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サポイン好事例

高機能性・高感性を持たせる膨化糸を使用した織編物の研究開発

浅野撚糸株式会社

自社ブランド確立・市場開拓に向けた積極的な動きにより多方面から協力者が集結

より大きな市場を狙える独自技術の開発のためにサポイン事業へ応募

同社は紡績会社の下請け業、具体的には賃加工による撚糸を本業としており、これまで色々な糸を開発してきた。他に、近年は自社製品の開発も行っている。平成19年には、「エアーかおる」というブランド品タオルの販売事業で、中小企業庁の「新連携事業」に認定された。
サポイン事業への応募動機について、「『エアーかおる』の生産に必要な技術を他のものに適用可能にすることで、より大きな市場への進出を図りたかった。」と浅野雅己代表取締役社長は語る。同社が水溶性糸を用いて確立していた糸をふくらませる技術に代えて、一度撚った糸に糊をつけた後で反対側に再度撚ってから糊を溶かす技術を開発することで、ニットや織物等タオル以外のものにも適用可能にしようとしたのだ。また、同社が所有していた特許の殆どは他社との共同申請だったため、同社単独で強力な技術を持ちたかったという想いもあった。
一方で、サポイン事業を独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)等から紹介された際は、同社のような斜陽な業界の零細企業がサポイン事業に応募しても良いのかと悩んだそうだ。しかし、中部経済産業局、中小機構等様々な機関からの「繊維業界の下請け企業における、撚糸というアナログな技術の研究開発にスポットを当てたい」という旨の言葉に背中を押され、応募を決意した。
即ち、「エアーかおる」に使われた技術を更にステップアップさせ、それを国内他社の優れた繊維に利用することで、国内繊維業界の技術を1枚のタオルに集結させることが動機であった。
全社員が一丸となって研究開発を実施

サポイン事業への採択が決まってからは、浅野社長がサポイン事業の重要性について社員に話をする機会を多く設け、更に月例会議等を通じた研究開発の進捗管理を入念に行った。その甲斐もあり、一部の社員だけでなく全社員が、社運を賭けた一大プロジェクトだという覚悟を持ってサポイン事業に取り組むことができた。
「サポイン事業期間中は、基本的に研究開発はうまくいかないものだと考えていた」浅野社長は語る。例えば、新しい装置である紡錘糸1本糊付け処理装置を導入して半年後は全40錘中1錘しか回らなかったが、研究を重ねるうちにその1年後には15錘、2年後にはほぼ全ての装置が正常に回るようになった。
全社員が一丸となって研究開発を行ったお陰で、そして試行錯誤を重ねつつも諦めず粘り強く研究開発を続けたお陰で、これまでに無い魅力的な糸を開発することができた。
ブランド確立の取組みに惹かれ多くの協力者が集結

「エアーかおる」での経験もあり、当初から自社でブランディングを行って製品を売ろうとしていた。すると、昔は賃加工ばかり行っていた会社が自社でブランディングを行っている最終製品を持つという行為がマスコミ関係者、クールジャパン機構等多くの方の注目を集めた。他にも、「『エアーかおる』に満足せず次の研究開発をしている」という同社に対する積極的な印象が広まった。結果として、多くの協力者が集まっ

た。例えば、以前から同社に協力している広告代理店にも力を貸してもらえることとなり、新聞広告・通販等で開発した糸を使ったタオルのPR等を行った。
そのような流れもあり、「VOGA」の販売先開拓に成功した。具体的には、国内繊維業界の技術を1枚にタオルに集結させようという考えが高く評価された結果、空港や免税店での販売が実現し、更に有名な女性向けファッション雑誌への掲載も決定した。「『VOGA』の売上はまずまずだ。今度徐々にブランディグを進めたい。」浅野社長は語る。
「VOGA」販売以外では、「VOGA」に用いられている糸を衣類メーカーに提供し、ニットやジーンズ等に採用していただくことで大市場の開拓を狙っている。現在、ある大手寝具メーカーにおいて色々な製品に開発した糸を利用いただけるようになった。糸を使いたいという他社からの相談もどんどん増えているため、今後も力を入れたいとのことだ。
対象顧客が一気に増加

綿糸の賃加工ばかりを行っていた時代はお客様が数十社前後に限られていたが、タオルの製造を行うとなると世界70億人全員がお客様となり得る。現に、以前に比べて仕事も増え多忙になっているそうだ。
それでもなお、同社は今後も優れた製品づくりに邁進し続けるつもりである。「サポイン事業に採択された企業は国から仕事を依頼された企業である。即ち、サポイン事業の費用は血税である。そのため、採択が決まった段階で『いかに日本国民に税金を返していくか』を考えないといけない。そしてその際は、利益ではなく実際に使える製品の形で返さないといけない。」浅野社長は力説する。
例えば今後は、吸水性の高さ・乾燥の速さを活かして、裕福な患者さん向けのヘルスケアリネン等の介護用品の開発も狙っているとのことだ。「『寒い』、『熱い』と言うことすらできない寝たきりの方々に対して製品を開発したい。決して大きな市場ではないが、寝たきりの方々の役に立ちたい」浅野社長は語る。
事業化&マッチング成功のポイント
●サポイン事業の重要性を全社員が共有
サポイン事業の重要性を全社員に向けて語る機会を多く持つことで、全社員がサポイン事業の成功に向けて一丸となって取り組むことができた。
●自社ブランド製品の製造・販売を実施
下請けの賃加工を本業としていたにも関わらず自社製品を持とうと積極的に取り組んだ結果、斜陽だと言われがちな繊維業界に居ながら多くの売上をあげることができた。
●現状に満足せず、より高い目標に挑戦
過去の成功や自社の立場に甘んじることなく、更なる自社ブランド製品の確立という高みを目指し続ける姿に惹かれて多くの協力者が集まった結果、事業化及びマッチングを円滑に進められた。
活用のためのアドバイス

代表取締役社長 浅野雅己さん
サポイン事業に採択された以上、社長や役員だけでなく全社を挙げて全力で取り組んで欲しい。加え、可能であれば大きな夢を持っていただきたい。大きな夢を持つと、自ずと協力者が現れるものだ。
そして今後サポイン事業へ応募する企業においても、日本の発展を支えてきた製造業の一角を担うという自覚を持って、逆境に負けず積極的に取り組んでいただきたい。「失った自信を日本に取り戻して欲しい」という気運が近年高まっているので、その気運に乗って積極的に研究開発を行って欲しい。
最後に繊維業界について言及すると、繊維業界はこれからが面白い業界である。かつて800社あった撚糸業者も、今は僅か20社程度しか残っていない。逆に言うと、繊維業界は競争相手の少ない業界である。現在もなお繊維業界に残っている企業には、大きなチャンスの時代がやってきたと言えるのではないか。
紹介動画

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