トップページ  > 施策のご案内 > 地域人材 > ものづくり中小企業 魅力大盛りサイト > 株式会社 蒲郡製作所

ものづくり中小企業 魅力大盛りサイト 

最終更新日:平成29年1月23日

100分の1ミリの加工精度で、宇宙や医療の最先端を担え。
株式会社 蒲郡製作所【愛知県蒲郡市御幸町】

  • 会社の強みを考えるようになった衝撃の一言。
  • 口に出すと叶う。
  • できません、と言いたくない。
  • 職人から経営者になった瞬間。
  • 部品の加工ではなく、夢をカタチにするお手伝い。

大起産業株式会社 イメージ写真
たった10数名の小さな企業が、宇宙産業への進出を果たす――。まるでドラマのような話を現実のものにしている企業があります。
 
場所は、愛知県蒲郡(がまごおり)市。愛知県の南東部に位置し、景勝地として名高い「竹島」や、温室栽培としては全国屈指の出荷量を誇る「蒲郡みかん」が有名なまち。海を臨む坂道を下り、そこかしこに実るみかんに気を取られながら進んでいくと、住宅街の一画にその企業はありました。

大起産業株式会社 イメージ写真
 








大起産業株式会社 イメージ写真




名前は、「蒲郡製作所」。従業員たった13名の小さな町工場です。工場の入口近くで作業されている女性にあいさつをすると、受付は2階だと教えてくださいました。






大起産業株式会社 イメージ写真


お話を伺ったのは、代表取締役の伊藤 智啓(としひろ)さん。同社の2代目社長です。「小さなメーカーが宇宙へ」というストーリーが注目され、メディアに出たり講演へ呼ばれたりすることも多いそう。気さくに、柔和な笑顔で迎えてくださいました。



蒲郡製作所の創業は、1954年。金属や樹脂の微細・精密加工を得意とするメーカーで、取引先には富士フィルムやJAXA(宇宙航空研究開発機構)、国立天文台など名だたる企業や研究機関が名を連ねています。過去にはNASAが打ち上げた人工衛星に欠かせない部品を手がけたことも。それだけではありません。社長いわく、現在誰もが知る世界的企業とも取引があるものの、つい最近、ホームページから社名を削除するように要請があったそう。裏を返せば、それだけ秘密裏に進められている最先端のプロジェクトにも携わっているということ。

なぜ、蒲郡市にある小さな会社が、そんな企業や研究機関と取引ができるのか。社長に伺ってみました。

下請け企業から、自立型企業へ。
「もちろん、はじめからNASAなんかと取引できていたわけじゃありません。いくつかポイントはありますが、ひとつは、自立型の企業にしようと決めたことが大きいかもしれません。
大起産業株式会社 イメージ写真

もともとウチは、地元メーカーの医療機器部門の下請け企業としてスタートしました。以来、医療機器や光学機器、計測機器、自動車部品…と分野を広げてきましたが、いずれも大手メーカーの下請けであることには変わりがありませんでした。

しかし、あるとき気づくんです。大手からの仕事は永遠じゃない。自分たちで仕事を作り出す必要があるのだと。」

――下請け企業からの脱却を望む企業はたくさんあります。しかし、実際に脱却し、社長のおっしゃるように「自立」できる企業は少ない。その要因は、どこにあるのでしょうか。

「ウチはこれができる、ということを明確に打ち出したことだと思います。2000年、私が社長になった頃は『どんな加工でもできます』というスタンスでした。

大起産業株式会社 イメージ写真
しかし、ある展示会で出会ったお客様の一言で、そのスタンスを改めました。

『50年やっているにも関わらず、“なんでもできる”なんて言っている会社は俺は信用しない。50年もやっていれば、お宅にしかない強みがあるはずだ。』

衝撃でした。でも、お客様からすれば、『なんでもできる』と言われても、何ができるかわからないんですね。それからは「自社の強みは何か?」を考え、日々お客様の反応を見ながら発信しつづけました。現在は、「アルミの微細・精密加工」に特化して発信をしています。」

メールの署名に「NASAと仕事したい」→5日後、NASAの仕事が!
――「発信」というキーワードが出ましたが、ホームページもかなり作りこまれています。社長はブログも書かれていますよね。自ら情報発信することについて、どのような考えをお持ちですか。

「困っている人や探している人に見つけてもらうため、でしょうか。下請けではなく直接の取引をするためには、相手に知ってもらうしかない。今は何かあれば検索する時代です。『こういうことがしたい』というお客様に対して、『ウチならできますよ』とお困りごとを解決する。それが一番喜ばれますし、結果として一番儲かるんです。

強みを知ってもらうだけじゃない。やりたいことは口に出せってよく言いますよね。私もあるときからNASAと仕事をしたいと思い、メールの署名に『NASAと仕事をしたい!』と書くようになったんです。するとその5日後、国立研究機関の先生から、NASAの人工衛星に搭載される部品の加工をご依頼いただきました。」

――たった5日後ですか!「言い続けることが大切」と言われたりしますが、そんな短期間で実現するなんてびっくりしますね。
大起産業株式会社 イメージ写真

「他にも、国立天文台といっしょに南米チリの標高5000mの高地にパラボラアンテナを設置するアメリカと欧州、そして日本の合同プロジェクトに参加できたり、世界で初めて民間だけで作った深宇宙探査衛星の製作に携わるなど、ホームページとクチコミのおかげで、10年前には夢にも思わなかった企業や機関とつながった例がたくさんあります。」

全国の同業が断った仕事でも「やってみましょうか」
――宇宙や医療の分野だとより高度な技術が求められるかと思うのですが、その技術力の源はなんですか。

「宇宙や医療の分野に携わっていると『すごい』と思いますよね。でも、宇宙や医療の分野にだって、カンタンにつくれる部品もある。反対に、自動車の部品でも難易度の高い加工はある。実は、特定の分野だからすごい、ということではないんですね。

もちろん、最先端分野であればあるほど、特殊な技術や高い精度を求められることはあります。実際、現在アルマ望遠鏡で使用されている電波を反射させるためのミラーは私たちが手がけたものですが、その精度は現在のところ世界最高水準だと言われています。他にも、1辺が1mmの18金の立方体に、0.05mmの穴を81個あけるという加工をやったこともあります。

大起産業株式会社 イメージ写真
なぜできるかと言えば、やってみるから、でしょうね。お問合せいただくお客様のなかには、全国の他の会社に頼んだが断られ、最後の頼みの綱として蒲郡製作所を選んでくださる方も少なくない。目の前で困っているお客様になんとか応えたいという気持ちが、「できっこない」を「できる」に変えてきたんだと思います。」

ある経営者との出会いが、自分を職人から経営者へしてくれた。
―――現在、「アルミの微細・精密加工」に特化した事業を推進するとともに、「社員と共に育つ経営」を大切にされていると伺いました。何かきっかけはあったんでしょうか。

「今でこそ『社員と共に育つ』と言っていますが、先代から受け継いだ当時は、自分が10人いればいいのにと思っていました。自分が一番優秀で、社員は自分を支えるためにいるのだと。しかしある経営者の集まりで、それはとんでもないことだと気づかされたんです。『社員はパートナー』なんだと。

大起産業株式会社 イメージ写真
さらに、『これではいかん』と思わされた、決定的な出来事がありました。年末、休みに入る前に工場の床を塗り直す日のこと。現場を見に行ったら、工場の隅のほうだけマスキングされてペンキが塗られていないんですね。どうして塗っていないのか聞いて、驚きました。休み中も私が出勤して仕事をするだろうと思い、使うであろう機械への通路を塗らずに置いておいたというのです。私が社員を頼らないばかりに、『社長にまかせておけばいい』という空気をつくってしまっていたんですね。そこからは会社の理念を言葉にし、現場のことは徐々に社員にまかせることにしました。おかげで私は今、ほとんど現場で手を動かすことなく、未来への種まきに注力できています。」

――風土づくりのために取り組んでいらっしゃることはありますか。

「5年前から毎朝10分、全員で床そうじをしています。整理・整頓・清掃は、職人の基本。でも、これは私がやれと言ったものじゃないんです。大阪に、朝のそうじをして社内の雰囲気が変わったという会社があると聞き、そこに若手社員に研修に行ってもらいました。帰ってきた社員の「うちもやりましょう!」の一言がきっかけで、みんなの同意を得て翌日からすぐに始めました。現在まで1日も欠かさずに続いています。みんなで守ることを決め、決めたことをみんなで守ることで、仕事への姿勢が変わり、雰囲気が変わってきたように思います。」

社員一人ひとりが、楽しく働けること。
――やりがいをもって働いてもらうために、心がけていらっしゃることはありますか。

大起産業株式会社 イメージ写真
「一番大切なのは、『楽しく働いていること』ではないでしょうか。自分が好きなことをしているときは時間が経つのが早いように、楽しく働いていれば仕事そのものが苦にならない。モノをつくることそのものが好きだったり、人が無理だろうと思うような難しいことをやってのけることが好きだったり。人によって何を楽しいと思うかはそれぞれですが、どうすれば一人ひとりが楽しく働けるかを考えて仕事をお願いするようにしています。


大起産業株式会社 イメージ写真
『楽しく働く』と言えば、2014年に『全日本製造業コマ大戦』というものに参戦しました。その名の通り、全国の中小製造業が自社で設計・製造したコマを持ち寄り、1対1で戦うコマの大会です。直径は20mm以下、全長60mm以内。直径が1円玉よりも小さいコマです。当社では、その大会に全員がエントリー。技術者だけじゃなく、事務をしてくれている社員も設計し、別の者に製造をしてもらって参加をしました。結果は振るいませんでしたが、蒲郡製作所という社名のもとで全員がひとつになり、応援し合うなかで得たものは大きかったと思っています。」

モノづくりを通じて、変わりゆく時代ごとに必要とされる会社へ。
――御社のこれからのビジョンを教えてください。

「時代は変わっても、モノづくりはなくなりません。ただし、時代によって求められるものは変わります。現在は宇宙や医療、ロボットなどの分野でお手伝いをしていますが、10年先、20年先はわからない。だから私たちはある分野に固執をするのではなく、その時代その時代に求められることに応えることで、必要とされ続ける会社でありたいと思っています。そのために常に最新の、そして幅広い設備を整えながら、技術を磨き続けていきます。」

――そのビジョンを実現するために、どんな人材が必要だとお考えですか。

「第一にはやはり、モノづくりが好きな人ですね。経験や知識よりも、自分の頭のなかにあるものを、実際のカタチにしていく。そのプロセスや結果を楽しいと思えることが必要な資質だと思います。どんな人にも得意なことがある。それを見極めて、一番活きる仕事をお願いするのが会社の役目です。

それから、後継者という観点で言えば、『変化』を恐れないことだと思います。先ほど申し上げたように、時代が変われば求められるものも変わります。その時代のニーズを敏感にキャッチしながら、今ある経営資源――社員や技術力、設備やお金ですね――を最大限に活かせる分野へと舵を切っていってほしい。

いずれにしても、私が考えられるのはせいぜい5年先や10年先のこと。たとえば、SNSの使い方や、VRなど最先端のことは、今から入ってくる人のほうがわかっているはず。はじめは仕事を覚えることで精いっぱいかもしれませんが、常に『自分がこの会社の社長だったら』という視点で働いてほしいと思います。10年先のことまでは、私が手を打っておきます。以降のことは、あなたがた若い人たちの発想で切り拓いていってほしいですね。」

大起産業株式会社 イメージ写真
航空宇宙やロボット、医療の最先端を担うメーカーとしてメディアにも登場することの多い蒲郡製作所。その華々しい実績を支えていたのは、100分の1mmの精度でアルミを加工する高い技術力はもとより、強みを明確にした地道な情報発信と、お客様のお困りごとや時代のニーズに応えるべく難易度の高い案件に挑みつづける、その高い志にありました。

「モノづくりをする職人の地位を高めたい」ともおっしゃっていた伊藤社長。社長いわく、ドイツなど欧米諸国ではモノづくりの職人の地位は高く、相応の収入が得られるそう。技術力の劣らない日本でも、その地位を確立していきたい、あそこと一緒に仕事をしたいという存在になりたい、と語ってくださいました。

蒲郡製作所の仕事は、ただ他社がまねできない技術で金属を加工することじゃない。加工を通じて、お客様の抱える課題を解決し、夢や希望をカタチにすることです。たった13名の町工場が貫くその働き方は、中小企業のあり方だけでなく、日本のモノづくりのあり方すら変えてしまうものかもしれません。

 

会社概要
会社名:
株式会社蒲郡製作所
法人番号:
2180301012006 
代表者:
伊藤 智啓(いとう としひろ)
住所:
愛知県蒲郡市御幸町28番10号
URL:
http://www.gamasei.co.jp/別ウインドウ

このページに関するお問い合わせ先

中部経済産業局 地域経済部 地域経済課 地域人材政策室 
住所:〒460‐8510 愛知県名古屋市中区三の丸二丁目五番二号
電話番号:052‐951‐2731
FAX番号:052‐950‐1764
メールアドレス:chubu-jinzai@meti.go.jp