トップページ > 施策のご案内 > 技術開発支援 > キラリ公設試(地域公設試のご紹介) > Vol.16 富山県工業技術センター 生活工学研究所

キラリ公設試(中部地域 公設試験研究機関のご紹介)

更新日:平成27年3月6日

キラリ公設試
野球用竹複合バットの開発:木製バットに匹敵する打撃特性へ(2/2)
Vol.16富山県工業技術センター
生活工学研究所
こちらで開発された竹複合バットの特徴を教えて下さい。
(浦上)
竹複合バットの構造(一例)
竹複合バットの構造(一例)
実は竹合板バットはこれまでも作られていましたが、竹は曲げ剛性が小さく打撃時にしなるため反発性が劣るとか、芯を外すと手に響くとか、昔は接着方法が悪くて層間剥離して裂けてしまうといった短所がありました。 これらを克服するため、芯材に強い天然木を入れて竹で周囲を構成しようと考えました。そこでいろんな木材を検討した結果、ヒッコリーがいいのではという結論になりました。
ヒッコリーは比重が大きいのですが、非常に強くて粘りのある素材で、昔からハンマーの柄やドラムスティックに使われています。 考案した竹複合バットは、芯部にこのヒッコリーを配置した断面構造になっています。 さらにこの改良版として、打撃感触を改良するために、ヒッコリーの上下にさらにメイプルの端材を挟み込み、打球感を木製バットに近づけようという試みも行いました。
この竹複合バットは南砺市にあるバット製造メーカーの(株)ロンウッドさんとの共同で開発され、日本と中国で特許を取得されています。その目的は?
(浦上)
いつかメイプルが使えなくなるかもしれないという状況で、社会人や大学リーグの野球選手に性能の良いバットを安く提供してあげたいというのが根底にあります。
一方で、この技術が一般的に知られるようになると、他国でも真似されて安く品質の劣るものが広がってしまう懸念があります。 品質が悪いバットは反発性が小さいうえ、折れやすいことから危険も伴います。 特許として権利を確保することで、品質のしっかりしたものが作られるようこちらで管理することができると考えています。
昔から竹を使ったバットというのはあった状況の中で、今回の申請が新しい特許技術として認められた決め手はどんなところでしょう?
(浦上)
確かに昔から竹とほかの素材を貼りあわせたバットというのはあったのですが、その特性が検証されていなかったのです。 私たちは今回申請の際にいろいろな効果が実証された技術データを付けたんです。
試作した竹複合バットの強度や性能を検証するために、曲げ試験や衝撃試験などの物性試験のほか、反発性能や耐衝撃強度を調べるためのボール衝突試験を行いました。 その結果、従来の竹バットの弱点が強化材の複合化により改善され、木製バットに匹敵する打撃特性を有していることが確認されました。それが決め手だと思いますね。
ここのいろいろな試験装置が活躍したのですね。ところで申請に関しては知財相談窓口なども使われたのでしょうか?
(浦上)
海外出願に関しては、TONIO(富山県新世紀産業機構)の地域中小企業外国出願支援事業を利用しました。 また、知的所有権センターは今も次の特許を申請する相談のために頻繁に通っていますね。
溝口さんと浦上さんは金沢大学と共同研究でホッケーのスティックも開発し、特許出願中とのこと。そちらはどういう研究なのでしょう?
(浦上)
開発したプロホッケー選手用スティックの性能試験
開発したプロホッケー選手用
スティックの性能試験
ホッケーのプロ選手が日本人で一人だけいまして、ヨーロッパのプロリーグで活躍しています。 彼は富山県小矢部市出身なのですが、現地のシーズンオフに帰国したときに当所を訪れて、『新しいスティックを作れないかという夢を持っているんですけど』と相談されたのがきっかけなんです。 もともとホッケーのスティックは木だったのですが今はFRPになって設計の自由度が高くなり、バランスとか重心とかいろいろ改善の余地がありそうだと考えました。 これは用具設計から取り組む必要があるということで、金沢大学のスポーツ科学の先生にも相談に行って、学生さんも巻き込んで具体的な研究を行っています。

この研究では攻守両面の性能を併せ持つスティックの開発を目標として、現状の問題点を改善するために新たな形状を考案しました。 現状ではボールを操作する先端部では打撃性能に劣るため、一流選手は低い姿勢で横打ちをして反発性の高いシャフト部分で打っていることから、身体的な負担が大きいことがわかったのです。 そこで新しいスティックではスイートエリアをヘッド側に移動させ、先端部での打撃が有効になるよう改良しました。 さらに、右手保持部も円形で細くしたことで長軸周りにも回転しやすくなり、ドリブルなどのボール操作性にも優れたものになりました。
溝口さんと浦上さんはそのほかにもヘッドスピードと飛距離を検出して表示するトレーニング用ゴルフクラブなど、いろいろなスポーツの分野で開発を行っていますね。
これらの技術で今後も日本のスポーツ全体のレベルが上がることが期待できそうですね。
【取材後記】
スポーツ用品の開発って、市場は決して大きくはないかもしれませんが、日々テレビなどで観戦して身近に感じる人が多い分野です。 今回は特に富山県の木製バット産業が、プロ野球やメジャーリーグで活躍する日本人野球選手の活躍を支えているという非常に興味深いお話を聞くことができました。 実際にプロの選手もここに来て測定することがよくあるのだそうですよ。 溝口さんたちの研究開発が、今後も日本のスポーツ全体のレベルアップにつながり、世界で活躍する日本人選手を生み出すかもしれません。 今後はそういうことに思いを馳せながらスポーツ観戦をしてみれば、ちょっと見方が変わるかもしれませんね。

▼ ワンポイント情報

富山県の南砺市福光地域は、全国のバット生産の約4割を占める一大生産地です。 現在も多くのプロ野球選手が使用する木製バットが、福光の工場から生み出されており、「福光のバット」の名声を堅持しています。 長さや太さ重さなど、選手一人ひとりに合わせて寸分の狂いもなく丁寧に作られる木製バットは、多くの選手から大きな信頼を得ています。

南砺バットミュージアム情報(トヤマジャストナウ サイト内)別ウインドウ

公設試の概要
Public research organization
富山県工業技術センター 生活工学研究所
富山県南砺市岩武新35-1
九曜英雄
富山県工業技術センター ホームページ外部リンク
TE
0763-22-2141
FA
0763-22-4604
E -Mail
mizoguti@itc.pref.toyama.jp
富山県工業技術センター 生活工学研究所 外観写真

このページに関するお問い合わせ先

中部経済産業局 総務企画部 情報公開・広報室
住所:〒460‐8510 愛知県名古屋市中区三の丸二丁目五番二号
電話番号:052-951-0535
FAX番号:052-951-0557

ページ上部へ戻る

Adobe Reader バナーPDFファイルをご覧いただくためにはAdobe Readerが必要です。外部リンク