トップページ > 中部発きらり企業紹介 > 竹本油脂株式会社

中部発きらり企業紹介 Vol.100


竹本油脂株式会社

~研究のスペシャリスト集団が生み出す、極められたこだわりの製品~

ちゅぼっと君
 今回は、竹本油脂株式会社 竹本 元泰社長にお話を伺いました。同社は約290年の歴史を持つ日本最古の製油業者です。 現在は胡麻油を製造し、そのこだわりの品質が多くの高級レストランで評価されています。 また、繊維用界面活性剤の分野においては、研究部門を重視した事業形態から、取引先の信頼を得、その世界シェアは紡糸用油剤では50%に達しています。 海外との取引も、コアな技術は国内に留まらせる知財戦略を採りながら、積極的に取り組まれています。

顧客の信頼とともに歩んだ享保から続く竹本油脂の歴史

竹本 元泰 代表取締役社長
【竹本 元泰 代表取締役社長】
 1725年(享保10年)豊川の地で創業し、私は11代目です。当時は、名鉄の御油駅近くで、音羽川の水力で搾油していたと聞いています。 もともと三河木綿の産地で綿花がたくさん栽培される土地であったこともあり、種の搾取をし、灯明用の油を作っていたのが始まりです。その後、胡麻油に移行し、蒲郡に移りました。
 1923年に起こった関東大震災が、当社のターニングポイントの一つとなりました。関東大震災の時は、油を販売する企業の多くが、当初の契約よりも高く売れるだろうともくろみ、契約をなかなか履行しませんでした。 一方、当社は、そのような中でも契約を誠実に履行し、顧客の信頼を獲得したことで、関東はじめ全国に取引先を拡大していくようになりました。
 当社の柱の一つ、界面活性剤に着手したのは、昭和初期です。胡麻油の取引先は全国に広がりつつありましたが、胡麻油は原料が自然由来で、相場変動が激しかったこともあり、変動の少ない安定した事業を行うべきと考えておりました。 そのような中で、日本の繊維産業が勃興する時期に8代目の弟である西澤 恭助 東北帝大教授から界面活性剤の分野に挑戦してはどうかという助言があり、新事業として取り組むこととなりました。
ごま独特のふくよかな香りが特長の太香胡麻油
【ごま独特のふくよかな香りが特長の太香胡麻油】

「紡糸用油剤世界シェア50%」
繊維用界面活性剤を支えるのは開発力と情報収集力

 界面活性剤として、最初に手掛けたのは繊維用の化学品です。主に尾張地区の毛織物の染色の工程で使用する染色助剤を手掛けていました。 界面活性剤は、一つの分子の中に、水と、油の双方になじみやすい部分が含まれています。油脂を原料として化学反応させる事でも得られることから、もともと手掛けていた油事業とそう遠くない分野とも言えると思います。 その後、繊維市場は化学繊維、合成繊維と変化していきましたが、それぞれで重宝される処理剤であったため、現在では、界面活性剤分野の半分以上の売上が繊維向けの化学品です。
 繊維用の活性剤は、実にライバルが多いのですが、当社は紡糸用油剤では世界シェアの50%以上を占めています。 多く競合が存在する中で、勝ち残ってくることができた、その秘訣は、開発力と信頼関係、またそれらによって確立した、世界シェア50%の企業として得られる情報量だと思っています。 シェアを高く保てていると、自然と入ってくる情報も多くなり、どこで何が起こっているかを迅速に把握でき、即座に対応することができるようになります。 他社に先んじて、手を打てる、これは非常に大切なことです。今後も、シェアをキープしつつ、更に伸ばしていくことを主眼に置いて、事業を行っていきたいと思っています。
内田 秀人 取締役 総務部長
【内田 秀人 取締役 総務部長】
業界トップシェアの繊維処理剤
【業界トップシェアの繊維処理剤】

研究部門経験者が生産、営業部門を担当する、他にはない組織構造

研究者が責任を持って開発にまで携わる
【研究者が責任を持って開発にまで携わる】
 当社の研究開発は、基本的に、お客様と共同開発をしていくスタンスですので研究人材を非常に重要視しています。生産部門の合理化を通じて、研究開発要員を増員しており、現在では、社員の3分の1を研究部門に配置しています。 
 新商品についても、突然出てくる訳ではなく、お客様の要望を叶えていく中で生まれることが多く、最近では最先端素材の開発にも着手しています。
 当社の場合、事業部制を敷き、各事業部に営業と研究が一体になった部門があり、胡麻油以外の第二~第五事業部は生産部門を共有しているような形態です。
 当社の社員のほとんどが入社後、最初に研究部門に配属されます。研究を経験した上で営業に出るため、知識があり、技術的な内容でも簡単なことであれば、お客様との打ち合わせ中に対応できてしまいます。 また、研究担当者自身も研究室の中だけで研究に携わるのみではなく、お客様のところに実際に出向き、お客様の要望を自らの耳で聞き、それを研究室で実現するというスタンスを昔から続けています。 さらには、研究担当が、生産現場にまで出向き、調整を行う事も多々あります。実際、当社が思い描いているものを、確実に実現するため、研究から開発まで全て責任を持って手掛けることを全社的に大切にしているのです。

様々な分野で活用される界面活性剤

 当時としては、新規産業として、界面活性剤を始めたのですが、界面活性剤はあらゆる分野で活用されるものですので、当社としても土木・建築の分野や農業分野へと展開していきました。 土木・建築分野で言えば、当時コンクリート用化学混和剤の多くを輸入に頼っていましたが、国産品を使いたいとの要望をお客様から聞き、その国産第一号を製造・販売しました。 農業分野についても、農薬そのものは油で、それを水に希釈して散布するために、界面活性剤が活用されており、その分野も手掛けるようになりました。競合は多いものの、当社は界面活性剤を活用できる様々な分野を手掛けているので、ある分野が好ましくない状況であったとしても、リスクヘッジが出来ています。

製品へのこだわりが生む自社設計の設備

詰め油の行程
詰め油の行程
【胡麻油の充填工程】
 当社では、製造設備のほとんどを自社で設計して、発注するようにしています。 確かに、外注すれば最新の動向を踏まえた機械を納品してもらえる可能性もありますが、自身の頭で考えた機械を使って、納得のいく製品を作るのが我々のスタンスであり、強みであると思っています。自社設計を行っていることから、 外に我々のノウハウが漏れずに済むというメリットもありますし、自社設計であるが故に、設計の微調整に融通が利くことも多々あります。 世界最大級の胡麻焙煎キルンを始めとする胡麻油の生産設備について言えば、そのメンテナンスも自社で対応しています。

力を入れる知財戦略が評価された「知財功労賞(特許庁長官賞)」

 最近では、知財関係も強化するべく、専門要員を増強し、知財管理の体制整備を進めています。 各事業部に知財戦略部員を配置し、知財戦略部会での事業部横断的な情報共有、人材育成、知財担当部門との連携強化を行うような仕組みです。特許を保有していることで、 ライバル企業の市場拡大を押さえられるほか、新しいことを手掛ける場合や、採用活動時に技術力のある企業であるとして評価してもらえる等、一種の、ものさし的な効果もあると思っています。 当社のように、助剤を取り扱っている場合には、取引先に安心して使って頂けるというメリットもありますよね。
 一方で、むやみやたらに特許を取ると、技術が公開されて模倣されてしまうこともあるため、特許を取るべきものか、取るべきものではないかを適切に判断し、対処していくことが重要であると思っています。 製造のノウハウを守るため蒲郡の工場だけで生産をしているコンポーネントもあります。
 先日表彰された知財功労賞(特許庁長官賞)については、重要な取引先の方から、評価していただいたり、就活生との面接での話題に上ったり、ISO14001の審査の際のストロングポイントとして、挙げていただいたりといった反響があります。
遠藤 克秋 知財法務室 室長
【遠藤 克秋 知財法務室 室長】

ミシュランガイド掲載の天ぷら屋さんが愛用―プロが認める胡麻油

【ごまを軽く焙煎し搾った太香胡麻油
【ごまを軽く焙煎し搾った太香胡麻油】
ごまを焙煎せず、生のまま絞った太白胡麻油
【ごまを焙煎せず、生のまま絞った太白胡麻油】
 当社の胡麻油は全国の製造シェア40%弱となっています。 カテゴリーとしては、家庭用、業務用、加工用とある中で、関東大震災の時に、天ぷら用油として、飲食店向けに非常に重宝されたこともあり、現在でも業務用の売上が多くを占めています。 東京のミシュランガイドに掲載されている天ぷら屋のほとんどが何らかの形で当社の胡麻油を使用してくださっており、品質にこだわられる名店から評価をいただいているところです。
 当社の胡麻油は、年間約4万トンの胡麻を原料として使用し、昔ながらの圧搾製法にこだわり、製造しています。 プロの料理人の方々にも、一度使うと、その風味や品質から、他社の製品は使用できない、離れられないと言っていただけることが多いのは嬉しいことです。
 胡麻油事業全体で見ると37%が業務用としての売上です。加工原料として、加工食品や冷凍食品、調味食品(焼き肉のたれ等)に使われるものが35%、残りが家庭用となっています。 かつては、家庭用胡麻油の売り上げは全体の15%位しかありませんでしたが、ここ10年間で約2倍近くになってきています。市場でのシェアを確保するためには、家庭用を延ばしていくことが最重要課題です。 今後は業務用、加工用をキープしながら、家庭用を延ばしていきたいと考えています。当社の胡麻油は業界第2位で、競合メーカーの場合、事業全体の約半分を家庭用が占めています。 家庭用を延ばしていくことが、結果的に競争力を付けていくことになると考えています。
角田 龍一 執行役員 第一事業部長
【角田 龍一 執行役員 第一事業部長】

ケーキ、パン、チョコレート、フレンチ、イタリアン・・
胡麻油の新しい使い方

HPでは胡麻油を使った様々なスイーツのレシピを紹介
【HPでは胡麻油を使った様々なスイーツのレシピを紹介】
 最近は、プラスαとして、「用途の拡大」に力を入れています。具体的には、飲食店だけに留まらず、製菓・製パンへの活用を提案しています。 ケーキ、パン、チョコレート等に、香り、色のほとんどない「太白胡麻油」を使用すると、味にほとんど影響なく、胡麻の旨味、保湿効果、酸化安定性の効果等、胡麻油が本来持つ効能を活かすことができます。 パティシエの方とお話をする中で、我々も気付かなかった胡麻油の効能についてのヒントを頂けることも多々あります。 製菓・製パンの分野はそれらの効能が認知されつつあることもあり、この用途においては毎年2桁ずつ売上が伸びていて好調です。
 さらに、一口に飲食店と言っても、これまでは天ぷら・和食・中華料理のお店が主でしたが、最近ではフレンチ、イタリアンなどの一流レストランに使って頂けることが多くなってきています。 料理専門誌にそういったことが掲載され、認知され、新規参入される方にも広がる等、波及効果はかなり大きいですよね。
 今後は、今まで培ってきた基盤の部分と新しい用途であるプラスαの部分双方を延ばしていきたいと思っています。

海外展開の秘訣―コアな部分は日本で対応

 現在、売上の6割近くが海外向けとなっています。輸出品は界面活性剤がほとんどです。 現地で生産できるものは移管し、ノウハウ性の高いものや重要な技術を含むものは 更に付加価値を付けるべく「メイドインジャパン」として、国内で生産したものを輸出している状況です。 コアな部分は国内で対応し、現地生産とのバランスを取るように心がけています。
 国内工場の大部分は蒲郡市内に集まっています。海外のお客さんにしてみれば、当社が東京にあっても名古屋にあっても蒲郡にあっても同じことだと思います。 大切なのは、研究の人間がすぐに工場に行ける立地であることと考えています。

進めていきたい事業部を越えた技術の融合

板谷 幸保 知財グループリーダー
【板谷 幸保 知財グループリーダー】

様々なアイディアの生まれる竹本油脂本社ビル
【竹本油脂本社ビル】
 他社だと、横断的な研究部門があることが多いと思いますが、当社では事業部ごととなっているため、それぞれが研究に注力できるメリットはあるものの、研究部門同士の意見交換の場が少ないところが課題だと思っています。
 各事業部の研究員で構成される「技術協議会」での分析技術、製造技術、知財戦略等の情報共有で、他事業部の技術に対して「こんな使い方もあったのか!」という声があがることもありました。 現段階では、まだ取り組みは十分とは言えませんが、今後もそれらを活用して、新商品開発に結び付けていければと思っています。

会社概要


竹本 元泰 代表取締役社長
社: 竹本油脂株式会社
法人番号: 8180301011183
社: 愛知県蒲郡市港町2番5号
事業内容:

各種界面活性剤、スペシャリティケミカルズ(特殊精密化学品)、各種植物油脂および関連食品

業: 1725年(享保10年)
代表者: 代表取締役社長 竹本 元泰
資本金: 1億円
従業員: 570名
URL: http://www.takemoto.co.jp/
TEL: 0533-68-2111
FAX: 0533-68-1035 


このページに関するお問い合わせ先

中部経済産業局 総務企画部 情報公開・広報室
住所:〒460‐8510 愛知県名古屋市中区三の丸二丁目五番二号
電話番号:052-951-0535
FAX番号:052-951-0557