
松井圭三 常務取締役
こうして女性向けの事業を拡大していきましたが、女性向け事業が拡大していくスピードに比べて、従来の日本酒の男性市場が減少していくスピードはまだまだ速く厳しいものでした。
研究開発のコスト等を考えると、本業が厳しい状況にある中での新規事業の立ち上げには、銀行も融資に前向きではありませんでした。
その状況を打開するため、私は2つの条件を作りました。1つは、新規事業の設備投資は自分の所では一切しない、2つ目は、商品企画は自社で行うが、
その他の必要なプロセスはパートナー工場を作って行う、ということです。
1つ目の条件は、本業が厳しかったので、そう言わざるを得ない状況であったのですが(笑)、2つ目の条件は当時、
自社工場を持っていないのに素晴らしい製品を展開していたナイキやアップルにヒントを得ました。基になる企画・デザインを押さえておけば、製造は委託しても良いのではないかと思ったのです。
その後、中部経済産業局が進めていた産業クラスター計画を受けて設立されたNPO法人北陸ライフケアクラスター研究会へ参画しました。クラスター活動を通じ、北陸先端大学、
金沢大学との産学官連携により、自然派化粧品を開発することができ、その後、地域資源活用事業を活用することで、事業化を達成し商品の発売を開始することができました。
また、当社の商品の原料には、全ての人にアレルギーが起こらないよう、動物性のものは決して使いません。純米蔵宣言をした中で、それが例え化粧品であったとしても、
パラベン等の防腐剤を含まず、口に入れても問題の無い商品を作ることを目指しました。先述の2つ目の呪文であるパートナーさん探しの際には、
防腐剤を使わない化粧品会社さんがなかなか見つけられなかったのですが、先のクラスターを通じて現在のパートナーと出会い、思いを実らせることができました。