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キラリ公設試(中部地域 公設試験研究機関のご紹介)

更新日:平成27年3月27日

キラリ公設試
分子膜によるアルミニウム防食:
ナノレベルの表面修飾でさまざまな特性を制御(2/2)
Vol.18名古屋市工業研究所
そんな成果のひとつとして、半導体の電極配線として使われるアルミニウム合金に防食効果を施す技術で特許を取りましたね。これの特徴は?
オペアンプICのボンディングワイヤー
オペアンプICのボンディングワイヤー
(八木橋)
これが産総研との共同研究で得られた成果のひとつです。半導体のICチップへ配線する材料として広く使われているアルミニウム合金に防食効果を付与する研究です。 安価なICでは表面を樹脂で封止する『樹脂封止パッケージ』が多く用いられていますが、高温高湿度下に長期間さらされるとパッケージ内に水分が侵入して配線が腐食してしまうという問題があります。 そこで、私たちは配線自体を有機シラン分子の分子膜で被膜して耐食性を付与しました。ポイントとなるのは、処理前に真空紫外光(VUV)で表面を洗浄することです。 プラズマや高圧水銀ランプによる処理では、エネルギーが大きすぎて配線に傷をつけてしまったり、洗浄が不十分だったりします。 VUV光であれば汚れなどの有機物は強力に分解されるものの、素材を傷つけません。産総研のシーズは洗浄後、さらに気相法で1000Paの条件下で有機シラン分子であるn-octadecyltrimethoxysilane(ODS)の分子膜を付けるというのが特徴です。 この防食効果は塩水噴霧試験によって確認しました。わずか直径30μm程度のアルミニウム合金製の配線ですが、96時間塩水を噴霧した結果、処理していない配線は表面が完全に腐食してしまいますが、ODS分子膜で処理した配線は表面の光沢が維持され、電子顕微鏡で観察しても腐食していないことを確認しました。
従来の方法と比べて、シンプルで環境負荷も低いという特徴があるそうですね。
塩水噴霧試験後のボンディングワイヤの光学/電子顕微鏡観察(ODS皮膜)
塩水噴霧試験後のボンディングワイヤの光学
/電子顕微鏡観察(ODS皮膜)
(八木橋)
はい、この方法は、有機シランと一緒に表面処理したいものを瓶に入れて蓋をしておくだけで処理できるので、特別高価な設備は要りません。 CVD(化学的気相法)となると設備も高価になりますが、この方法は機器の導入が手軽であるため中小企業向けだと思います。 もちろん100%欠陥がない分子膜を形成することは難しいので、完全に表面が覆われて恒久的に腐食を防ぐことができる、というわけではありません。 それに論文などで腐食の評価に使われる酸やアルカリの水溶液は強すぎて、そういう意味では「腐食しない」表面でもありません。 

ただ、塩水噴霧試験で4時間も持たずに完全に錆びて使いものにならないものを、96時間経過しても問題なく使用できる技術というのは、実用的であり魅力的です。 そんな実用的で、工業的な面から見たシーズ技術の落とし込みによって、今までより性能が良いという付加価値や、クレームの数を減らすなどの効果を狙えると思っています。 決して華々しい技術ではありませんが、生産ラインでいかにコストを下げられるか、不良品を減らせるか、そのために必要な投資を最小限にしながら改善を図るのに役立ちます。 
この志段味にある研究室は、産総研との共同研究が主だということですが、その経緯は?
(八木橋)
私が入った役割がまさにそれでした。つまり、『産総研と連携して、その研究成果を中小企業のために役立てる』ということ。 産総研は、国の研究機関として、新しい産業技術を提案するために、研究開発を進めていますが、すぐに研究内容を中小企業がそのまま活用するには難しいものが多いです。 だから中部センターが持つ研究成果を地元の中小企業に使って貰いやすくするというのが私の役割なのです。当所では『成果活用型共同研究』と呼んでいます。 つまり、産総研で出された特許や論文の内容をいかに実際の応用に落としこむか、というのが私の役割ですね。当所は熱田区ありますが、そこでは独自の研究も行っています。 ですが私はどちらかというと今ある技術をうまく応用して中小企業のために活用するためのつなぎ役をしています。 最初は技術相談で対応し、実際に提供された試料を処理するときには、技術指導として手数料をいただいています。
この特許の技術以外にも、いろんな研究成果を地元中小企業のために役立てているのですね。今日はありがとうございました。
【取材後記】
研究員でありながら既存の技術を巧みに利用して、相談を受ける中小企業のニーズに当てはめていく。 八木橋さんのそのスタイルは、まるでソムリエやコンシェルジュのように旺盛なサービス精神に基づくものでした。 これは名古屋市工業研究所入所以前に大学や民間企業など幅広い職種を経験しているからかもしれません。 もちろんそれには広い分野での深い知識が必要となります。八木橋さんの場合は新しい分野でも果敢に知識を身につけていきます。 そんな姿勢があるからこそ、中小企業からも信頼を集めているのでしょう。今後の特許戦略も含めて、八木橋さんの活躍に期待したいですね。

▼ ワンポイント情報
まち・ひと・しごと創生総合戦略 企業・事業者向けパンフレット

平成26年12月27日に、「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン(長期ビジョン)」及び「まち・ひと・しごと創生総合戦略(総合戦略)」がとりまとめられ、閣議決定されました。 1.「東京一極集中」の是正、2.若い世代の就労・結婚・子育ての希望の実現、3.地域の特性に即した地域課題の解決 といった3つの基本的視点から取り組むこととしており、地域産業の強化のためには、新事業・新産業と雇用を生み出す地域イノベーションの推進が必要不可欠としております。 具体策としては、公設試と産総研の連携による全国レベルでの「橋渡し」機能の強化が、その役割を担うとされております。


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