トップページ > 施策のご案内 > 技術開発支援 > キラリ公設試 > 岐阜県生活技術研究所

キラリ公設試 Vol.013


岐阜県生活技術研究所

腰痛者にやさしい木製椅子の開発
~人間工学の視点で設計された人にやさしい椅子~(1/2)

 <<今回のキーワード>>
人間工学
人間が生活していくうえでの安心、安全、快適、健康の維持・向上を目的に、人とモノとの関わり方を分析する学問領域。安全で使いやすい道具や機械をつくるのに役立つ実践的な科学技術です。もともとは過酷な労働環境による健康被害やコックピット環境の複雑化による飛行機事故の多発などを背景に始まりました。

研究所前での藤巻研究員
【岐阜県生活技術研究所の藤巻さん】

 今回ご訪問したのは高山市にある岐阜県生活技術研究所。「飛騨の匠」で知られるこの地域は昔から木製家具の産業がさかんで、この研究所も住宅建材や家具製品など地場産業を支援する目的で、研究や技術支援を行っています。同研究所の専門研究員である藤巻吾朗さんは、地場企業と共同で人にやさしい椅子の開発に関わっており、最近では腰痛者にやさしい木製椅子の開発を行っています。彼は専門分野である人間工学の視点で実験を行い、そこから得られたデータをもとに開発。企業や大学と共同で特許も出願したとか。こうして作られる椅子はどんな部分が画期的で、どのような効果があるのか、知的財産をどのように保護しているのか、詳しくお話を伺いました。
インタビュアー
岐阜県生活技術研究所は、木製家具の産業が盛んなこの地域に根ざした研究所なのですね。
飛騨の木工の代表的な技術である曲げ木 

飛騨の木工の代表的な技術である曲げ木

藤巻
歴史をたどっていくと1937年から業務を開始した岐阜県工芸指導所がルーツです。その後岐阜県工芸試験場という名前が長かったのですが、1998年に岐阜県生活技術研究所と名前を変えています。昔から飛騨の木工や家具産業との結びつきが強く、そういう産業の支援を行っていたのですが、現在の名称に変わってから人を測ることにも重点を置き、人間工学の視点を取り入れることになったのです。それでそういう人員の募集があり、大学でそういう研究をやっていた私が採用されました。
インタビュアー
家具づくりにも人間工学の科学的なデータが生かされるということですね。
藤巻
研究所内での藤巻研究員

【背中の形状測定について説明をする藤巻研究員】

ええ、でも当初はスムーズにいかない部分もありました。うちの研究所と地元企業6社、それに大学が合同となって、人にやさしい椅子の開発の研究会を立ち上げました。そこで難しかったのは、どうしても企業の職人さんやデザイナーさんというのは、データを見せても、そういうものを見慣れていないんです。説明しても『へー』で終わってしまう。私が大学でやっていたやり方では通用せず、理解してもらうのに苦労しました。そういうときに職場の先輩がデータの落とし込み方をよく知っていて。わかりやすい形で具体的な設計値を示し、プロトタイプとして提案することで説明してくれました。やっぱりデータを使ってもらうにはそのままではなく、わかりやすく通訳しないとだめだと感じました。そこからはみなさん急にエンジンがかかったというか、いろいろ質問も増えて、実際に商品開発に使われるようになりました
インタビュアー
この研究会の成果としては、企業5社から計19アイテム(うち6アイテムは廃盤です。)が商品化されました。商標『エルゴファニチャー』として展開されていますが、それらは具体的にどんな部分に人間工学が生かされているのでしょう?
藤巻
背もたれの位置、座面の角度や形状など、人間が快適と感じる値がどのあたりかを調べた上で、その値となる設計になっています。標準体型に合わせて作られていますので、展示会などで一般消費者にアンケートを実施したところ、従来の椅子と同等以上の評価を得ることができました
 
インタビュアー
こうした成果で企業の方も人間工学の実力に注目したのでは?
商品化された椅子

研究成果をもとに商品化された椅子

藤巻
そうですね。そこから企業さんが乗り気になってくれました。最初はちょっと怪しいというか、やや不信感を持たれた印象でしたけどね(笑)。『評価はできるけどものは作れないよね』という感じで。でもその後、私たちも椅子を評価するだけでなく、こちらでわざとコントロールした条件を与えた中で作られたものを測っていくことで、実際そういうものを組み上げて形ができていく過程を研究会で一緒に体験していってもらいました。プロトタイプ提案までいったところで『なるほど、こうやれば作れるんだね』という評価に変わっていったように感じます。『そもそも形状がデザイン的に面白い』という意見もありました。家具デザイナーさんたちの常識では、背もたれは後ろ側にそったものがメインだったのですけど、データをもとに設計するとその逆になるのです。背筋をまっすぐ伸ばした状態で人間の体を測り、それをスムーズに支えるのがこの形状なので。実際デザイナーさん達に体験してもらってみると、座り心地がよいと言ってもらえ、自分たちと違う視点でモノができていくというのを楽しんでもらえたと思います。
インタビュアー
企業との前向きなやりとりが伝わってきますね。そんな研究をベースに、藤巻さんは飛騨産業と共同で腰痛の人にやさしい木製椅子も開発しています。こちらはどういった経緯があったのですか?
藤巻
飛騨産業さんはその6社の中の1社だったのですが、当時腰痛の方が楽に座れる椅子を作れないかという相談をいただきました。腰痛の方は座っているときに特に痛みを感じま
研究を行う藤巻研究員 

研究を行う藤巻研究員

す。そういう方が楽に座れる椅子を開発したいと。ただ、腰痛というと医学的な見地も必要になりますので、医学の専門家を探すのに非常に苦労しましたね。地元の整形外科に相談したら、岐阜大学の先生(医学部整形外科宮本先生)を紹介してもらえたのです。その先生が非常に好意的で、協力を得てからはテンポよくものづくりが進んでいます
 
 

このページに関するお問い合わせ先

中部経済産業局 地域経済部 産業技術・人材・情報政策課
住所:〒460‐8510 愛知県名古屋市中区三の丸二丁目五番二号
電話番号:052‐951‐2774
FAX番号:052‐951‐1764

ページ上部へ戻る

Adobe Reader バナーPDFファイルをご覧いただくためにはAdobe Readerが必要です。 外部リンク