トップページ > 施策のご案内 > 技術開発支援 > キラリ公設試(地域公設試のご紹介) > Vol.17 三重県工業研究所

キラリ公設試(中部地域 公設試験研究機関のご紹介)

更新日:平成27年3月13日

キラリ公設試
マルチカラーVFDの研究開発:酸化物を使ったRGB発光の実現(2/2)
Vol.17三重県工業研究所
そのような特長でまさに課題を解決したこの希土類フリーの青色蛍光体の技術、単願で特許も取っています。特許の目的と、その反響はいかがでしたか?
(井上)
反響としては、電話等も含めて数十件という、相当な数の問い合わせがありました。実際は特許というよりは新聞で取り上げてもらったことと、学会発表や論文の効果のほうが大きかったです。 学会発表の後にその場で質問を受けるんですが、そのとき質問者の方で、あまり突っ込んだ討議ができなかったのか、私が退席した後に走って追いかけてくる方がいるんですよ(笑)。 1対1で話す機会を窺っていたのでしょうね。「ちょっとここでは話しづらいので後で電話します」と名刺を渡されて。そういう問い合わせは主にメーカーの方ですね。 この技術はVFDだけでなく他のデバイスにも使えるのでLED関係の企業とか。 あとVFDのユーザーさんもサーベイ(調査)しているみたいで、「これを使うことでどうなった?」と、聞かれたことがありますね。さらに驚いたのは弁理士事務所からの問い合わせです。 私は当初「特許申請時はぜひともご利用ください!」というセールスかなと思ったんですが違うんですね。 どうやら海外の企業から委託を受けて、日本の技術を調査・集約して報告する仕事だったようです。 さすがに私たちは県内企業に役立つことが第一目的なのでお断りするんですが、特許を出してみて、初めてそういうビジネスがあるんだと驚きました(笑)。
特許を取得したことでの効果はどうだったのでしょう?
研究に取り組む井上さん
研究に取り組む井上さん
(井上)
もちろん特許を利用していただくことを念頭に開発していますが、これはまだ製品化されていないので活用されていません。 ただ、私個人としては、やはり特許を取ることで県内企業さんへのアピールの手段のひとつになるんじゃないかと。 特許を取っていない、知的財産という概念の希薄な研究機関となると、企業も一緒に共同研究しようとはならないですよね。 いくらいい技術を持っていたとしても、特許に関心がないような研究機関では頼られないと思うんです。特許などの知的財産の経験と実績は、研究機関としては必須だと思います。 もちろん特許ひとつでVFD用蛍光体の技術すべてを覆えるものではないですが、知的財産を戦略として打って出るのは必要だと思います。
特許を取得することの違った一面を教えていただいた気がします。
そうですね、さらに特許に関しては、取得する以前に利用する必要性があると私は考えます。 研究をやる前の段階で、日本国内のその業界の特許が今何件あって、どんな特許が押さえられているのかを見ることです。 それによって、今どういう分野がブームなのか、逆にどういうところにニッチな隙間があるのかわかります。熱心に研究されている分野やニーズの高い分野ほど特許が多く出されていますから。 研究テーマを設定する段階からそれを把握するのは大切ですね。その上で、自分たちの立ち位置がどこか? 県内企業の現況と照らし合わせて今なにができるか? 研究者である自分のポジショニングがわかってきます。企業から相談を受けた時に、「世界をみたときに、我々はこういう位置にあります。 技術的には残念ながらこのレベルですが、こういう支援ならできますよ」ということを明確に答えて解決方法を示すことができますので。 もちろんそういうやり方はマニュアル化されてないですし、私もいろんな人から教わったことを私なりに噛み砕いて吸収したことですので、これもまた正解はないと思います。
ともかく特許を出すだけではない、特許を見る力というのが研究者に求められるのかなと思います。
地元企業の支援をする公設試の研究員だからこそ、そういうことも強く求められそうですね。さて、青色の発光体の開発に成功し、残りは赤色ですが、こちらは産官学の共同研究ですね。
(井上)
プロジェクト化してみようと取り組んだのが平成20年度のことです。 科学技術振興機構(JST)の研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)という事業に、「カラーメッセージディスプレイ用の高輝度酸化物蛍光体の開発」というタイトルで応募して採用されました。
事務所入り口のカラーメッセージディスプレイ
事務所入り口の
カラーメッセージディスプレイ
弊所とノリタケ伊勢電子株式会社、共立マテリアル株式会社(名古屋市)、そして名古屋工業大学の4機関での共同研究です。 酸化物で青色蛍光体とともに赤色蛍光体を開発してマルチカラー化を完成させることが目標です。 名古屋工業大学が開発していただいた赤色蛍光体は希土類が入っていますが、耐久性のある酸化物で、酸化ガドリニウムを使用しています。 こうしてできたマルチカラーVFDで、実際ディスプレイを表示させるデモンストレーションができるところまでたどりつきました。 この三重県工業研究所の入口に展示しているインフォメーションディスプレイがそれです。まさに今回の技術を集約させて作ったマルチカラーVFDです。 USBで自由に入力した文字を配色できるようプログラムも組みました。
4つの機関の共同研究という点では苦労された部分もあるのでは?
(井上)
研究進捗の維持・管理が一番苦労しましたね。 進捗会議は四半期ごとに開催してまして、そのたびに4機関が集まるのですが、計画とずれることもありますし、目標どおりいかないことがありますよね。 このときにわかったのは、フォーメーションを組んで役割分担をしても、最終的にゴールをみんなでしっかり共有してやっていくこと。 うまくいかないときは助け合う、やっぱり人間関係が大事だなと思いました。そして集まると毎回進捗会議後は必ず懇親会を開催してましたね(笑)。 でもそこで学ぶことができたのは企業サイドの開発スピード感や研究テーマの設定センス。「社会に貢献できる技術を実用化すること」という当然かつ重要な感覚ですね。 
技術の重要性もさることながら、プロジェクトを進める手腕も井上さんの貴重な経験から習うところがたくさんありそうですね。今日はありがとうございました。
【取材後記】
研究テーマとなる技術が使われている背景や市場を的確に捉えた上で、地元企業のニーズを把握してそれに応えていく。 蛍光体を研究開発する井上さんは、まさにそんな役割を担う公設試の研究員のあるべき姿勢を徹底追求している人物であるという印象を受けました。 地元三重県で先人が産んだ世界に誇る技術だからこそ、同じ三重県の研究機関が受け継いで改良していくんだ、と井上さんは言葉にこそしませんでしたが、 そんな思いが伝わってくるようでした。特許を最大限に活用するという姿勢も見習いたいですね。

▼ ワンポイント情報

(独)工業所有権情報・研修館は、平成27年3月23日から、特許情報について、高度化、多様化するユーザーニーズに応えるべく、「特許電子図書館」を刷新し、 新たな特許情報提供サービス「特許情報プラットフォーム(英語名:Japan Platform for Patent Information、略称:J-PlatPat)」を開設します。

従来の特許電子図書館(IPDL)に代わり、特許情報プラットフォームは、検索サービスの機能の充実化、ユーザーインターフェースの刷新、外部サービスとの連携、 「色彩」や「音」等の新しいタイプの商標への対応、及び、特許公報等の情報の一括ダウンロードサービス(民間情報提供サービス事業者向け)の開始等を行うことにより、 意匠及び商標を含む特許情報を提供する新たな情報基盤としての役割を担うものです。
詳しくは特許庁のホームページをご覧ください。 

特許情報プラットフォームの開始について(特許庁サイト内)別ウインドウ

公設試の概要
Public research organization
三重県工業研究所外観写真
名称  三重県工業研究所
住所  三重県津市高茶屋5-5-45
所長  湯浅幸久
TEL 059-234-4036
FAX 059-234-3982
メール kougi@pref.mie.jp

このページに関するお問い合わせ先

中部経済産業局 総務企画部 情報公開・広報室
住所:〒460‐8510 愛知県名古屋市中区三の丸二丁目五番二号
電話番号:052-951-0535
FAX番号:052-951-0557

ページ上部へ戻る

Adobe Reader バナーPDFファイルをご覧いただくためにはAdobe Readerが必要です。外部リンク