。また、大手自動車メーカーやその周辺企業を相手に受動的なイメージがあります。私は、小さくても良いので、コストセンターは我であること、自分たち主導でプロデュースできることを主眼として経営したかったのです。そこでニッチの市場を探したときに最初に行き着いたのが、通販市場で扱う美容・ヘルスケア商品でした。


創業からの中核事業 〈美容・ヘルスケア〉

 例えば自動車などの場合、部品や材料を作るときは当然ながら図面やスペックが提示されます。しかし通販市場の業者からはそれが出てこない。「なんとなくこういう形のもの」「こんな手触りのもの」という漠然とした要望だけでした。これには商機があると思いましたね。そういった要望に対し、材料の選定から製品化までを自分たちがプロデュースできれば、顧客はついてくれるとイメージできました。
 美容・ヘルスケア商品は現在99%がOEMですが、2016年9月よりオリジナル企画製品も並行して展開し、タナックのブランド力を高めたいと思っています。これはOEMの取引先へも堂々と申し出ていることで、お互いがwin-winになるような作り方・売り方を考えることで業界を活性化していきます。
美容・ヘルスケア分野は、製品数1100点を越える、創業からの中核事業
【美容・ヘルスケア分野は、製品数1100点を越える、創業からの中核事業】

顧客の要望に向き合うことで鍛えられるものづくり

充実した評価機器
【充実した評価機器】
 顧客からの官能的な要望に応えるには、工業的な発想で特徴を数値化して捉えなければならず、それには評価データが必要となります。我が社が最優先で経営資源を投下するのは正に製品評価のところです。設備投資の一括償却の制度ができ、大変助かりました。支援頂いた費用は、経営的には利益回収のため生産設備導入が先なのでしょうが、先ずは評価設備の購入にあてました。この設備はお客様にも見て頂くようにしています。そうすることで、ものづくりにおける信頼関係が築かれます。
 また、最近では3Dプリンターも活用しています。形を見せるツールとしては圧倒的に早い。試作のための金型から3Dプリンターで作ります。金型ひとつ作るのに、通常は約20万~30万円、時間にして1ヶ月はかかります。我が社はより低コストでほぼ3日で出来ます。コストと時間のロスが削減できるわけです。
 3Dプリンターで作るためにはデザイン力も必要で、3D図面を社内で描けるようにしました。最初はトライアンドエラーを繰り返していましたが、数を重ねるうちに力量もUPし、試作を多くこなすことによる配合知識や製品化の加工知識も並行して蓄積されてきました。その進歩は自分たちでは気づきませんでしたが、どうやら他社では対応出来にくく「リクエストして数日で物が出来あがってくるなんて信じられない」と言われることも多くあります。 
3Dプリント設計図面
【3Dプリント設計図面】
官能評価を数値化
【官能評価を数値化】


多角化の第一歩 〈医療〉

10ミクロンの薄膜を再現
【10ミクロンの薄膜を再現】
 医療分野に進出したのは、創業から10年目でした。当時の顧客は世界的大手医療機器メーカーだけでしたが、その5年後、有り難いことに他でもない同社が「機器評価だけではもったいない、医師の手技を上げる方向にも波及するべきだ」と言ってくれたことから、展示会にも特化し取引が大きく広がりました。
 代表的な商品としては、手術の練習用などに使われる臓器モデルがあります。医師や医学生たちに、リアルな感触を再現してあげることが必要になります。以前の臓器モデルは簡易的に1層で作られていましたが、本来、人間の臓器は4層、血管は3層構造になっています。そこで臓器の多層モデルを作るために、経済産業省のサポイン事業(戦略的基盤技術高度化支援事業)に採択して頂き、臓器の質感・硬さ・多層の構造を忠実に再現する研究を実施しました。医療機器メーカーや医師からの要望は、ここでも「注射の練習で血管に針を刺した時、プチィという感覚」「縫合した際の皮膚のよれが再現でき、結紮したときに皮膚が切れない」など。お客様の持つイメージを、配合技術や評価データに基づいて具現化するといった、通販で培った対応力のある技術が活きました。 
手術用シミュレーターや見本として使われる医療用製品は、400点以上。
【手術用シミュレーターや見本として使われる医療用製品は、400点以上。】


ロボットから航空宇宙まで! 〈新たな分野に挑戦〉

筋電義手用グローブ
【筋電義手用グローブ】
 最近ではまた新たな分野にも進出しています。 ひとつは、サポイン事業のテーマで取り組んでいた、脳の電気信号を拾って動く、筋電義手用のグローブです。従来品の伸縮率は3~4倍程度でした。このグローブの伸縮性を上げることで、義手が物を掴むときのモーターのトルク出力を大幅に軽減することができます。これには伸びが10倍以上という良く伸びる「クリスタルゲル」を使いました。2011年度のサポイン事業から開発をスタートし、2016年7月に開催されたThe 14th International Conference on Intelligent Autonomous Systems という国際会議(中国・上海)において、最優秀賞こそ逃したものの、参加80社のうちの5社に選ばれました。 

クリスタルゲル 驚きの伸縮性 ○○cmが約●●cmまで伸びる!
【クリスタルゲル 伸縮率は10倍以上!】

 航空宇宙分野にも参入しました。 約2万個以上あると言われている、地球の周りを周回している宇宙ゴミ。このゴミを回収する事業にも参画しております。我が社の役割は、「とりもち」と言われる粘着剤を開発し評価をして頂いている状況です。
 2018年には、世界で初めて打ち上げ予定ですが、そこで成功すれば、この技術は宇宙のゴミ掃除の世界標準になるかもしれません。
 航空宇宙分野は今すぐ拡大していける分野ではありませんが、利益云々というよりも、壮大な夢があるからやりがいがあり、従業員を鼓舞するにも良いテーマだと思っています。

事業承継のための着実なロードマップ
〈量産体制の構築、人材育成と組織化、広報発信〉

原料のロゴ化
【原料のロゴ化】
 2016年7月、これまで一生懸命やってきたものが実になり、岐阜県各務原市に新工場を設立しました。医療関連の臓器モデル及び医療パーツゴム部品の量産化が主力になります。医療拡充を目的にクリーンルームも作り、今後生産設備も増強していきます。また、ここで安心してたがが外れないためにも、5年後のロードマップを作っています。社内の人間だけで作っても意味はなく、経産省から紹介頂いた日本能率協会コンサルティングにフォローをお願いし、全員で5年後のビジョンを作成しました。
 また、設計から開発、製造、販売まで、少人数でやりくりする中で、新人・ベテラン関係なく、個々に任務を与え権限委譲しており、社員の成長が早くレベルはどんどん上がっています。しかし本来いつまでもそのやり方ではいけませんので、随時組織図を見直していきます。現時点で人材が不足しているところは空白のままにしてあり、今後埋めていくつもりです。
新工場エントランスの展示スペース
【新工場エントランスの展示スペース】
 会社のオリジナリティも全面に出して行きます。我が社の主原料となるゲルの材料名のロゴ化(クリスタルゲル、タフシロンゲル、メディピュールゲル)、オリジナル製品の商標登録など、ブランド発信を強化し、OEMからの脱却も進めます。中小企業はブランド力、知名度が低いのが欠点。だからと言って座して待っているわけにはいきません。広報発信は社長として大切な仕事だと思っています。 

社長肝いりの女性活躍の実現。目指すは女性だけの事業部

 人材育成の中でも特に女性に対しては力を入れています。3年後にタナックオリジナルを基本とした、女性だけの事業部を作りたいと思っています。通販、ドラックストア、TVショツプ、出版社向けムック本等は80%以上が女性目線の商品です。男性の考え方とは違い、女性は「かわいいからやってみたい・売ってみたい」という動機があります。その動機を活かした事業が出来るのではないか。特に美容・ヘルスケアの分野では売り先の営業の方も女性が多い。そこで噛み合いやすいのは女性。男性には分からないデリケートな話などもしやすいでしょう。自分でプロデュースする中で経験を積んでいってもらえれば、いつしか女性管理職が生まれることとなるでしょう。
 今年、創業以来はじめての新卒、かつ、はじめての女性正社員を採用しました。私の女性活躍の夢を聞いた上で入社してくれました。この夢は必ず実現させます。 

新卒女性社員のインタビュー

営業開発部 石早 葵 さん
【営業開発部 I さん】
営業開発部 清水 彩 さん
【営業開発部 S さん】


●二人とも1Dayのインターンシップ参加がきっかけだそうですが、志望の決め手となったポイントは?

I:正直、やっていることは難しくて分からなかったですが、働いている人の和気藹々とした感じ、何でもチャレンジさせてくれそうなところに惹かれました。
S:タナックの技術力があるところ、いろんな分野に可能性があるところです。また、人数が少ないからこそ、社長も社員も志が同じで、一生懸命で真摯な人が多かったのも魅力に感じました。

●“初めての新卒・初めての女性”に不安は?

S:もともと女性が少ないことに抵抗はありませんでした。むしろ比べられる対象が少なくて済むし、“初めて”をやっていくことに対するワクワクがありました。 女性第一号として、社長のそばで商品作りができるのは、普通では体験できないだろうと思い、期待の方が大きかったです。
I:初めてとは思えないほど、私たちを迎えてくれる体制を整えてくれていて、研修などフォローが充実していました。 最初はそんなに意識はしていませんでしたが、入社からこの半年間、社長が「女性活躍したい」と常に口に出して唱え続けてくれたので、私も頑張ろうと思えました。

●入社後3ヶ月は社会人として常識的な研修、7月からは9月のギフトショー出展に向けてものづくりを勉強されたそうですね。その発表の場となったギフトショーの感想は?

S:商品については自分が作ってきたから説明できましたが、在庫や納期管理のことまでは把握しておらず、 「この新人では話にならないな」と思われていそうなのが悔しかったです。
I:展示会自体初めての体験でした。自分たちが準備してきた物に対して感想を言ってくれるのは嬉しかったです。 ただ知識が足りず商談でうまく受け答えが出来ない場面があったので、改善していきたいです。

2016年9月ギフトショー(東京ビッグサイト)
【2016年9月ギフトショー(東京ビッグサイト)】

●お二人は営業職。営業からものづくりまで完成させるのは難しくないですか?

I:分からないことは多いです。社内でものを作っている人に、うまく伝えるのがまだ下手で、周りの人にフォローしてもらっています。

●数年先の、将来的な展望は?
I:今はヘルスケアに特化していますが、たとえばペットなど自分が興味ある分野にも広げていきたいと思います。
S:これだけの柔らかい素材なので、女性用の癒やしグッズがあればいいですね。また、シリコーン製品はキッチングッズや雑貨に多いですが、もっと可愛くしたいです。あとアクセサリー等も作れないかな・・・。

●目前の目標はまず、来年秋のギフトショーですね。製品企画から完成まで1年足らず。結構短いと思われますが・・・

I・S:私たちの製品、必ず出します!!

会社概要


大津 代表取締役社長
社: 株式会社タナック
法人番号: 1200001003253
社: 岐阜県岐阜市元町4丁目24番地
事業内容:

・シリコーン材料の販売
・シリコーンの加工およびその加工品の販売
・各種ゲルの加工およびその加工品の販売

業: 平成8年(1996年)
代表者: 代表取締役社長 棚橋 一成
資本金: 3,000万円
従業員: 35名
URL: http://www.k-tanac.co.jp/index.shtml
TEL: 058-263-6381
FAX: 058-263-6382


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