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キラリ公設試(中部地域 公設試験研究機関のご紹介)

更新日:平成26年12月12日

キラリ公設試
腰痛者にやさしい木製椅子の開発:人間工学の視点で設計された人にやさしい椅子(2/2)
Vol.13岐阜県生活技術研究所
腰痛者にやさしい木製椅子は2種類が開発されていますが、どちらが先ですか?
(藤巻) 実はほとんど同時なんです。腰痛のことって実は詳しくわかっていないことが大半で、いろいろな説があるんですよ。 『立った時に体の芯がS字になるからS字を保つのがいい』というのと、医学的には『とにかく体を動かすことが第一』という説。 どっちがいいのか正直わからなかったので、同時に進めてみようということになりました。
なるほど、それぞれ木製椅子には珍しい機構を備えているようですね。どんなものか教えてください。
(藤巻)
骨盤の後方回転を抑制する木製椅子
骨盤の後方回転を抑制する木製椅子
まずひとつめが、骨盤を支えるタイプです。この考え方に基づいた椅子は古くからあったのですが、おしりの形って男女差とか形状の違いが大きいということがわかったので、 そういった体型差をカバーするための調節機構を付けたのです。これで誰でもある程度きちんと骨盤を支えることができるようになりました。 しかし、積極的に支えると違和感が出てくるので、骨盤を支える部分の形状を人の形に合わせることで違和感を減らすというのがこのタイプのポイントですね。
座面の奥に調整する機構がついていますね。そしてもうひとつのタイプはもっと機構が複雑です。
座面が動くタイプの木製椅子
座面が動くタイプの木製椅子
(藤巻)
もうひとつのほうは、動かすことで腰の負担を和らげるという医学的知見を元に開発した、座面が動くタイプです。これはお医者さん、宮本先生のアイデアです。 最初は『座面を動かすなんて常識的にありえない』とみんな言っていたのですが、まあ付き合ってみましょうということで(笑)。 最初は座面が傾くだけだったのですが、先生から『人間の膝関節のように動かせないか』という意見をいただいて悩みました。膝関節というのは、ずれながら回転するという複雑な機構です。 そこで私は人が座ったときの体の重心がどこにあるのかを計測して、前後に動いた時に、座面が自然に動くような形状を研究しました。 普通の円の動きじゃなくて、ちょっと変わった曲線となります。それを作ってもらいました。その結果、座面の下のレール上を滑りながら角度が変わるような機構になりました。 実はこれを持って行って機械設計を作っている企業さんに持っていったのですが『この動きは作れん』と言われたくらい、複雑な機構なんですよねー。
どちらも2013年秋に製品化されました。これらの評価はいかがですか?
(藤巻)
展示会での様子(骨盤を支えるタイプの椅子	[手前]、座面が動くタイプの椅子[奥])
展示会での様子
(骨盤を支えるタイプの椅子[手前]
座面が動くタイプの椅子[奥])
飛騨産業さんが展示会で発表していますが、なかなか反響は大きいようですよ。また私たちもコンセプトモデルをもとに腰の負担や痛みの軽減効果を検証しています。 短時間でのデータですが、一般的な椅子に比べて筋肉の活動量が少なくなることがわかりました。これは座っていても疲れないということにつながります。 また、血流量も増えて安定している状態です。静脈の血流停滞がないので、痛みや疲労に関係する老廃物が流れやすいという傾向もあるようです。
この2つの椅子は、企業とともに特許を申請しています。その目的はどんなところでしょう?
(藤巻)
飛騨産業さんが展示会で公開する前に押さえておきたいという意味で特許を出しました。 家具業界新製品はすぐには真似されやすいようで、展示会に出すと技術を盗まれちゃったりするのです。防衛目的の特許です。
特許の申請はスムーズにいきましたか?
(藤巻)
展示会場での藤巻研究員
展示会場での藤巻研究員
私がこの研究を始めてからは初の特許申請だったので、手探りでした。書類は飛騨産業の弁理士さんに書いてもらいましたが、権利などいろいろとわからないことが多かったです。いろんな人に助けてもらいました。岐阜県の各研究所には知財担当がいますので、その人に相談しながらです。実はこれまで当研究所には、技術的な相談は多くありますが、知的財産の相談というのはほとんどありませんでした。ただ、企業では展示会に出すときに結構無防備で、防衛対策なしにどんどん出品してしまいます。だからそれを守ってあげるアドバイスができることも重要だということを、今回の特許申請を経験することによって認識できました。例えば私たちとしては、岐阜県産業経済振興センターの知財総合支援窓口の知財アドバイザーを紹介して、対応してもらうことができます。今後、技術支援と合わせて知財も含めた総合支援ができるような体制にしていきたいと思っています。
技術支援だけでなく、知財の面でもバックアップがあれば、企業にとっては心強いですね。ありがとうございました。
【取材後記】
大学から岐阜県生活技術研究所に入所し、人間工学をものづくりに生かした研究を行っている藤巻さん。 地元企業との共同開発は当初苦労も多かったようですが、現在は密接に関わりあってスムーズに開発が進んでいる様子が伝わってきました。 今後はこれらの椅子の形状をより快適なものにしながら、クッションや、より高度な三次元での研究を生かした乗り物の椅子の開発にも取り組んでいくとのこと。 椅子という身近なものが研究開発の対象となっているだけに、幅広く多くの人の生活を快適なものにしてくれそうです。

▼ ワンポイント情報

岐阜県生活技術研究所は、飛騨産業と岐阜大学医学部地域医療運動器医学講座准教授である宮本敬医師と共同で『アラインプロジェクト』を立ち上げ、 腰痛者にやさしい椅子の研究開発に取り組んでいます。岐阜大学の宮本准教授は、岐阜大学整形外科脊椎班のチーフとして、あらゆる脊椎脊髄疾患 (せぼねの病気)に対する治療を行っております。 岐阜大学病院での診療活動以外に、飛騨地方、奥美濃地方、西美濃地方など、いろいろな地方にて背骨の病気の専門外来やミャンマーでの脊椎手術支援など幅広くご活躍されています。 詳しくは、宮本敬准教授のホームページ「背骨の修理屋(K’s Homepage)別ウインドウ」をごらんください。

背骨の修理屋(K’s Homepage)別ウインドウ

公設試の概要
Public research organization
岐阜県生活技術研究所 外観写真
名称  岐阜県生活技術研究所
住所  岐阜県高山市山田町1554
所長  横山久範
TEL 0577-33-5252
FAX 0577-33-0747
メール info@life.rd.pref.gifu.jp

このページに関するお問い合わせ先

中部経済産業局 総務企画部 情報公開・広報室
住所:〒460‐8510 愛知県名古屋市中区三の丸二丁目五番二号
電話番号:052-951-0535
FAX番号:052-951-0557

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